固定残業代とは?求人票への表記と計算方法について解説!

固定残業代とは?

固定残業代について、会社が導入していることは知っていたり、就業規則に記載はあるが実際どういう制度を指すのか、何なのかが分からない方は多いかと思います。
固定残業代について理解し正しい情報を求人票に記載することは、採用のミスマッチを減らし、会社の信頼性を築くことにつながります。

今回は、固定残業代の説明から求人票への表記方法、残業代の計算方法をご紹介いたします。

固定残業代制度とは

固定残業代制度とは、あらかじめ従業員に通知することを前提として、一定の時間外労働分(例えば月30時間分など)を給与や手当として毎月定額で支払う制度です。

固定残業代制度は従業員と合意した一定の残業時間に満たなくても定額で支給する必要があり、一定の残業時間を超えた分の残業代は追加で支払う必要があります。

超過した残業代の計算方法につきましては後述します。

「みなし残業」と「みなし労働時間制」の混同に注意しましょう

みなし残業とは一般的には固定残業代のことを指します。
みなし労働時間制とは、営業担当者や在宅勤務者など社外での勤務が多く労働時間の管理が難しい社員に対して、1日の労働時間をあらかじめ一定のみなし時間分働いたものとして給与を支給する制度です。

みなし残業との違いは、みなし残業は事前に定められた残業分を超えた時間外労働分は残業代が支給されるのに対して、みなし労働時間制はみなした労働時間の中に残業があらかじめ加味されているので残業代が支給されない点です。

固定残業代の表示義務について

固定残業代は従業員の合意の上で実施され、就業規則や雇用契約書など書面にして社員に周知を行う必要があります。
また、求人票に掲載する際は賃金表示の時点で、適切に明示する義務があります。
固定残業代を求人票へ適切に表記する方法は後述いたします。

固定残業代の表記が義務化された背景とは

2015年10月1日に施行された「若者雇用促進法」によって、固定残業代を適用する場合は、求人広告でその旨を明記することが義務化されました。
義務化された背景には、固定残業代をめぐる従業員・雇用主間のトラブルが頻発したことがあります。固定残業代は定額で月額支払われることから、従業員側からすると給与との区別がつきにくい仕組みと言えます。

にもかかわらず、求人票での記述について明確な規定がなかったため、悪質な企業によって故意に固定残業が給与と見分けがつかない記載がされ、企業に悪意がなくとも求職者が賃金条件を誤認識するトラブルが頻発しました。

そこで従業員・雇用主間のトラブルを回避するために、求人・募集の段階で「固定残業代」を明示することが義務づけられるようになったのです。

固定残業代3つの表示義務

固定残業代制を採用する企業は、募集要項や求人票に以下3つの内容を明示する必要があります。

  1. 固定残業代を除いた基本給の額
  2. 固定残業代に関する労働時間数とその金額
  3. 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨の説明

(参考:厚生労働省「適切な表示をお願いします。」)

固定残業代の正しい表記例とNG例

実際に明示義務がある3つの内容を含んだ求人票の見本例とNG例を見てみましょう。

正しい表記例

基本給:月給25万円
固定残業代4万円/30時間相当分を含む
30時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給する

NG例

基本給:月給25万円(月給に固定残業手当を含む)
固定残業分を超える割増賃金は別途支給

NG例は、固定残業代の金額と、それに対応する残業時間が記載されていないため、適切ではない固定残業代の表示です。

(参考:求人募集主の皆様へ「固定残業代」に関するお願い

固定残業代を正しく表記しなかった場合のペナルティについて

募集要項や求人票での固定残業代の表記が正確でない場合、法律上で企業への罰則はありません。しかし、2016年3月より労働関係法令違反の求人はハローワークでは受理されなくなっており、固定残業代を明記しないと求人を受理されない可能性があります。固定残業代の表記が適切でなかったため、従業員が働き始めた日に遡って残業代の支給を裁判所から命じられたケースもあります。

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残業代の計算方法

前述した通り、就業規則等に示した一定の時間外労働分を超過した場合は、追加で残業代を支払う必要があります。では、超過分の残業代はどうやって計算を行えば良いのでしょうか。

残業代が発生する基準

最初に、残業代が発生する基準について振り返ります。残業代は法定労働時間を超えた場合だけでなく、所定労働時間を超えた際にも発生します。しかし、支払われる残業代の計算基準が異なるので注意が必要です。

所定労働時間を超えた場合(法定内残業)の残業代

所定労働時間を超え、法定労働時間以内での残業を法定内残業と呼びます。法定内の残業代は、月額の給与を基礎時給に換算した金額に残業時間を掛けて計算し、割増賃金は発生しません。

法定労働時間を超えた場合(法定外残業)の残業代

法定労働時間を超える残業は法定外残業と呼びます。法定外残業は、基本時給に加え、割増賃金が別途支払われます。深夜残業や法定休日などの条件によって割増賃金率は変わるので注意しましょう。

残業代(割合賃金)の賃金率

法定労働時間を超えて、残業した場合の割増賃金率は下記の通りです。

  残業時の条件 割増賃金率

A

法定労働時間を超えて働かせた場合 25%
B 法定休日に働かせた場合 35%
C 深夜の時間帯(22時~5時)に働かせた場合 25%
D 時間外労働が深夜に及んだ場合(A+C) 50%
E 休日労働が深夜に及んだ場合(B+C) 60%

残業代計算の具体例

1時間当たりの賃金は、以下の計算式に当てはめて算出できます。

月給(円)÷1か月あたりの平均所定労働時間(時間)

この場合の月給には、手当(家族手当、交通手当など)は含みません。

ex)基本給30万円(諸手当除く)÷168時間の月平均所定時間=1,785円(小数点以下切捨て)

法定内残業の残業代計算例

法定時間内の残業代については、雇用契約や就業規則に記載されている場合があります。決まりがある場合は就業規則・雇用契約に則って残業代を計算します。

法定内残業の時間数×就業規則等で定める1時間あたりの単価(円)

法定外残業の残業代計算例

1時間当たりの賃金額×残業支給の対象となる時間数×割増賃金率

上記の計算式で割増賃金の単価を算出することができます。

ex)
1.法定時間外労働40時間(休日・深夜労働は無)の場合
1,785円×40時間×25%=17,850(法定外残業の単価)

エクセルなどの計算式を用いなくとも、以下のサイトで必要事項を入力するだけで簡単に残業代が計算できます。
残業代の計算-高精度計算サイト

まとめ

いかがでしたでしょうか?

固定残業代制度は求人票に正しく記載することで求職者とのミスマッチを減らす可能性を持っています。適切な表現で求人情報に記載を行い、求職者に正しい情報を見てもらいましょう。

また、固定残業代に記載した時間を超過した場合は、適切な計算を行ったうえで残業代を支払う必要があります。支払わなかった場合、会社が従業員に賃金を支払う義務を怠ることになり、民事上の責任問題に発展することもあり得るので注意しましょう。

そして最後に、世間から「ブラック企業」と呼ばれないよう正しい表記・運用を行いクリーンな企業を目指しましょう。