64.5%が昨年度よりも人材を増員予定。採用意欲の回復鮮明に|<2022年度>中小企業の採用予定に関する調査

新型コロナウイルス感染症の感染拡大から3年目を迎えた2022年。現在も多くの新規感染者が確認されており、未だに終息は見えていません。しかしその一方で、3年ぶりにゴールデンウィークの行動制限が撤廃され、6月には外国人観光客の入国再開が予定されるなど、ウィズコロナに向けた動きが活発化しています。 社会経済活動の回復が見込まれる中、急がれるのが企業の人材確保です。ウィズコロナに向けて、中小企業の採用活動にはどのような動きが見られるのでしょうか。 そこで株式会社ネットオンでは、2022年度の採用予定について、採用業務クラウド「採用係長」の登録ユーザーである中小企業の採用担当者を対象にアンケート調査を実施しました。

2022年度に採用の予定が「ある」事業所は、88.4%

はじめに、2022年度(2022年4月~2023年3月)の採用予定について質問しました(n=328)。採用の予定が「ある」と回答した事業所は、88.4%。中小企業の大多数が人材採用を予定していることが明らかになりました。

Q1.2022年度に、採用の予定はありますか?

円グラフ(Q1.2022年度に、採用の予定はありますか?)

採用予定の雇用形態は、「正社員(中途採用)」が最多

次に採用予定が「ある」と回答した事業所(n=290)へ、雇用形態について質問したところ、「正社員(中途採用)」が1位。2位は「パートタイム・アルバイト」、3位には「正社員(新卒採用)」が続きました。 「正社員(中途採用)」と「パートタイム・アルバイト」はいずれも、半数以上の事業所が採用を予定していることが分かります。

Q2.採用予定の雇用形態を教えてください

グラフ(Q2.採用予定の雇用形態を教えてください)

64.5%の事業所が、2021年度よりも採用人数を「増やす予定」

採用予定人数の増減についての質問では(n=290)、2021年度(2021年4月〜2022年3月)よりも「増やす予定」が最多となり、採用予定のある事業所の64.8%が回答しています。事業所全体では、57.0%です。 一方で、「減らす予定」はわずか1%でした。中小企業の高い採用意欲が現れています。

Q3.2022年度の採用人数は、2021年度と比べてどうなる予定ですか?

円グラフ(Q3.2022年度の採用人数は、2021年度と比べてどうなる予定ですか?) さらに「増やす予定」と回答した事業所の業種を確認してみましょう(10事業所以上の回答があった業種のみをグラフ化しています)。 グラフ(業種別採用予定) 上位には、「人材」「建築・不動産」「その他専門・技術サービス」業が並びました。 1位の「人材」業は、83.3%が昨年度よりも採用人数を「増やす予定」です。企業の採用活動の活発化に伴い、それを支援する「人材」業でもっとも人材需要が高まる結果となっています。 また、コロナ禍で大きな打撃を受けた「飲食」業は、「未定/変えない/減らす」事業所が上回ったものの、半数近くが「増やす予定」と回答。人出が戻ることを見据えて準備を進める様子がうかがえます。 今回のアンケートでは回答のあった26業種中、4業種において「増やす予定」の事業所が70%を超えており、9業種において50%以上が「増やす予定」であることが分かりました。

増やす理由は、「業務量の増加」「業績好調」など

Q3で「増やす予定」と回答した事業所(n=187)へ、その理由について質問したところ、「業務量の増加」「新規事業の立ち上げ」「業績好調」など前向きな理由が多く並びました。 ここでは146件の回答のうち、一部を抜粋して紹介します(可読性を高めるため、文言を調整済み)。

Q4.採用人数を増やす理由を教えてください(自由回答)

人手不足・欠員補充
※カッコ内は、業種/従業員規模/所在地

・コロナ禍で従業員が減ったため(飲食/青森県/10~19名) ・アフターコロナへ向けた増員(人材/千葉県/100~199名) ・仕事量はあるが外注業者が多いため社員が必要(その他/千葉県/5~9名) ・退職による人員の減少(工場・製造/静岡県/100~199名)

業績好調・事業拡大など

・業績好調と新規出店が決まっているため(飲食/東京都/100~199名) ・業務拡大と売上向上(運輸/福島県/10~19名) ・新規事業の立ち上げのため(その他/兵庫県/1~4名) ・業務量が増加するため(介護/東京都/10~19名) ・案件が増えてきたから(運輸/東京都/5~9名) ・利用者増を見込んで(教育/千葉県/10~19名)

その他

・高齢化のため今後退職者が増えるから(その他/大分県/30~49名) ・社員の若返りを図りたい(建築・不動産/東京都/5~9名)

62.6%が「正社員(中途採用)」の採用人数を「増やす予定」

引き続き、採用人数を増やす予定の事業所(n=187)へ、雇用形態について質問しました。もっとも多かったのは「正社員(中途採用)」で、半数以上の事業所が回答。「パートタイム・アルバイト」と「正社員(新卒採用)」も過半数に迫っています。

Q5.採用人数を増やす雇用形態を教えてください

グラフ(Q5.採用人数を増やす雇用形態を教えてください) 一方、今回のアンケートでは「パートタイム・アルバイト」と同じく非正規労働者である他の雇用形態(契約社員、派遣労働者、嘱託社員)については、いずれも15%以下に留まっています。

採用人数を増やす時期は、「4月~6月」「7~9月」が半数以上

採用人数を増やす時期についての質問(n=187)では、「4~6月」がもっとも多く、年度初めでの採用を計画する事業所が多いことが分かりました。 「増やす予定」の事業所は、「4~6月」の採用増に向けて前年度から採用活動を活発化させていたということでしょう。 また半数以上が「7月~9月」においても採用人数を増やす予定です。

Q6.採用人数を増やすのはいつ頃ですか?

グラフ(Q6.採用人数を増やすのはいつ頃ですか?)

変えない/減らす理由は、「顧客の減少」「欠員募集のみ」など

Q3で採用人数を「変えない/減らす/未定」と回答した事業所(n=103)にも、その理由について質問したところ、「変えない/減らす」理由には45件の回答、「未定」の理由には27件の回答がありました。その一部を抜粋して紹介します(可読性を高めるため、文言を調整済み)。

Q7.採用人数を「変えない/減らす/未定」の理由を教えてください(自由回答)

「変えない/減らす」理由
新規採用の必要がない
※カッコ内は、業種/従業員規模/所在地

・来店するお客様が減っているから(飲食/宮城県/1~4名) ・常時優秀な人材がいるため(教育/東京都/20~29名)

採用は欠員補充のみ

・不足人員確保の採用のため(その他/大阪府/5~9名) ・増員はあまりなく欠員募集がメインのため(医療/神奈川県/100~199名)

現時点で採用ができていない

・最低人員が確保出来ていないから(運輸/香川県/1~4名) ・昨年の採用目標人数が達成できていない為(建築・不動産/茨城県/20~29名)

その他

・人材育成に時間がかかるため(整備・修理/埼玉県/1~4名) ・事業の状況に現在変更がないため(工場・製造/静岡県/20~29名)

「未定」の理由
現時点では判断できない

・業績と仕事量によるため(工場・製造/愛知県/10~19名) ・増やす予定ではあるが、コロナの状況もあるため(その他/埼玉県/1~4名) ・事業規模、代理店が増える分からない(コールセンター/北海道/50~99名) ・現場単位で流動的なため(その他/大阪府/100~199名) ・ほぼ定員に達しており、今後退職者がでるかもしれないため(工場・製造/広島県/20~29名)

その他

・良い人材がいれば採用したい(その他/神奈川県/20~29名) ・採用した人材の能力に合わせて人数を調整したいため(建築・不動産/千葉県/5~9名)

業務委託やアウトソーシングの予定は「ない」が多数

最後に全事業所へ、業務委託やアウトソーシングの予定の有無について質問しました(n=328)。 「はい(=予定がある)」と回答した事業所は、わずか20.4%。2022年度については外部への委託よりも、人材を確保したうえで自社で業務を推進する事業所が多数を占める結果となっています。

Q8.採用以外に業務委託やアウトソーシングの予定はありますか?

円グラフ(Q8.採用以外に業務委託やアウトソーシングの予定はありますか?)

まとめ

今回の調査では、中小企業における2022年度の採用予定についてアンケートを実施しました。その結果、約90%が採用予定が「ある」と回答。さらにそのうち、64.5%は昨年度よりも採用人数を「増やす予定」です。経済活動の再開に向けて、2022年度は多くの中小企業が採用活動を活発化させることが明らかになりました。 また「増やす予定」の理由として、「業績好調」や「売上向上」など前向きな回答が数多く見られた点からは、中小企業の業績回復の兆しが読み取れます。多くの中小企業がウィズコロナへ向けて動き出しているといえるのではないでしょうか。 ただし、ウクライナ情勢や昨今の円安が、今後中小企業の業績に与える影響は少なくないはずです。景気回復の際には、人手不足に苦しむ企業が再び増加すると予想されますが、新型コロナウイルスを含めたさまざまな課題の中で、事業活動の維持と人材確保のバランスを保ちながらの企業運営は容易ではなく、中小企業にとって厳しい局面がしばらくは続く可能性もあるでしょう。 株式会社ネットオンでは、今後も動向を見守りながら、中小企業の人材確保への取り組みをサポートし、採用業務クラウド『採用係長』の提供を通じて採用課題の解決に貢献してまいります。

調査名 2022年度の採用予定に関するアンケート調査
調査対象 『採用係長』利用事業所の人事・労務担当者様
有効回答数 328
調査期間 2022年5月10日(火)~5月16日(月)
調査方法 インターネット調査
調査結果の注意点 %を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の場合は100%、複数回答の場合は合計値に一致しない場合があります。

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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
Indeedはもちろん、インターネット広告やDSP広告を組み合わせた効率的な集客や、Google Analytics等の解析ツールを利用した効果分析、サイト改善を強みとしている。

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