導入メリットは“効率化”&“人材見極め力UP”!! 最先端の面接方法「AI面接」最前線

AI面接最前線

“AIが人を面接する”――そんなSFのようなサービスが既にリリースされ、話題になっています。対話型AI面接サービス「SHaiN(シャイン)」は、AI面接官の質問に答えていくことで、応募者の資質が評価されるというもの。社員の採用でもアルバイトの採用でも利用できるサービスです。

「SHaiN」の面接はスマートフォンで受験できるため、“いつでもどこでも受けられる”というメリットがありますが、企業にとっての利点はそれだけではないようです。「SHaiN」を提供するタレントアンドアセスメントの代表取締役・山﨑俊明さんに、サービスの特徴と企業が導入するメリット、今後の展望について、お聞きしました。

目次

「AI面接」の真の価値は“人をフラットに見極める能力”

――「SHaiN」は“応募者の資質を見極める面接サービス”とのことですが、どのような部分を評価するものなのでしょうか?

人を“氷山”に見立ててみましょう。その人物の海の上に見える部分は、履歴書や職務経歴書で誰もがわかるところ。一方で、水面下の見えない部分がその人の本質や性格といった見えづらいところになり、面接など対話をしながら見極めていく必要があります。
▲取材に対応していただいた代表取締役の山﨑俊明さん

採用業務でもっとも注力すべきは「自社にとってどのような人材が必要なのか」といった求める人材像に対し、受験者が必要な資質をどの程度有しているかを見極め、戦略的に採用することです。当社はGoogleなどの外資系企業が導入している「構造化面接手法(あらかじめ判断基準や質問内容を標準化する手法)」をもとに、独自の科学的理論を加えた「戦略採用メソッド」を構築しました。そのメソッドをAI化したものが「SHaiN(Strategic Hiring AI Navigator/戦略採用AI装置)」です。受験者すべてが1人のAI面接官と公平な面接を受けることができます。

――「SHaiN」の質問内容は、企業が違っても同じということですか?

そうですね。「SHaiN」では、主に受験者の過去の経験を聞いていきます。「これまでの仕事や学生生活、アルバイトなどで頑張ったことは?」といったように、AIはどのような受験者でも答えやすい質問をしていきます。さらに、その回答が簡潔すぎたり質問の答えになっていなかったりする場合は、AIが追加で質問し、深掘りしていきます。

企業様によっては、「新卒採用で志望動機を聞きたい」「アルバイトの面接で出勤できる曜日を聞きたい」のように、事前に確認しておきたいこともあるので、一問一答形式で自由に質問を設定できるようにもなっています。

――質問を統一することで評価しやすくするとともに、企業のニーズにも応えているんですね。そんな「SHaiN」を企業が導入するメリットといえば、面接の効率化だと思いますが。

スマートフォンでいつでもどこでも受験できるので、受験者は会場に赴く必要がないですし、企業も日程や会場の調整が不要になります。

最近は新型コロナウイルスの影響もあり、ウェブ面接が増えていますが、人が面接をする形だと企業側の工数はほとんど変わらないんですよね。その点、「SHaiN」はAIが面接をするので、面接官のアサインが不要になります。また、応募者と企業が通信し合うわけではないので、回線状況による不具合が起きにくいという特徴もあります。

このような効率化の側面もあるのですが、私達がもっとも提案したい部分は「面接官ごとの質問や評価のバラつきがなくなる」という採用の根幹にかかわる課題の解決です。人による面接は面接官ごとに質問内容が違い、質問の仕方も違うケースが多く、受験者ごとに試験内容が変わってしまうようなものです。それでは偏差値は測れず、評価のバラつきが生じるのも当然です。こういった問題を解消するため、質問を統一することは非常に重要です。

――人の面接だと質問内容も判断基準も人それぞれですし、面接官の好き嫌いみたいなものも影響しがちですよね。

そうなんです。「SHaiN」では、バイタリティや柔軟性、感受性など回答の内容で判断する7個の「質問項目」と、理解力や表現力など、AIとの会話のキャッチボールから見えてくる3個の「観察項目」で評価を行います。人が面接するとどうしても「観察項目」に偏り、話し方が上手い人が評価されがちですが、話し方と粘り強さや共感性といった個性は別物ですよね。

スマホ画面▲専用アプリをダウンロードすることで、スマートフォンで面接を受けられる「SHaiN」

また、「SHaiN」ではAIが回答を深掘りするので、面接時間は40分ほどになります。この深掘りによって、受験者の資質を見極めていくのですが、人同士だと思い込みから答えを決めつけたり、質問を躊躇してしまったりしがちです。例えば、受験者が「100名規模のサークルで部長をやっていました」と話した場合、面接官は「リーダーシップがある」ことを前提に話を進めてしまうということがあります。しかし、AIは先入観や思い込みなどを持たないため、深掘りします。

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企業規模や業種に関係なくメリットの大きい面接手法

――受験者の回答は、導入企業にどのように共有されるのですか?

回答はすべてAIによって文字に起こされ、企業にも共有します。回答を読み返せるので、二次、三次と選考が進んだ際に、同じ質問をしてしまうことを避け、動機づけに活用できるというメリットもあるのです。事前に受験者のプロファイリングデータを入手していることと同じなので、面接の質や見極めの精度がアップするといえます。

また、採用後もそのデータをもとに、「この人は感受性が豊かだから、言葉遣いに気をつけよう」「この人は信念が強いから、夢をつぶさないように教育しよう」など、育成方法を決める材料にもできます。

――採用した先まで想像できる貴重なデータですね。現在はどのくらいの企業が導入しているのでしょう?

現在300社ほどに導入していただいています。牛丼の吉野家様ではアルバイト募集のために活用されていますし、福井銀行様などの金融機関でも新卒・中途採用で導入されています。新潟県村上市様といった、地方自治体での導入も進んでいる状況です。

標準的な質問で受験者のベースとなる資質を見極めるサービスなので、適性検査や一次面接といった初期選考の代替として、活用していただくケースが多いですね。

――いろいろな企業名も出ましたが、「SHaiN」導入による恩恵を受けやすい業種や企業の規模などはあるのでしょうか?

あまり関係ないと感じています。2人しかいない企業でも、1000人規模の企業でも、応募者を見極めるという面接の目的は変わりませんから。

大企業だと2~3人の採用担当者で数千人の面接を行うため、工数がかかります。中小企業では10年、20年レベルで面接官を担当している経験豊富な方が多く、客観性に基づいた評価が出にくいという課題があるように感じています。地方企業はリアルな面接を行おうとすると、遠方の求職者へのアプローチが難しいですよね。「SHaiN」であれば、それぞれの課題を解決できる可能性があるのです。

一方で、熱意や価値観といった受験者の思いと企業文化とのマッチングは、AIに任せるのではなく人がすべきことですので、企業ごとの対応が必要になると思います。

1~10の評価は「優秀さ」ではなく「個性」を知るためのもの

――現在のコロナ禍で、さらに導入も進んだのではないですか?

確かに、コロナ禍でシステム化やDXに対するハードルが下がったという面はあると思います。ただ、それだけではなく、もともと採用面接で課題になっていた部分が明確になるタイミングと、コロナ禍がたまたま重なった印象です。

「SHaiN」は2017年10月にスタートしているのですが、当時は「時期尚早」という意見が多かったんです。その際に、企業の人事部の方に「5年後の採用はどうなってると思いますか?」と聞くと、「5年後ならAIになってるかも」という返答をよく聞きました。2017年の5年後が2022年。皆さんの感覚の通り、今まさに検討・導入のタイミングが来たのだと感じています。

――数年前まで脅威と感じられていたAIが、当たり前の存在になりつつありますからね。今後ますます企業の課題とマッチしそうな「SHaiN」ですが、採用担当者が勘違いしやすい部分などはありますか?

「AIが面接することで、金太郎飴のように画一的な評価になってしまうのではないか」という質問をいただくことがあります。確かに「SHaiN」では、面接をもとに10個の項目を1~10で評価しますが、この数字は単に優秀さを表したものではありません。 blank▲企業には、応募者の回答とともに数値化された評価が届きます

例えば、粘り強さが10の人がいたとします。根気強く仕事に取り組める人ですが、諦めが悪いという側面もあるため、新たな業務への移行がなかなかできない部分があるかもしれないのです。数値が高いから優秀とは判断し難いですよね。

特定の個性が突出している人を求める企業もあれば、すべての項目が平均といった人を求める企業もあります。企業には自社が求める人材像を明確にしたうえで、どのような人材がマッチするのかという視点で「SHaiN」を活用してほしいですね。

また、特定の人材のみを採用するためだけでなく、人材のポートフォリオを作るうえでも「SHaiN」の評価は役立つと思います。積極的に前に出る人材を70%、協調性のある人材を20%、コツコツ努力できる人材を10%といったように、客観的視点に基づいた評価で多様性を考えながら合否を出していけます。画一化しない採用ができるのです。

――応募者の個性を明確に捉えられるのは、採用において重要ですよね。ちなみに、その評価もAIが出すのですか?

いいえ、AIがヒヤリングして文字起こししたデータをもとに、戦略採用メソッドに基づいて専門スタッフが評価しています。AI面接ではありますが、AIと人の二人三脚で構築しているサービスなのです。

多くの人の“チャンス”につながる可能性を秘めた「AI面接」

――「SHaiN」を通じて、面接の形は今後、どのように変化していくと考えていますか?

「SHaiN」は、グローバルな対応ができるプラットフォームサービスだと考えています。労働人口が減少傾向にある日本では、労働雇用が国際的になっていくと思われますが、言語が採用の壁になりかねません。「SHaiN」では、今後外国語にも対応させていく予定なので、日本人のみならず海外の人材にもリーチできるようになります。外国から優秀な人材を迎え入れることも、容易にできるようになるでしょう。

もう少し身近な話ですが、現在の日本の採用市場は履歴書や職務経歴書が中心なので、学歴や職歴が理由で就職や転職、キャリアアップを諦めている人も多いと思うのです。実際、企業も時間や場所、対応する人が不足していることにより、学歴で線を引いてしまっているケースもあります。その点、「SHaiN」であれば、時間的・地理的・人的な理由でできていなかった応募者全員の面接を実現できます。より多くの人に、チャンスが巡ってくるのです。

AI面接が広がることで、SDGsの1つ「人や国の不平等をなくそう」に寄与できると考えています。学歴や性別、国籍に関係なく公平公正に評価される時代への一歩になれたらと思いますね。

編集後記

AI面接と聞いた時、思い浮かんだメリットは時間的・地理的な効率化でした。しかし、山﨑さんの話を聞くと、「人の面接以上に応募者の資質を見極める」という本質の課題を解決するサービスだと気づかされたのです。これからの採用のスタンダードになる可能性も感じました。

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この記事を書いた人
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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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