ダイレクトリクルーティングとは?メリットや費用、はじめる際のポイントを徹底解説!

近年注目を集めている採用手法の1つに「ダイレクトリクルーティング」があります。
ダイレクトリクルーティングは、求職者に直接アプローチする採用手法で、いわば「攻め」の採用を可能にするもの。
採用競争が激しくなっている近年において、今後の企業成長におけるカギとなるといっても過言ではありません。

一方で、ダイレクトリクルーティングの必要性やメリットについてよく理解して、ポイントを押さえながら実施しないと、ただ負担だけが大きくなる可能性があります。
また、そもそも実施に適していない企業も少なくありません。

当記事では、ダイレクトリクルーティングの概要やメリット・デメリット、始める際のポイント、流れなど、実施にあたって必要な知識を網羅的に解説します。
ぜひ、自社での採用活動にお役立てください!

目次

ダイレクトリクルーティングとは?

ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者に直接アプローチする採用手法のことです。
一口にダイレクトリクルーティングといっても、さまざまな実施方法があります。
一般的なのは、専門のサービスに登録された人材データベースを元に、自社が求める人材を探し、スカウトメールを送る流れです。
他には、大学や就職イベントに行って直接スカウトする方法や、SNS上で気になる人材にメッセージを送る方法などもあります。

参考までに、ビジネスSNS「Wantedly」における、ダイレクトリクルーティングの状況を見ていきましょう。
下記は、Wantedlyユーザーの就活生398名を対象に実施した調査内で、企業からスカウトメッセージを受け取ったことがあるかを聞いた結果です。

【スカウトメールを受け取ったことがあるか】

※調査時期:2021年11月16日~11月23日

(出典:22卒〜24卒の就職活動に関する調査結果を発表|Wantedly

Wantedlyはダイレクトリクルーティングが可能なSNSなので、スカウトを受けるケースは多くなりやすいとはいえ、22年卒が9割以上、23年卒は8割以上と、非常に多くの求職者がスカウトを受けています。
また2021年の調査にもかかわらず、すでに24年卒の6割以上がスカウトを受けていることも驚きです。

注目されている背景

ダイレクトリクルーティングが注目されている大きな要因が、採用競争の激化です。
近年は、少子高齢化の進行により市場全体の労働力が不足しており、かつキャリアが多様化していることで、転職のスピード感は上がっています。

従来のように求職者から応募を待つだけの、いわゆる「守り」の採用活動では、他の企業に先を越されやすく、理想とする人材の確保が難しくなっているのです。
ダイレクトリクルーティングは、いわば「攻め」の採用手法であり、激化する採用競争の中でも、自社が求める人材と確実に接点を作ることができます。
結果として、理想的な人材を早期に獲得できる可能性が高まります。

ダイレクトリクルーティングと他の求人媒体・人材紹介との違い

では、ダイレクトリクルーティングは、一般的に企業の採用活動で使用される求人媒体や人材紹介と比較して、どのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの特徴を紹介します。

1:求人媒体との違い

求人媒体は求人サイトとも呼ばれ、自社の求人情報を、不特定多数の求職者が利用するサイト上に掲載し、その中で応募を待ちます。
最近は、特定の業界・業種に特化した求人媒体も増えており、人気の高い採用方法のひとつです。

求人媒体の特徴は、多くの求職者に求人情報を届けられるので、母集団形成に長けている点。
自社とマッチする媒体を見つけられれば、短期間での大量採用も可能です。

一方で、幅広い求職者からの応募があるため、自社の理想とする人材をかならず採用できるとは限りません。
また、応募者が多いほどコミュニケーションや選考にかける負担・コストは大きくなります。

2:人材紹介との違い

人材紹介は、自社が採用したい人物像を伝え、条件にマッチする人材を紹介してもらう方法です。
「転職エージェント」と呼ばれることもあります。

人材紹介を利用するメリットは、自社に合う人材を採用しやすいことです。
年齢やスキル、実績、経験など、さまざまな要素から求める人材を探せます。

デメリットとして挙げられるのは、費用がかかる点。
多くの人材紹介会社は、「採用した人材の年収の●●%」のように料金を設定しており、複数人採用するほど、費用はかさみます。

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ダイレクトリクルーティングの大まかな流れ

ダイレクトリクルーティングは、基本的に下記の流れで進みます。

1.求職者がサイト上に履歴書や職務経歴書などを登録する
2.企業が登録内容を確認し、自社に欲しい人材を見つける
3.獲得したい人材が見つかったら、スカウトメールを送る
4.求職者から返信が来たら、カジュアル面談や選考面接に進む
5.選考の結果、双方の意向が合致したら採用する

なお、正確な流れは、ダイレクトリクルーティングを実施する媒体によっても異なります。
上記の流れを基本として念頭に置きつつ、いざ実施する際は、再度確認することがおすすめです。

ダイレクトリクルーティングのメリットとは

ダイレクトリクルーティングには、通常の採用活動と比べて複数のメリットがあります。
ここでは、中でも代表的な4つのメリットについて、具体的に解説します。

1:採用コストを抑えられる

自社が求める人材にピンポイントでアプローチできるため、余計なコストが発生することがありません。
また、多くのダイレクトリクルーティングサービスでは、「人材データベースの利用料」もしくは「採用の成功報酬」が料金として設定されており、人材紹介サービスと比べてコストを抑えやすいといえます。
採用にどのくらいのコストがかかるかも、ある程度事前に想定できます。

継続して利用しやすいため、コストを抑えながらも、安定して人材を採用できるでしょう。

2:潜在層にもアプローチできるため、効率的な採用活動に繋がる

ダイレクトリクルーティングサービスには、「今すぐは転職する気がないものの、良いオファーがあれば転職したい」という、転職潜在層も多く登録しています。
求人媒体や求人紹介であれば、そのような潜在層を巻き込む手段はありませんが、ダイレクトリクルーティングでは直接アプローチが可能です。
アプローチの結果すぐには入社してくれなくても、魅力や熱意を伝えられれば、いざ転職する際に、優先的に自社への応募を検討してくれるでしょう。

3:自社の採用力を高めることができる

ダイレクトリクルーティングを利用する過程で、自社の採用力を高められることもメリットのひとつです。
マッチする人材を判断するためには、現状では自社がどのような採用課題を抱えていて、今後の事業展開にはどのような人材が必要なのかを分析します。
また、さまざまな人材を比較しながら自社により適した人材を見極め、採用につなげるためのアプローチを検討するため、採用ノウハウの蓄積が可能です。
一度蓄積された採用ノウハウは、ダイレクトリクルーティング以外の採用手法にも生かせます。

4:自社にマッチした人材を探しやすい

求職者の情報を直接確認できるので、自社にマッチした人材を探しやすいメリットがあります。
人材紹介会社も自社に合う人材を探してくれるサービスですが、いくら人材像を明確に伝えても、認識にズレが生じ、マッチしない人材が紹介される可能性はあります。
ダイレクトリクルーティングで理想的な人材を探すには、まず自社が求める人材の条件を明確にすることが重要です。

ダイレクトリクルーティングのデメリットとは

ダイレクトリクルーティングには多くのメリットがあるものの、デメリットもあるため、両方を踏まえて実施を検討することが大切です。
ここでは、特に気を付けるべき3つのデメリットを紹介します。

1:人事や採用担当者の業務負担が増える

ダイレクトリクルーティングでは、データベース上の人材一人ひとりの情報確認やスカウトメールの送付、メッセージのやり取りなどの業務が発生します。
そのため、応募を待つ採用方法と比べて、担当者の業務負担が増えやすいといえます。
負担が増えて余裕がなくなると、良い人材を探せず、探せたとしてもコミュニケーションを丁寧に行えないなどの悪循環に陥るため、注意が必要です。

2:短期的な採用活動には向いていない

データベースに登録している人材は、「今すぐ転職したい」と思っている人よりも、「将来的に転職したい」と考えている人が多くいます。
ダイレクトリクルーティングを試みても、すぐに転職してくれるとは限りません。
長期的な視点でアプローチを継続することが重要です。

3:ノウハウが必要

どのようなスカウトメールを送ると入社意欲を高められるのか、自社に興味を持ってもらったあとにどう面接につなげると良いのかなど、ダイレクトリクルーティングを効果的に実施するためにはノウハウが必要です。
もちろん、経験を積む中でノウハウを身に着けることも重要ですが、可能な限り事前に知識を習得すると良いでしょう。

ダイレクトリクルーティングにかかる費用とは

ダイレクトリクルーティングの料金体系は、「先行投資型」「成果報酬型」「ハイブリッド型」の3種類に大きく分けられます。

●先行投資型
先行投資型は、人材データベースの利用料を事前に支払う料金体系です。
1か月単位の支払いから1年単位の支払いまで、どのくらいの期間分を支払うかは、利用するサービスによってプランが決められています。
利用にあたっての料金が一定なので、予算管理がしやすい点がメリットです。

データベースの利用料の目安は下記の通りです。

新卒採用:40万円~100万円
中途採用:300万円~500万円

利用料は、採用上限数に合わせて定められている場合が多く、例えば新卒3名採用で120万円と設定されている場合、1人採用しても120万円の支払いが発生し、3名採用すれば1人あたり40万円と割安になります。

●成果報酬型
成果報酬型は、求職者からの応募があった段階や、採用が決まった段階で費用が発生する料金体系です。
1人あたりの料金が決められているので、かけられる予算や採用予定人数などを踏まえて、ダイレクトリクルーティングを進める必要があります。
職種や地域などによって料金が決められている場合が多く、料金相場は1人あたり30万円~150万円です。

●ハイブリッド型
先行投資型と成果報酬型のハイブリッド型もあり、最近はこの料金体系が増えてきています。
これは、利用料に加え、採用成功の際にも費用が発生する仕組みです。

データベースの利用料は、1か月あたり数万~20万円の半年プランか1年プランが多い傾向にあります。月額料金ではなく初期費用が設定されている場合は、30万~100万円が相場です。
採用成功の際に発生する費用は、料金が一律で設定されている場合もあれば、採用した人材の年収の●%と設定されている場合もあります。
いずれにせよ、データベースの利用料を払っている分、人材紹介より割安です。

採用成功時の費用は雇用形態などによっても異なり、目安は下記の通りです。

・アルバイト:数万~20万円
・若手社員:数十万
・専門職:数十万~100万円
・ハイキャリア、管理職:年収の20~30%

ダイレクトリクルーティングに向いている企業とは

下記のような特徴を持つ企業は、ダイレクトリクルーティングに向いています。

・専門性が高い人材を採用したい企業
・自社の採用力を高めたいと考えている企業
・採用コストを抑えたい企業
・これまでの採用方法で人材の確保に悩まされた企業
・従業員の定着率を高めたい企業

人材が所有している知識やスキルを事前に詳しく確認した上でアプローチできるので、専門性が高い人材を確保したい企業に向いています。
採用ノウハウが社内に蓄積されていくため、採用力の底上げを図りたい企業にとってもダイレクトリクルーティングが最適でしょう。

また、従来の採用方法とは異なる仕組みなので、これまで採用がうまくいかなかった企業が試してみるのも良いかもしれません。
自社にマッチした人材を採用でき、定着率を高めたい企業にもおすすめです。

ダイレクトリクルーティングを始める際のポイントとは

ダイレクトリクルーティングを実際に始める際には、前もっていくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、特に大事な5つのポイントについて紹介します。

1:採用課題の明確化

まずは、ダイレクトリクルーティングがそもそも自社に合った採用方法なのかを検討する必要があります。
そこで実施するのが、採用課題の明確化です。

過去の採用活動において生じた課題や、今抱えている人事面の悩みなどを整理した上で、ダイレクトリクルーティングの実施が適切かどうかを判断しましょう。
ここで整理した課題は、ダイレクトリクルーティングを進める上で大切な基準になるので、少し時間をかけてでも丁寧に実施することが重要です。

2:専任の決定

ダイレクトリクルーティングは担当者の負担が増えやすい採用方法なので、専任の担当者を決めることがおすすめです。
専任を決めると、良い人材の発掘や丁寧なコミュニケーションなど、採用につなげるための過程に集中でき、結果的にダイレクトリクルーティングの成功につながります。
また、長期的なアプローチが必要になるため、専任をつけることで求職者を安心させられます。

3:母集団の形成の際、要件を細かくしすぎない

求める人材を事前に明確にするのは大切ですが、一方で要件を細かくしすぎないこともポイントです。
転職意欲が高くない潜在層は、プロフィールを詳細に記載していない場合も多く、企業側が細かく要件を設定すると、マッチする人材と出会えない可能性があるためです。
絶対外せない要件を数個設定した上で、重要度が低い要件に関してはある程度妥協することも必要だといえます。

4:ノウハウの蓄積をし、長期的にアプローチしていく

優秀な人材を早期に獲得したい企業は多いと思いますが、ダイレクトリクルーティングの実施にあたっては、すぐに結果を求めないことが大切です。
採用に結びつけるためのノウハウは、ダイレクトリクルーティングを実施する中で蓄積されていきます。
長期的なビジョンを持って冷静に実践することが、採用の成功につながります。

5:経営陣を含んだ全社の協力

ダイレクトリクルーティングの効果を最大限に高めるには、経営陣を含む全社の協力が欠かせません。
例えば、製造現場の仕事について人事が説明するよりも、現場で実際に働く社員が伝えたほうが、温度感や熱意が求職者に伝わります。
また、採用課題を明確にする過程でも、各部署のマネジメント層に聞いたほうが、課題を浮き彫りにできるでしょう。
ダイレクトリクルーティングを実施するタイミングで、協力してもらいたい社員をある程度選定しておくことがおすすめです。

ダイレクトリクルーティングのスカウトメールのポイント

スカウトメールで求職者の興味・関心を引くには、いくつかのポイントがあります。
特に大切なポイントは、以下の3つです。

・自社に来てほしい理由を明記する
・相手に寄り添った文面にする
・既読率の高い通勤時間帯に送る

一人ひとりのプロフィールを読み込む必要があるので負担は増えますが、その分、スカウトメールに対する返信をもらいやすくなります。

ダイレクトリクルーティングのサービスを比較

下表では、主なダイレクトリクルーティングサービスの特徴を比較しています。

  登録人材数 スカウト可能通数 特徴
BIZREACH(ビズリーチ) 170万人以上 400通~ 会員数が毎月2万人以上増えており人気を集めている。ハイクラス転職に特化したサービス。
doda Recruiters

約263万人
※2022年6月時点

400通~ 人材データベースが国内最大規模。料金はプランごとの固定制で、成功報酬は発生しない。
LinkedIn(リンクトイン) 国内約300万人
※2022年8月時点

150通~/月 全世界にユーザーを抱えるビジネス特化型のSNS。活用方法次第で外国人採用も可能。
Green 要問い合わせ 400通/月 IT/Web系の人材採用に特化したサービス。企業紹介ページを使って、自社ならではの魅力を発信できる。
Wantedly 350万人
※2022年7月時点
50通~/月 「想い」でマッチングするビジネス特化型SNS。気軽にカジュアル面談を申し込めるため、接点を作りやすい。
キャリオク 44万人
※2022年11月時点
要問い合わせ 「オークション」という独自の機能がある。料金がプランごとに固定されており、何人採用しても成功報酬なし。
SCOPE 要問い合わせ 要問い合わせ 特定の分野を専門とするプロフェッショナル人材の採用が可能。解決したい社会課題をベースに人材を探せる。

上記以外にも、さまざまなダイレクトリクルーティングサービスがあります。
採用課題や予算、戦略などを踏まえて、自社に最適なサービスを見つけてください。

ダイレクトリクルーティングの成功事例を紹介

自社におけるダイレクトリクルーティングの実施イメージを具体化させるには、成功事例を知ることも重要です。
ここでは、新卒・中途の2パターンに分けて、ダイレクトリクルーティングの成功事例を紹介します。

新卒の採用成功事例

【採用課題】
A社では、事業拡大にあたって新卒採用でデジタル人材の獲得を試みたものの、自社の認知度が低いことから求職者に興味を持ってもらえず、採用成功に至っていませんでした。

【取り組み内容と結果】
採用担当者が大学の理系学部に積極的に足を運び、自社の魅力や入社を促す声を直接伝えるようにしました。結果として、新入社員は年々増えているようです。また、学生からの認知度が高まっていることで、翌年以降の採用活動に向けての母集団形成にも成功しています。

中途の採用成功事例

【採用課題】
B社では営業職の人員が足りておらず、かつ企業が成長過程であることから、待遇や福利厚生の面で他社に劣る部分が多く、経験者の採用に悩んでいました。従来の中途採用でも応募してくれる人材はいたものの、ほとんどが未経験者でした。

【取り組み内容と結果】
経験者・ベテラン層に特化したダイレクトリクルーティングサービスを利用し、複数名の採用に成功しました。現場でスキルを発揮してもらうことはもちろん、マネジメントをはじめとした組織づくりの面でも頼りになっているようです。

まとめ

ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者に直接アプローチする採用手法です。
人材が不足している近年、攻めの採用を実現させて他社をリードする上で、人気を集めています。

ダイレクトリクルーティングには、採用コストの節約や採用力の向上などのメリットがありますが、担当者の負担増加をはじめ、いくつかのデメリットもあります。
両者を比較しながら、自社での実施を検討すると良いでしょう。
また、実践する際には、当記事で紹介した内容を落とし込んだ上で、ダイレクトリクルーティングを開始してください。
入念に準備してからダイレクトリクルーティングに取り組むことが、結果的に採用成功につながります。

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