建設業の若者離れを解決するための4つの採用ポイント

工事現場の足場

建設業界に大卒の新卒者が入社する割合は毎年増加しており、2019年は前年比3.4%となりました。一方で有効求人倍率は建設技術職で6.81倍、建設技能工で5.73倍となり人手不足の状況は続いています。東京オリンピックの影響があるとはいえ、慢性的な人手不足が解消されない理由はどこにあるのでしょうか。

なぜ建設業界は採用が難しいのか

建設業界の採用の難しさは労働条件に対するイメージが大きく影響しています。どのような課題があるのでしょうか。

3K職場のイメージ

建設業界はきつい・汚い・危険のイメージが強い業界です。設計やデベロッパーの上流工程はともかく、「夏は暑く冬は寒い」「重い資材の運搬がある」「高所での危険な作業がある」ような建設業界の現場で、積極的に働きたいと考える若年層は少なくなっています。厚生労働省の「建設労働者を取り巻く状況について」の調査によると、建設業に就労する労働者の34%が55歳以上、29歳以下はわずか11%です。

これは若者の考え方の変化も大きく影響していると考えられます。「3Kでも稼げるから建設現場で頑張る」と考える若者が減り、「収入が少なくてもワークライフバランスを重視する」という若者が増えているのです。

また、地方のような交通手段に車が必須なエリアは別として、都市部では車も免許もない若者が珍しくありません。建設業だと現場まで車で向かうことが多いため、車ユーザーの減少も建設業界の採用に影響しているといえます。

雇用条件が悪いイメージ

建設業界は社会保険や福利厚生が整っておらず、雇用条件が悪いイメージがあります。しかし、これは半分正しく半分間違っています。

確かに以前は雇用条件が悪い会社も多数存在しました。しかし、現在は工事の発注元である大手建設会社やデベロッパーは、保険に入っていない労働者の事故のリスク回避や、コンプライアンス遵守の精神から、社会保険に加入しているかどうかを厳しくチェックするようになっています。仮に社保未加入の労働者が現場に入ろうとした場合、作業をさせずに帰すのは普通です。

国の施策としても平成29年から建設業者の社会保険への加入が必須になったため、一昔前のように社会保障や福利厚生が整っていない建設業者は非常に少なくなりました。

一方で残業や勤務時間数に関しては課題が多いです。厚生労働省の「建設業及び建設工事従事者の現場」によると、全業種での所定外労働時間の平均が132時間であるのに対し建設業は160時間。所定内労働時間に関しては全業種の平均が1609時間であるのに対して、建設業は1918時間に達しています。

所定内労働時間が大幅に時間が長い理由は、週休2日の会社が少ないことが理由です。なお、残業については、そもそも業界全体で人手が不足していることや、短納期でも工期を延ばせないことなどが理由と考えられています。

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なぜ建設業界は人材が定着しないのか

建設業界は若年層の定着に大きな課題を抱えています。建設業における3年目までの離職率は高卒で48.5%、大卒で29.2%に達し、このままだと労働者の高齢化と中堅層の空洞化が避けられません。

体力的な問題で続けられない

20代のうちは無理が効いた体力も必ず衰えがきます。若年層でも体をすでに痛めているケースもあるでしょう。

将来を考えた時にずっと建設業界で働くのが難しいと考える層は業界を離れてしまいます。転職するなら未経験でも異業種に挑戦しやすい20代・30代のうちにと考えるのは自然です。

収入が安定しない

3K職場で長時間労働とはいえ、今回のオリンピックのように特需があって案件が多い時はかなりの高収入を得ることが可能です。仕事内容や労働時間にもよりますが、月収70万円も可能というような募集も見かけます。

しかし、現場がなければ収入は減ってしまいますし天候にも左右されます。固定給の正社員はむしろ少なく、正社員でも日給月給というケースが珍しくありません。安定した収入を望む労働者は業界を離れてしまいます。

課題解決にむけて取り組む4つのポイント

このように採用課題が多い建設業界ですが、課題解決に向けてどのような取り組みが必要なのでしょうか。学歴や職歴に関係なく高収入が可能という魅力は確かにあるので、課題を解決しつつどのように魅力を発信していくかが鍵でしょう。

女性でも働ける環境を整備する

建設業に従事する女性労働者は増加傾向であり、平成26年の時点で75万人に達しています。人手不足を解消するためには女性労働者を雇用できる環境を整えることも重要です。

子育て世代やシングルマザーの場合は長時間労働が不可能なケースが多いため、労働時間の短縮のために業務の切り分けを行う、労働環境としては性別を分けたトイレを設置するなど、様々な側面からアプローチがあります。

高収入の魅力を訴えつつ雇用条件・福利厚生を透明化する

建設業界は他業種と比べて高収入であるのは確かです。厚生労働省の調査では全業種の平均年収が479.7万円に対して建設業は496.2万円というデータが出ています。しかしながら前述したような過酷な労働条件があるので、なかなか採用定着が難しいという現状があるのです。

過酷な状況を一朝一夕に変えるのは難しいとしても、実際の労働状況を透明化することでミスマッチを防ぐことはできます。高収入の魅力を訴えつつ、労働時間や現場での勤務イメージをしっかり掴んでもらうことも必要です。

体力やライフステージの変化に合わせたキャリアチェンジを可能にする

体力的に若い時しか働けないという理由で離職してしまう労働者も多いです。
30代、40代になって建設現場から離れても、建設業界で働けるようなキャリアプランを雇用主側が構築しましょう。

資格取得などスキルアップのサポートを行う

前述のようなキャリアチェンジを可能にするためには、PCを使った事務能力のスキル、営業等の交渉スキル、 CAD等のソフトウェア操作スキルなどを現場勤務と並行して身につけておく必要があります。長期で業界で活躍してもらうために雇用主側は従業員のスキルアップを常に気にかけましょう。

また、各種資格の取得に関して費用負担等の補助を行うことで従業員のスキルとモチベーションアップにつなげることもできます。従業員の資格取得によって国から助成金をもらえる制度もあるため、こういった制度をうまく活用して従業員の活躍の場を広げてもらうことも有効です。

まとめ

建設業界の人手不足を解消するためには長期的に働けるような労働環境の整備が重要です。建設業者は自社の労働環境に関しての取り組みを求人票でアピールすることが採用に繋がります。

常に人手不足の建設業者では、複数の媒体に求人票を掲載し大量募集を行うことが多いはずです。そんな時に各媒体向けに一つずつ求人票を作成するのは、多大な労力がかかります。

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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