中途採用の時期はいつが最適?|中途採用を行うべきタイミングと採用計画の立て方

中途採用 適正時期とは

「人材が必要だから、とりあえず求人を掲載しよう」と、突発的に中途採用を開始した経験はないでしょうか?

採用活動そのものを開始することは容易ですが、それでは結果に結びつかないことが少なくありません。中途採用を行うには、時期の決め方がとても重要だからです。

そこで今回は、中途採用を行う時期の考え方と、採用計画の立て方について解説します。

中途採用の年間トレンド

年間を通して行われている中途採用では、求人数や求職数が月ごとに変動します。この波は中途採用ならではの特色であり、時期ごとのトレンドをつかむことは採用活動を有利に進めるうえで重要です。

それでは、中途採用の時期ごとのトレンドとはどのようなものなのでしょうか。
月別の新規求職申込数と新規求人数を表した、以下のグラフを見てみましょう。

中途採用の年間トレンド
厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)をもとにグラフを作成

求職者(=転職活動をする人)がもっとも多い春(3~4月頃)。求人(=人材を募集する企業)と求職者がともに増加に転じる秋(9~10月頃)。また冬期休暇明けの1月頃にも、求職者の動きを見て取ることができます。

一年を通して俯瞰すると、中途採用市場における企業と求職者の傾向を知ることができるのです。

それぞれの時期で求職者と求人数に、どのような特徴があるのでしょうか。

求職者の数がピークに達する春(3~4月頃)

この時期に求職者が増加するのは、新年度が始まる4月からの就業を希望する人が多いから。キリの良い4月から新しい職場でのスタートを切りたいというのは、多くの人に共通する心理のようです。

一方、企業側にとっては退職者が出やすく、欠員補充が必要な時期といえます。できれば、新年度の業務や新入社員の研修で忙しくなる前に中途採用活動を終えておきたいため、2月頃から求人数が増加します。

夏以降、求人と求職者が増える秋(9~10月頃)

10月は、下半期(または上半期)が始まる時期です。その10月を迎えるまでの間には、新しい期に向けて会社側から異動や新規プロジェクトの打診が行われたり、それまで進めていたプロジェクトが一段落したり、何らかの変化に直面する人が少なくありません。

中には、夏期休暇中に家族や友人と話をして、自身のキャリアについて考えることもあるでしょう。そんな転職のきっかけと出合いやすいことから、転職を決意する人が増加します。

企業側は、こうした退職者の動きや人員計画を踏まえ、期初の10月に照準を合わせて採用活動を行うことが一般的です。

こうした背景から、この時期は中途採用市場がもっとも活発化します。

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中途採用を行う時期は、戦略に基づいて決定する

中途採用における企業と求職者の動きには、時期によって動きに特色があることを理解いただけたと思います。
こうした年間トレンドの把握は、中途採用の成功を左右する募集時期の決定に役立ちます。自社の採用におけるこれまでの傾向を踏まえ、どのような攻め方をするのがベストなのか。採用戦略に基づき、中途採用の時期を決めましょう。

より多くの求職者に接触したい

求職者との接触数を増やしたい場合は、求職者が増加する時期の求人掲載がおすすめです。求職者が増えるのは、3~4月と9~10月頃。より多くの求職者に対してアピールできる時期のため、応募数の増加が期待できます。

ただし、この時期は企業側の採用活動も活発になる時期のため、採用競合企業との戦い方を十分に検討することが必要です。例えば、数ある求人の中に自社の情報が埋もれてしまわないよう、上位掲載をするなどの工夫が必要です。

また母集団形成に成功した場合でも、その後の選考でライバルに負けてしまう可能性も考えられます。せっかく出会った人材に選考辞退や内定辞退をさせないためには、選考プロセスにおけるフォローがとても重要です。

戦いやすい時期を優先したい

ライバルとの戦いを避けたい企業は、8月と12月が戦いやすいでしょう。

求人数がやや落ち込む8月は、多くの求職者にとって夏のボーナスのあと。中には、ボーナスの支給額に納得がいかず、突発的な転職を求める求職者もいます。ライバルが少ない時期に積極的に行動する求職者からの応募を得られることは、効率の良い採用につながるはずです。

さらに12月は、1年を通して求人数がもっとも少ない時期。採用活動が活発なときにライバルとの戦いに苦戦している企業にとっては、チャンスの多い時期といえるでしょう。

また、一般的に夏期・冬期休暇中の8月と12月には、普段は転職活動に時間を避けない優秀な人材が動いている可能性があることも、この時期に中途採用を行うメリットでしょう。

ただし、採用担当者も休暇に入る場合は、選考の停滞が避けられません。社内の協力を得て、採用担当者が休暇中でも求職者との連絡や選考をスムーズに行える体制作りが必要です。

求人が増加する少し前を狙いたい

ライバルが少ないという点では、5月~6月も戦いやすい時期といえます。この時期にライバルが減る理由は、新年度が開始して間もないため。新入社員の受け入れや新卒社員の研修、部門の方針策定やチーム形成など、あらゆる部署で忙しさが増すからです。

この時期を過ぎたあたりから、求人数は増加する傾向があります。増加する前を狙うことで、ライバルとの競争を避けて戦うことが可能になるでしょう。

ただし、自社でもこの時期が忙しい場合は、無理な採用活動はおすすめできません。選考過程では各部門の協力が必要になるので、関連部門の状況を見極めて採用活動を行うことが求められます。

時期が確定したら、採用計画を立てて実行する

より良い成果を出すためには、計画が必要です。中途採用を行う時期が決まったら、具体的な採用計画を立てましょう。
ここでは求人掲載や選考プロセスにおける重要なポイントについて解説します。

募集要項の整理

まずは、募集要項を整理するところから始めます。ここで決定しておきたいのは、以下の項目です。

・採用したい人材のペルソナ(※)
・採用人数
・入社時期
・選考プロセス
・面接担当者
・採用手法
・会社の採用方針 など

【POINT】ペルソナとは?
採用におけるペルソナとは、採用したい人物像のこと。年齢、性別、居住地などの基本情報から、現在の仕事や役職、志向、趣味や家族構成などを詳細に設定し、人物像を明確化します。
自社が必要とする人物像が明確になることで、効果的な訴求を行うことが可能になり、ミスマッチの少ない効率的な採用につなげることができます。
ペルソナの作り方は、応募が来ない時に試すことはペルソナ設定!求人票の書き方のコツをご紹介で詳しく解説しています。

これらの内容が確定すれば、人材獲得に向けて動き出しましょう。

母集団を形成する

次に、選考を行うためには母集団形成が必要です。例えば、求人広告で募集を行う場合は、適切な母集団形成ができる媒体選定や求人票作成が求められます。
募集要項で決定した採用人数や選考プロセス、採用手法等を踏まえ、採用の成功を実現できる母集団形成を目指しましょう。

母集団形成については、『母集団形成における注意点って?方法別メリット・デメリットは?』をぜひ参考にしてください。

選考・面接

応募者の獲得後に実施するのは、書類選考と面接です。選考プロセスにおいて求職者が重視するポイントのひとつが、スピードです。同時並行で複数企業の面接を受けている求職者は、対応の早い企業の内定を受諾しやすい傾向があります。多くの求職者が複数企業へ応募をしていますので、スピード対応はもちろん、他社の選考状況についても把握しておくことが重要でしょう。

また、面接日の設定や合否決定にかかる時間の短縮などは、各部門の協力が欠かせません。求人を開始する前に、選考スピードの重要性や面接時の注意点などを共有することはもちろん、採用成功に向けた合意形成を行っておきたいですね。

採用

内定の確定は、採用担当者にとってうれしい瞬間です。しかし、内定はゴールではありません。応募者本人の入社意思を確認できるまでは、安心できないのです。
他社の最終面接の結果待ちや、すでに内定を得ているケースも多いため、入社意思の確認や入社日の調整は早めに行いましょう。
また入社意思が確認できた場合でも、内定者のフォローは不可欠。特に入社日まで期間があく場合などは、転職意欲の低減を防止するために、定期的にフォローを行います。

内定者フォローの施策については、『内定者フォローの施策例を5つ紹介|内定辞退を防ぐには?』で解説しています。

まとめ

採用活動を行う時期は、中途採用を成功へと導くうえで重要な要素のひとつです。中途採用のトレンドを踏まえ、独自の採用戦略を構築・実行することで、確実な採用へとつなげていただきたいと思います。
また選考過程で得られるデータは、自社の採用活動において非常に貴重な情報です。データを蓄積・分析・活用し、採用活動の効率化に役立てましょう。

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この記事を書いた人
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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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