外国人雇用状況の届出とは? 届出書の書き方や提出方法、提出期限と3つの注意点

昨今の人手不足を背景に、国内の外国人労働者数は右肩上がりで増加しています。以前と比べて採用しやすい環境が整ってきていることから、外国人の雇用を検討している中小企業は多いのではないでしょうか。

外国人を雇用する場合は、「外国人雇用情報の届出」の提出が必要です。また離職時にも同様の手続きを行うことが法律で義務付けられています。

この記事では外国人雇用状況届出書の記載方法や提出方法、提出期限について解説。注意点についても触れていますので、外国人雇用に関する手続きを行う際の参考にしてください。

外国人雇用状況の届出とは?

外国人雇用状況の届出とは、外国人を雇用する際と離職の際に必要となる手続きのことです。

外国人を雇用する事業者は、外国人の雇用または離職の状況、当該外国人に関する情報(氏名、在留資格など)を提出することが労働者施策推進法によって義務づけられています。

外国人雇用状況の届出が必要な理由

労働者施策推進法は、雇用管理の改善や再就職支援などを目的に定められた法律です。
この法律に基づいて外国人の雇用状況を国が把握するとともに、ハローワークは事業者に対して労働環境の改善に関する指導や助言を行うことが可能。また離職時には再就職支援も行います。

雇用の際には書類に在留資格の記載が必要となるため、意図しない不法就労を未然に防ぐことにも役立つでしょう。

届出の対象となる外国人と提出書類

基本的にすべての外国人労働者が届出の対象です。
ただし、特別永住者および在留資格が「外交」「公用」の場合は対象外となるため、届出は必要ありません。

雇用保険被保険の対象となる外国人の場合

雇用する(離職する)外国人が雇用保険被保険者の対象である(=雇用保険に加入する)場合、雇用または離職にともなう以下の手続きを行えば、外国人雇用状況の届出は不要です。

    • 外国人を雇用するとき

雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)

    • 雇用している外国人が離職するとき

雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)

上記のいずれかを提出することで、外国人雇用状況の届出を行ったとみなされます。

雇用保険被保険者の対象とならない外国人の場合

雇用する(離職する)外国人が雇用保険被保険者の対象でない(=雇用保険に加入しない)場合は、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を提出します。

    • 外国人を雇用するとき/雇用している外国人が離職するとき

外国人雇用状況届出書(様式第3号)

外国人雇用状況の届出の提出方法と提出期限

外国人雇用状況届出書の提出先は、ハローワークまたはオンラインの2種類があります。

ハローワークへ提出する

外国人雇用状況届出書に必要事項を記入・印刷し、所管のハローワークへ提出します。

オンラインで提出する

外国人雇用状況届出書は、オンラインでの提出も可能。「e-Gov 電子申請」または「外国人雇用状況届出システム」に必要事項を入力し、提出します。
e-Gov 電子申請または外国人雇用状況届出システムの利用には、アカウント(ユーザー)登録が必要です。

    • 雇用保険被保険の対象者の場合

e-Gov 電子申請

    • 雇用保険被保険の対象者でない場合

外国人雇用状況届出システム(厚生労働省職業安定局)

外国人雇用状況の届出の提出期限

提出期限は、雇用(離職)する外国人が雇用保険被保険者の対象であるかどうかによって異なります。
どちらの場合も必ず期限までに提出しましょう。

  雇用保険被保険者の対象 雇用保険被保険者の
対象でない
雇用時 雇用日の翌月10日まで 雇用日の翌月末日まで
離職時 離職日の翌日から起算して10日以内 離職日の翌月末日まで

雇用保険被保険者の対象者と非対象者の違い

外国人雇用状況の届出は、その様式や提出方法、提出期限が雇用保険被保険者の対象であるかどうかによって異なります。対象者(=雇用保険に加入する)と非対象者(雇用保険に加入しない)それぞれの違いについて整理しましょう。

  雇用保険被保険者の対象(雇用保険に加入) 雇用保険被保険者の対象ではない(雇用保険に加入しない)
提出書類の様式 【雇用時】雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)
【離職時】雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)
【雇用・離職時】外国人雇用状況届出書(様式第3号)
届出方法 ・ハローワーク
・オンライン(e-Gov 電子申請
・ハローワーク
・オンライン(外国人雇用状況届出システム
提出期限 【雇用時】雇用日の翌月10日まで
【離職時】離職日の翌日から起算して10日以内
【雇用時】雇用日の翌月末日まで
【離職時】離職日の翌月末日まで

外国人雇用状況の届出の書き方

外国人雇用状況届出書には、雇用する外国人の氏名や在留カードに記載されている情報などを記載します。雇用保険の被保険者であるかどうか、また雇用時と離職時によっても提出書類が異なるため、必要な書類を確認したうえで記載しましょう。

ここではハローワークに提出する届出書の記載方法について説明します。

雇用保険の被保険者の場合の記載方法

雇用するとき

雇用するときは、「雇用保険被保険者資格取得届」に必要事項を記入して提出します。

雇用保険の加入時に必要な雇用保険被保険者資格取得届の項目のうち、在留資格等の外国人に関する項目を記入して提出すれば、外国人雇用状況届出書を別途提出する必要はありません。

外国人雇用状況届出書の書き方(雇用時/雇用保険加入者の場合)

画像出典:厚生労働省(外国人雇用はルールを守って適正に)

雇用保険に関する記入事項に加え、以下の項目(届出の17~23番)を記入しましょう。

17.氏名
18.在留カード番号
19.在留期間
20.資格外活動の許可の有無
21.派遣・請負・就労区分(該当する場合のみ)
22.国籍・地域
23.在留資格

外国人従業員が離職するとき

雇用保険に加入している外国人従業員が離職するときは、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。
これにより、雇用保険の資格喪失届と外国人雇用状況の届出の手続きが同時に完了します。

外国人雇用状況届出書の書き方(離職時/雇用保険加入者の場合)

画像出典:厚生労働省(外国人雇用はルールを守って適正に)

表面の住所欄と裏面の14〜19番が外国人雇用状況に関する項目です。

14.氏名
15.在留カード番号
16.在留期間
17.派遣・請負・就労区分(該当する場合のみ)
18.国籍・地域
19.在留資格

雇用保険の被保険者でない場合の記載方法

雇用時および離職時

雇用保険の被保険者でない外国人の場合は、雇用時も離職時も「外国人雇用状況届出書」を提出します。

外国人雇用状況届出書の書き方(雇用保険未加入)

画像出典:厚生労働省(外国人雇用はルールを守って適正に)

1〜8番およびABCの各項目を記入しましょう。

1.氏名
2.在留資格
3.在留期間
4.生年月日
5.性別
6.国籍・地域
7.資格外活動の許可の有無
8.在留カード番号

A.雇入れ日・離職日
B.事業所の名称・所在地・電話番号
C.派遣はまた請負事業者(該当する場合のみ)

外国人雇用状況の届出を行う際の注意点

外国人雇用状況の届出を行う際には、以下3点に注意しましょう。

違反すると罰則の対象になる

外国人雇用状況の届出は法律で義務付けられている手続きです。外国人を雇用したにもかかわらず届出を行わなかった場合や、虚偽の申請をした場合には30万円以下の罰金が課せられます。

提出期限を過ぎてしまった場合や提出後に書類の不備に気づいたときは、速やかに所管のハローワークに連絡し、その旨を伝えて指示を仰ぎましょう。

離職時にも提出が必要

これまでの説明のとおり、外国人雇用状況の届出は雇用時だけでなく、離職時にも提出が必要です。忘れないように手続きを行ってください。

雇用保険被保険者であれば、雇用保険被保険者資格喪失届の提出のみで良いため通常の退職手続きと同じですが、雇用保険被保険者でない場合には、外国人雇用状況届出書の提出が必要です。

雇用保険への加入状況によって手続きが変わる点には、とくに注意しましょう。

本人確認書類(個人情報)の取り扱いに気をつける

入社にともなう各種手続きを行う際には、本人確認書類(在留カード)が必要なシーンが度々あります。外国人雇用状況の届出には在留カードの写しの提出は不要ですが、本人に許可をとったうえでコピーの保管や専用システムへの登録を行っておけば他の手続きをスムーズに進められるでしょう。

ただし、個人情報の管理は厳密に行う必要があるため、在留カードおよびマイナンバーカードの情報取得とその取り扱いには注意してください。

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まとめ

外国人雇用状況の届出は、必須の手続きです。外国人を雇用する場合にのみ生じる手続きであり、初めて雇用する場合や離職時には戸惑うことがあるかもしれません。
しかし、決して複雑な手続きではなく、また違反した場合には罰則の対象となるため、期限内に届出を行いましょう。

人手不足の中、近年は多くの企業が人材獲得に苦戦しています。とくに中小企業にとっては厳しい状況が続いていますが、企業の成長にはそれを支える人材が不可欠。外国人採用を検討している中小企業の採用担当者は、以下の記事も参考にしてください。

【採用ノウハウ】外国人労働者受け入れのメリット・デメリット

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この記事を書いた人
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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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