テクノロジーの発達に伴い、IT企業をはじめ、さまざまな企業でエンジニアの需要が高まっています。その中で、既にエンジニア採用に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、これから「エンジニア採用」に取り組もうと考えている人事・採用担当者向けに、優秀なエンジニアを獲得するためのポイントを紹介していきます。
目次
エンジニア採用とは
エンジニア採用とは、ITエンジニアを対象とする採用活動の総称です。
IT業界だけでなく、ハードウエアメーカーなどもエンジニアの採用に注力しています。その結果、有能なエンジニアがさまざまな業界に流出していることが背景にあり、IT業界の人手不足は数年前から続いています。
人事・採用担当者がエンジニアの業務について、具体的に把握できていない場合「有名な資格を保有している」「有名な会社で働いていた」という理由だけで採用する事例が見受けられます。その結果、求めていた人材と全く違っていた(ミスマッチ)が頻繁に起こっているのが現状です。
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エンジニアの有効求人倍率について
参照:政府統計e-Stat 一般職業紹介状況『職業安定業務統計』をもとに作成
上記のデータを見ると、2013年時点から「職業計」と「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率では、「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率の方が高いことが分かります。2018年~2019年で職業計は1.45と横ばいになっていることに対して、情報処理・通信技術者が2.46から2.33と少しだけ倍率が下がっていますが、いずれにしても市場においてエンジニアの需要が高いことが読み取れます。
エンジニアの採用はなぜ難しいのか
エンジニアの採用はなぜ難しいのでしょうか?
- エンジニアの数が少ない
- 優秀な人材はあまり採用市場に出てこない
- 応募時の技術的スキル・経験を見極めることが難しい
- 条件が合わない
上記4点が理由として考えられます。では、理由について順番に深堀りしていきましょう。
エンジニアの数が少ない
IT企業に関わらず、多くの企業でIT技術を取り入れている昨今、エンジニアの需要が拡大しています。それに伴いエンジニアの数が不足していて、全体の数自体が少ない傾向です。
優秀な人材はあまり採用市場に出てこない
エンジニアの数は少ない上に、大手企業が好待遇で優秀な人材を雇用する傾向にあり、待遇に満足していると転職する機会が少なくなります。退職したとしても独立しフリーランスで働くケースもあるため、優秀な人材が転職市場に出てくること自体が少ない傾向です。
新卒採用の場合、大手企業が学生のうちから優秀なエンジニアを青田買いしていくので、早い段階で学生へのアプローチを行わなければ、優秀なエンジニアの獲得競争に負けてしまいます。
応募時の技術的スキル・経験を見極めることが難しい
採用担当者が非エンジニアである場合、特に採用担当者が求めるものと現場が求めている内容に相違があった際にミスマッチが発生します。エンジニアには専門的な知識や経験が求められるため、コミュニケーション能力やポテンシャルを重視してしまうと的外れの採用になってしまいますので、注意する必要があります。
条件が合わない
優秀なエンジニアは需要が高く貴重な人材ですが、会社の上層部がそういったことを理解せずに好条件を出さないことも考えられます。優秀な人材は多くの企業が獲得したいと考えるため、雇用条件で競り負ける可能性があります。
優秀な人材や自社にマッチした人材を獲得するためには
優秀なエンジニアを獲得するためには何をすべきでしょうか?
- 自社のエンジニアにも採用活動に参加してもらう
- ポテンシャル採用を取り入れる
- 外国人採用を取り入れる
- 求人内容を見直す
- 技術(テック)ブログを運用する
- エンジニア対象のイベントに積極的に参加する
上記が考えられます。詳細について、順番に見ていきましょう。
自社のエンジニアにも採用活動に参加してもらう
エンジニアに採用活動に参加してもらうことで、人事と現場との意見の食い違いを未然に防げます。また、併せて入社後のミスマッチも解消できます。エンジニアが企業に求めているものを自社のエンジニアにヒアリングを行い、その意見を取り入れることで採用活動に活かすことができます。面接の際にエンジニアに同席してもらうことをおすすめします。
ポテンシャル採用を取り入れる
即戦力となるエンジニアは好待遇で雇用されていることが多いため、ある程度経験があるエンジニアを採用することは困難です。即戦力候補のエンジニアではなく、未経験の人材を育成することを前提とした「ポテンシャル採用」を行っている企業もあります。資格取得などをサポートしてスキルアップを支援するなど、ポテンシャル重視で採用を行う方法も有効ではないでしょうか。
ポテンシャル採用については以下の記事で解説しています。
⇒ポテンシャル採用とは?メリットや注意点を解説!【導入前にチェック】
外国人採用を取り入れる
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、外国人労働者数は2013年から6年連続で過去最高を更新しています。2018年10月末時点では約146万人とさらに更新を続けています。
外国人エンジニアの技術は高く、エンジニアは他の職種と比べて言語の壁が低いため、使用言語が違っても、円滑に仕事を進めてもらえます。また、外国人エンジニアは仕事のモチベーションが高い人が多いので、「社内に新しい風を吹き込むことができる」というメリットもあります。
外国人のエンジニア採用については、以下の記事で解説しています。
⇒人材不足を解消!外国人エンジニアの採用方法と採用のメリット・デメリット
求人内容を見直す
具体的に何をすれば良いのかわからないという人事・採用担当者の方向けに「求人内容を見直す」ということについて、掘り下げて解説します。
採用要件を明確にする
「どういう人材が欲しいのか?」「必要な経験・スキルは何か?」など求める人物像(ペルソナ)を設定しましょう。そして、その内容を求人票に記載することが重要です。
ex.)コンピュータサイエンスないし関連分野での学士、修士または博士 Perl, PHP, Hack, あるいはPythonの実務経験(2年以上) ビッグデータテクノロジーの実務経験 C, C++の実務経験
上記のように言語や実務経験などの採用要件を具体的に設定することで、よりターゲットが明確になります。
ペルソナ像の設定方法については以下の記事で解説しています。
⇒採用ミスマッチを回避!ペルソナを活かした求人票の作り方とは?
自社の強みを洗い出す
自社ならではの魅力や仕事内容に興味を持ってもらえる内容を記載できているでしょうか? 優秀な人材ほど多くの企業からオファーが来るので、好きな企業を選べます。企業は「選んでもらう側」であることを忘れず、競合他社と比べて「自社の魅力はどこか?」などをもう1度洗い出してみましょう。
条件を緩和させる
優秀な人材を獲得したいのであれば、働きやすさを見直すことも必要です。「リモートワーク」や「フレックスタイムの導入」や「副業が可能か」などを重視するエンジニアは多数存在します。また、年齢や必要な経験など、ハードルをあげすぎていないか、他社の求人内容と比較して、最適な内容であるかを確認する必要があります。
自社の技術情報を記載する
求職者(エンジニア)は、自身の「経験とスキル」「やりたいこととマッチしているか」という観点で求人に応募します。使用している言語、開発環境など技術情報を記載することが不可欠です。
技術(テック)ブログを運用する
エンジニアは、親和性を重視する性質があるので、日頃から自社の技術情報や文化を発信しておくと、それを見て応募してくるケースもあります。なるべく社内の様子をオープンにして、社外とのつながりを強める必要性があります。
エンジニア対象のイベントに積極的に参加する
エンジニア対象のイベントに参加することで、社外の多くのエンジニアとつながりを持てます。イベントのスポンサー出資もコストパフォーマンスが良く、認知を広められるのでおすすめです。もちろん自社でイベントを主催することも効果的です。エンジニア界隈(かいわい)で認知度や存在感を高められれば、応募が来るようになるでしょう。
採用手法について
前章では、優秀な人材・自社にマッチした人材を採用するためのポイントとして「ポテンシャル採用」「外国人採用」を紹介しました。他にどんな手法があるのか?また、それぞれの手法のメリットやデメリットがあるため、採用したいターゲットがどこに集まりやすいのか?自社が採用に費やすことのできる費用や時間などを考え、適切な手法を選択しましょう。
本章では、ポテンシャル採用と外国人採用以外の採用手法について紹介します。
求人媒体
求人媒体を利用すれば、多くの応募者数を確保できます。エンジニア採用に強い求人サイトは数多あるので、そういったサイトを利用して採用活動が行うことが効果的です。
人材紹介会社
エンジニアに特化した人材紹介、ヘッドハンターは多く存在します。紹介者が実際に技術に詳しいかどうかの見極めが必要になってきます。技術に詳しくない場合、求めるスキルを所有していない(求める人物像とかけ離れた)人材を紹介される可能性があります。
また、エンジニアの採用については、年収の30%の紹介手数料が一般的な相場なので、例えば年収が約500~600万円であれば、紹介手数料は約150~180万円と高価になります。
リファラル採用
リファラル採用は、アメリカでは一般的な採用手法です。すでに働いている社員からの紹介で人材を採用する手法です。社員の人脈を使って募集を行うことで、採用コストの削減や即戦力人材の獲得が可能です。
リファラル採用(縁故採用)については、以下の記事で解説しています。
⇒「縁故採用」とは?導入のメリットや成功のコツを紹介!
ソーシャル・リクルーティング
企業がTwitterやFacebook、YouTubeなどSNSを活用して採用活動を行う手法です。自社のブランディングを図れたり、企業と求職者との距離を縮められます。
ソーシャルリクルーティングについては、以下の記事で解説しています。
⇒【2020年最新版】SNSが求人の強い味方に?ソーシャルリクルーティングとは
ダイレクト・リクルーティング
企業が積極的に求職者を探し、直接アプローチを行う手法です。採用したい人材にだけアプローチができるため、ミスマッチが起こりにくいメリットがあります。
おすすめ求人サイトを紹介
おすすめの求人サイトについて紹介していきます。
Wantedly Admin
運営会社:ウォンテッドリー株式会社
料金形態:利用料は月額4.5万円~(ライトプラン)。成果報酬なし
Wantedly Adminは、エンジニアが多く登録しています。通常の求人サイトとは異なり、処遇や労働条件についての記載はNGで、企業側は「仕事のやりがい」や職場環境などの「企業の風土やカルチャー」などを発信するサイトです。最大の特徴は、転職サイトとは異なり直近での転職をあまり考えていない転職潜在層に対してアプローチすることが可能である点です。ユーザー層は、ITやメーカー・商社・外資などで経験を積んでいる20代〜30代の若手が中心です。費用は月額制で成功報酬がかからないので、高い費用対効果が期待できます。
登録企業数は3,400社以上、ユーザーは約220万人以上が登録しています。
https://www.wantedly.com/about/list
Find Job!
運営会社:株式会社ミクシィ・リクルートメント
Find Jobは、登録ユーザーの75%が若手のIT・Web関連に従事しているため、エンジニア採用に強い中途採用サイトです。正社員はもちろん、契約社員・派遣社員・業務委託・アルバイトの中から1つの求人で3つの雇用形態が掲載可能なサービスです。掲載料金も3万円から。ページ作成後24時間以内に掲載がスタートできます。
Green
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運営会社:株式会社アトラエ
Greenは、IT・Web業界・ベンチャー企業の採用に強い成果報酬型のメディアです。業界初の成果報酬型で、もし入社予定者が30日以内に退職してしまった場合、成果報酬の50%が返金されるようになっています。また、「企業からユーザーである求職者にスカウトメールを直接送ることができる」ダイレクトリクルーティングで優秀な人材に直接アプローチできる中途採用に特化したサイトです。
まとめ
参考になりましたでしょうか?
エンジニアの採用には、下記の3つのポイントを押さえることが非常に重要です。
- 現場の意見
- エンジニアが求める条件を知ること
- 企業側が求める人物像
また、条件を整えたとしても求職者に「自社の魅力」が伝わらなければ意味がありません。自社ならではの魅力が伝わるような求人原稿を作成し、求人票を公開しましょう。
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