株式会社週休3日の永井社長が語る週休3日制の活用法やメリットとは?誰もが「週休3日正社員」を選べる世界に。

3行でわかる!この記事の要約
  1. 週休3日制度をサポートする株式会社週休3日の「永井社長」へのインタビュー。
  2. 「5日働く」から「4日働く」に変えることで、「もう1日休みたい」から「もう1日働いてもいいかも」に意識が変わる。
  3. 過度に高い報酬を必要としないマッチングが期待できるので、結果的に採用コストや人件費のコストダウンにもつながる。

目次

誰もが「週休3日正社員」を選べる世界に。永井社長が語る週休3日制の活用法やメリット

週休3日と聞くと皆さんはどのような印象を持ちますか?
うらやましい!という思う方がほとんどではないでしょうか?

実際に20〜30代を対象とした、働き方に関するアンケートを実施したところ、「週休3日という選択肢がある方が魅力に感じますか」という質問に対して、「感じる」と答えた割合が94. 2%、さらにアンケートを詳しく見ると「給料が8割でもいいので週休3日が良い」という人が28.7%もいました。

働き手にとっては、たった1日の差ですが、+1日の休日で心のゆとりが生まれ、育児や家事とのキャリアアップを諦めることなく仕事を続けることができますし、雇う側にとっても離職率の低下や従業員のモチベーション向上といったメリットが得られて双方Win-Winの関係になれそうですよね。

本記事では、先ほどのアンケート結果を公表していた「株式会社週休3日」を立ち上げた永井社長に、週休3日制のメリットやどのように採用に役立てるべきかについて伺いました。
是非とも皆さんの今後の採用の参考にしていただければと思います。

 

株式会社週休3日を立ち上げた理由

ーーまず自己紹介からお願いします。

大学を卒業して、印刷会社の営業、広告会社の営業などをした後、Webコンサルティングを行う会社に転職しました。ちょうどその頃は、育児と仕事との両立が大変でした。さらにはライフワークとしていた演劇も無理のない程度で続けたいと考えており、まあ今考えれば大変欲張りなのですが、働き方や生き方について考えることが多かったです。そんな矢先、知人から「うちの会社に来ないか?」とお誘いをいただき、当時にしては珍しい週休3日で総務・人事の責任者に着任しました。その後、同社で介護施設長を8年ほど努めたのち、株式会社週休3日を創業し2017年から事業を開始しました。

ーー株式会社週休3日を立ち上げた背景について教えていただけますか。

前職で介護施設長をしているときに、週休3日制度を導入して予想以上にプラスの効果を得られたのが大きなきっかけです。私自身も週休3日の総務・人事責任者として働きながら、+1日の休みのおかげでライフワークバランスが整い、育児や(ご縁があって始めた)専門学校の非常勤講師、ライフワークの演劇など、プライベートが格段に充実しました。仕事においても多方面の経験・知識が総合的に好影響を与えたと思います。まだ若かった私が介護施設長として、人生経験が豊かなご高齢者様と向き合えることができたのも、週休3日で人としての幅を広げることができたからだと思います。

当時、勤めていた介護施設は人手不足でかつ離職率も高い状態でした。週休3日制を導入した当初は「給料が安くなるのに働きたい人なんているはずない」という意見が大半でしたが、6年運用した結果、全体の30%以上が週休3日正社員になり、離職率は半減しました。

ーー離職率が半減ですか……!ものすごい効果ですね。

週休3日制にすると、労働時間が80%になるので給料も80%になります。(週休3日制には1日10時間勤務にすることで週40時間の労働時間と給与が変わらない方法もあります)

とても面白いのは「5日働く」から「4日働く」に変えることで、「もう1日休みたい」から「もう1日働いてもいいかも」に意識が変わるんですね。これを私は鯛(休みたい)と鴨(働いてもいいかも)に例えてよく説明しています(笑)

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意識が変化すると、サービスの質にも良い影響を与えます。例えば、自分が医療や介護のサービスを受ける側になったとして考えいただければ分かると思います。「もう1日休みたい」という人、「もう1日働いてもいいかも」という人、どちらからサービスを受けたいと考えるでしょうか。ちょうど良い働き方はサービスの質の根拠になります。たった1日休みが増えるだけで、会社としては従業員に支払う総人件費を大きく変えることなく、従業員は心の余裕が生まれてサービスの質が高くなり、まさに一挙両得の仕組みだと確信できたんです。

ーー2017年だと、週休3日を導入している会社はほとんどなかったように感じます。どのように事業を拡大したのでしょうか。

当初は医療法人や社会福祉法人を対象に、地域密着で事業をスタートしました。10事業者ほど見込みがありましたが、結局「週休3日の制度がないから難しい」「現場が反対している」と全て断られてしまって……。このままだと立ち行かなくなると考え、薬剤師に特化した週休3日のマッチングサービス「週休3日薬剤師.com」を始めました。

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ーーなぜ最初は、薬剤師に特化したのでしょう。

医療法人や社会福祉法人は利害関係者が多く、週休3日を提案してもなかなか導入が進まないんですね。しかし、薬局は営利法人が運営しているのに加え、経営者の判断でスピーディに方針が決まる会社が多いのです。しかも、地方だと薬剤師は人手不足でニーズもあります。

また、休みが欲しい薬剤師さんも多いです。一般的に、薬局は水曜日、土曜日の半日が休日ですが、水曜日や土曜日の午後に時間外労働や会議が入り、結果的に週休1日になっていることも少なくありません。

ーー株式会社週休3日の事業概要について教えてください。

現在は、薬剤師限定の週休3日薬剤師.comに加えて、全職種に対象を広げたサービス「週休3日.com」を始めています。週休3日正社員などの新しい働き方をマッチングポイントとして、求職者と企業(事業者)に今までなかった新しい出会いを創出するサービスです。(これに加えて、週休3日制導入に関するセミナー登壇や、導入支援のコンサルティングなども行っています。)

求職者にとっては、休みを増やして理想のライフスタイルを実現するのが目的であり、週休3日はあくまで手段にすぎません。そのため、マッチングにおいては仕事内容や雇用条件だけでなく、登録時に選択してもらった+1日の休みの使い方も重視します。これを私どもは「+1日マッチング」と呼んでいます。

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今後求人数が増えれば、例えば「家族との時間を大事にしたい」求職者には、お休みを「家族や友人との時間」に使うことに共感・応援をしている会社の週休3日正社員や短時間正社員の求人がヒットするようになります。

週休3日制によって得られるメリットは?

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ーー週休3日を導入すると得られるメリットについて、従業員側と採用側でそれぞれ教えてください。

従業員が得られるメリットは、仕事とプライベートの両立を図れることですね。その結果、仕事のパフォーマンスも向上するはずです。自身の経験や週休3日制導入の経験から、ちょうど良い働き方は仕事・サービスの質を向上させると確信しています。

採用側が得られるメリットとしては、他でもよく言われていると思いますが、あまり注目されていないことでは、今までなかった新しい出会いが生まれることです。週休3日.comの+1日マッチングを活用して週休3日正社員を募集すれば、企業(経営者)の価値観や、地域の特性を活かした採用活動が可能となります。例えば、中山間地域において「あるのは山くらい・・・」という企業でも、その「山」を活用し、週休3日正社員で+1日のお休みを「登山やクライミングに使いたい」人材との出会いを見つけることができます。
また、過度に高い報酬を必要としないマッチングが期待できるので、結果的に採用コストや人件費のコストダウンにもつながるはずです。さらに週休3日でミスマッチが減れば離職率も下がり、全体の採用コストは抑えられます。また、週休3日制そのものを採用のアピールポイントにすることもできます。

ーーもっと大きな視点で、会社や地域社会にとってのメリットはいかがでしょう。

会社にとっては、週休3日の社員を雇用することでBCP対策になります。週休3日であれば、事業に関わる人数が今よりも増えますよね。40人の現場で5人減るのと、50人の現場で5人減るのでは、会社への影響は天と地ほどに変わります

本当に緊急時ですが、例えば新型コロナウィルスなどの感染症における対応力も上がると思います。週5日8時間で働いている人が緊急対応したら、限界を超えた状態で仕事をする可能性が高くなるわけですが、週休3日正社員なら、期間限定でご協力をいただき週休2日で勤務いただいたとしても、期間が短ければ限界を超えた状態になりにくいはずです。これは組織として非常に強いです。

ーーそう考えると、医療や介護業界での人手不足でも、活用できる仕組みですね。

そうですね。地域の病院や介護施設は人手不足でギリギリのリソースで回っているところも多いです。万が一、週休3日が浸透すれば、地域医療の人手不足を解消できるかもしれません。

少子高齢化社会の日本においては、医療や介護だけでなく、あらゆる業界で人手不足になるでしょう。従来は、アルバイトを雇用して人件費を抑えて利益を出すビジネスモデルが主流だったと思います。しかし、この方法ではどこかで行き詰まるのではと考えています。どう従業員に付加価値をつけて、それを最大化するかがカギになると思います。
例えば、休みもなく働いているホテルの従業員がいたとして、お客さんが「この地域の面白いところを教えてください」と聞いても、表面的な解答しかできないと思うんですよね。
週休3日であれば、+1の休日を使って得た経験を使って、その地域の真の魅力を答えられる余裕があるかもしれないと思うんです。

ーー従業員の人生を尊重し、週休3日という手段でその方の能力を最大化できるんですね。移住促進に繋がるサービスも展開されていると拝見しました。

はい。移住・Iターン・Uターンを組み合わせた求人も掲載しています。移住促進というと、自然があって、良い人がいるみたいなセールスポイントが書かれていることが多いです。ただ、その地域に観光名所や自然、レジャースポットなど魅力的な資源があっても、働き方が柔軟でなければ、楽しめないわけじゃないですか。

「うちの会社がある地域はマリンスポーツの聖地だからおいでよ」と魅力を伝えても、勤務時間がフルタイムで休みも少なければ、マリンスポーツを存分に楽しめません。本気で来てもらいたいなら、どういう生き方ができる働き方なのか提案しないと魅力は伝わらないし、移住の満足度も低くなると感じています。そういう意味でも、+1日の休日の使い方も含めたマッチングは非常に有効だと思っています。

 

週休3日制を広めて、多くの人が自分らしく生きられる世の中を作りたい

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ーー飲食や介護、運送のように人手が不足している職種や、需要があるけどなり手が少ない仕事において、週休3日という選択肢は有効ですか?

もちろん、会社によって状況は異なるので一概に言えませんが、課題を解決する方法の1つになりえると思います。

人が集まりにくい業界は、違う角度から魅力を発信しないと、応募のテーブルにすら入れてもらえない可能性が高いです。特にサービス業では夕方から閉店までの時間が非常に重要です。その時間にどうすれば働いてもらうかを考えると、お給料を増やす以外では休みを増やす、複業を推進するといった方法を検討しなければいけません。

例えば、夜遅くまでの勤務でも週休3日でかつ副業や起業もOKなら、働きたい人は増えると思うんですよね。

ーー確かに。そういう選択肢が増えれば、アルバイトで生計を立てながら、ミュージシャンや役者を目指すみたいなあり方が変わるかもしれませんね。

2021年9月に、やる気を持って働いている都市部の20〜30代を対象とした、働き方に関するアンケートを取りました。「週休3日という選択肢がある方が魅力に感じますか」という質問に対して、「感じる」と答えた割合が94. 2%もいました。つまり、これは週休2日の選択肢だけだと、若い人材は集まらないという話なんですね。まずそこの出発点を理解した方が良いのかなと。

さらに、アンケートを詳しく見ると「給料が8割でもいいので週休3日が良い」という人が28.7%もいました。少しずつ働き方の価値観が変わっていると思います。

ただし、どの業種でも週休3日がはまるわけではありませんし、働き方の選択肢のひとつです。

ーーあくまで週休3日は選択肢であると。

医療や介護業界の仕事のように、時間や配置(そこにいること)で価値がうまれる仕事では、同一労働同一賃金をベースに組み立てた週休3日ならうまくハマります。一方で、売上や成果にどのくらい貢献したかが価値になる営業やコンサルティングのような仕事では、同一労働同一賃金ではなく、成果と連動した週休3日がハマりやすいと思います。

ーー給与が下がるから週休3日は難しいと考える人も多そうです。

「非常勤」と「週休2日正社員」の2択を、要は「非常勤」と「週休2日正社員」「週休3日正社員」の3択にしましょうという話なんです。

特に、共働きをしている子育て世代は、どうしても週休2日だと両立できない時期があって、どちらかが退職したり偏って大幅にペースダウンしたりして、せっかく築いたキャリアを捨てる形になってしまうんですよね。それよりは、週休3日で2人とも働く時間をセーブできれば、仕事も育児もできるわけです。

そうなれば、週休3日でも働きたい人はいるのではないでしょうか。

ーー最後に、今後の展望や目標をお聞きできればと思います。

私も、10年ほど前に育児パパとして保育園の送り迎えをしていました。その時は仕事との両立に苦労しました。子育てに限らず、人生のどこかで週40時間働くことが苦痛になる局面があります。私はおかげさまでライフワークの演劇も楽しませていただいていますが、30歳を境に育児や家庭を理由に辞めていく人が多いです。もっと週休3日制度を浸透させて「両立できないことが当たり前」という不条理を変えていきたいですね。

また、週休3日が浸透すれば、もっとチャレンジする人も増えると思っています。僕は、会社を退職してゼロの状態から創業しました。ただ、このやり方が正しくてかっこいいと言う風潮もどこかおかしいと感じています。会社にいながら、複業としてスモールスタートをするのも1つのチャレンジのあり方です。

週休3日を広めて、もっと多くの人がチャレンジできて、自分らしく生きられる世の中を作っていきたいです。

 

 編集後記

週休3日と聞くと、「給料が減りそう」「採用コストが増えそう」というイメージですが、永井さんが話すように、従業員の方々にとっては仕事とプライベートの両立を図れますし、また会社としても週休2日の正社員を雇用するのと採用コストは変わりません。

それどころか、+1日の余裕が生まれることで、サービスの質も上がって、会社にも良い影響をもたらす制度であることを知れました。ぜひ、採用に困っている方は、1つの選択肢として週休3日制を採用してみては?

永井様、株式会社週休3日様、今回の取材に応じていただきありがとうございました!

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永井宏明

株式会社週休3日代表取締役

印刷・広告営業、WEBコンサル、週休3日総務課長を経て介護施設長を8年務める。多くの看取りをコーディネート。
導入した週休3日制に可能性を感じ、株式会社週休3日を創業。2017年より事業開始。2021年、週休3日.comをリリース。
子供4人の共働き。ライフワークの演劇では2019年に静岡県芸術祭 ふじのくに芸術祭 演劇コンクールで最優秀賞受賞(作・演出)

株式会社週休3日
株式会社週休3日のTwitter

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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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