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理想の学生に、効率的にピンポイントで出会える「OfferBox」の価値とは
ダイレクトリクルーティングのパイオニアとして、2012年に事業をスタートし、現在では導入企業数は累計1万社以上、2022年卒業学生の登録学生数は19万名以上、就活生の3人に1人が使うサービスとして成長を続ける「OfferBox」。
手軽に、かつ思いもよらない学生/会社との出会いを創出できるということで、注目を集めています。
本記事では、株式会社i-plugのカスタマーサクセス部門 グループマネージャーである伊藤さんに、「OfferBox」の特徴やメリット、これからの会社が目指す展望などについても伺いました。
ダイレクトリクルーティングの先駆けとして、2012年に「OfferBox」をスタート
ーーまず自己紹介からお願いします。
2009年に株式会社サイバーエージェントに就職して、営業を経験した後、グループ会社のサイバー・バズに出向し、約3年ほど人事部の立ち上げに従事していました。その過程で、OfferBoxを導入・利用する機会がありました。その経験をきっかけに、株式会社i-plugへ2016年に転職しました。現在は、西日本エリアの新規営業グループの統括マネージャーを担当しています。
ーー続いて、株式会社i-plugの事業内容について教えてください。
i-plugは、グロービス経営大学院(ビジネススクール)で出会った中野、山田、田中の3名が2012年4月に立ち上げた会社です。試行錯誤した末、「自分たちの子ども世代が、良い会社と出会い、納得のいく就職ができるサービスを作りたい」という思いから、同年9月にOfferBoxをリリースしました。
ーーOfferBoxについても簡単に教えていただけますか。
OfferBoxは、新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスです。従来は、学生が気になる会社にエントリーして、会社からの連絡を待つ求人検索サイトを使った就職活動が一般的でした。しかし、OfferBoxでは、学生は自分のプロフィールを自由に記述でき、反対に企業が気になる学生へ直接アプローチできる仕組みになっています。今やマッチングという形式は一般的になりつつありますが、当時は新しい手法でダイレクトリクルーティングサービス(逆求人)のプラットフォームとしては先駆け的存在でした。
累計約1万1000社の導入実績、就活生の3人に1人が利用しているサービスまでに成長
ーー利用者数や導入企業数の推移について教えてください。
2023卒学生の登録者数は約19万人となっております。就職活動を行う学生がおよそ45万人といわれているので、3人に1人が利用しているサービスといえます。
一方、導入企業数はおよそ1万1000社で、大手企業から中小、ベンチャーなど規模問わず、また幅広い業種でご利用いただいております。
ーーどのような属性の学生が、OfferBoxに登録していますか。
文理の割合では、文系が68%、理系が24%、その他(体育、芸術、音楽系)が8%となっています。理系学生も、機械・電気系だけでなく、化学、生物、農業など多様なスキルを持った学生が登録しています。
ーー導入企業の属性についても教えてください。
先にも述べたように、大手、中小・ベンチャーと規模問わず多くの企業様にご利用いただいています。2020年10月時点では、OfferBoxに登録している企業のうち、およそ15%が上場企業を占めています。
業種別だと、もっとも多いのが情報通信で22%、次にサービス15%、建設11%となっています。
地域別では、日本の人口比率と比例する形で推移しています。本社が関西ということもあり、西日本で導入企業数が増えていますね。
ーーあらためて、ダイレクトリクルーティングの仕組みについて教えていただけますか。
ダイレクトリクルーティングは、会社が希望の求職者へ直接アプローチができる仕組みです。従来の「待ち」の採用と比較して、「攻め」の採用と言われています。ダイレクトリクルーティングサービス市場は、年々伸長しており、2022年は60億円超と予測されています。
ーーなぜ、ここまでマーケットが伸びているのでしょうか。
理由としては大きく3つあります。1つ目がスマートフォンやSNSなどの普及によって、情報入手の手段が多様化したためです。
ナビだと、知名度の高い企業にエントリーする傾向にあります。もちろん、その分倍率も高く、エントリーシートで落選して先に進まないような状況に陥りがちです。その点、OfferBoxはオファー型だから、登録情報の入力さえすれば、あとは会社からオファーを待つだけです。それに、公式アプリもあるので、電車待ちなどちょっとした隙間時間に手軽に就職活動ができてしまいます。
2つ目は少子高齢化による人手不足です。「売り手市場・買い手市場」の状態では、求めている人材の獲得は難しくなるので、OfferBoxのような攻めの採用のニーズが高まるのです。
最後の3つ目が、コロナウイルスの感染拡大の影響です。オンライン化が進み、時間と場所の制約が緩和されて、地方の学生さんも都心の学生と平等に就職活動ができるところで、OfferBoxのニーズが高まりました。
ーー企業様はどのようなニーズから、OfferBoxを利用されることが多いですか。
さまざまなニーズがありますが、知名度がなくて認知されていないケース、エンジニア経験者や資格保有者などレアな学生を採用したいケース、「化粧品会社なのにデータサイエンティストが欲しい」のように、業界イメージや先入観から応募がないケースの3つが比較的多いですね。
ーーOfferBoxを利用した企業様からは、どのような声をもらうことが多いですか。
1つ大阪にある地元の工務店の事例を紹介すると、この会社さんは新卒採用が初めてだったのですが、OfferBoxでオファーを1通を送ったら採用が1人決まって。すでに大手メーカーの内定を持っていたものの、そこを辞退して地元の企業を選ばれたということで非常に印象に残っています。
オファーの上限数をあえて”減らす”ことで、本気でお互いを見定める機会を創出
ーーダイレクトリクルーティングサービスでは、スカウトメールの作成やターゲット選定など、時間がかかることが難点と思うのですが、この辺りのサポート体制はあるのでしょうか。
はい。弊社ではTMP(採用ターゲットの設定・メッセージの作成・採用プロセスの設計)と呼んでいますが、専任のカスタマーサクセスが伴走する形で支援させていただいています。
ーー新卒採用が初めての会社も安心して利用できますね。OfferBoxでは、先ほどの事例にあった企業さんのように、少ない学生に対してアプローチをかける方法が主流なのでしょうか。
ここが、まさに他社との違い・特徴になるのですが、OfferBoxでは、企業側はオファーの送信数を、学生側はオファーの受信数を制限しています。というのも、お互いマッチングをしているか検討する仕組みにしたくて。
ーーなるほど……。あえて、通数を制限することでお互いが本気で見定める機会を作っているんですね。
もともと、私は人事を担当していたので、一括で送りたい気持ちはすごくわかります。ただ、結果的に1on1でメッセージを送った方が歩留まりが良くなるんですね。ある会社さんは、1on1でメッセージを送ったら、OfferBoxからの内定率がナビの3倍になり、採用枠の1/5がOfferBox経由になりました。弊社のカスタマーサクセスとしては、「一括で送るよりも、地道に個別でメッセージを送った方が良い」と啓蒙をしなければいけないので大変ですが(笑)それがOfferBoxのカラーや文化を形成している要素かなと思いますね。
ーー機能面における特徴や差別化ポイントについても教えてください。
OfferBoxの機能で特徴的なのが、レコメンド機能と適性検査です。まず、レコメンド機能については、使えば使うほど機械学習によってマッチしやすい人が上位表示される仕組みになっています。
ーー”自然と使いたくなる”仕掛けを意識されているんですね。
そうですね。アクティブであるほど上位表示される仕様になっているため、しっかり運用しないとお互いに淘汰されるようになっています。
適性検査に関しては、グループ会社のイー・ファルコンが提供する「適性検査eF-1G」を導入しています。特徴は大きく2つです。1つが会社で活躍している人を簡易分析によって言語化・可視化できること、もう1つがそれに合致した人が検索できる機能です。
私が人事をしているときに、要件定義のヒアリングをすると「コミュニケーション能力があって素直な学生が良い」と言われることがありました。しかし、コミュニケーション能力が高い方が良くて、素直な方が良いのはどこも一緒で。その先が知りたいんですけど、なかなか言語化できてないお客さんも少なくないんですよね。
OfferBoxの適性検査を活用することによって、この要件定義が可視化できるようになります。これは、他のサービスにはない特徴ですね。
ーー学生が細かく情報を入力しないと、適切なマッチングは生まれないと思うのですが、どのような施策をされていますか。
「プロフィール入力」や「適性検査の受験」などをしてもらうと、オファーの枠数が増える仕組みになっています。つまり、アクティブになればなるほど、企業とやり取りできるようになります。登録時は枠数が6枠ですが、最大15枠まで増やすことができます。
思いもよらない、学生との出会いが見つかる「OfferBox」
ーー求職者(学生)がOfferBoxを使うメリットについて教えてください。
自分では探せない、思いもよらない出会いを作れることがメリットですね。実際、OfferBoxで内定した学生のうち77%が自分が志望していた業界以外に就職しているんです。
ーー新卒採用に苦戦している会社にとっても、希望をもてる情報ですね。
なかには、ネガティブなイメージが定着し、採用に苦戦している業界もあります。そういった企業様には、例えば福利厚生やオフィスの清潔さ、社長との距離が近いなど、会社独自の魅力の言語化や発信などを支援させていただきます。
ーー経営者にとっては、どのようなメリットがありますか。
「2、3年で人事担当者が変わるから、なかなかデータやノウハウが貯まっていかない」と悩む経営者も多いと思います。それに、従来の「待ち」の採用では採用計画があいまいになりがち。しかし、OfferBoxを使えば、採用活動のデータを蓄積・分析できるため、勘と経験に頼らずに、ロジカルに採用が継続できる点がメリットですね。
ーー最後に、今後の展望について教えてください。
「3年以内に3割が退職する」と言われるように、転職が当たり前の世の中になっています。転職は悪いことではないですが、やはり1社目の文化や価値観は自分の土台や礎となるもので、良くも悪くも変えられるものではありません。代表の中野自身も、1社目を4ヶ月で辞めて1年間ほどニートしていた経験があります。1社目の大切さを実感しているなかで立ち上がったサービスなので、学生、会社ともに納得する形でマッチングする世界を作れたら良いですね。
もう少し長期的な展望でいくと、就職だけでなくキャリア全般の選択肢に関わるサービスにしていきたいですね。当社では、「一人ひとりが持つ、“キャリア・ポテンシャル” を引き出す」という理念を掲げています。「人生100年時代」で終身雇用もなくなりつつあり、常に学び続けてキャリアも人生も変化させていけない時代に突入しています。
就職だけでなく、就職前の大学時代のキャリア観を育むような価値提供や、若年層の転職、ミドル層やシニア層の転職など、節目節目でプラットフォームを提供していけるような会社を目指して、日々進化を続けたいですね。
編集後記
「あえて、オファーの上限数を減らす」「アクティブであるほど上位表示される」など、OfferBox自体が盛り上がる仕掛けであったり、単に採用の機会創出をするだけでなく、学生・会社双方にとって”納得のいくマッチング”ための仕掛けを作っていたりすることが、インタビューを通して伝わりました。
ぜひ、人手が足りない、採用に困っているという事業主様は、1つの選択肢として、OfferBoxを採用してみてはいかがでしょうか?
伊藤様、株式会社i-plug様、今回の取材に応じていただきありがとうございました!
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