採用基準の作り方は?|マッチする人材の見極めと定着のポイント

採用基準

次年度はもちろん、アフターコロナでの採用をどのように行っていくのかを考えている採用担当者の方もいらっしゃると思います。

そのたびに「採用基準」で頭を悩まされるのではないでしょうか。

「なぜ当社には良い人材が少ないのだろう」
「なぜ社員の定着率が上がらないのだろう」

こういった問題の解決のために、今回の記事では採用基準を作る際の3つのポイントとマッチする人材の見極め方をご紹介します。本記事をもとに、既に採用基準をお持ちの企業もそうでない企業も採用基準を見直してみましょう。

なぜ採用基準を作るのか

採用基準はなくても採用活動はできます。
とりあえず人手が欲しいから「誰でもいい採用」と採用基準を明確に設けずに、採用活動を行っている企業もいるのではないでしょうか。

このような企業の場合、

  • 人員補填のための採用ができても、採用者がその後すぐ離職してしまう
  • 入社後、人事や本人が思っていたよりも力を発揮できていない
  • 本当はこんな人が欲しいわけじゃなかったと嘆く

…というケースが見受けられます。

どうしてこのようなミスマッチが起きてしまうのでしょうか。 それが、採用基準を作成する理由につながります。

面接官の判断基準を定めるため

複数回の選考を行うにあたり選考と同じ数だけの選考官と求職者が接触します。
そして、選考官毎に価値観や大事にしているものや求職者への印象は異なります。同じ求職者を選考してもAという選考官が良く評価する一方、Bという選考官は逆の評価を下すのはよくあることです。

選考においては公平性の観点から、面接官ごとの価値観や印象によって、本来自社が必要としていた人材が選考から脱落してしまったり、逆に自社と合わない人材が選考に進んでしまうという事態は避けなければなりません。

このような事態を防ぐためにも、主観にとらわれず、誰が見ても公平な判断が下せるような「採用基準」を作成する必要があります。

組織として選考を行い、定着する人材かどうか見極めるため

採用基準は、採用担当者が1人で作るものではありません。

会社代表や、求めている人材の配属予定部署など、様々な組織の意見を反映させて採用基準を作成しましょう。 個人での判断で任せることなく、組織で作った採用基準に則って採用活動を行えば、定着する人材の見極めにつながります。

採用基準を明確に設けていても、その基準が自社に合っていない場合も

明確な採用基準を採用担当者や選考官が理解していたとしても、採用基準が自社に合っていなければ、

  • 応募数の母集団形成が難しくなる
  • 選考・採用時にミスマッチが起こる
  • 役員面接・社長面接の合格率が極端
  • 採用しても十分な力を発揮できていない

という事が起こりえます。

それでは採用基準を作る時、どこに気を付けて作成すれば良いのでしょうか。

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採用基準を作る際のポイント

採用基準を作る際、以下の3つのポイントを考えてみましょう。

  1. 採用市場の動向
  2. 求める人物像の再定義
  3. 価値観のすりあわせ

採用市場の動向

採用基準を作成するにあたって、まずは採用市場の動向を探り、競合他社の採用状況を調査・分析することが大切です。厚生労働省が公表している一般職業紹介状況や、Indeedの有料広告を活用している企業はIndeedが提供している労働市場分析機能を利用しましょう。

Indeedの労働市場分析については、以下の記事で解説しています。
採用効果アップに役立つIndeedの「労働市場分析」機能とは?(活用事例付き) 

求人数の多さや有効求人倍率の高さは採用難易度と比例します。相場と照らし合わせた時に自社の採用基準は適切なものかを考えてみてください。

求める人物像の定義

採用をするにあたりどういった人を採用したいか、つまり求める人物像を定義しましょう。 「欠員補充のための採用」と「未来の経営幹部候補の採用」、「新規事業の立ち上げのための採用」ではそれぞれ求める人物像が異なります。 経営陣・配属予定の部署にヒアリングを行い、採用の目的や求めるスキル、適性などの採用要件を明確にしてください。

【POINT】 採用基準を見直す場合、法律上禁止されている事項があるので注意しましょう。 
<代表例> 
・性別、年齢、国籍 
・障害、病気の有無
参考:厚生労働省『採用・選考時のルール』

価値観のすりあわせ

スキルや採用要件を満たしていても、価値観やビジョンがミスマッチな人材を採用して組織運営をするのは大変です。 良い人材を集める会社ほど、自社の風土・理念に合わせた自社独自の評価基準を定めています。

次の章では、自社の風土・価値観にマッチする「面接時、マッチする人材の見極め方」についてご紹介します。

マッチする人材の見極め方とは?

先天的性質と後天的性質

人が他人を判断する時、大きく2つの性質に分けられます。

◇先天的性質

  • 「性格」やこれまでの生活で得た「習慣」
  • 「価値観」
  • 「基本的な処理能力」

◆後天的性質

  • 仕事を通じて得た「行動特性」
  • 「能力」
  • 今後の仕事に対する「意欲や興味・志向」

まずは面接時のチェック項目が、どの性質に属するかの分別を行ってみてください。 次に6つの性質の判断比重を数値化してみましょう。

この時多くの企業は「行動特性」が最も高い数値がでると言われています。行動特性とは、こちらが問いかけた質問や依頼に対し、どのような行動に移すのかを表すもので、面接時には最も重要な判断材料とされています。

しかし、「行動特性」に注視しすぎていたり、他の性質のどこかに偏ったチェック項目になっている場合は、他の5つの性質を見落としている可能性があります。

特に「性格・習慣」や「価値観」の項目は、会社の社風やビジョンに共感できるかどうかに繋がり、今後の定着率に大きく関わります。見落とすことのないように注意が必要です。 まずはこの6つの性質の判断比重を偏りなく正六角形に近づけられるような質問・チェック項目を作成しましょう。

先天的性質と後天的性質

「観察」による判断

採用担当者の中には「なんとなくこの人いいな」という直観で合否を見極めるケースも多く見受けられます。面接官と採用候補者との間での会話や雰囲気が判断材料となっており、面接官の主観が含まれやすく、正しい判断が下されていないことがほとんどです。

観察による判断とは、「データや事実を観察することでの判断」です。 面接では、肌感覚などの主観をなるべく取り除き、データ・事実に基づき判断をすることが重要です。
今ある経歴・実績や資格などの事実情報や、面接時に聞き出せた新たな情報をまとめ、各項目に当てはめてみてください。導入している企業はSPIなどの適性検査結果も参考にして、ひとつの情報にとらわれることのない総合的な判断を行いましょう。

採用時に注意する定着率アップのポイント

採用時に注意したいことが、採用後の定着についてです。「採用できたのに、すぐに辞めてしまった」ということはありませんか。

一般的に、新卒採用社員の3年以内の離職率は3割、さらに中途採用者はそれ以上の割合で離職すると言われています。ここではそれぞれの採用において、離職防止につながるポイントをご紹介します。

新卒採用編

新卒採用において採用側が理解しておくべきこととして、「適正」と「志向」があります。社会経験がない新卒の新入社員は就職前後での仕事選びの軸が大きく異なります。

  • 就職前:学生までの経験上で自身のできることや興味のあることを志望
  • 就職後:仕事を経験した上での自身の新たな可能性や、やりたいことを追求

平成29年度の内閣府調査によると、初職の離職理由として『仕事が自分に合わなかったため』が第1位になっています。

初職離職理由
出典:内閣府Webサイト『特集 就労等に関する若者の意識』

これには、適正と志向のギャップが考えられます。

企業側は新入社員の「志向」を尊重したが、新入社員の能力が開発されずに離職になったパターンと、新入社員の「適正」を見抜き、新入社員の「志向」が尊重されなかったパターンです。 採用する側は適正と志向の両面を理解し、柔軟な判断を行うことがポイントとなります。

中途採用編

中途採用の主な目的として、「即戦力としてのニーズを満たすこと」が大半でしょう。
採用時には「即戦力」を求める企業側の要望と、採用候補者の期待を確認し合う必要があります。

そのために、「求める能力や経験」「業務量」「会社のビジョンや既存社員の性格傾向」を明文化し、採用候補者の期待や性質とすり合わせをしてみてください。

  • 求める能力や経験 :「能力」「行動特性」
  • 業務量 :「意欲や動機」「基本処理能力」
  • ビジョンや既存社員の性格傾向 :「習慣」「価値観」

上記のように分類し判断していくことで、企業側と採用候補者間での入社後のギャップを縮めることができます。定着率を高めるためには、離職者の転職理由を把握した上での職場の環境作りが採用する側に求められるということです。

厚生労働省の「平成30年度雇用調査の概要」を見てみると、前職を辞めた理由は大きく以下の6つに分類されています。

  • 仕事内容に対する不満(仕事の内容に興味を持てなかった、能力・個性・資格を生かせなかった)
  • 人間関係(職場の人間関係が好ましくなかった)
  • 会社の将来性(会社の将来が不安だった)
  • 労働条件(給料等収入が少なかった、労働時間、休日等の労働条件が悪かった)
  • 結婚・出産育児・介護(結婚、出産・育児、介護・看護)
  • 会社都合・その他(定年・契約期間の満了、会社都合、出向等を含むその他の理由)

前職を辞めた理由
画像出典:厚生労働省『-平成 30 年雇用動向調査結果の概況-』データより作成

会社都合によるものや結婚・出産・介護は仕方ありませんが、仕事内容に対する不満や労働条件、会社の将来性は採用する企業側で改善できるところではないでしょうか。

入社前でミスマッチを減らすためにも、仕事内容に対するマイナス面は求人票に詳細に記載するほか、面接や面談の中で仕事内容については深く理解をすり合わせていく工夫が必要です。

離職理由の3割を占める労働条件についても

  • 厚生労働省の提示する助成金を利用 (参照:職場環境を整備・改善したい|厚生労働省)
  • 人事競合他社や市場を分析し給与を見直す
  • 有給を取得しやすい雰囲気を作る

など、改善する方法は様々です。 近年話題に上がる「働き方改革」に乗じて、採用担当者も積極的に労働環境の改善に意見し行動をしていく必要があると言えるでしょう。

まとめ

採用基準とは企業が採用活動を行う際に個人の価値観や印象で良い人材を逃してしまう事の無いように、また会社全体で採用活動を行い定着する人材を見極めるために必要です。 採用基準を見直す際は競合調査などの採用市場分析や選考官それぞれの価値観のすり合わせ、そして求める人材の再定義を行いましょう。

良いと思う人材に入社・活躍してもらうには、まず採用する側自身の努力が必要です。 今回ご紹介した内容は、応募後の面接から採用までに活用していただける内容ですが、 応募に至る以前の求人票作成にも活かせます。

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この記事を書いた人
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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
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