近年、IT技術は急速な発展を遂げており、それに伴いエンジニアをはじめとしたIT人材の需要が高まっています。国が主導となりデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していることもあり、今後、エンジニアの役割はますます重要になるでしょう。
「エンジニアを採用したいので年収の相場を知りたい」
「エンジニアの確保に成功するためのポイントを知りたい」
このようにエンジニア採用を考えている方向けに、本記事では、エンジニアの平均年収に関するデータと、エンジニア採用における効果的な募集条件の設定方法を詳しく解説します。
目次
IT業界やエンジニアの動向について
まずは、エンジニアを取り巻く採用市場の状況について整理するため、IT業界の動向を紹介します。
具体的なデータを用いて、「有効求人倍率」と「中途採用の現状」の大きく2つの視点から解説します。
エンジニアをはじめとしたIT人材の求人倍率推移
IT人材のニーズについて理解を深めるために、東京ハローワークにおける同人材の有効求人倍率を見てみましょう。最新となる2024年(令和6年)9月から3年分をさかのぼったデータを下表にまとめました。
【IT技術関連の職業の有効求人倍率】
2024年9月 | 2023年9月 | 2022年9月 | 2021年9月 |
3.22倍 | 3.02倍 | 2.92倍 | 2.41倍 |
※「IT技術関連」にはシステムエンジニア(SE)やプログラマー、電子計算機製造技術者、半導体製品製造技術者などを含みます
(出典:東京ハローワーク_【東京】職業別有効求人・求職状況(平成29年度~)|東京ハローワーク)
1人の求職者に対して2~3つの求人があるような状況です。さらにこの4年間の推移を見ても3年前から求人倍率が高まっており、採用競争が激しくなっていることが分かります。
IT人材の有効求人倍率の高さは他媒体でも顕著で、一例をあげると、大手求人サイトdodaの「転職求人倍率レポート(2024年10月)」ではIT・通信の業種で「7.20倍」。ITエンジニアの採用に特化したエージェント・レバテックでは2023年6月時点で「12.9倍」を記録しています。
エンジニア(IT人材)求人数と中途採用について
続いて求人数についてみていきましょう。
下記は前の章で紹介した東京ハローワークにおける「IT技術関連」の求人数です。
【IT技術関連の職業の求人数】
2024年9月 | 2023年9月 | 2022年9月 | 2021年9月 |
23,569 | 21,033 | 19,022 | 16,429 |
こちらを見ても求人数が年々増えており、IT人材を求める企業が増加傾向にあることが分かります。なお、この数値には新卒採用は含まれていないため、中途採用が主になります。
ここで、リクルートが公表する「2024年度 転職市場の動向」を見ると、下記のとおり、40代~50代のミドル層を採用するケースが増えています。中途採用が増えていることも踏まえると、経験者ニーズが今後さらに大きくなっていくことが推測できます。
なお、最近は未経験人材を募集する企業も増えています。
エンジニア特化型の転職エージェントや未経験者の育成スクールなども増えており、業務経験がなくても採用しやすくなったためです。
優秀なエンジニア人材を採用するために
エンジニアの採用市場が激化する中、優秀な人材を獲得するためには戦略的なアプローチが不可欠です。
では、どのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは、効果的なエンジニア採用のための具体的な方法を解説します。
ペルソナ設定
採用活動を効果的に進めるためには、まず理想の候補者像(ペルソナ)を明確にすることが重要です。
特にエンジニアなどIT関連の仕事は専門知識を必要とします。ペルソナを設定せずに採用活動をスタートさせてしまうと、採用後に「求めていた人材と違う」という事態が起き、短期間での離職や採用活動のやり直しなどにつながってしまいます。
また、ペルソナが明確であれば、書類選考や面接での判断に悩んだとしても「自社がほしいのはこの人材」と立ち返ることができるので、軸がブレなくなるのです。
以下の要素を考慮してペルソナを設定しましょう。
- 技術スキルと経験レベル
- 求める性格や態度
- キャリアの志向性
- 価値観や働き方の希望
- 地理的条件 など
※ペルソナ設定にあたっては下記の記事も参考にしてください
応募が来ない時に試すことはペルソナ設定!求人票の書き方のコツをご紹介
採用難易度で考える募集条件の緩和
いくら優秀な人材がほしいからといっても、「あの条件も、この条件も」と求める条件が厳しすぎてはいけません。
ペルソナに合致する人材が市場にどのくらいいるのかを分析したうえで、採用難易度が高そうであれば条件を緩和することがポイントです。
例えば、以下のような点を検討しましょう。
- 経験年数:「3年以上」→「経験不問、ポテンシャル重視」
- 学歴:「大卒以上」→「不問」
- 技術スキル:「〇〇必須」→「〇〇経験者歓迎」
働きやすさの強化
近年は以前に増して転職において「働きやすさ」が重視される傾向にあります。
下記の点を意識しながら、自社の働きやすさをアピールすることがおすすめです。
■柔軟な勤務体制
IT業界は他業界と比較して、成果が重視され働き方の自由度が高い傾向にあります。
リモートワークやフレックスタイム制など、柔軟な勤務体制が整っていることを伝えましょう。
■自己啓発支援
IT技術の変化は目まぐるしく、常に最新情報をインプットすることが個々の成長につながります。書籍の購入補助や資格取得支援、社外勉強会への参加支援など、エンジニアの成長をサポートする制度を設けることが、優秀な人材の獲得・定着につながります。
■福利厚生の充実
エンジニアに限ったことではありませんが、健康診断の充実、メンタルヘルスケア、育児・介護支援など、エンジニアの生活全般をサポートする制度も重要です。福利厚生の充実は採用だけでなく定着にも好影響をもたらします。
■インセンティブの導入
基本となる給料や手当以外に、技術革新や業績向上に貢献したエンジニアに対するインセンティブを設けている企業も多くあります。「特許取得報奨金:10万円/件」「新規プロジェクト立ち上げボーナス:最大100万円」というように、自社独自の制度を考えてみるとよいでしょう。
※エンジニアを採用するのにおすすめの方法を知りたい方はこちら
本当にエンジニアは人手不足なのか!不足する理由とオススメの採用方法をご紹介!
エンジニアの平均年収
ここでは、求人サイトや転職サイトの情報を参考にしたエンジニアの平均年収を紹介します。あくまで目安であるため、参考情報のひとつとしてお役立てください。
企業規模別エンジニアの平均年収
まずは企業規模ごとの年収相場を紹介します。
一般的に、リソースが充実した大企業のほうが中小企業よりも高い年収を提供する傾向にあります。
ただし、中小企業のほうが個々の裁量が大きいケースが多く、成果がインセンティブなどに反映されることで、中小企業が中堅企業や大企業を上回る年収を支給していることもあります。
企業規模 | 平均年収 |
大企業(従業員1000人以上) | 650万円〜850万円 |
中堅企業(従業員300〜999人) | 500万円〜700万円 |
中小企業(従業員300人未満) | 400万円~600万円 |
年齢×男女別エンジニアの平均年収
次に年齢と平均年収の関係についてですが、20代前半からエンジニアとして働いていると仮定した場合、30代、40代と進むにつれて年収アップがのぞめます。
7年目を超え30代に突入するころになると、スキルや知識も増えるため、キャリアアップが図りやすくなります。
男性 | 女性 | |
20代前半 | 350万円〜450万円 | 330万円〜430万円 |
20代後半 | 450万円〜550万円 | 420万円〜520万円 |
30代前半 | 550万円~650万円 | 500万円〜600万円 |
30代後半 | 650万円~750万円 | 580万円〜680万円 |
40代以上 | 750万円~950万円 | 650万円〜850万円 |
職種別エンジニアの平均年収
エンジニアの平均年収は職種や仕事内容によっても変化します。
大まかな数値にはなりますが、エンジニア関連の主な職種を抜粋して平均年収を紹介します。
職種 | 平均年収 |
プログラマー | 400万円~700万円 |
フロントエンドエンジニア | 600万円~900万円 |
バックエンドエンジニア | 650万円~950万円 |
AIエンジニア | 700万円〜1000万円 |
データサイエンティスト | 650万円〜950万円 |
ネットワークエンジニア | 500万円~800万円 |
セキュリティエンジニア | 550万円~850万円 |
クラウドエンジニア | 550万円~850万円 |
システムエンジニア | 450万円~750万円 |
プロジェクトマネージャー | 550万円~950万円 |
Webエンジニア | 500万円~800万円 |
モバイルアプリエンジニア | 500万円~800万円 |
社内SE | 400万円~700万円 |
エンジニア求人での給与欄の書き方
エンジニアの需要が大きくなっている中、「給与」は応募者の関心を引く重要な要素となります。
しかしただ高ければいいというわけではなく、書き方によって応募者の関心の度合いは変わってきます。そこでここからは、効果的な給与欄の書き方について詳しく解説します。
給与幅の上限・下限を明確にする
一般的に、求人票には給与の上限と下限を記載します。
上限はその求人に対する応募者に支払える最高額、下限は最低限支払える金額で、例えば、「年収400万円〜600万円」のように記載します。
この給与幅を「このくらいでいいだろう」と曖昧に設定すると採用成功の可能性を低くしてしまうかもしれません。
まず、求職者はかならず下限に注目したうえで最低ラインを把握するので、他求人より低いと関心を向けてもらいにくくなります。
一方で上限を必要以上に高めてしまうと、給与だけを重視して求めるレベルに到達していない人材からの応募が増え、結果的にミスマッチが生じるかもしれません。
経験や能力なども加味したうえで、現実的な範囲で設定することが重要です。
エンジニアスキルごとの給与幅を明記する
エンジニアが転職する際、自らのスキルがどのくらい評価されるかが一つの指標になります。
実際、エンジニアの専門性や技術によって市場価値は大きく異なるため、スキルごとに給与幅を明記することで、より具体的なイメージを持ってもらうことにつながります。
【スキル別給与幅の例】
スキル | 経験年数 | 給与幅 |
Java開発 | 3年以上 | 450万円〜650万円 |
AI・機械学習 | 5年以上 | 600万円〜800万円 |
クラウドアーキテクト | 7年以上 | 700万円〜1000万円 |
このように、スキルと経験年数に応じた給与幅を明示することで、応募者は自身のキャリアと照らし合わせやすくなります。
IT業界では技術の進化が速く、特定のスキルの市場価値が急激に変動することがあります。定期的に市場価値を確認し、給与幅を更新することが重要です。
※エンジニアを採用するポイントについて下記の記事でより詳しく解説しています
優秀なエンジニアを採用するためには?【採用成功のポイント】
まとめ
社会全体で見るとエンジニアの需要は年々高まっており、自社にとって理想的な人材を確保するには、採用活動における工夫が必須だと言えます。もし採用が難しそうであれば、プロジェクトや案件ごとにフリーランスに業務委託するなど、他の選択肢もおすすめです。広い視野でIT事業の強化を図ってみてください。
なお、この記事を見ている方の中に「採用業務全般を効率化したい」「採用活動そのものをサポートしてほしい」と困っている方がいたら、採用マーケティングツール「採用係長」がおすすめです。
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