「面接」と「面談」の違いとは?カジュアル面談の効果的な取り入れ方を解説!

企業が採用活動で実施する取り組みとして「面接」と「面談」があります。
この二つは字面も似ており、何となく同じような意味に感じる人は多いでしょう。

しかし、面接と面談は異なる取り組みであり、当然、採用活動における目的も違います。

面談を実施する企業は増えており、優秀な人材を確保するために重要です。
ただし、企業側が意味や目的を混同していると、候補者を混乱させたり、採用活動がスムーズに進まなかったり、最終的に採用がうまくいかないかもしれません。

当記事では、「面接」と「面談」の違いについて、採用活動における使い分けを踏まえて解説します。
面談を取り入れる際の準備など、実践的な内容も取り上げているので、ぜひお役立てください!

面談と面接の違いとは

「面接」と「面談」の大きな違いは、一言でいうと「合否が伴うかどうか」です。
「面接」は基本的に採用に向けた選考過程で行われ、企業によって合否がはっきりと出されます。

一方で、「面談」は合否が発生せず、選考過程以外のシーンで行われます。
「カジュアル面談」という言葉があるように、日常会話に近いような和やかな空気の中で行われることが多い傾向です。

では、「面接」と「面談」は、それぞれどのような目的で実施されるのでしょうか。
ここでは、両者の意味や目的について、具体的に解説します。

「面接」の意味と目的

面接の基本的な意味は、その人の性格や能力などを見極めるために対話する行為のことです。
以前は応募者がオフィスに行き、顔を合わせながら面接をするスタイルが一般的でしたが、最近はオンラインによる面接も増えています。

面接の目的は、応募者についての理解を深めたうえで、自社に必要な人材かどうかを判断することです。
本来は応募者と面接官は対等な立場にありますが、合否の判断が企業側に委ねられていることから、企業の立場が優位になりやすい傾向にあります。

基本的には、面接官が質問をして、応募者がそれに回答していく流れが一般的です。
面接官と応募者が一対一で行われる形式のほか、複数人の応募者が同時に面接をする「集団面接」もあります。

「面談」の意味と目的

面談の意味は、本来は対面で話をすることです。
採用活動においては「情報交換」がメインとなり、企業と候補者がお互いのことをよく理解して、事前にミスマッチを防止するために行います。

そのため、面談の結果、候補者の意思で選考に進まないケースも少なくありません。

面談は和やかな雰囲気の中で行われるケースが多く、候補者は質問しやすく、企業側も相手の本音を聞きやすいことが特徴です。
オフィスだけでなく、カフェやワークスペースのような場所で行われることもあり、最近はオンラインでの面談も増えています。

また、面談は採用に限定した場面で使われる言葉ではありません。
例えば、企業内での「人事面談」や学校での「三者面談」など、採用に限定せず、さまざまな場面で使われています。

※「カジュアル面談」については、下記の記事で詳しく解説しています
カジュアル面談とは?効果と実施の際に気をつけるべきポイント【人事・採用担当向け】

「面接」と「面談」の使い分け方や実施ポイント

では、採用活動で面接や面談を実施する場合、どのように使い分けると良いのでしょうか。
ここでは、適切に使い分けるためのポイントを紹介します。

「面接」の実施ポイント

面接を実施する際に押さえておくべきポイントは、下記のとおりです。

①面接官を選定する
②面接の回数を設定する
③質問内容を想定する

3つのポイントについて、具体的に何に気を付けると良いのかを紹介します。

①面接官を選定する

まずは、面接を担当する、いわゆる「面接官」を選定します。
面接は応募者にとって人生にも影響する大事な場なので、面接官の印象は記憶に色濃く残ります。

それまで企業側の人物と会っていない候補者であれば、「面接官への印象=企業への印象」になると言っても過言ではありません。

さらに、応募者の資質や人柄を確認しつつ、企業へのマッチ度も判断する必要があります。
経営方針や採用課題を理解していることはもちろん、落ち着いた対応で、候補者の話しやすい雰囲気をつくれる人を選ぶと良いでしょう。

②面接の回数を設定する

「内定」を出すためにどのような過程が必要か整理したうえで、面接回数を設定します。
面接では、どれだけ優秀な面接官であっても、人間である以上は主観が入る可能性があります。
そのため、下記のように段階に応じて面接官を変えることがおすすめです。

【面接の段階と面接官の例】

一次面接:人事担当者が履歴書の内容を深堀りしながら、人柄や意欲を確認する
二次面接:現場責任者が資質やスキルを確認しながら自社とのマッチ度を判断する
三次面接:役員が最終確認をする

③質問内容を想定する

質問内容もあらかじめ固めておきます。
面接という限られた時間の中で応募者について知るには、相手を深堀りできる質問を考え、手元に準備しておくことがポイントです。

一次面接では基本的なことを聞き、二次、三次と内定が近づくにつれて、より具体的な質問をする流れが一般的です。
面接段階ごとの質問例を下記に挙げます。

【一次面接の質問例】

・簡単に自己紹介をしてください
・当社を志望した理由を教えてください
・あなたの長所と短所は何ですか?

【二次面接の質問例】

・学生時代に力を入れていたことは何ですか?
・これまで挫折した経験と、それをどう乗り越えたのか教えてください
・キャリアプランについて教えてください

【三次面接の質問例】

・入社後にどのような仕事がしたいですか?
・将来の夢は何ですか?
・もし内定を出した場合、入社しますか?

なお、質問内容は事前に決めておくものの、その場の雰囲気や相手の様子に合わせて柔軟に対応することも必要です。

「面談」の実施ポイント

面談を実施する際に押さえておくべきポイントは、面接時のポイントとは異なります。
具体的なポイントは、下記の5つです。

①アイスブレイク
②自己紹介・自社紹介を行う
③候補者の話を聞く
④質問・相談の回答
⑤クロージング

①アイスブレイク

アイスブレイクとは、初対面の人同士が会話をする際に、場の雰囲気を和ませて相手にリラックスしてもらう手法です。
面談前にアイスブレイクを行うと、候補者は本音で話しやすくなり、疑問や不安を気軽に企業側に聞くことができます。
ただし、アイスブレイクが長くなると、情報交換の時間がなくなるため、短めに終わらせるようにしましょう。

【アイスブレイクの一例】

・先日のワールドカップ、日本が勝ちましたね!
・●●さんは北海道のご出身なのですね!
・ここまではどのような交通機関でいらしたのですか?

②自己紹介・自社紹介を行う

アイスブレイクで場が和んだら、改めて自己紹介・自社紹介を行いましょう。
候補者はアイスブレイクを終えてもある程度緊張している場合が多いため、面談担当者のほうから自己紹介をすると、良い雰囲気ができやすくなります。

自社紹介は、口頭だけで説明しても理解してもらうのが難しいため、あらかじめ企業概要や事業概要が記載された資料を用意しておくことがおすすめです。
必要に応じて、社員が働く様子が分かる写真や動画も準備しておきましょう。

③候補者の話を聞く

候補者が話している最中は、相手のほうに体を向けながら、丁寧に耳を傾けましょう。
ときおり相づちをうったり、「そうなんですね」とリアクションをとったりすることも大切です。
面談担当者が寄り添う姿勢を見せることで、候補者はより本音で話しやすくなりますし、企業に対する印象もアップします。

結果的に、入社意欲の向上につながるのです。

候補者には、これまでのキャリアや仕事への考え方、やりたい仕事などをできるだけ自由に話してもらい、途中でさえぎらずに最後までじっくり聞きましょう。

④質問・相談の回答

気になったことや不安なことは、候補者に適宜質問してもらうのもポイントです。
自分から質問するのが苦手な候補者もいるので、「ここまでで質問はありますか?」など担当者から確認しても良いでしょう。

質問にはできるだけ具体的に回答し、すぐに答えられない内容であれば、後日改めてメールなどで連絡することがおすすめです。

⑤クロージング

クロージングとは「締めくくり」のことです。

終わり際の対応は候補者の印象に残りやすいため、「本日はありがとうございました」「弊社にとっても有意義な時間でした」「●●さんの応募をお待ちしています」のように入社意欲を高められる声がけをしましょう。

なお、面談は選考ではないため、そこから直接次のステップに進むことはなく、「面談だけ」で完結します。
もし自社に必要な人材だと思ったら「応募してください」と明確に伝えることが重要です。

なお、面談の短い時間だけで自社の魅力や事業内容を伝えきることは、簡単ではありません。
クロージングの際に企業説明会や見学会などの案内をすることもおすすめです。

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自社で「面談」を取り入れたいと思った時に必要なこと

候補者の入社意欲を高め、応募につなげるために大切な面談ですが、自社で取り入れるうえでは、いくつかの準備が必要です。
ここでは、面談前に必要な3つの準備について、具体的に解説します。

面談は、お互いが「はじめまして」のタイミングで行われるため、自己紹介・自社紹介が必須です。
そのため、企業概要やパンフレットなど、自分たちの情報を伝えるための資料を準備することをおすすめします。

基本的には、下記のものを準備しておけば問題ないでしょう。

・自己紹介、自社紹介の資料
・候補者と落ち着いて会話ができる場所(会議室やカフェなど)
・候補者の情報(準備できる場合)
・カフェ代などの費用

面談はカフェやファミレスなど、街中で行う場合も多くあります。
場所によっては、にぎやかで会話に不向きだったり、個人情報が筒抜けになったりするため、落ち着いた空間を探しておきましょう。

候補者から面談の申し込みがあった時点で、何らかの情報をもらっているのであれば、手元に準備しておくことがおすすめです。
企業側から話を広げる際にも、候補者の情報が役立ちます。

面談時の飲食代は、基本的に企業側が支払うことが望ましいです。
念のため、面談前にはカフェ代などの金銭を持ち合わせているか確認しておきましょう。

面談の担当者は誰か決める

自社で誰が面談を担当するかを決める必要があります。
どのタイミングで行う面談かによって、担当に充てる社員の選び方も変わってきます。

面談のタイミング 選考前 選考中 選考後
担当者を選ぶ
ポイント

選考前の面談で重要なのは、自社の事業や魅力を正確に伝えながら、応募につなげることです。

そのため、対応に慣れている人事担当者や、候補者にとっての理想像となるような自社で活躍している社員を選ぶと良いでしょう。

選考中に面談をする場合は、選考における候補者の悩み解決が中心です。応募者の他社の選考状況を踏まえて面談をする場合もあるでしょう。

選考中の面談は、幅広い悩みに対して客観的に回答できるよう、人事担当者が担うことが望ましいと言えます。

選考後の面談は、自社への入社に確実につなげることが目的です。

これまでその候補者と接してきた社員や、候補者が配属される予定の部署の先輩などを担当者に充てることがおすすめです。

面談で聞くべき質問内容

面談で聞くべき質問内容は特に決まっていませんが、目的が「相互理解」であることは忘れないようにしましょう。
面談で理解を深めた結果、応募者は「応募すべきかどうか」、企業は「入社してもらいたいかどうか」の大きな方向性が定まっていることが望ましいといえます。
そのために、まずは企業側から情報提供しつつ、知りたい情報については積極的に質問することを意識すると良いでしょう。

とはいえ、質問内容を準備すると面接のような固い雰囲気になり、お互いが本音で話せなくなる可能性もあるため、面談前に質問を準備しなくても問題ありません。
話しているうちに候補者の「素の部分」が見えてくるため、日常的な会話のように、話している流れの中で質問することがおすすめです。

まとめ

「面接」と「面談」の大きな違いは、「合否が伴うかどうか」です。
「面接」では、対話を通して候補者の資質やスキル、人柄などを見極め、採用すべきかどうかを判断します。
一方で「面談」は、情報交換が中心で、採用したいと思った場合は自社について伝えて入社意欲を高めることが目的です。

近年の就職市場は、求職者が応募先を選べる「売り手市場」が続いているので、自社に引き寄せるために、面談がよく行われるようになっています。
ぜひ、自社の採用活動に「面談」を効果的に取り入れて、理想的な人材の採用につなげてください。

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この記事を書いた人
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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