2026年1月、特定技能の対象に物流倉庫分野が加わりました。倉庫や物流センターを運営していると、これで外国人スタッフを採用できるようになったのか、いつから採れるのかが気になるところです。
先に結論を書きます。2026年8月3日に確認した時点では、物流倉庫分野で特定技能外国人を受け入れるための技能評価試験も、加入が必要な分野別協議会も、国土交通省が調整中と公表しています。一方、同じ日に追加されたリネンサプライ分野は、2026年6月1日から在留資格の申請ができるようになりました。同じ日に決まった2つの分野で、進み方が分かれています。
ウェブ上には2027年4月から受け入れが始まると書いた記事が並んでいますが、行政の公表資料でその日付が明記されているのは育成就労制度のほうです。この記事では一次情報だけを使って、いつ何が始まるのか、自社が受け入れ側の条件を満たすのか、そして始まるのを待っている間に求人でできることを整理します。
物流倉庫分野とリネンサプライ分野で決まっていること(2026年8月3日時点・出入国在留管理庁と国土交通省、厚生労働省の公表資料をもとに作成)
目次
物流倉庫とリネンサプライで、いま何が決まっているのか
決まっているのは、対象分野に加わったことと、受け入れられる人数の上限です。いつから受け入れられるかは、分野によって状況が違います。
追加されたのは3分野です
2026年1月23日、外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議と閣議で、分野別運用方針が決まりました。このとき特定産業分野に加わったのは、物流倉庫分野、リネンサプライ分野、資源循環分野の3つです。物流倉庫とリネンサプライの2分野だけと紹介されることがありますが、実際は3分野です。
法令のうえで追加されたのは、そのあとです。特定の産業上の分野を定める件(平成31年法務省告示第65号)を改正した法務省告示第27号が2026年3月31日付で出され、附則で2026年4月1日から施行と定められました。閣議決定の日と、法令として動き出した日は別だという点に注意してください。
それぞれの分野を所管しているのは、物流倉庫が国土交通省、リネンサプライが厚生労働省です。受け入れ機関に追加の条件を課す上乗せ基準の告示を、それぞれの省が出しています。物流倉庫は2026年国土交通省告示第787号(2026年6月26日公布)、リネンサプライは2026年厚生労働省告示第183号(2026年4月7日付)です。分野によって見に行く役所が違うので、情報を探すときの入口も変わります。
受け入れられる人数は3年ぶんの上限が決まっています
分野別運用方針は、受け入れ見込数を定めています。これは目標ではなく上限で、期間は2026年度から2028年度までの3年間です。5年間と書かれていることがありますが、方針の記載は3年間です。
| 分野 | 分野全体 | 特定技能1号 | 育成就労 |
|---|---|---|---|
| 物流倉庫 | 18,300人 | 11,400人 | 6,900人 |
| リネンサプライ | 7,700人 | 4,300人 | 3,400人 |
育成就労のぶんは2027年度からの2年間で、特定技能1号とは起点の年度が違います。出入国在留管理庁が2026年7月3日に掲載した資料(2026年3月末時点の速報値)でも、両分野の見込数は同じ数字で、在留者数の欄はいずれも空欄です。まだ誰も受け入れていない段階だということが、公表資料からも読み取れます。
人手不足の根拠も方針に書かれています。物流倉庫は、業界団体が2026年2月に会員事業者へ行ったアンケートで、2024年時点の人手不足数が約1万9,000人。ハローワーク経由の求人数を応募人数で割った値が2.54(2024年1月から12月)でした。これは有効求人倍率とは別の指標です。リネンサプライは2024年度の有効求人倍率が3.71倍で、こちらは有効求人倍率そのものです。数字の種類が違うので、並べて比べないほうが正確です。
2027年4月からと書かれているものの正体
検索すると、2027年4月から特定技能で受け入れが始まると書いた記事が多く見つかります。ただ、行政の公表資料でその日付が明記されているのは、特定技能ではなく育成就労制度のほうです。
2027年4月と明記されているのは育成就労制度です
国土交通省が公開している物流倉庫分野のページには、育成就労制度は2027年4月1日から運用開始と書かれています。一方、分野別運用方針のPDFを読んでも、特定技能の施行日や運用開始日は書かれていません。
育成就労と特定技能は別の制度です。育成就労の開始日を特定技能の開始日として読むと、採用計画の前提がずれます。
育成就労のほうは、2026年9月1日から申請の受付が始まりました
出入国在留管理庁のページには、2026年9月1日から育成就労計画の認定に係る施行日前申請を外国人技能実習機構で受け付けると書かれています。制度が始まるのは2027年4月1日ですが、その手前の受付はもう始まっています。監理支援機関の許可申請のほうは、さらに早く2026年4月15日からでした。
分野ごとの準備状況にも差があります。同じページに分野別運用要領の公表状況が載っていて、公表済みとして挙げられているのはビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、自動車整備、鉄道、物流倉庫、外食業、林業、木材産業の9分野です。物流倉庫はこの中に入っています。それ以外の分野は準備中と書かれています。
つまり物流倉庫分野は、特定技能のほうは試験も協議会も調整中で、育成就労のほうは運用要領が出て申請の入口が開いた、という状態です。同じ分野でも制度によって進み方が違います。どちらの話なのかを分けて見ておくと、採用計画の前提がずれません。
特定技能1号は、試験も協議会も調整中です
同じ国土交通省のページに、2026年6月時点として次のように書かれています(2026年8月3日に再取得して、記載が変わっていないことを確認しました)。
| 項目 | 公表されている状況 |
|---|---|
| 特定技能1号技能評価試験 | 試験開始時期については現在調整中であり未定 |
| 分野別協議会 | 現在、設置に向けて調整中。加入要件、加入受付開始時期等は決定次第このページにてお知らせ |
| 運用要領別冊 | 現在調整中となり、今後公表予定 |
試験については、2026年2月末までに試行試験を終え、試験の適正性の了承を得る手続きを進めている段階だとも書かれています。出入国在留管理庁の試験関係ページにある分野別の試験実施要領や技能試験の実施団体の一覧にも、物流倉庫分野とリネンサプライ分野の記載はありません。
ここで注意したいのが、協議会と受け入れ条件の関係です。国土交通省告示第787号の第3条第2号は、受け入れ機関が国土交通省の設置する協議会の構成員であることを求めています。この告示は公布の日である2026年6月26日から適用されています。その一方で、協議会そのものが2026年6月時点で設置に向けて調整中と公表されている、という状態です。いつ1人目を採用できるかについて、公表された見通しは見当たりません。
国土交通省の公表ページ(2026年8月3日取得)。試験の開始時期も協議会の加入受付時期も、2026年6月時点として調整中と記載されています
リネンサプライは2026年6月1日から在留資格の申請ができます
同じ日に追加されたリネンサプライ分野は、物流倉庫より先に進んでいます。厚生労働省のページには、2026年6月1日に特定技能1号(リネンサプライ分野)による在留資格の申請が可能になりました、と書かれています。同じ日付で、法務省と厚生労働省が編集した運用要領別冊も公表されました。
ただし、申請ができるようになったことと、誰でも新しく採用できることは同じではありません。
いま動けるのは、技能実習2号を修了した人のルートです
リネンサプライ分野で特定技能1号の在留資格を得るには、原則として技能評価試験と日本語試験に合格する必要があります。技能のほうはリネンサプライ分野特定技能1号評価試験で、1つのラインのライン長を担うレベルを確認する試験だと運用要領別冊に書かれています。日本語はJFT-BasicのA2.2相当以上、またはJLPTのN4以上です。
その技能評価試験について、出入国在留管理庁の試験関係ページにも試験実施予定の一覧にも、リネンサプライ分野の記載がありません。掲載がない、というところまでが確認できる事実です。
一方で、試験が免除されるルートがあります。技能実習2号のうちクリーニング職種のリネンサプライ仕上げ作業を良好に修了した人は、技能試験も日本語試験も免除されます。職種や作業を問わず技能実習2号を良好に修了した人(2年10か月以上)は、日本語試験だけが免除されます。この免除は2027年4月1日以降も当分の間続くとされています。
ここで見落としやすいのが、免除の対象になる作業が限定されている点です。運用要領別冊の別表が挙げているのはクリーニング職種のリネンサプライ仕上げ作業だけで、同じクリーニング職種でも一般家庭用クリーニング作業は挙がっていません。自社の実習生がそのまま移れるとは限りません。
衛生基準の認定、協議会への入会、在留の申請という順番です
リネンサプライ分野の上乗せ基準(厚生労働省告示第183号)は、受け入れる施設に条件を付けています。日本リネンサプライ協会のリネンサプライ業に係る洗濯施設及び設備に関する衛生基準、または医療関連サービス振興会の寝具類洗濯業務に関する基準の認定を受けた施設であること、というものです。
この認定は法人単位ではなく、事業所(施設)単位です。複数の工場がある場合、認定を受けた施設でしか従事させられません。受け入れを続けるには認定の更新も必要です。受け入れたあとに営業所を変える場合も、変更後の施設が認定を受けている必要があります。
そして順番があります。リネンサプライ分野特定技能協議会の入会規程は、入会の申請時に衛生基準の認定証に記載された認定番号と有効期限を書き、認定証の写しを提出することを求めています。運用要領別冊は、在留諸申請の前に協議会の構成員になる必要があると書いています。つまり、衛生基準の認定を取り、協議会に入り、それから在留資格の申請という流れです。最初の関門は認定の取得です。
協議会の入会そのものに費用はかかりません。登録支援機関が代わりに手続きすることはできず、登録支援機関自身が特定技能所属機関になる場合を除いて加入もできません。2026年7月14日時点の構成員一覧には214件が載っていますが、これは施設単位の件数で、会社の数ではありません。1社で十数施設を登録している例もあります。
リネンサプライでは特定技能2号の受け入れができません
運用要領別冊に、リネンサプライ分野においては特定技能2号での受入れを行うことはできません、と明記されています。特定技能1号の在留期間には通算の上限があるため、長く働いてもらう前提で募集を設計するなら、ここは先に押さえておく必要があります。
物流倉庫のほうは、国土交通省のページに現時点で特定技能2号の受け入れはありませんと書かれています。制度として恒久的にないと言い切れる根拠は、2号の対象分野を列挙した法務省告示第27号の第二条に、物流倉庫分野もリネンサプライ分野も資源循環分野も入っていないことです。
受け入れる側の条件を、人を採る前に確認する
制度の解説記事は、登録支援機関に相談するところから手順を始めていることが多いのですが、条件の多くは人を採る前に自社が満たしているかどうかの話です。先に自社を点検したほうが手戻りがありません。
物流倉庫で対象になる事業者
国土交通省告示第787号の第3条第1号は、受け入れ機関を次のいずれかに限っています。
- 倉庫業法第7条第1項の倉庫業者
- その倉庫業者が現に営業に使用している倉庫で、当該倉庫業者の委託を受けて倉庫作業を実施する者(雇用の継続に係る責任を負う旨の協定書を当該倉庫業者と共同作成している者に限る)
- 一般貨物自動車運送事業者、または特定貨物自動車運送事業者
2番目に付いている括弧書きが要点です。委託を受けて倉庫内作業をしている事業者は、委託元の倉庫業者と共同で協定書を作っておく必要があります。これは相手のある作業なので、早めに動く価値があります。
国土交通省のページは、受け入れ可能な類型として次の3つを予定していますという書き方で、もう少しかみ砕いた説明を載せています。ただし告示の条文には、3番目の類型について場所を限定する文言がありません。解説と告示で読める範囲が違うので、自社が当てはまるか微妙なときは所管に確認してください。
告示は、このほかに次の条件も課しています。
- 国土交通省が設置する協議会の構成員であること、協議会に必要な協力をすること、協議が調った事項について措置を講じること
- 国土交通大臣などの調査や指導に協力すること
- 支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合は、上の条件に該当する登録支援機関に委託すること
- 入庫管理、在庫管理、出庫管理の機能を持つ情報システムを利活用していること
- 生産性や労働安全衛生の向上に資する機器や情報システムを継続して利活用し、協議会に加入した日から1年以内に協議会へ報告すること
- 求めに応じて実務経験証明書を交付、または提供すること
4つ目の情報システムは、国土交通省のFAQによれば、いわゆる倉庫管理システム(WMS)を念頭に置いたものです。倉庫管理システムとして製品化されていないものでも構わず、自社で所有している必要もなく、外国人が働く事業所で使える状態にあればよいとされています。導入していないという理由だけで諦める前に、いま使っているシステムが3つの機能を持っているかを確認してみてください。
3つ目の登録支援機関の条件は、リネンサプライ側の告示にはありません。物流倉庫だけの決まりです。支援を外部に任せる予定なら、委託先を選ぶときの条件がひとつ増えます。
リネンサプライで対象になる施設
リネンサプライは、前の章で触れた衛生基準の認定を受けた施設であることが中心です。あわせて、厚生労働省の制度概要ページには、知事登録を受けた営業所で直接雇用されること、リネンサプライ業を行う事業所に就労させることという条件も載っています。ただしこの2つは告示や運用要領別冊には見当たらず、根拠となる法令が特定できませんでした。自社が該当するかどうかは、厚生労働省の健康・生活衛生局生活衛生課に確認するのが確実です。
もうひとつ、重い決まりがあります。労働者派遣をした場合、または派遣された特定技能外国人を受け入れた場合、以後5年間は受け入れができません。両分野とも派遣は認められておらず、直接雇用に限られます。
分野を問わず満たす必要がある条件
ここまでの条件は、分野ごとの上乗せ分です。上乗せというからには土台があり、こちらは全分野に共通します。倉庫管理システムがあって協議会に入れば受け入れられる、という話ではありません。
出入国在留管理庁の制度説明資料によれば、受け入れ機関の基準には次のようなものが含まれます。
- 報酬額が日本人と同等額以上であること
- 5年以内に出入国または労働に関する法令違反などの欠格事由に該当していないこと
- 1年以内に、同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に、自社の責めに帰すべき事由による行方不明者を出していないこと
- 支援に要する費用を、直接または間接に外国人に負担させないこと
- 労災保険関係の成立の届出を行っていること
- 報酬を預貯金口座への振込で支払うこと
3つ目は見落としやすい条件です。人員整理をしたばかりの事業所では、受け入れの前提を満たさない場合があります。
待っている間に、いまの求人で採れる人がいます
物流倉庫分野で特定技能の受け入れが始まるまで、採用を止めておく必要はありません。日本にいる外国人が全員、特定技能の在留資格で働いているわけではないからです。
就労できるかどうかは、在留資格ごとに違います
厚生労働省は、外国人の方は入管法で定められている在留資格の範囲内において我が国での就労活動が認められていますと説明したうえで、事業主に対して、雇い入れる際には在留カードまたは旅券などにより就労が認められるかどうかを確認するよう求めています。就労できるかどうかは、その人の在留資格しだいです。
出入国在留管理庁は在留資格を大きく2つに分けて案内しています。ひとつは日本で行う活動内容に応じた在留資格で、特定技能や技能実習、技術・人文知識・国際業務、留学などがここに入ります。もうひとつは身分や地位に応じた在留資格で、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4つです。
倉庫やリネン工場の現場には、すでに後者の在留資格で働いている人がいます。募集の段階で外国人を対象から外す必要はなく、応募があったら在留カードで就労の可否を確認する、という順番で進められます。在留カードの見方と、2026年6月14日から始まった新しい様式については、在留カードの確認方法の記事にまとめています。
外国人を雇い入れたら、ハローワークへの届出が必要です
在留資格の種類にかかわらず、外国人を雇い入れたときと離職したときには、氏名や在留資格などを確認してハローワークへ届け出ることが労働施策総合推進法で義務づけられています。対象は日本国籍を持たない方のうち、在留資格が外交と公用以外の方です。特別永住者は対象になりません。届出書の書き方や提出期限は、外国人雇用状況の届出の記事で解説しています。
募集そのものは、いま使っている方法で進められます。出し先を増やすなら、無料で出せるところから試すのが手軽です。
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求人票の仕事内容欄をどう書くか
受け入れが始まったときに最初に手を動かすのは、求人票です。ところが、書き方の手本になるものがまだありません。
公式の職務記述書は、両分野ともまだ出ていません
出入国在留管理庁は、特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)というページで分野ごとの職務記述書を公開しています。2026年8月3日に確認したところ、このページに物流倉庫、リネンサプライ、資源循環の記載はありませんでした。リネンサプライ分野のページにも、ジョブディスクリプションは準備中と書かれています。
手本がない以上、いまは分野別運用方針と告示の文言から起こすことになります。公式の見本が出るまでは、原文に沿って書いておけば大きく外れません。
物流倉庫の仕事内容欄に書けること
告示第787号の第2条は、従事させる業務を倉庫作業と定め、貨物の入庫、保管、出庫その他の倉庫内における作業と説明しています。国土交通省のページは、もう少し具体的に、入出庫貨物の受渡しや検品、貨物の移動、保管庫への格納、ピッキング、流通加工などを挙げ、物流倉庫で行われる貨物の入出庫、保管その他の各種倉庫作業に限られますと書いています。
この列挙は、そのまま求人票の仕事内容の箇条書きになります。
流通加工には線引きがあります。国土交通省のFAQによれば、小分けの再包装、タグの取り付け、ラベル貼り、セット組みなどは含まれますが、商品そのものの機能を完成させたり性能を向上させたりすることは製造工程の一環となり、流通加工には含まれません。求人票に加工と書くときは、どちらの意味かが読んで分かる書き方にしておくと安全です。
関連業務については、事務所への連絡や報告、作業場所の整理整頓や清掃、台風などの接近に備えた貨物の移動や雨水の侵入を防ぐ措置が、付随的に従事できるものとして挙げられています。求人票の仕事内容を関連業務だけで埋めると、実際の配属と食い違います。
なお、告示の定義は倉庫内における作業ですが、倉庫の外の作業を名指しで除外した記述は見当たりませんでした。3番目の類型で受け入れた人にトラックの運転をさせられるかといった具体的な線引きは、運用要領別冊が公表されるまで確定しません。
リネンサプライの仕事内容欄に書けること
リネンサプライ分野の業務区分は1つで、ホテルや病院などで使用されたリネン類の入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷などの一連の業務です。関連業務として、使用資材などの運搬作業と、事業所で日常的に行われる清掃作業への付随的な従事が認められています。ただし、専ら関連業務に従事することは認められません。
賃金と雇用形態の欄で外せない条件
報酬額が日本人と同等額以上であることは、分野を問わない受け入れ機関の基準です。求人票の賃金欄は、同じ作業に就く日本人の水準から下げられません。
雇用形態も決まっています。両分野とも労働者派遣の対象とすることはできず、直接雇用に限られます。分野別運用方針は、フルタイムであることも求めています。派遣で人手を確保している現場では、特定技能の受け入れは別の枠組みになります。
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受け入れが始まってから詰まるところ
制度が動き出したあとに効いてくる決まりも、先に知っておくと採用計画を立てやすくなります。
見込数は上限で、届くと在留資格認定証明書の交付が止まります
前に書いた受け入れ見込数は上限として運用されます。上限を超える見込みになると、分野を所管する大臣の要請で在留資格認定証明書の交付が停止されます。制度上の話にとどまりません。特定技能の外食業分野では、2026年4月13日から交付が停止され、当日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請は不交付とすると公表されました。以前には産業機械製造業分野でも同じ措置が取られています。
物流倉庫分野の特定技能1号の上限は11,400人、リネンサプライ分野は4,300人です。受け入れを検討しているなら、開始時期を追いかけるだけでなく、早い時期に動くかどうかも判断材料になります。
在留期間、転職、人数枠
特定技能1号の在留期間は、3年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定する期間ごとの更新で、通算の上限は5年です。相当の理由があると認められる場合は6年とされています。
転職もできます。同じ業務区分の中、または試験によって技能水準の共通性が確認されている業務区分の間で転職が可能です。技能実習が原則として転職できないのとは違う点です。育てても他社に移られるのではないかという不安は、この仕組みを前提に、待遇や職場環境の設計で受けることになります。
企業ごとの受け入れ人数の枠は、介護分野と建設分野を除いてありません。物流倉庫とリネンサプライには、常勤職員数に応じた人数制限はありません。
支援計画と、受け入れたあとに続く手続き
受け入れ機関は1号特定技能外国人支援計画を作り、在留の諸申請のときに他の書類とあわせて提出します。省令で定められた義務的支援は10項目で、事前ガイダンス、出入国する際の送迎、住居確保と生活に必要な契約の支援、生活オリエンテーション、公的手続などへの同行、日本語学習の機会の提供、相談や苦情への対応、日本人との交流促進、人員整理などの場合の転職支援、3か月に1回以上の定期的な面談と行政機関への通報です。
支援計画の全部を登録支援機関に委託すれば、支援する体制があるとみなされます。物流倉庫分野では、その委託先の登録支援機関自身も協議会の構成員である必要があります。
受け入れたあとも手続きは続きます。定期の届出は、対象年の4月1日から翌年3月31日までの受け入れ、活動、支援の実施状況について、翌年4月1日から5月31日までに提出します。届け出なかった場合や虚偽の届出をした場合は罰則の対象です。
候補者の集め方も、技能実習とは違います。特定技能では、受け入れ機関が直接海外で採用活動を行うことも、国内外のあっせん機関などを通じて採用することもできます。ただし送り出し国の側で手続きが定められている場合は、その手続きを経ている必要があります。実際にかかる期間は、この部分に左右されます。
この先に決まっている日付
物流倉庫の開始時期は未定ですが、周辺で日付が決まっているものもあります。
外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(平成19年厚生労働省告示第276号)は、2026年5月29日の厚生労働省告示第227号によって改正され、2026年6月14日、2026年10月1日、2027年4月1日の3段階で適用されます。外国人雇用状況届出制度の運用改善と、2027年4月1日の育成就労制度の創設を反映したものです。外国人を雇っている、またはこれから雇う予定があるなら、10月1日ぶんの内容は先に目を通しておいたほうがよさそうです。
支援の体制についても、2027年4月1日施行で要件が変わります。支援責任者と支援担当者を、支援を行う事業所ごとに常勤の役員または職員から1名以上選任することなどが加わります。支援責任者への養成講習の受講も義務づけられますが、出入国在留管理庁は、2027年4月1日以降であっても当分の間は講習を修了していなくても差し支えないとしています。
まとめ
2026年8月3日時点で確認できたことを整理します。
- 特定技能に加わったのは物流倉庫、リネンサプライ、資源循環の3分野。閣議決定は2026年1月23日、法令としての施行は2026年4月1日
- 2027年4月と明記されているのは育成就労制度。物流倉庫分野の特定技能1号は、技能評価試験も分野別協議会も調整中で、いつ受け入れが始まるかは公表されていない
- リネンサプライ分野は2026年6月1日から在留資格の申請が可能。ただし技能評価試験の実施予定は掲載されておらず、いま動けるのは技能実習2号のリネンサプライ仕上げ作業を修了した人のルート
- 受け入れ側の条件の多くは、人を採る前の自社点検で確かめられる。倉庫業法の登録や貨物自動車運送事業の許可、委託元との協定書、倉庫管理システム、リネンなら衛生基準の認定
- 上乗せ基準は追加分。報酬が日本人と同等額以上であることなど、全分野に共通する基準が土台にある
- 待っている間も、在留資格によっては採用できる人がいる。応募があったら在留カードで就労の可否を確認し、雇い入れたらハローワークへ届け出る
制度の状況は動きます。この記事の内容は2026年8月3日に確認したもので、特に物流倉庫分野の試験と協議会については、国土交通省のページで最新の状況を確認してください。
この記事で参照した一次情報
- 出入国在留管理庁 特定技能の各分野の運用方針等について(2026年1月23日 閣議決定)
- 出入国在留管理庁 物流倉庫分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(PDF)
- 出入国在留管理庁 リネンサプライ分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(PDF)
- 国土交通省 物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて
- 厚生労働省 リネンサプライ分野における新たな外国人材の受入れ
- 出入国在留管理庁 運用要領別冊 リネンサプライ分野の基準について(PDF)
- 出入国在留管理庁 在留資格一覧表
- 厚生労働省 外国人の雇用
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