2023年夏季賞与、63.0%が「支給する」と回答。昨夏より「増額予定」は42.6%|中小企業の夏季賞与に関するアンケート調査

5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」へ移行しました。17日には、日経平均株価が1年8カ月ぶりに3万円台を回復。脱コロナへの動きを受け、企業の業績回復が鮮明になっています。

そうした中、多くの企業がまもなく迎えるのが夏季賞与の支給時期です。2023年度は大手企業を中心に高水準の賃上げが進んだことで、基本給の増加による賞与アップが予想されていますが、中小企業は夏季賞与についてどのように計画しているのでしょうか。

株式会社ネットでは2023年夏季賞与について、採用業務クラウド「採用係長」の登録ユーザーである中小企業の採用担当者を対象にアンケート調査を実施しました。

アンケート回答者属性

今回、アンケートにご回答いただいた事業所様の属性は以下の通りです。
従業員規模が20名以下の事業所様を中心に、「介護・福祉」、「飲食」、「工場・製造」、「建築・不動産」など様々な事業所様にご回答いただきました。
また、地域につきましても、都市部を中心に全国的に散らばり、あらゆる地域の事業者様にご回答いただきました。

業種

従業員規模

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都道府県

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63.0%の事業所が夏季賞与を「支給する」

Q1.2023年の夏季賞与は支給しますか?

グラフ(Q1.2023年の夏季賞与は支給しますか?)

はじめに、2023年の夏季賞与の支給予定について質問したところ、63.0%の事業所が「支給する」と回答しました。
一方「支給しない」事業所は40%に迫っており、企業の業績回復が進む中でも、経営状況の厳しい中小企業は依然として多いことが分かります。

さらに賞与支給の有無を業種別に確認したところ、業種ごとに以下のような違いが見られました(ここではアンケート対象の21業種のうち、5事業所以上から回答があった10業種をグラフ化しています)。

グラフ(業種別賞与支給の有無)

「介護・福祉」「医療」は、いずれも全事業所が「支給する」と回答しています。
10業種のうち6業種において、「支給する」事業所が「支給しない」事業所を上回る結果となりました。

前年夏季賞与から「増額予定」は、42.6%

Q2.前年の夏季賞与の支給額と比較して変動はありますか?

グラフ(Q2.前年の夏季賞与の支給額と比較して変動はありますか?)

次に「支給する」と回答した事業所(n=68)へ、前年の夏季賞与支給額からの変動について質問しました。「変わらない」がもっとも多く、45.6%。「増額予定」と回答した事業所は、42.6%です。
賞与を支給する事業所の大半が、前年夏季以上の支給額を予定しています。

各業種の変化についても確認しておきましょう。以下は、業種別に賞与額の変化を表したグラフです(ここでは、支給する19業種のうち、5事業所以上から回答があった4業種をグラフ化しています)。

グラフ(業種別賞与支給額の変化/昨夏比)

※()内の数字は回答数を表示

「建築・不動産」「工場・製造」は、「変わらない」が多数を占めました。「介護・福祉」は他業種と比べて「減額予定」の割合が高いものの、「増額予定」も3割を超えています。

一方、「医療」は66.7%が「増額予定」。「変わらない」事業所を大きく上回りました。

増額理由の1位は、「従業員の意欲向上のため」

Q3.増額理由を教えてください(複数回答)

グラフ(Q3.増額理由を教えてください)

Q2で「増額予定」と回答した事業所へ、増額理由について質問したところ(n=29)、65.5%の事業所が「従業員の意欲向上のため」を理由として回答。2位は「業績が好調のため」、3位には「物価高騰による生活費増加に対応するため」が続き、いずれも40%を超えています。

減額理由の1位は、「業績の向上(回復)が見込まれていない」

Q4.減額理由を教えてください(複数回答)

グラフ(Q4.減額理由を教えてください)

Q2で「減額予定」と回答した事業所へ、理由について質問しました(n=8)。
1位は「業績の向上(回復)が見込まれていないため」。次点は「物価高騰や円安の影響」となっており、近年の厳しい事業環境が賞与に影響していることがうかがえます。

今回のアンケートでは、Q1で「支給しない」と回答した事業所(n=40)に対する理由の質問はありませんが、恐らく同様の結果となるのではないでしょうか。

支給額は「1~1.5カ月未満」が最多

Q5.夏季賞与の支給額を教えてください

グラフ(Q5.夏季賞与の支給額を教えてください)

賞与支給額(基本給換算〇カ月)についての質問では(n=68)、「1~1.5カ月未満」がもっとも多い結果となりました。
また、2カ月以上(「2~2.5カ月未満」+「2.5~3カ月未満」+「3カ月以上」)支給する事業所は約30%です。

その他には、「5万円」「20万円」「0.2~2カ月」「1カ月〜3カ月」「1.2~1.6カ月」「2.7カ月~」などの回答がありました(自由書式のため、上記区分に該当しない回答は「その他」に含まれています)。

さらに、「増額予定」と「変わらない」事業所の支給額についても確認しました。

グラフ(2023年夏季賞与の支給額/支給状況別)

いずれの事業所も「1~1.5カ月未満」がもっとも多く、次点は「2~2.5カ月未満」です(その他を除いた場合)。
今回の夏季賞与では、支給額が「変わらない」事業所の水準に、「増額予定」の事業所が近づいたと見ることができるでしょう。

賞与の課題は、「特に無い」「原資確保が容易ではない」

Q6.賞与支給の課題として当てはまるものをお選びください(複数回答)

グラフ(Q6.賞与支給の課題として当てはまるものをお選びください)

賞与を「支給する」事業所(n=68)と「支給しない」事業所(n=40)それぞれに課題について質問しました。
「支給する」事業所は、半数以上が「特に課題は無い」と回答。2位には「原資確保が容易ではない」(23.5%)、3位は「賞与の査定方法が不明確」(20.6%)が続いています。

「支給しない」事業所では、52.5%が「原資確保が容易ではない」と回答しました。一方で「特に課題はない」も3割を超えており、この点からは「支給しない」事業所の中でも状況が異なることが推察されます。

事業所全体では1位の「特に課題は無い」が51.5%、次いで「原資確保が容易ではない」が23.5%です。

また「その他」の課題(自由回答)については、「税金等の増加」「職種ごとやレンジごとの更に詳細な改定が必要」「売上目標達成時に冬季賞与での支給を予定」などの回答がありました。

まとめ

今回の調査では、2023年夏季賞与についてアンケート調査を実施しました。その結果、「支給する」と回答した事業所は63.0%に上り、そのうち42.6%は増額を予定しています。
増額理由は「従業員の意欲向上のため」が最多となり、これは昨年実施した冬季賞与に関するアンケート調査(2022年11月実施/n=239)と同様の結果です。業績に関わらず、賞与の支給を重視する中小企業の姿勢を見て取ることができます。

中小企業全体をみれば、厳しい状況下にある事業所は決して少なくありません。しかし、賞与を「減額する」事業所が10%程度に留まっている点や、「支給する」事業所の50%以上が賞与支給に関して「特に課題はない」と回答している点からは、コロナ禍からの回復および原油・原材料の高騰への対応が進んでいると捉えることもできるのではないでしょうか。

株式会社ネットオンは、今後も継続的な調査を通じて中小企業の動向を見守り、全国の事業所が抱える採用課題の解決に寄り添うサービスの提供に努めてまいります。

調査名 2023年夏季賞与に関するアンケート調査
調査対象 『採用係長』利用事業所の人事・労務担当者様
有効回答数 108
調査期間 2023年5月8日(月)~5月17日(水)
調査方法 インターネット調査
調査結果の注意点 %を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の場合は100%、複数回答の場合は合計値に一致しない場合があります。

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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
Indeedはもちろん、インターネット広告やDSP広告を組み合わせた効率的な集客や、Google Analytics等の解析ツールを利用した効果分析、サイト改善を強みとしている。

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