リファラル採用とは?メリット・デメリット・成功させるための促進方法まで徹底解説!

近年注目を集めている採用手法の1つに「リファラル採用」があります。
一言でいうと、リファラル採用は既存従業員の紹介から採用につなげる手法で、採用コストの節約や定着率の向上などのメリットがあります。

一方で、最近になって浸透してきた採用手法であり、従来の採用活動とは進め方やポイントなども異なります。
制度についてよく理解していないと、リファラル採用は成功しないかもしれません……。

この記事では、リファラル採用の必要性やメリット・デメリット、導入のステップとポイントなど、実施にあたって知っておくべき知識を具体的に解説しています。
まさに、「リファラル採用について知りたいならこの記事を読めばOK」という記事です。
ぜひ、自社での採用活動にお役立てください!

目次

リファラル採用とは何か?

リファラル採用とは、既存従業員に知人を紹介してもらい、採用につなげる手法です。
「リファラル(referral)」は、英語で「推薦」「紹介」などの意味を持ちます。

知人を紹介する従業員は、自社の経営理念や社風、事業内容などを踏まえて、マッチした人材を紹介します。
紹介したからといって必ずしも採用に至るわけではなく、基本的には、通常の採用と同様に面接や書類選考を実施します。

リファラル採用と縁故採用の違いとは

リファラル採用と似ている採用手法に「縁故採用」があります。
縁故採用とは、主に従業員と血縁関係にある人物や親族を採用する手法を指し、「コネ採用」とも呼ばれます。
採用が前提となっているケースが多く、従来の採用活動とは違う選考ステップが用意されていることが珍しくありません。

一方でリファラル採用は、血縁関係に限らず、自分と何らかのつながりがある人物を紹介して、採用につなげる手法です。
採用が前提とされているわけではなく、企業と接点ができた後は、基本的に通常の選考と同じ流れで進みます。

リファラル採用と縁故採用は、似ているようで微妙に異なる採用手法なので、違いを理解した上で使い分けましょう。

リファラル採用が導入されるようになった背景

リファラル採用が注目を集めている背景には、下記のような理由があります。

・市場全体の労働力不足により、自社にマッチした人材が見つからない
・自社への適性度を見極めずに採用しているため離職者が多く、その補充としての採用が増えている
・採用コストをできるだけ抑えたい
・自社採用サイトや求人サイトでは優秀な人材を確保できない

人材不足やキャリアの多様化、働き方の柔軟化などを背景に、採用活動はこれまでより難しくなっている現状です。
その中でも自社に合った人材や、優秀な人材を獲得するために、従来の採用手法とは異なるアプローチとして、リファラル採用が注目を集めています。

リファラル採用の導入メリット

リファラル採用の実施は、企業にとって複数のメリットをもたらします。
代表的なメリットは、下記の4つです。

①採用のミスマッチを防止し、離職率の低い人材を採用できる

自社の内情や企業理念、事業内容などを理解した従業員からの紹介であるため、ミスマッチを防止しやすい点がメリットです。
採用された新入社員も、社内に知人がいることが安心材料となり、組織にスムーズになじめる可能性が高くなります。
価値観やスキルが自社とマッチし、かつ定着しやすい環境が整っているため、結果として離職率も下がるでしょう。

ただし、採用のミスマッチを防止するためには、紹介してもらう従業員に対して、どのような人材を求めているのかを明確に伝えておくことが重要です。

②採用コストを削減できる

採用にあたって何らかのサービスやツールを利用しないため、採用コストを節約できることもメリットの1つです。
一般的に、求人サイトや人材紹介などの専門サービスを利用すると、数十万~数百万円のコストが発生します。
それらのコストが一切発生せず、選考の進め方によっては、1円もかけずに採用まで結びつけることも可能です。

リファラル採用で入社した人材が定着してくれれば、長期的に見ても採用コストを節約できるといえます。

③転職市場外の人材(潜在層)を採用できる

「何かきっかけがあったら転職したい」「いつか転職したい」のように考えている、転職潜在層にアプローチできることも特徴です。
従業員が自社のことを紹介する相手が、すぐに転職したいと考えているとは限りません。

一方で、転職潜在層は通常の採用活動では出会えない人材層であるため、定期的にアプローチをして、自社の魅力や思いを伝え続けることで採用につながりやすいといえます。
多少時間はかかったとしても、いざ転職に前向きになった際に、最優先で自社への応募を考えてくれるでしょう。

④従業員エンゲージメントの向上が期待できる

意外かもしれませんが、既存従業員のエンゲージメントアップを期待できることもメリットの1つです。
リファラル採用では、企業理念や今後の展望などを紹介者が知人に話す中で、自身の仕事への向き合い方や展望などを見つめ直すきっかけになるためです。
知人とともに働けることがエンゲージメントアップにつながる場合もあります。

エンゲージメントは、従業員の定着率を高める上で重要な要素です。
リファラル採用が機能すれば、紹介者と被紹介者の両方が自社で長く活躍してくれる可能性が高まります。

リファラル採用の導入デメリット

リファラル採用にはメリットだけでなくデメリットもあるので、良い面だけを見て実施すると、後から思うような効果が出ない可能性があります。
メリット・デメリットの両方を踏まえて実施を検討することが大切です。

①採用・入社に至るまでに時間がかかる

リファラル採用の実施にあたっては、制度設計や社内への周知など、いくつかの準備段階を踏むことが必要です。
また、潜在層にアプローチできる一方で、接点を作った後に関係性を保ち入社してもらうまでには一定の期間を要します。
そのため、結果として採用・入社までに時間が必要となるケースが少なくありません。
早期の採用を望んでいる場合、リファラル採用のデメリットが大きくなる可能性が高いといえます。

②インセンティブを高く設定しすぎるとミスマッチが起きる

リファラル採用の実施にあたっては、紹介してくれた従業員に対して、インセンティブを支払うことが一般的です。
しかし、インセンティブを高く設定しすぎると、報酬目当てで知人を紹介する従業員が出てきやすくなります。
リファラル採用を浸透させる上でインセンティブの設定は重要ですが、その内容は十分に検討する必要があります。

③似たような人材が集まる

既存従業員は、仕事に対して同じような価値観を持っていたり、展開している事業にスキルや経験がマッチしていたり、何らかの似ている要素を持っています。
加えて、紹介者と仲の良い知人や過去に何らかの共通点から知り合った知人が集まりやすいため、人材の同質化が起きる可能性があります。

④不採用時にケアが必要となる

不採用とした場合、紹介した従業員と採用しなかった人材の両者に対するケアが必要です。
紹介してもらった知人は「ほぼ確実に採用してもらえる」と認識している場合が多く、紹介者との関係性が崩れる可能性もあります。
不採用とした場合のケアはもちろん、採用を前提とした紹介ではないことは事前に伝えておきましょう。

リファラル採用の導入にかかる費用

ここでは、リファラル採用の導入にあたって発生する費用について解説します。
相場も紹介するため、自社での実施をイメージしながら確認してみてください。

紹介報酬制度(紹介者ボーナス)

リファラル採用では、実際に知人を採用した場合、紹介報酬として紹介者に何らかのインセンティブを支払うことが一般的です。
金銭を支給する場合もあれば、金銭以外の福利厚生をインセンティブとする場合もあります。

紹介報酬制度の例は下記の通りです。

・1万円~30万円程度の金銭
・有給休暇の付与
・景品
・表彰
・会社独自のポイントの付与
・人事評価制度への加点
など

何を紹介報酬とするか、金銭の場合はいくら支払うかは法律などで決められていないので、従業員のモチベーションを高めるための内容を検討の上、設定してください。

インセンティブ以外の採用活動費

インセンティブ以外に、リファラル採用を実施するにあたって必要な活動費を企業から支給する場合もあります。一例は下記の通りです。

・紹介者と被紹介者の飲食代
・紹介する知人に会うための交通費
・消耗品費
など

インセンティブに比べてモチベーションに直接的な影響は与えにくいものの、リファラル採用に積極的に取り組む従業員は増えるでしょう。

プラットフォームなど外部サービスの利用料金

最近では、リファラル採用に特化したプラットフォームやツールなど、採用活動を効率化するための外部サービスが増えています。

外部サービスを利用する場合、導入費や月額料金が発生します。
金額の詳細は、利用する製品やプランによって異なるため、事前に問い合わせた上で導入を判断すると良いでしょう。

リファラル採用の導入で失敗しないためのポイント

リファラル採用は、従業員にとってはインセンティブなどの魅力的な要素がある一方で、労力が増えるため、浸透させるのは簡単なことではありません。

失敗させないためのポイントは、「当事者意識を持ってもらうこと」と「従業員のニーズをくみ取ること」です。
まずは、自社が現在抱えている課題を伝えて、企業成長のためにリファラル採用を成功させたい旨を伝えます。
その上で、従業員のニーズをインセンティブなどに反映させ、協力してくれた分の対価はしっかりと準備する姿勢を示しましょう。

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リファラル採用を成功させる促進方法

リファラル採用には失敗のリスクも潜んでいるため、成功させるためには、事前にポイントを理解した上で進めることが大切です。

①リファラル採用が機能する状態になっているかどうか確認する

そもそも、リファラル採用が機能するのかを判断するために、「従業員が自社のことを紹介してくれる状態か」をチェックします。

まず大きな指標となるのは、自社のことをどれだけ知人に勧めたいかを表す「eNPS」です。
他には、リファラル採用実施にあたっての心理的ハードルや制度に対する基本的な認知度、人脈などの要素を可視化することもおすすめです。
収集したデータを元に改善が必要であれば、この時点で施策を考え、取り組みに落とし込んでおきましょう。

②リファラル採用の制度を設計する

リファラル採用の詳細を決め、制度として設計します。
下記の内容について、具体的に検討しましょう。

・採用したい人物像(性格やスキル、経験など)
・紹介後の選考過程
・リファラル採用を浸透させるための体制
・社内に周知させるための方法

このステップで決めた内容が、今後のリファラル採用において基礎となります。
初めてリファラル採用を実施する場合は時間がかかることもありますが、できるだけ具体的に制度を設計しましょう。

③インセンティブ(報酬)を設定する

制度を設計したら、インセンティブや採用活動費の支給について決めます。
インセンティブは、リファラル採用に対する従業員のモチベーションに直結する要素であり、自社のことを積極的に紹介してくれるようになるでしょう。

ただし、採用候補者が増えやすい一方で、インセンティブを充実させすぎると報酬目的でむやみに紹介する従業員が出てくる可能性もあります。
結果として、面接の負担だけが増えたり、採用後のミスマッチが生じたりするため、バランスを考えて検討することがポイントです。

④社内告知を行う

制度として確立させ、インセンティブも設定したら、社内に周知しましょう。
社内告知の方法は下記のようにさまざまで、企業ごとに最適な方法を選んで実施します。

・全体研修の開催
・トップによるメッセージや方針の発信
・周知用コンテンツの作成
・社内メールでの通知

一回だけでは社内に浸透しない場合が多いので、繰り返し告知をすることが重要です。

⑤状況に応じて最適な施策を設計する

いざ実施する前に、社内の状況に応じて必要な施策がないかを確認します。
例えば、社内告知の結果、従業員から「もし不採用になった場合、知人との関係性が崩れそうだから心配」という声が挙がったら、不採用時のケアをさらに充実させる必要があります。
従業員の不安材料を事前になくすと、リファラル採用をスムーズに浸透させることが可能です。

⑥施策の成果を計測しPDCAサイクルを回す

リファラル採用を開始したら終わりではありません。
実施後の効果を分析しながら、PDCAサイクルを回しましょう。

例えば、数ヶ月が経過しても、誰からも紹介がない場合、社内告知が不十分だった可能性があります。
社内告知に欠点が見つからないのであれば、インセンティブの設定が甘いのかもしれません。

効果の高いリファラル採用をすぐに実施するのは簡単ではありません。
PDCAサイクルを回す中で洗練され、採用効果の高い制度になっていくでしょう。

リファラル採用の成功事例(中途・新卒・アルバイト別)

リファラル採用を成功させるには、他社の成功事例を参考にすることもおすすめです。
ここでは、中途・新卒・アルバイト別に、リファラル採用の成功事例を紹介します。

中途採用のリファラル採用導入事例

【概要】
顧客管理ツールや営業管理ツールを提供する株式会社セールスフォース・ドットコムは、企業成長のために採用人数を増やし、かつ定着率を高めるために、リファラル採用を導入しました。
過去には、リファラル採用の取り組みが評価され、「Referral Recruiting AWARD 2018」を受賞しています。
現在では従業員の多くをリファラル採用から雇用しており、元々実施していたエージェント採用からリファラル採用に移行しています。
採用人数が増えただけでなく、組織全体のエンゲージメントが高まり、離職率の低下や生産性向上などの効果ももたらされたようです。

 

【成功ポイント】
・募集中のポジションについて、採用部門から社内コミュニケーションツールで配信するとともに、経営層からも周知
・紹介してくれた従業員に対して旅行券プレゼントなどのキャンペーンを実施
・コアバリューにフィットしているかどうかを面接時に確認

新卒採用のリファラル採用導入事例

【概要】
クレジットカード事業などを展開している株式会社クレディセゾンは、「母集団形成」「ミスマッチの防止」「採用にかける工数・コストの節約」の3つの目的から、新卒を対象にリファラル採用を始めました。

具体的には、10月の内定式においてリファラル採用について伝え、後輩に自社のことを紹介してもらう方法を取りました。
予想していた以上の紹介があったとともに、内定者が応募理由や企業の魅力を改めて整理するきっかけにもなったようです。

 

【成功ポイント】
・コンテンツを作成してリファラル採用の意義を明確に伝えることで共感を得た
・社内報にてリファラル採用のインタビュー記事を取り上げた

アルバイト採用のリファラル採用導入事例

【概要】
東京レストランツファクトリー株式会社は、アルバイト人員を確保するためにリファラル採用を実施しました。
信頼している既存従業員からの紹介なので、ほとんどが採用に結びついており、リファラル採用により入社した従業員は定着率も非常に高いようです。

中には、リファラル採用だけでアルバイトを確保できるようになった店舗もありました。
人手不足が解消されると同時に、採用単価が大きく下がったようです。

 

【成功ポイント】
・リファラル採用の経営効果や目的を全店長に丁寧に伝えた
・採用コストが節約されると、その分が自分たちの給料に還元されるかもしれないことの理解を促進した

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リファラル採用の実施を検討しているものの、始めるまでに時間や労力がかかることから悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
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まとめ

リファラル採用は、従業員が知人に自社のことを紹介し、そこから採用につなげる手法です。
採用コストの節約やミスマッチの防止などの面から注目を集めており、リファラル採用を実施する企業は増えています。
一方で、採用までに時間がかかることや、人材の同質化が起きる可能性があることなどのデメリットもあり、中身を練ってから実施しないと、かえって負担が大きくなる場合もあります。

ぜひ、当記事の内容を踏まえて、自社に最適なリファラル採用を設計してください。

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この記事を書いた人
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
監修者
辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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