ChatGPTなどの生成AIを使って、求人票(求人原稿)の下書きを作る中小企業が増えています。自社の調査でも、人事・採用の仕事にAIを「活用している」「今後活用する」と答えた事業所は27.9%にのぼりました(中小企業のDXに関する自社調査。※「活用している」と「今後活用する」を合わせた割合です)。
ただ、AIが書いた下書きをそのまま公開すると、応募が来なかったり、入社した人とのミスマッチが起きたりしがちです。これはAIそのものの問題というより、使い方の問題で、少しの手直しで防げます。
この記事では、AIが書いた求人原稿をたたき台として使い、人が手直しして応募が来る原稿に仕上げるやり方を、中小企業の採用担当者向けにまとめます。大事なのは、AIに任せていい部分と、人が必ず確認する部分を分けること。特別なツールも専門知識も要りません。特定のAIツールの優劣を比べるものではありません。
目次
生成AIで作った求人票をそのまま出すと、応募が来ないのはなぜか
生成AIは、指示(プロンプト)が短くて情報が足りないと、当たりさわりのない文章を出します。そのまま出すと応募が来ない求人票には、だいたい次の5つの失敗のどれかが当てはまります。まずは自分のAI原稿に当てはまるものがないかを確認してみてください。
1. 無難で、どこの会社にも見える
「やりがいのある職場です」「アットホームな環境です」は、AIがよく使いがちな言い回しです。悪くはないのですが、他社と同じ言葉が並ぶと、求職者の記憶に残りません。原因は、AIに自社ならではの情報を渡していないことにあります。
2. 仕事内容が具体的でない
「事務全般」「営業のお仕事」だけでは、応募者は入社後の姿を想像できません。1日の流れ、使う道具やソフト、任せる範囲(初級・中級など)をAIに伝えていないと、抽象的な説明のままになり、実態とずれた応募(ミスマッチ)につながります。
3. 自社の強みや社風が入っていない
残業の実際の時間、評価のしくみ、一緒に働くメンバーの雰囲気。こうした現場の情報を渡さないと、AIは書きようがありません。求職者が本当に知りたいのはこの部分で、ここが抜けると決め手のない求人票になります。
4. 労働条件が不正確・古い
AIは、あいまいな指示だと労働条件を推測で埋めてしまうことがあります。とくに注意したいのが、募集時に明示すべき労働条件です。2024年4月から、募集や求人申込みのときに示す事項が追加されました(①従事する業務の変更の範囲 ②就業場所の変更の範囲 ③有期契約を更新する場合の基準)。これは職業安定法にもとづくもので、自社のホームページでの募集も対象です。AIは最新のルールや自社の実際の条件を反映しきれないことがあるので、条件は必ず人が原本と照らし合わせて確認します。
試用期間や固定残業代の書き方、NGワードなど、求人票で気をつけたい表現や法律は範囲が広いテーマです。網羅的なチェックは求人広告のNGワード・禁止表現まとめにゆずり、ここでは、AIが間違えやすい急所にしぼって扱います。
5. 載せる媒体に合っていない
求人を載せる場所によって、読まれやすい書き方や必要な項目は変わります。AIに「どこに載せるか」を伝えないまま作ると、媒体の特性に合わない、汎用的な原稿になりがちです。
そしてもう一つ、全体に共通する注意点があります。生成AIは、事実に基づかない内容をもっともらしく書いてしまうこと(ハルシネーション)があります。国の資料でも、AIの出力は利用者が正確性を確認することが求められると整理されています(総務省『情報通信白書』)。数字・固有名詞・制度の名前などは、そのまま信じずに人が裏を取りましょう。
AIに任せていい部分と、人が必ず確認する部分の早見表
失敗を防ぐには、まず役割を分けます。AIは文章を整えるのは得意ですが、事実と自社らしさは苦手です。この線引きを最初に決めておくと、手直しが速くなります。
| AIに任せていい(下書き・整形) | 人が必ず確認・追記する(事実・自社らしさ) |
|---|---|
| 構成案・見出しのたたき台づくり | 自社の強み、現場の生の情報(具体的な数字) |
| 文章の言い換え・箇条書きへの整理 | 労働条件の正確さ(募集時に明示する事項) |
| 誤字脱字・表記ゆれの調整 | 誇大・差別につながる表現やNGワードの有無 |
| ていねい・カジュアルなど文体の調整 | 載せる媒体に合わせた項目・書き方 |
| 複数パターンの案出し | 数字・固有名詞・制度名などの事実確認 |
ひとことでいえば、任せるのは言い回し、確認するのは事実と自社らしさです。次の章から、この線引きにそって具体的に直していきます。
AIが書いた求人票を、応募が来る原稿に直す手順
AIの下書きは、次の4ステップで仕上げます。AIが苦手な事実と自社らしさを、人があとから足していくのがコツです。

AIの下書きは「たたき台」。3つの具体性を足し、事実を人が確認して仕上げます。
- 現場から生の情報を集める
まず、実際に働く現場の責任者やスタッフから、仕事内容・1日の流れ・残業の実際・評価や育成のしくみ・職場の雰囲気などを、箇条書きで聞き取ります。これがAIに渡す材料になります。 - 3つの具体性を足して作り直す
集めた情報をもとに、AIへの指示に次の3つを盛り込みます。
・ターゲット:どんな経験・スキルの人に来てほしいか
・自社の一次情報:残業の実時間、休日、評価のしくみなど具体的な数字や事実
・トーン:「未経験者の不安を解消するように、やわらかい口調で」など伝えたい雰囲気 - AIが間違えやすい急所を人が点検する
定型文(「アットホーム」など)は自社の具体に置き換え、労働条件は原本と照らし合わせ、数字や固有名詞は裏を取ります。ここが手直しの中心です。 - 載せる媒体に合わせて整える
公開する求人検索エンジンや媒体に合わせて、項目や見出しをそろえます。
たとえば、AIが出した「アットホームな職場で、やりがいを持って働けます」という一文は、そのままでは他社と変わりません。ここに現場の情報を足すと、「未経験で入った先輩が半年で一人立ちしています。わからないことは、すぐ隣の先輩に聞ける距離感です」のように、具体的で自社らしい文章になります。直すのは中身であって、きれいな日本語にすること自体はAIに任せて構いません。
求人票を一から書く基本の手順や、項目別のテンプレート・例文は、次の記事にまとめています。AIの下書きを直すときのお手本としても使えます。
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AIで直した求人票を応募につなげるには|載せる場所と受け皿
原稿がよくなっても、載せる場所と応募の受け皿がなければ、応募は増えません。手直しした求人票は、次の流れで応募につなげます。
- 自社の採用ページ(求人ページ)を用意して、応募を受け取れるようにする
- そのページを、求人ボックスやGoogleしごと検索などの求人検索エンジンに連携して、見てもらう機会を増やす
- 応募が来たら、対応や選考の状況をまとめて管理する
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生成AIと求人票づくり よくある質問(FAQ)
ChatGPTで求人票は作れますか?
下書きは作れます。ただし、そのまま使うより、たたき台として考えるのがおすすめです。自社の情報を足し、事実を人が確認して仕上げると、応募が来る求人票に近づきます。
AIで作った求人票を、そのまま出すと問題になりますか?
募集時に示すべき労働条件(従事する業務や就業場所の変更の範囲など)が抜けていたり、事実と違ったりすると問題になり得ます。条件は人が原本と照らし合わせて確認しましょう。表現面のチェックは求人広告のNGワード・禁止表現まとめが参考になります。
どこまでAIに任せていいですか?
言い回しや文章の整形は任せて構いません。事実(労働条件・数字)と自社らしさ(強み・社風)は、人が確認・追記します。目安は、この記事の早見表をご覧ください。
AIで作ると無難になってしまいます。防ぐには?
現場の生の情報(具体的な数字や、働く人の様子)をAIに渡すことです。材料が具体的になるほど、出てくる原稿も具体的になります。
生成AIは、採用の他の場面でも活用が広がっています。採用全体でのAIの使いどころは、AIを活用した採用活動のメリット・デメリットもあわせてご覧ください。
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