カジュアル面談とは?【企業向け】面接との違いやメリット、進め方を解説

近年よく見かける「カジュアル面談」という言葉。

人事・採用担当者の中には、「カジュアル面談ってどんなものなのだろう」と気になっている方も多いかもしれません。

そこで、今回の記事ではカジュアル面談の概要をはじめ、その効果や実施の際に気を付けるべきポイントについてお伝えします。

カジュアル面談とは

カジュアル面談とは、実際の採用面接の前に、企業の採用担当者と求職者が顔を合わせてお互いの知りたい情報を交換し、入社後のギャップを減らすための場を指します。

実際の面接と違って、採用の可否を判断するためのものではありません。
企業の人事・採用担当者と求職者がリラックスしながら対話でき、近年多くの企業がカジュアル面談を取り入れています。

とはいえ、企業によってカジュアル面談の定義は異なります。
どういった内容で実施するものなのかをしっかりと整理して、求職者に説明するようにしましょう。

面談と面接の違い

面接では求職者が企業に採用してもらえるよう、自身のことや企業に対する志望度合いをアピールします。

一方、カジュアル面談では採用可否が判断されず、双方の理解を深める場として活用されるほか、企業が求職者に対してアピールする機会が多いことが特徴です。

そのため、カジュアル面談は求職者の入社意欲を高めるうえで重要な役割を果たしています。

※下記の記事では「面接」と「面談」の違い、カジュアル面談の取り入れ方について解説しています
「面接」と「面談」の違いとは?カジュアル面談の効果的な取り入れ方を解説!

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カジュアル面談が重要視されている背景

カジュアル面談が実施されている背景には、就職市場と採用市場の変化があります。

日本は少子高齢化の一途をたどっており、労働人口が年々減少しています。
現在の就職市場は、労働者に対して企業数が多く、求職者が応募先を選択できる状況です。逆にいうと、多くの企業は「選ばれる側」なのです。
そのため、「その企業について理解を深めたうえで応募したい」という求職者が増えています。

また、労働力不足により、企業は人材を一人採用するだけでも、かなりのコストや時間を要します。そういった中で理想的な人材を採用するために、カジュアル面談によって応募の段階でミスマッチを防止する必要があるのです。

企業のカジュアル面談の導入状況

就職・転職情報サービスを展開している株式会社学情様の調査では、4社に1社以上がカジュアル面談を実施しており、検討中も含めると全体の半数以上にのぼります。
※調査は2023年4月7日~4月21日に実施

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(出典:「カジュアル面談」に関する企業調査(2023年5月)|学情

同社の調査では、20代労働者の7割が「カジュアル面談によって志望度が上がった」と回答したことも公表しています。
こういった調査からも、求職者と企業にとってのカジュアル面談の重要性が見て取れます。

(出典:20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(カジュアル面談)2023年8月版|学情

カジュアル面談を行う目的

カジュアル面談の目的は、企業への理解度を深めてもらい、「応募を後押しすること」です。また、「自分が企業と合うか」「自社に求職者が合うか」をお互いが判断して、ミスマッチを防止する目的もあります。

カジュアル面談では、主に下記について擦り合わせます。

  • 入社後の労働条件や仕事内容
  • 企業理念や事業内容
  • 社内の雰囲気やオフィス環境
  • 企業のどのような点に興味を持ってくれているか
  • その求職者のスキルや希望する仕事内容 など

カジュアル面談の効果

カジュアル面談を実施することで得られる効果として、次のような点が挙げられます。

  • 入社後のギャップを防ぐことができる
  • より多くの人材と出会える

それぞれ、具体的に解説します。

入社後のギャップを防ぐことができる

人材採用の場において、とても魅力的な人から応募があったにもかかわらず、双方の認識のズレを埋めることができずに選考を途中辞退されてしまうケースや、会社に対する理解度が低く採用に至らないケースは少なくありません。

求職者の潜在意識として「変なこと(余計なこと)を聞くと採用に影響するのではないか」といった気持ちがあり、福利厚生や待遇などについて思っていることを聞かずに終わってしまうのです。

その結果、企業と求職者の価値観や考え方がしっかりと理解されず、ミスマッチが発生する原因となります。

カジュアル面談であれば、採用面接で求職者が質問することをためらってしまいがちな事項について、気軽に質問できるような雰囲気を作れます。
結果として企業に対する理解をより深めてもらうことが可能です。

このように、企業の概要をはじめ、そこで働く人たちの雰囲気や仕事環境などをフランクに伝えられるのは、カジュアル面談ならではの魅力といえるでしょう。

より多くの人材と出会える

実際の採用面接は、その企業に入社したいという気持ちが強く、転職の意向を固めた人からのアプローチが大半です。

一方でカジュアル面談では、転職活動を本格化させたばかりの人や、どの企業に応募しようか迷っている人ともコンタクトを取れます。
そのため、より多くの人材と実際に会えるだけでなく、優秀な人材も発掘しやすくなるといえるでしょう。

またよいカジュアル面談を求職者との間で実施できれば、のちに転職の意向が固まった時点で以前のやり取りを思い出し、実際の採用面接に応募してきてくれるケースも少なくありません。

実施するときに気を付けるポイント

カジュアル面談では優れた効果が認められる一方、注意点も存在します。

ここでは、カジュアル面談を実施するときに気を付けるポイントを5つ挙げます。

  • 選考に進ませるような雰囲気を作らない
  • 一方通行の対話とならないようにする
  • カジュアル面談で伝えることを明確にする
  • 聞いてはいけない質問を行わない
  • 事前の情報収集・準備を行う

それではさっそく見ていきましょう。

選考かと思わせるような雰囲気を作らない

カジュアル面談はあくまでも「面談」であり、「面接」ではありません。

そのため、求職者が企業に対して「これは採用面接じゃないのか」と感じてしまうような雰囲気を作ることは避けましょう。

具体的には、求職者はまだ転職を検討している状態であることから、自社に対する志望動機や自己PRを深掘りするような質問は避けたほうが無難です。

採用する企業からすれば、すこしでも相手の情報を得たいと思うかもしれませんが、その結果求職者の足が遠のいてしまっては意味がありません。

まずは求職者がリラックスできるような雰囲気づくりを第一に考え、相手の反応を都度伺いながら話を進めていくようにしましょう。

一方通行の対話とならないようにする

カジュアル面談で大切なのは、企業と求職者の間で相互理解を深め、情報を交換することです。

実際の面接では、どうしても企業側が一方的に質問を投げかける形で進みやすくなります。
結果として、求職者が真に知りたいことや本質はどう考えているのかをうまくキャッチアップできないケースが少なくありません。

そのため、カジュアル面談では求職者が質問しやすい雰囲気づくりを心がけ、企業側もきちんと情報提供を行えるように準備をしておくことが大切です。

また、求職者に知っておいてほしい企業の概要を伝えることはもちろん、面談や職場の雰囲気、福利厚生など求職者が不安材料としている事柄については、できるだけ丁寧に詳細を伝えるよう心がけましょう。

なお、あらかじめ採用ピッチ資料(自社を紹介する資料)を用意し、カジュアル面接前に求職者に手渡しておくことでより理解を深めてもらえます。

カジュアル面談で伝えることを明確にする

カジュアル面談は限られた時間の中で行われるものです。その時間をすこしでも有意義なものとするために、カジュアル面談で伝えることを明確にしておきましょう。

求職者に興味を持ってもらえるような内容を盛り込むことはもちろん、求職者が実際の面接で参考になりそうな事柄を伝えてもよいでしょう。

また、人事・採用担当者以外に求職者が興味のあるセクションの担当者とも話をする機会を設けると、入社後のイメージをより深めてもらえます。

聞いてはいけない質問を行わない

カジュアル面談とはいえ、相手に対して聞いてはいけない質問を行わないように注意しましょう。 具体的には、次のような事柄が聞いてはいけない質問に該当します。

  • 本籍地
  • 自宅付近の経路や略図など
  • 家族に関すること
  • 相手の恋愛状況や交際の有無
  • 生い立ちや家庭環境に関すること
  • 思想や宗教、支持政党など

また、「近々結婚の予定はあるのか」「結婚、出産しても働き続ける意思はあるのか」といった質問も、男女雇用機会均等法に抵触する恐れがあるのでNGです。

事前の情報収集・準備を行う

「面接ではない」といっても、相手について全く調べずにカジュアル面談に臨むことは、「自分に興味がないんだ……」と思わせてしまいます。

例えば、「今日は●●からお越しいただきありがとうございます」「今は●●の仕事をしているんですよね」などと声をかけるだけでも、候補者は嬉しいものです。

最近はSNSなどで気軽に個人情報を発信できるようになっています。候補者の情報について、インターネットで調べてみるのもよいでしょう。

カジュアル面談を進める手順

ここからは、カジュアル面談の具体的な進め方について紹介します。
すぐに実践で生かせるようポイントや聞き方の例も紹介するので、ぜひお役立てください。

アイスブレイク・自己紹介

アイスブレイク・自己紹介は、リラックスした雰囲気を築くための重要なステップです。
趣味や共通の話題を通じて、打ち解けながら候補者の緊張をほぐし、本音で話しやすい空気をつくります。

自己紹介では、面談担当者のほうも自己開示することが重要です。
求職者は少なからず緊張していると考えられるので、面談担当者が自己開示することで、和やかな空気を作りやすくなります。

【アイスブレイクの例】

  • 「今日は暑いですね」など天気に関するネタ
  • 「昨日のオリンピックは見ましたか?」などの時事ネタ
  • 「スポーツが趣味なのですね。どのようなスポーツをするんですか?」などプライベートのネタ

※アイスブレイクの重要性やすぐに使えるネタについて、下記記事で紹介しています
面接におけるアイスブレイクの重要性と使えるネタをご紹介!

面談の目的や招待の理由を伝える

「なぜこの面談を進めるのか」候補者を招待した背景や目的を明確に伝えましょう。

この段階で候補者に企業のカルチャーや求める人物像についての理解を深めてもらい、面談が有意義なものであることを示します。

また、候補者の中には「面談」を「面接」のように選考過程の一部だと勘違いしている人もいます。選考に直接影響しない旨を伝え、リラックスしてもらうこともポイントです。

候補者の状況、ニーズを確認する

候補者の話を聞きながら、現状やキャリア目標を確認します。

転職の背景や志望動機、職務経歴などを尋ねて、自社にどれだけマッチするかの判断材料としましょう。また、候補者の状況を整理しておくことで、相手に合わせた説明や質問がしやすくなります。

候補者の発言を聞くときは、相手のほうに体を向けて寄り添う姿勢を見せましょう。相づちを打ちながらリアクションを取ることで、相手はより本音で話しやすくなります。

【質問例】

  • どのような理由で当社に興味を持たれましたか?
  • 転職を考えるに至った理由やキャリアの目標について教えてください。

ヒアリング内容に合わせて企業説明を行う

候補者の状況や興味に合わせて、企業の魅力や特徴を説明します。
候補者が興味を持ちそうなポイントを強調しながら、事業や理念、入社後にどういったキャリアを歩めるのかなどを説明しましょう。

企業の理念や思いを伝える際は、求職者の共感を得ることがポイントです。
共感度を高められれば、「ここで働きたい」「応募したい」とポジティブな思いを持ってもらえる可能性が高まります。

質疑応答の時間を作る

面談の後半に質疑応答の時間を設け、候補者の疑問や不安を解消しましょう。
候補者の質問に丁寧に答えることで、企業の透明性を高め、信頼関係を築きます。

質疑応答で大切なのは、質問に対して丁寧に受け答えすることです。
その場で答えられない内容であれば、後日確認してメールや電話で連絡すると良いでしょう。

【質疑応答時の例】

  • ●●さんから確認したいことはありますか?
  • ここまでで、分からないことはありますか?

選考意思のチェックや選考の案内をする

候補者が現時点で次のステップに進みたいかどうか、意向を尋ねます。
選考意思を確認することで、企業側は選考に向けた本格的な準備を開始できます。

とはいえ、中には迷っている候補者もいるでしょう。
先述したように、面談を「面接」と思わせてはなりません。もし悩んでいそうであれば、じっくりと検討してもらうために回答を迫らないことが重要です。

【質問例】

  • 現段階で応募の意向はありますか?

選考のスケジュールを確認する

最後に、面談のスケジュールを確認して終了します。
次のステップに進む際の予定や連絡方法を明確に伝え、候補者との共通理解を確立しましょう。

採用説明会や見学会の予定がある場合、ここで案内するのも一つの手です。

なお、「締め」の印象が応募意欲に影響します。候補者に前向きな言葉がけをして面談を締めましょう。

【締め方の例】

  • 応募をお待ちしております!
  • ●●さんと働けることを楽しみにしています!

カジュアル面談の上手な活かし方

ここまで、カジュアル面談の概要や効果などについてお伝えしましたが、実際にどのようにカジュアル面談を活用すればよいのでしょうか。

取り入れ方としてまずおすすめしたいのが、通常の面接とカジュアル面談を組み合わせる方法です。

カジュアル面談を行う中で、「ぜひ当社で働いてほしい!」と思える人材に出会えたならば、その時点で積極的に実際の面接にきてほしい旨を求職者に伝えるようにしましょう。

カジュアル面談から実際の面接に至るまでの導線を上手にコントロールすることで、採用側の負担が減ることに加え、求職者も予定を立てやすくなります。

また、そのほかにもさまざまなプラットフォームを利用して求人を募集するのもよいでしょう。

多くのプラットフォームを利用することで、人脈の拡大や認知度の向上に繋がり、結果としてよい人材と出会える確率が高くなります。

カジュアル面談を上手に活用することができれば、非常に心強い採用手法となってくれることは間違いありません。

ゴール設計をきちんと練ったうえで、積極的に活用していくとよいでしょう。

まとめ

今回はカジュアル面談をテーマに、人事・採用担当者が抑えておきたいポイントをご紹介しました。

この機会にぜひ、求職者とより良い関係を築き「実際にエントリーしてみよう」と興味をもってもらえるようなカジュアル面談を取り入れてみてはいかがでしょう。

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この記事を書いた人
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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