美容師採用にかかる費用っていくら?費用の内訳や採用方法について解説!

店舗数がコンビニエンスストアよりも多いとされる美容室・理容室。
採用競争が激しく、採用単価も膨らみやすい状況です。

「美容師の応募が集まらない……」
「採用単価を抑えて美容師を確保したい……」
このように悩む店舗は多いのではないでしょうか。

本記事では、美容師採用にかかる費用の内訳や採用方法について詳しく解説します。
美容師の採用を考えているサロンオーナーや人事担当者の方は、ぜひ当記事をお役立てください。

美容師採用にかかる費用の相場

美容師採用にかかる費用は決して安くありません。
採用単価は平均して20万円~100万円程度と言われています。
採用手法にもよりますが、スキルの高い人材や経験豊富な人材を採用するとなると、コストは高くなります。

採用にかかる費用は、大きく分けて「外部コスト」と「内部コスト」の2種類。
詳細はこの後解説しますが、外部コストには求人広告費や人材紹介料などが含まれ、内部コストには採用担当者の人件費や候補者に対して発生するコストなどが含まれます。

美容師採用にかかる費用の内訳

では、「外部コスト」と「内部コスト」の内訳について解説します。
特に「外部コスト」は美容室によって大きく変動があるので、現在立てている戦略や展望に照らし合わせながらご覧ください。

外部コスト

外部コストとは、求人媒体の利用やホームページ制作をはじめ、下記のように社外に支払うコストのことです。

  • 求人広告の掲載料
  • 企業説明会
  • ホームページ制作
  • 採用パンフレット
  • 採用・人事システムの導入費
  • 人材紹介料

社内完結によって節約はできますが、プロによるサポートがない分、求人効果が低くなりやすいといえます。また、全て自分たちで行うとなると、リソースが足りなくなるケースが多いでしょう。

「予算をかけるべき部分」を見極めることが重要なので、各コストについて詳しく解説します。

求人広告の掲載料

【費用目安】
10万~100万円
※アルバイト採用のほうが安価な傾向

求人サイトや業界専門誌などに求人広告を掲載する際の費用です。
求人サイトは最近人気が高く、種類としては、エン転職やdodaのように幅広い業界の求人を扱っている「総合型」と、リジョブを一例とする美容業界を専門とした「特化型」があります。

なお、「マイナビ 2024年卒 企業新卒内定状況調査」における「採用費中の広告費平均」は下記のとおりです。

全体 上場 非上場
161.7万円 606.7万円 123.7万円

(出典:マイナビ 2024年卒 企業新卒内定状況調査

多くの美容室・理容室は「非上場」に該当すると思います。この数字はあくまで一例ですが、参考のひとつにすると良いでしょう。

企業説明会

【費用目安】
都市部:50万〜80万円程度
地方:30万~50万円程度

合同企業説明会に参加する際の費用です。
会場費や資料作成費、スタッフの人件費などが含まれ、開催規模やブースの位置・広さなどによって金額が変わってきます。
美容室に特化した説明会が開催されることもあります。

ホームページ制作

【費用目安】
10万~100万円
テンプレートを利用した最低限のコンテンツであれば10万円ほど、オリジナルデザインで動画や写真、取材コンテンツなどを入れると高額になります。

美容室が乱立している近年において、ホームページの重要性が高まっています。
特に自店舗のことが気になっている求職者が「普段はどんな様子で働いているのだろう?」「この美容室はどんなことを大切にしているのだろう?」と理解を深めるために必要です。

※採用サイトの費用相場について詳しく知りたい方はこちら
採用サイトの制作にかかる費用相場【早見表付き】見積り例やポイントを徹底解説

採用パンフレット

【費用目安】
A4サイズ8ページ:1000部で50万〜100万円程度
企画費や取材費、デザイン制作費、印刷費などが含まれます。

会社案内や求人要項をまとめた採用パンフレットは、自店舗の魅力を簡単に伝えることができ、会社説明会や合同説明会でも役立ちます。
デザイン、印刷、写真撮影などの費用が含まれ、ページ数や掲載コンテンツによって金額が大きく変わります。

採用・人事システムの導入費

【費用目安】
小規模サロン向け:1万円〜3万円
中規模サロン向け:3万円〜5万円
大規模サロン向け:5万円〜10万円

応募者管理や面接調整を効率化するための採用管理システムを導入する際の費用です。

システムを導入することで応募者情報を一元管理できるようになり、採用活動が効率化します。また、システム内で求人をつくって複数の求人サイト・求人検索エンジンに連携する機能もあるので、多くの求職者にリーチできます。

人材紹介料

【費用目安】
採用した人材の想定年収の30~40%が目安。

人材紹介会社を利用して美容師を採用する場合の紹介手数料です。
一般的に、採用された美容師の年収の30%〜40%程度が相場とされています。例えば、年収300万円の美容師を採用した場合、紹介料は90万円〜120万円程度となります。

内部コスト

内部コストとは、採用活動を社内で行う際にかかる費用のことです。
主な項目は以下の通りです。

●人事担当者の人件費
採用活動に携わる人事担当者の給与や残業代などの人件費です。
採用活動にかける時間によって大きく変動しますが、内部コストのうち大きな割合を占めます。

●面接官の人件費
面接を行う店長や経営者の人件費も内部コストに含まれます。
面接1回あたりの所要時間と面接時間・面接回数から算出可能です。

●研修費用
採用活動に際して実施する新入社員研修や入社前研修にかかる費用も、採用コストの一部として考えられます。研修講師の人件費、会場費、資料作成費などが含まれます。

美容師採用を行う前に検討すべきこと

「よし!」と勢いで採用活動を始めると、後から思わぬアクシデントが生じたり、欲しい人材が集まらなかったりします。
そこで、美容師採用を始める前に検討すべき点について紹介します。

採用基準

美容師の採用を行う前に、「どんな人材が欲しいのか」という基準を明確にしておきましょう。基準を明らかにすることで、「どんな手法でアプローチするか」「求人で何を伝えるか」などが整理しやすくなります。

考慮する採用基準の一例を挙げます。

技術力、資格 美容師として必要な技術スキルを明確にします。カット、カラー、パーマなどの基本的な技術はもちろん、最新のトレンドや技術にも対応できる能力が求められます。
経験年数、年齢 新卒採用か中途採用かによって、求める経験年数は異なります。経験者を採用する場合、何年以上の経験を求めるかを明確にしておくことが大切です。
コミュニケーション能力 美容師はお客様と直接接する職業です。高いコミュニケーション能力が求められるため、どの程度のレベルを求めるかを明確にしておきましょう。
サロンの理念との適合性 応募者がサロンの理念や方針に共感し、チームの一員として協力できるかどうかも重要な採用基準となります。

※こちらの記事では求める人材像の設定方法について解説しています
応募が来ない時に試すことはペルソナ設定!求人票の書き方のコツをご紹介

雇用形態

美容師の採用を検討する際、「雇用形態」も重要な検討事項です。
以下の雇用形態から、サロンの状況に合わせて選択しましょう。

雇用形態 特徴 メリット デメリット
正社員 長期的な雇用を前提とした雇用形態 ・中長期視点での人材育成
・従業員のロイヤリティ向上
・人件費が高い
・合わない人材も雇用し続けなければならない
業務委託 業務の一部をフリーの美容師に委託する雇用形態 ・柔軟な人員調整が可能
・専門性の高い人材の確保
・長期的な人材育成が難しい
・マネジメントが難しい
パート・アルバイト 短時間労働者としての雇用形態 ・人件費を節約できる
・状況に応じて正社員登用できる場合もある
・継続的な育成が難しい
・技術の高い人材を見つけるのが難しい

継続的に雇用可能か

せっかく採用してもすぐに離職してしまえば、また採用活動を行う必要があり、結果的にコストがふくらみます。
そもそも自社が継続雇用できる環境なのかを確認し、必要に応じて改善策を講じましょう。下記の視点について事前にチェックすることが重要です。

●経営状況の分析
サロンの現在の経営状況と将来の見通しを分析し、新たな人材を長期的に雇用できるかを判断します。売上や利益の推移、固定費の状況などを詳細に確認しましょう。

●人材育成計画の策定
採用した美容師を長期的に育成する計画を立てることが重要です。技術向上のための研修プログラムや、キャリアパスの明確化など、従業員の成長を支援する体制を整えます。

●労働環境の整備
美容師が長く働き続けられる環境を整備することも重要です。労働時間管理や休暇制度の充実、ワークライフバランスの推進など、働きやすい環境づくりに努めます。

美容師の採用方法

美容師の採用課題が複雑化する中、これまでのように「採用サイトをつくろう!」というような単純な採用方法では、美容師の確保が難しくなっています。
そこで、美容師を採用するために効果的な方法をいくつか紹介します。

採用ページの作成

まずおすすめしたいのが、専用の採用ページを設けることです。

採用ページは、サロンの魅力を最大限に伝える場所です。掲載できるコンテンツに制限がないので、求人サイトやSNSなどでは伝えきれない自分たちの魅力を届けましょう。
仕事の様子を伝える写真や現役スタッフのインタビュー動画を掲載するなど、視覚的に魅力的なコンテンツを提供することがポイントです。

【採用ページに含めるべき要素】

  • サロンの理念や特徴
  • 求める人材像
  • 具体的な仕事内容
  • 写真や動画
  • キャリアパス
  • 福利厚生
  • 応募フォーム

求人広告への掲載

求人広告は、幅広い求職者にリーチできる効果的な手段で、多くの美容室が活用しています。
この記事の前半でお伝えしたように一定のコストはかかりますが、プロによるサポートが充実した媒体も多く、高い求人効果が見込めます。そのノウハウを自店舗に蓄積させることもできるので、気になる場合は利用を検討すると良いでしょう。

【主な美容師向け求人サイト】

  • ホットペッパービューティーワーク
  • リクエストQJ
  • リジョブ

【主な総合求人サイト】

  • Indeed
  • doda
  • Green
  • エン転職
  • タウンワーク

※求人サイトを選ぶ際はこちらの記事をお役立てください
おすすめの求人サイト20選 正社員・アルバイトなどタイプ別にご紹介
リジョブとはどんなサービス?掲載料金や成果報酬、求人掲載方法を解説

人材紹介の利用

「採用活動にあてる時間が足りない」と悩んでいる美容室に特におすすめなのが人材紹介サービス。希望に合致する人材を探してもらえるので、経験豊富な美容師や即戦力となる人材を効率的に採用できる可能性があります。

【人材紹介会社を利用するメリット】

  • 専門知識を持つ専任コンサルタントによるマッチング
  • 求職者の詳細な情報入手が可能
  • 採用までのプロセスをサポート
  • 成功報酬型で初期費用がかからない媒体が多い

※人材紹介を利用するメリットや注意点について知りたい方はこちら
人材紹介の手数料の相場とは?注意点についても解説!

美容専門学校への求人案内

美容師を新卒採用する場合、美容専門学校に求人案内を出す方法があります。
他業種と異なり、多くの美容師は美容専門学校を経ますから、その点を採用に活かします。なお、掲載までの手続きやそもそも求人掲載が可能なのかは、学校によって異なります。

技術面での即戦力は期待できないことから、新卒採用に前向きになれない店舗もあるかもしれません。しかし、サロンの理念や方針に合わせて育成できる人材を確保できるので、長い目で見るとメリットが大きいのです。

企業説明会への参加

美容業界向けの合同企業説明会に参加することで、多くの求職者と直接接触する機会を得られます。
求職者にとって、やはり直接会った人のほうが印象に残りますし、企業側の熱量が伝わりやすくなります。また、その場で求職者の疑問や不安を解消できるので、優秀な人材を引き付けるチャンスが広がります。

【企業説明会で効果を出すポイント】

  • 魅力的なブース設計
  • 現役スタッフによるデモンストレーション
  • パンフレットや動画など視覚的なコンテンツの活用
  • その場での面談や適性テストの実施

企業説明会では、他のサロンとの差別化を図ることが重要です。
まずはつい立ち寄ってしまうようなブース設計を意識して、そのうえで求職者の関心を高める工夫をしましょう。

美容師採用の注意点

美容師採用にはいくつかの注意点があります。
採用活動を始める前から念頭に置いておくことで、採用成功に近づきやすくなります。

中途採用は費用がかかる

「経験者が欲しい」と考える店舗は多いと思いますが、中途採用は新卒採用より費用がかかります。経験者を採用するので、求人広告の掲載料や人材紹介会社への手数料が高くなるためです。

これは美容師に限ったことではありません。
参考までに、いずれも2019年度の実績なので少し前のデータではありますが、株式会社リクルートの「就職白書2020」において1人あたりの平均採用コストは下記のとおり報告されています。

中途採用 103.3万円
新卒採用 93.6万円

(出典:就職白書2020|就職みらい研究所

内定辞退を考慮する

美容師の採用プロセスにおいて、内定辞退は避けられない問題の一つです。
特に、競合他社との採用競争が激しい場合、内定辞退率が高くなる傾向があります。
内定辞退を防止するには、その要因を知ることが必要です。

【内定辞退の主な要因】

  • 他社からのより好条件の内定
  • 勤務地や労働条件の不一致
  • キャリアプランの変更
  • 個人的な理由(健康問題、家庭の事情など)

【内定辞退防止のための取り組み】

  • 採用プロセスの迅速化
  • 内定者フォローの充実
  • 魅力的な待遇や福利厚生の提示
  • 職場の雰囲気や文化を伝える機会の提供

早期離職を考慮する

美容師の業界では、早期離職率が高いことが課題となっています。
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概要」によると、美容師を含む「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は18.7%です。全産業平均が15.0%であることからも、離職率の高さが分かります。

早期離職の主な原因としては、人間関係のストレスや長時間労働、休日の少なさ、給与面の不満などが多いです。自社の現状を見直したうえで、改善できる部分から取り組んでみましょう。

まとめ

美容師は人気職業ではあるものの、美容室の数自体が非常に多いこともあり、採用競争は激しくなっています。その傾向は今後ますます強くなると見込まれるので、早めに自社の現状を見直したうえで対策を講じることが重要です。

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この記事を書いた人
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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