建設業の採用方法とは?採用難と言われる中で採用活動を成功させるポイントや求人媒体を解説

建設業の就業者数は1997年をピークに減少を続けています。
人材が減る中で「人員が確保できない」「自社に合う人材から応募がない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、建設業における採用の現状や課題を解説したうえで、効果的な採用方法を12種類ご紹介します。
各採用方法の特徴や費用、メリット・デメリットも紹介するので、自社に最適な採用戦略を見つけることが可能です。
採用でお悩みであれば、ぜひ当記事をお役立てください!

建設業における採用の現状

「有効求人倍率」を見ると、建設業の採用難の現状が顕著に表れています。

2024年5月の全産業の平均有効求人倍率は「1.05倍」です。
一方で、同時期の建設業の有効求人倍率は「4.68倍」。全産業平均を大きく上回っています。
(出典:一般職業紹介状況(令和6年5月分)について「参考統計表」|厚生労働省

ちなみにこれは、求職者1人に対して4.68件の求人があることを意味します。つまり、4~5社で1人の人材を争っているような状況です。

なぜ建設業は採用が難しいのか?

慢性的な人材不足の背景には複数の要因があります。
以下では、建設業における採用の難しさの主な理由を詳しく解説します。

離職率が高いから

建設業界の離職率は、他の産業と比較して高い傾向にあります。
厚生労働省が実施した令和4年雇用動向調査によると、下記のとおり建設業の離職率は10.5%となっており、入職率である8.1%を上回っています。

 

(出典:令和4年雇用動向調査結果の概要

離職率が高い要因のひとつが労働条件の厳しさです。
国土交通省の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、令和4年度において、全業種の年間実労働時間平均が1954時間であるのに対し、建設業は2022時間。改善は進んでいるものの、今なお平均を68時間も上回っています。
(出典:最近の建設業を巡る状況について【報告】|国土交通省

需要が拡大しているから

建設業界の需要拡大も、採用難の一因です。
2021年の東京オリンピックや2025年開催予定の大阪・関西万博をはじめ、近年は国をあげた一大イベントが続いています。これにより、会場整備や関連インフラ整備のための人材需要が急増しており、採用競争が激化しているのです。

一方で、拡大する需要に応えるだけの人材が市場におらず、建設業従事者の負担が増えている側面もあります。

若者離れが進んでいるから

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(出典:建設業の現状 建設労働|建設業デジタルハンドブック

建設業界は若年層が減り高齢化が進んでいます。
上表のとおり、他産業と比べて「55歳以上」の割合が大きいです。

理由のひとつが「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが根付き、若者にとって魅力的な職場としての印象が薄いことです。
例えば建設業界は屋外での作業が多く、気象条件に左右されやすい特徴があります。また、長時間労働や休日出勤も珍しくありません。これら「3K」のイメージが、若者に敬遠される要因になっています。

ちなみに労働災害について見ると、確かに他産業と比べて発生件数は多いものの、下記のとおり減少傾向にあります。「安全な職場であること」をアピールできれば、求職者の興味を引くかもしれませんね。

建設業における労働災害の発生数
  H30 R1 R2 R3 R4 R5
死傷 15,374 15,183 14,790 14,926 14,539 14,414
死亡 309 269 256 278 281 223

(出典:令和5年労働災害発生状況の分析等|厚生労働省

建設業界の採用を成功させるポイント

紹介してきたように、採用難の要因は複雑に絡み合っており、採用活動を成功させるのは簡単ではありません。
そこで、採用成功に少しでも近づくために、以下のポイントを意識することがおすすめです。

ターゲットを「若者」あるいは「資格保有者」に絞る

とにかく人材を確保したいという気持ちのあまり「どなたでも可」とするのは望ましくありません。
建設業界の将来を担う若い世代、もしくは資格保有者をターゲットにすることが効果的です。

若者を採用できれば、自社で育成してその人の能力を伸ばすことができます。経験がない分、大きなポテンシャルを秘めているのです。

とはいえ、若者の採用は簡単ではありません。
もし中堅層以上を採用するのであれば即戦力となる「資格保有者」に絞ったアプローチがおすすめです。求人を掲載する際は、下記のように「求めるスキル」や「求める経験」を明記しましょう。

【資格保有者の募集例】

  • 一級建築士の資格を持ち、5年以上の実務経験がある方
  • CADソフトの使用経験があり、チームワークを重視できる方
  • 土木施工管理技士の資格を持ち、現場監督の経験がある方

※下記記事では若者離れを解決するポイントについて紹介しています
建設業の若者離れを解決するための4つの採用ポイント

求人広告を使い、働くメリットを細かく伝える

採用が難しくなっている中、「求人広告」を使って募集をかける企業が増えています。
幅広い求職者に自社のことを知ってもらえるので、ブランディングや母集団形成にも効果的です。

求人広告を使うにあたって大切なのが、「自社で働くとどんなメリットがあるか」を伝えること。下記のように具体的なスキルや経験、資格を明記することで、応募者のミスマッチを防ぎます。

【求人広告でのアピール例】

  • キャリア成長について:大規模プロジェクトへの参加機会、資格取得支援制度
  • 働き方について:フレックスタイム制度、土日完全休み
  • 福利厚生:充実した社会保険、財形貯蓄制度、社員寮の完備、社員旅行
  • 社風:若手の意見を積極的に採用、フラットなコミュニケーション

※求人広告をIndeedで出すメリットや求人票の書き方について知りたい方はこちら
建設業で求人出しても応募が来ない?Indeedが現場作業員の人材募集に向いている理由

オウンドメディアリクルーティングでの求人票の書き方講座Vol.4 【建設業界採用編】多彩な職種にマッチしたPRポイントが応募を増やすコツ

建設業の採用方法12選

建設業の人材を採用する方法は多種多様です。
特徴や費用、メリット・デメリットを踏まえて自社に最適な採用方法を選ぶ必要があります。
ここでは12種類の採用方法について紹介します。

フリーペーパーの設置

フリーペーパーは、地域密着型の求人情報を掲載する無料の情報誌です。
近年は少なくなってきましたが、信頼のおける採用方法として根強い人気を誇ります。
駅やスーパー、コンビニなどの人通りが多い場所に設置されるので、建設業界で働きたい人々の目にとまる可能性が高いです。

■費用
掲載料は媒体によって異なりますが、一般的に1回の掲載で1.5万円~/週です。
掲載位置や広告サイズによって金額が上下します。

■メリット
・地域に密着した求職者にアプローチできる
・何気なくフリーペーパーを手にした転職潜在層も呼び込める
・比較的低コストで求人広告を出せる

■デメリット
・配布エリアが限定される
・若年層へのアプローチが難しい
・掲載期間が限られる(通常1週間から2週間程度)

※求人フリーペーパーについてもっと詳しく知りたい方はこちら
求人フリーペーパーのメリットは?料金比較も紹介!

求人サイト

求人サイトは、インターネット上に求人情報を掲載し、求職者とのマッチングを図るプラットフォームです。
いまやもっとも一般的な採用方法であり、建設業界でも広く活用されています。

需要の高まりに合わせてさまざまな求人サイトが誕生しています。自分たちに合った媒体を選ばないと効果が出にくいため注意が必要です。

【総合求人】掲載課金型の求人サイト

「掲載課金」とは求人広告の掲載期間に応じて料金が発生する仕組みです。
多くの求人サイトが採用しているモデルで、仕組みが分かりやすいことが特徴です。

■費用
掲載期間によって変動しますが、一般的に1週間あたり数千円から数万円です。
ある程度知名度のあるサイトであれば3~5万円/週を目安にすると良いでしょう。

■メリット
・何人採用してもコストが一定
・大規模な求職者データベースにアクセスできる
・掲載期間を柔軟に設定できる

■デメリット
・採用活動が長引くほどコストが高くなる
・他業界の求人も多く、建設業に特化していない
・競合他社の求人も多いため差別化が難しい

【総合求人】成果報酬型の求人サイト

「成果報酬型」とは、「求人が閲覧された」「応募があった」「採用が成立した」など、特定の成果が発生した場合のみ料金が発生する仕組みです。
中小企業や採用予算が限られている企業にも適しています。

■費用
自社の予算に合わせた運用が可能です。

■メリット
・採用が成立しない限り費用が発生しないためリスクが低い
・予算が限られている場合でも利用しやすい
・求人サイト側も採用成立に向けて積極的にサポートする傾向がある

■デメリット
・採用数が多いと費用が高額になる可能性がある
・建設業に特化していないため、業界経験者を見つけにくい場合がある
・何をもって「成果」とするかはサイトによって異なる

【総合求人】無料型の求人サイト

求人情報の掲載が無料で行える求人サイトです。
国内最大級の求人サイトである「Indeed」がこれにあたります。
無料掲載できるのであらゆる企業から人気が高く、多媒体と並行して利用するケースも多いです。

■費用
「無料」と謳っているので、当然無料で求人情報を掲載できます。
ただし、露出度アップや機能の充実化など、求人効果を高めるオプションを利用すると費用がかかります。

■メリット
・コストをかけずに求人情報を広く公開できる
・複数の求人を気軽に同時掲載できる
・無料なので他媒体と掛け合わせやすい

■デメリット
・有料サービスと比べて露出が少ない場合がある
・応募者の質にばらつきがある可能性が高い
・サイト側のサポートが限定的な場合が多い

建設業特化型の求人サイト

「建設業界」に特化した求人サイトもあります。
「建設業界で働きたい」と考えている求職者が利用しているので、より専門的な採用活動を行うことが可能です。

■費用
総合求人サイトより安価な傾向にあり、月1万円以下で利用できるサイトもあります。

■メリット
・建設業界に特化しているため、自社の条件に合致する人材を見つけやすい
・業界固有の資格や経験を持つ求職者が多い
・建設業界の採用に関するプロに支援してもらえることがある

■デメリット
・一般的な総合求人サイトと比べて利用者数が少ない
・建設業界以外からの転職希望者へのアプローチが難しい
・専門性が高いので中には掲載料金が高額なサイトもある

ゼネコン運営の求人サイト

大手ゼネコンが運営する求人サイトで、自社および協力会社の求人情報を掲載しています。
代表的なサイトが清水建設の運営する「『匠を目指す人集まれ!』施工協力会社求人情報サイト」です。
ゼネコンのコネクションを活かして求人掲載できるので、他では出会えない人材と出会えるかもしれません。

■費用
多くの場合、ゼネコンの協力会社であれば無料または低価格で掲載できます。
ただし、協力会社でない場合は掲載できないか、高額な掲載料が必要になる場合があります。

■メリット
・大手ゼネコンの名前を活用できるため信頼性が高い
・建設業界に特化した求職者が多く集まる
・協力会社であれば低コストで求人掲載が可能

■デメリット
・協力会社でない場合、利用が制限される
・ゼネコン自体の求人と競合する可能性がある
・サイトの規模や知名度が一般的な求人サイトより低い場合がある

ホームページ

自社のホームページ上に求人情報を掲載し、直接応募を受け付ける方法です。
「オウンドメディアリクルーティング」とも呼ばれ、近年人気を集めています。
サイトを自由にデザインできるので、会社の詳細な情報や企業文化を伝えやすく、ブランディングにも効果的です。

■費用
既存のホームページがある場合は、求人ページの追加や更新にかかる費用のみです。
新規にホームページを作成する場合は、制作費用が必要となり、一般的に30万円から100万円程度かかります。

■メリット

  • 自社の魅力を詳細に伝えてマッチ度を高められる
  • 掲載内容を自由に更新できる
  • 長期的には低コストで求人情報を公開できる

■デメリット

  • 初期費用が高額になりやすい
  • SEO対策が必要で、効果が表れるまで時間がかかる
  • ホームページの制作や管理に専門知識が必要

※オウンドメディアリクルーティングについて詳しく知りたい方はこちら
【初心者向け】オウンドメディアリクルーティングとは? 今すぐ始める方法とメリットを解説

ハローワーク

公共職業安定所(ハローワーク)を通じて求人を行う方法です。
ハローワークは厚生労働省によって全国500か所以上に設置されており、採用成功まで無料で利用できます。
求人情報はハローワークインターネットサービスを通してWeb上にも掲載されます。

■費用
すべて無料で利用できます。
ただし、求人票の作成や面接の実施などにかかる人件費は考慮する必要があります。

■メリット

  • 完全無料で利用できる
  • 地域に密着した求職者にアプローチできる
  • 公的機関のため信頼性が高い

■デメリット

  • 専門性の高い人材を見つけるのが難しい場合がある
  • 求人票の記載内容に制限がある
  • 広いエリアでの募集には向いていない

※ハローワークについて詳しく知りたい方はこちら
ハローワークとは?求人掲載の出し方は?流れと記入のコツを解説

人材紹介

人材紹介は、企業の希望に合う人材を紹介してマッチングするサービスです。
「人材紹介エージェント」とも呼ばれ、企業の採用活動を総合的にサポートしてくれます。

■費用
採用成立時に想定年収の30%程度の成功報酬が発生します。
例えば、採用した人材の想定年収が400万円であれば、人材紹介会社に支払う料金は120万円程度です。

■メリット

  • 専門的なスキルを持つ人材を紹介してもらえる
  • 採用までのプロセスをサポートしてもらえる
  • 採用が成立しない限り費用が発生しない

■デメリット

  • 成功報酬が高額になる可能性がある
  • 紹介される人材が限られる場合がある
  • 採用ノウハウを自社に蓄積しにくい

人材派遣

人材派遣会社を通じて、一定期間労働者を派遣してもらう方法です。
短期的な人材ニーズや、特定のプロジェクト期間中の人材確保に適しています。
雇用契約はあくまで「派遣元会社と人材」の間にあるので注意が必要です。

■費用
「派遣会社所定の時間単価×実労働時間」で算出するのが一般的です。

■メリット

  • 短期的な人材ニーズに柔軟に対応できる
  • 専門スキルを持つ人材を迅速に確保できる
  • 派遣期間終了後に直雇用できるサービスもある

■デメリット

  • 派遣期間中は自社の人材ではない
  • アルバイトやパートを雇用するよりも単価が高くなりやすい
  • 業者によってサービスや人材の質にバラつきがある

SNSを利用した採用

企業が自社のSNSアカウントを通じて情報を発信し、求職者と交流しながら採用活動につなげる方法です。
主要なSNSとしてはLinkedIn、Facebook、X(旧Twitter)、Instagramがあげられます。

■費用
基本的に無料。

■メリット

  • 普段の投稿内容から双方の理解を深められる
  • 応募者の素の人柄や自社との相性などを確認しやすい
  • 採用コストを大幅に抑えられる

■デメリット

  • 定期的な更新が必要ですぐには効果が出ない
  • 投稿内容によっては自社のイメージを悪くすることがある
  • 属人的な採用になりやすい

リファラル採用

現在働いている従業員から、知人を紹介してもらい採用につなげる方法です。近年人気を高めており、多くの企業が導入しています。
特に建設業は人のつながりが強い業界なので、リファラル採用が向いている企業は多いかもしれません。

■費用
無料で始められますが、紹介者へのインセンティブを設定することがおすすめです。

■メリット

  • 既存従業員による紹介なので信頼度が高い
  • 転職市場にいない人材を採用できる
  • 従業員に自社の理念が根付きやすくなる

■デメリット

  • 紹介された人材がすぐに入社するとは限らない
  • 不採用とした場合、紹介してくれた人材へのケアが必要
  • 既存従業員に似たタイプの人材が集まる可能性がある

※こちらの記事ではリファラル採用のメリット・デメリットを詳しく解説しています
リファラル採用とは?メリット・デメリット・成功させるための促進方法まで徹底解説!

建設業の採用を成功させるなら「採用係長」

「できれば採用全般をサポートしてほしい……」
こういったお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

そこでおすすめのツールに「採用係長」があります。

採用係長は、サイト作成や求人票作成、応募者管理をはじめ、採用業務に関する機能を30種類以上備えた「採用マーケティングツール」です。
例えばサイト作成では、複数のテンプレートから好みのデザインを選ぶだけで、「最短2分」でオリジナル採用サイトを作ることが可能。

さらに、下記のように複数のメリットがあります。

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当社ネットオンは、2004年の創業以来、採用Webマーケティングの分野で事業を展開し、零細企業や中小企業から大企業、さらには官公庁まで支援してきました。

電話やメールなど、お客様のニーズに応じて採用課題をサポートしますので、まずはお気軽にご連絡ください!
採用係長に関するお問い合わせはこちらから

まとめ

この記事で紹介したように、理想的な人材を採用する方法は多種多様です。
重要なのは、各方法のメリットとデメリットを理解し、じっくりと自社に最適な方法を見つけること。採用難の時代だからこそ、戦略的なアプローチが人材確保の鍵となるでしょう。

なお、「採用業務全般を効率化したい」「採用活動そのものをサポートしてほしい」と考えている場合は、採用マーケティングツール「採用係長」がおすすめです。
経験豊富な専門スタッフがそろっていて、皆さまの採用成功をサポートしますので、気になる方はぜひお問い合わせください。
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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