求人広告を作成するには? 採用効果の高い書き方と注意点を解説!

求人広告は、企業が人材を募集する際に利用することの多いサービスのひとつです。求人広告の掲載には求人原稿の作成が不可欠ですが、近年では無料求人サービスの増加にともない、採用担当者が自ら原稿作成をする機会が増えています。

そこで今回は、これから求人広告を活用して人材採用を始める採用担当者に向けて、効果を高める書き方や注意点など、求人広告作成のポイントを解説します。

求人広告とは

求人広告とは、企業の人材募集(=求人)を目的とした広告のことです。一般的には、求人媒体(メディア)に掲載される求人票のことを指します。 インターネットの普及とテクノロジーの進化によって、近年ではGoogleやYahoo!などの検索エンジン連動型広告(リスティング広告)や、SNSを活用した求人広告が登場。求人広告の多様化が進んでいます。

また従来の求人広告は、求人掲載そのものに料金がかかる「掲載課金型」が主流でした。現在は特定の成果に対して費用を支払う「成果報酬型」の求人広告も存在します。 求人票がクリック(=閲覧)されると費用が発生する「クリック課金」、応募に対して費用を支払う「応募課金」、入社が決まるまで一切料金がかからない「採用課金」。企業には幅広い選択肢が用意されています。

各求人サービスにおいてもプランやオプションがあるため、採用の成功を目指すためには自社にあった求人広告を選ぶことが大切です。

求人広告の種類

紙媒体の求人広告

紙媒体の求人広告には、求人情報誌や求人フリーペーパー、新聞、折込求人チラシ、ポスターなどが挙げられます。駅や店舗など人が多く集まる場所に配布用のラックが設置されているほか、個人宅に直接投函されることも多いため、地域密着型の求人媒体であることが特長です。

紙媒体の求人広告を活用するメリット

  • 地方人材へのアプローチに有効
  • 積極的にインターネットを利用しない求職者にも情報を届けられる
  • ポスターは企業認知のきっかけになり、転職潜在層への働きかけも可能 など

紙媒体の求人広告のデメリット

  • 効果に関わらず掲載費用がかかる
  • すでに掲載(配布)された求人広告の内容は変更できない
  • インターネットを多用する若手人材へのアプローチが弱い
  • Web媒体の求人広告のような効果検証ができない など

Web媒体の求人広告

Web上の求人媒体には、求人メディア(就職・転職情報サイト)、求人検索エンジン(IndeedGoogleしごと検索等)、SNS広告などがあります。 パソコンやスマートフォンから求人情報を検索する求職者に対し、タイムリーに求人情報を届けられることがWeb媒体の求人広告の特長です。

Web媒体の求人広告を活用するメリット

  • 数多くの求職者に情報を届けられるため、母集団形成がしやすい
  • 効果検証を行いやすく、効果向上のための改善ができる
  • 無料掲載やすぐに求人を始められるサービスもある
  • 採用ターゲットへのアプローチが可能なサービスでは、採用条件に合致する人材からの応募を獲得しやすい など

Web媒体の求人広告のデメリット

  • サービス数が多く、自社に合った媒体選びが難しい
  • プランやオプションの内容によっては、費用が高額になることがある
  • 無料サービスを効果的に活用するには、サービスを理解する必要がある
  • 人気求人の場合には、応募者対応の負担が大きくなる など

求人広告を利用した採用がおすすめのケース

多様な求人手法がある中で、求人広告はどのような企業にとって、最適な採用手法なのでしょうか。ここでは、求人広告を利用した採用に向いているケースについて解説します。

採用予定人数が多い

採用予定人数が多い企業には、利用料金が定額の求人広告をおすすめします。一定の掲載料金で多くの人材を採用できれば、一人あたりの採用単価を低く抑えることが可能だからです。
ただし、成果報酬型の求人広告はおすすめできません。特に「採用課金型」は、採用人数分だけ費用がかかるため、採用コストが高額になってしまう可能性があります。
各サービスの料金プランを確認したうえで、1人あたりの採用単価を抑えられる求人広告を選びましょう。

ポテンシャル重視の採用

会社の状況や仕事内容によっては、経験やスキルよりも人物像やポテンシャルが重要となることもあるでしょう。そのような場合には、多くの求職者の目に触れる機会がある求人広告での人材募集が向いています。
未経験者歓迎の募集のように応募資格を明確にできない場合は、成果報酬型よりも掲載課金型のほうがトータルコストを抑えられる可能性が高いでしょう。

従事者の多い職種を募集する

営業職や事務職など従事する人の多い一般的な職種は、求人数も多くなる傾向がみられます。特に総合求人サービスにおいては、その傾向が顕著です。 実際に、転職サイト大手『リクナビNEXT』で求人件数を確認しました。2022年11月8日時点での結果では、以下のように営業職・事務職の求人数が他の職種よりも多いことが分かります。

営業 13,196件
事務・管理 9,368件
企画・マーケティング・経営・管理職 3,705件
サービス・販売・外食 3,772件
Web・インターネット・ゲーム 3,244件
医療・福祉・介護 1,169件

出典:リクナビNEXT 2022年11月8日時点の求人数(一部の職種カテゴリは省略)
一方で、求人媒体の利用ユーザーである求職者も、当該職種の経験者・希望者が多く集まっています。つまり、こうした職種の人材募集を行う際には求人広告が最適ということです。 ただし、専門職に求人広告が向かないわけではありません。特定の業界や職種に特化した求人媒体がある場合には、その求人広告を利用することで採用ターゲットからの応募を獲得しやすくなるでしょう。

求人広告を作成するときのポイント

求職者を理解し、自社の採用ターゲット像を明確にする

求人広告はいきなり書き始めるのではなく、情報を届ける相手=採用ターゲットを設定してから原稿作成に取り掛かります。 採用ターゲットについて考える際は、単に“採用条件(=経験・スキル)を満たす人”で終わらせず、その人材が就職・転職に際して何を重視しているかまで思考することがとても大切です。 重視するポイントは、以下の4つに分けることができます。

仕事 得られる経験・スキル、希望業務への従事、裁量権の大きさ など
待遇 給与・福利厚生の充実、人事制度の整備、オフィス環境、休暇取得のしやすさ など
企業 業績・成⻑性、ブランド力、企業ビジョンへの共感 など
経営者や同僚の人柄・経歴、職場の雰囲気・平均年齢 など

重視するポイントを理解することで、採用ターゲットをより明確にすることが可能です。それによって訴求ポイントの優先順位がつきやすく、より適切な表現方法で求人広告を作成することができます。

採用ターゲットに提供できる自社の魅力(価値)を考える

採用ターゲットに入社してもらうためには、自社の魅力を伝えることが必要です。3C分析(※1)を用いて、採用ターゲットに提供できる価値について考えましょう。
※1 マーケティング領域で事業戦略や方針決定などに活用されるフレームワークのひとつ。Customer(顧客)/Competitor(競合)/Company(自社)の3つをそれぞれ分析する

3C 分析内容 詳細
Customer
(市場/顧客[採用ターゲット])
採用市場と採用ターゲットについて考える ・採用市場におけるターゲット者数、求人倍率 など
・ターゲットが企業選びで重要するポイント(価値観の傾向)
・転職の条件や時期 など
Competitor
(競合)
採用競合の特長と自社との違いを考える ・競合企業のリストアップ
・採用活動の特長(手法、採用ポジション、待遇等)
Company
(自社)
求職者が重視する4つのポイント(仕事/待遇/企業/人)ごとに、採用における自社の強みと弱みを考える ・(企業)ブランド力/ネームバリュー、独自商品・サービスの有無 など
・(待遇)給与や福利厚生、各種制度の有無 など
・(仕事)業務内容、専門性、世の中への影響力 など
・(人)経営者、働く仲間、社風 など

伝え方を工夫し、自社の魅力を表現する

求人票の各項目は事務的に要件を書き並べるのではなく、見やすさと内容の分かりやすさを意識して作成しましょう。書き方の工夫次第で印象は大きく変わります。コピーライティングのような文章が書けなくても構いません。採用担当者が言いたいことではなく、採用ターゲットが知りたいこと、興味を持ちそうなことは何かを考え、キャッチコピーや本文の中にキーワードを盛り込んでいくと良いでしょう。
採用ターゲットが求人票を見たときに、「この企業が必要としているのは自分だ」と感じられるような求人広告が理想です。具体的な書き方のポイントは、次の項で解説します。

求人広告の書き方のポイント

職種名の書き方

求人広告は、求人サイト内で職種別に分類されていることが多く、求人一覧に同じ職種名が並ぶことも珍しくありません。 そのため、ターゲットの目に止まりやすいよう、自社や業務の特長などを職種名欄に盛り込んでおきましょう。

仕事内容の書き方

仕事内容はできるだけ具体的に記載します。業務内容を見やすく、分かりやすく伝えるには、箇条書きでの表記が有効でしょう。採用ターゲットの経験レベルに合わせた用語を使って文章を書くことも大切です。
また仕事内容の紹介にとどまらず、その仕事ならではの面白さや得られる経験、将来的に描けるキャリアなどもしっかりと伝えます。 他社との差別化を意識し、求職者が働くイメージを持てる仕事内容を目指しましょう。

給与の書き方

実際に支給を予定している金額を記載します。経験によって変動するなどの理由で、給与額に幅を持たせすぎることや下限の給与だけを記載することは、あまり得策とはいえません。 下限の給与が低ければ、経験者が応募を躊躇する可能性があり、上限の給与と内定時に提示する給与との乖離が大きくなれば、企業への不信感につながることもあるからです。
経験年数別に複数の給与例を併記したり、経験者向けに下限の給与を別途記載したりするなど、求職者の立場に立って丁寧に記載しましょう。

応募資格の書き方

求人広告では、厳しい条件を満たすピンポイントでの人材採用でない限り応募のハードルを上げすぎないことが、応募獲得の定石です。 求職者に「自分はこの求人に応募できる」と感じてもらうために、応募要件はMUSTとWANTの2つに分けて記載します。
<MUST>面接の対象となるために最低限必要な要件(経験・スキル・資格など) <WANT>業務上あることが望ましい要件 求人広告の作成時や担当部署への原稿確認中に、「この経験があるといい」「あのスキルも入れてほしい」といった希望で応募資格が増えてしまうことがあります。そのような場合は、ターゲット設定に立ち返って情報を絞りましょう。

会社紹介の書き方

事業内容や商品・サービスの紹介を通して、「何をする会社か」「どんな強みを持つ会社か」などを伝えます。そうした事実情報に加えて、ビジョンやミッションを伝えることも大切です。 会社紹介は、求人媒体によって項目が表示される場所やボリュームが異なります。スペースに余裕があれば、採用に対する考えや新しい仲間への期待など、今回の求人にかける想いをメッセージとして盛り込んでも良いでしょう。
本記事の下部「応募が集まりにくい求人広告の記載例」の項では、好ましくない記載例も紹介しています。併せて参考にしてください。

求人広告で使用すべきではない表記

年齢制限のある応募資格

採用に年齢制限を設けることは、改正雇用対策法 第10条において一部の例外(※2)を除いて禁止されています。 定年年齢を上限とする場合や、長期勤続によるキャリア形成のために若年層を採用する場合、法令の規定で年齢制限が設けられている場合、高年齢者や就職氷河期世代等を対象する募集など、例外事由に該当するケースでは年齢制限が可能です。
ただし、例外事由に該当するケースでも、募集年齢を制限するには諸条件を満たす必要があります。求人広告を作成する際は、事前に確認しておきましょう。
※2 参考:厚生労働省 ハローワーク インターネットサービス(年齢制限該当事由について)

性別を限定する職種名・応募資格

性別を限定して人材募集を行うことは、法律で認められていません。男女雇用機会均等法 第五条によって、以下のように定められています。

事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない

引用元:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第五条

男性・女性のどちらかを歓迎・優遇する表現はもちろん、男女の区別が可能な職種名も禁止です。求人広告の作成時には、表記に注意しましょう。

NG表記 改善例
主婦歓迎 主婦(夫)歓迎
営業マン 営業マン(男女)、営業スタッフ、営業職
ウエイター ホールスタッフ

ただし、以下の条件の場合は、性別を限定した募集が認められています。

・業務の遂行上、一方の性でなければならない職務等
(1)芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要である職務
(2)守衛、警備員等のうち防犯上の要請から男性に従事させることが必要な職務
(3)宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上、男女のいずれかのみに従事させる必要性が認められる職務

・労働基準法による女性または男性の就業禁止業務(坑内業務、危険有害業務、助産師など)

・風俗、風習等の相違により男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合、その他特別の事情により労働者の性別にかかわりなく均等な機会を与え、または均等な取扱いをすることが困難であると認められる場合

・男性労働者と比較して女性労働者の割合が4割を下回る状況において、その格差を改善することを目的として、女性のみを対象または女性を優先的に採用する場合(ポジティブ・アクションのための特例措置)

引用元(可読性を高めるため、一部を編集して引用):厚生労働省 都道府県労働局(法違反とならない場合)

最低賃金を下回る給与

求人広告の給与欄には、最低賃金法によって定められた最低賃金を下回る金額を記載することはできません。 最低賃金は各都道府県において地域別に定められています(※3)。仕事内容が同じでも、募集地域が異なる場合には給与欄の確認が不可欠。また最低賃金はほぼ毎年改定されているため、長期的に募集を行っている求人は定期的に見直しが必要です。
※3 参考:厚生労働省(地域別最低賃金の全国一覧)

求人広告を作成するときの注意点

明示すべき項目を外さない

企業が人材募集を行う際は、求職者に対して労働条件などの必要な情報を明示することが求められます。職業安定法で定められている、求人の際に明示すべき項目は以下のとおりです。


画像出典:厚生労働省・都道府県労働局(最低限明示しなければならない労働条件等)
求人広告では媒体ごとに決められたフォーマットがあることがほとんどのため、必要な項目の記載が抜けてしまうことはあまりありません。自社の採用サイトなどに求人票を掲載する際には、これらの必須項目を押さえた求人原稿の作成に努めましょう。

ネガティブな情報を隠さない

求人広告で良い点だけを強調しすぎることは、かえって逆効果となる場合があります。たとえ応募を獲得できたとしても、入社後のミスマッチにつながる可能性があるからです。 それだけでなく、求人広告で伏せていた情報をあとから伝えることで、「それは聞いてなかった」「知っていたら応募しなかったのに…」など、求職者に悪い印象を与えることも考えられます。
どんな企業や仕事にもプラス面とマイナス面がありますが、受け取り方は求職者によってさまざまです。隠すのではなく、伝え方を工夫しましょう。

求人広告作成にかかるコストを意識する

求人広告におけるコストとは、掲載費や求人票の作成時間、選考にかかる労力などです。 求人広告は、時間と労力をかけて丁寧に作成したからといって、必ず良い効果がでるとは限りません。
そのため自社の採用予算や採用目標人数、採用体制などを踏まえて、時間と労力の使い方を見極めることがとても大切です。注力すべきポイントを押さえ、より効率的な採用を目指しましょう。

応募が集まりにくい求人広告の記載例

求人票の書き方が好ましくない場合、応募獲得に苦戦することがよくあります。ここでは、「職種名」「仕事内容」「応募資格」の好ましくない記載例について解説します。

職種名の好ましくない記載例

営業スタッフ

【改善POINT】
同じ「営業」でもさまざまな仕事があるため、扱う商材や働き方の特長などを職種名に盛り込み、他社との差別化を図りましょう。

・商品やサービスの特長(例:中小企業向け〇〇サービス、市場シェアNo.1 など)
・待遇や働き方の特長(例:月給30万円以上、年間休日125日、TELアポなし など)

仕事内容の好ましくない記載例

提案書作成 ・顧客への提案、案件獲得 ・受注後のフォロー

【改善POINT】
仕事内容が漠然としていて、魅力が伝わりづらくなっています。だれに対して、どのような営業活動を行い、何が成果となるのかについて盛り込みましょう。情報の密度を高めれば、求職者が仕事内容をイメージしやすくなるはずです。

・顧客はだれか(例:問い合わせのあった企業、既存クライアント、〇〇の課題を抱える企業 など)
・どのような活動をするのか(例:訪問して課題のヒアリング、オンラインで〇〇の提案、契約後の定期打ち合わせ など)
・目指すゴールやミッション(例:市場シェアの獲得、売上拡大、顧客満足度の向上 など)

応募資格の好ましくない記載例

【必須(MUST)】 ・〇〇業界での法人営業経験3年以上 ・リーダー(主任・係長などの)経験 【歓迎(WANT)】 ・提案力のある方

【改善POINT】
応募のハードルが高くなっています。必須(MUST)は最低限必要な要件に留めましょう。また企業によって個人に任される裁量が異なるため、経験年数やポジション名で一概に業務レベルを図ることはできません。特別な理由がある場合を除いて「〇年以上」の表記は避け、求める経験を具体的に記載します。

【必須(MUST)】
・法人営業経験

【歓迎(WANT)】
・〇〇業界での営業経験
・一人で提案から受注までを遂行した経験
・後輩・部下の指導経験
・規模を問わず、何らかのプロジェクトをとりまとめた経験

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