市場のグローバル化やITの進化に伴い、事業スピードは年々加速しています。
こうした環境下で「必要なタイミングに、即戦力となる人材を迎え入れたい」というニーズを満たすのが中途採用です。
一方で、採用市場の競争は激化しています。
「応募が集まらない……」「入社後の定着や育成が難しい……」と頭を抱える人事担当者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では「中途採用とは何か?」を起点に、新卒やキャリア採用、第二新卒との違い、メリット・デメリット、成功のポイント、実務フローまでを総合的に解説します。
自社が「選ばれる企業」となり、採用活動の成果を最大化するための具体策としてぜひお役立てください。
目次
中途採用とは
中途採用とは、すでに社会人としての就業経験を持つ人材を、企業が採用するプロセスのことを指します。
「社会人経験者採用」や「経験者採用」という呼び方もされ、一般的には即戦力人材を確保する目的で実施されます。
例えば「プロジェクトを主導できるエンジニア」や「一定の売上実績を持つ営業職」「マネジメント経験が豊富な管理職」など、業務の成果に直結するような能力を持った人材を対象とすることが多いのが特徴です。
また、中途採用は年間を通じて実施されることが多く、事業の拡大や退職者の補充など、状況に応じて柔軟に採用活動を開始できます。
新卒採用・キャリア採用など他の採用方法との違い
では、中途採用は「新卒採用」や「キャリア採用」といった一般的な他の採用方法とどのように異なるのでしょうか。具体的な違いについて解説します。
新卒採用との違い
対象 | 時期 | 評価ポイント | |
新卒採用 | 大学や専門学校などを卒業する学生 | 毎年春先から夏にかけて実施 | ポテンシャル |
中途採用 | 社会人として就業経験のある人材 | 通年で実施 | 即戦力かどうか |
新卒採用とは、主に大学や専門学校などを卒業する学生を対象に、就業経験のない「ポテンシャル人材」を育成前提で採用する仕組みです。
毎年春先から夏にかけて一斉に選考が行われ、翌年4月の入社を目指すのが一般的です。
一方で、中途採用は通年採用が基本。採用時期に縛られず、企業のタイミングで自由に人材募集が行えます。
また、採用時に特に重視されるのは「即戦力かどうか」であり、過去の職務経験やスキル、成果などが主な評価ポイントとなります。
例えば、新卒では「協調性がある」「伸びしろが感じられる」「礼儀正しい」といった人柄やポテンシャルが評価されますが、中途採用では「前職で年商1億円の新規営業を獲得した」「3年で管理職に昇進した」など、具体的な成果や実績が求められるのです。
キャリア採用との違い
キャリア採用という言葉は中途採用と同義で使われることが多く、実際には明確な違いはありません。しかし、使い分けられる場面もあります。
「中途採用」は、社会人経験がある求職者全般を指し、「即戦力採用」という意味合いが強くなります。
これに対して「キャリア採用」は、専門性や実績のある人材、あるいは幹部候補など、ハイキャリア層の人材獲得を目的とする場合に使われることが多いです。
例えば、年商100億円以上の事業部長経験者を新規事業の責任者として迎えるような場合、「キャリア採用」として位置づけられることがあります。
※「キャリア採用」について詳しく知りたい方はこちら
キャリア採用とは 中途採用との違いや成功させるためのポイントなどを解説!
第二新卒・既卒との違い
中途採用と混同されやすいのが、「第二新卒」や「既卒」といった採用区分です。その違いを明確にしておきましょう。
第二新卒 | 学校を卒業してから一度就職し、1~3年程度で離職・転職を希望する人材を指します。 ビジネスマナーをある程度身につけており、新卒より即戦力性がありますが、育成の余地が残っている点も特徴です。 |
既卒 | 学校を卒業した後、一度も就職経験のない人材です。 社会人経験はないものの、年齢的には新卒と大きく変わらない場合が多く、企業によっては新卒枠として扱う場合もあります。 |
これらの層は、中途採用の一部と捉えられることもありますが、企業側のスタンスによって選考基準や入社後の教育方針が大きく変わってくるため、明確な区別が重要です。
中途採用を行う主な目的
ここで、中途採用を行う目的についても整理しておきましょう。
専門スキルの確保
DX推進や海外展開というように、既存社員だけではカバーしきれない領域を補完する目的で行われます。
例えば、EVシフトが加速する自動車部品メーカーが「バッテリー制御アルゴリズムを熟知した電気系エンジニア」を求めるケースです。
新卒研修や社内ローテーションでゼロから育てるには3〜5年、場合によっては10年単位の投資が必要になります。
そこで、すでに戦場を知るエンジニアを迎え入れ、社内メンバーと知見を共有しながら、開発サイクル全体を一気に短縮するわけです。
組織強化・人員不足の補充
「欠員は出たが既存社員を引き上げる余裕がない」「年度半ばに新規プロジェクトが走り出し、人が足りない」といった人によるリスクが顕在化した場面では、経験者採用が最短の打ち手になります。
例えばEC物流を担う倉庫で、班長クラスが3名同時に退職したとしましょう。
リーダー不在のまま繁忙期(11〜12月)を迎えれば、残業増と品質事故で現場が疲弊するはずです。
そんなとき前もって即戦力のリーダーを採用できれば繁忙期も乗り越えられますし、新しい知見が加わることで、庫内レイアウトの見直しなどもできるかもしれません。
中途採用のメリット
中途採用には、新卒採用や第二新卒採用にはない明確な利点があります。
企業の即戦力として早期に活躍してくれる人材を確保したい場合、中途採用は有効な選択肢です。
ここでは、その主なメリットを4つの観点から解説します。
即戦力を確保しやすい
中途採用の最大の特徴は、すでに一定のスキルや知識、社会人経験を持っている人材を採用できる点です。
例えば営業職であれば、業界の専門用語や商談の進め方、顧客対応の基礎が備わっているため、研修に多くの時間をかけずとも業務に入ることができます。
特に中小企業ではその影響が大きく、ベテランの製造業出身者を採用したことで、現場の作業効率が大きく改善し、指導役としても活躍したという事例もあります。
入社時期を柔軟に調整できる
新卒採用は年に一度、4月に入社時期が集中するのが通例ですが、中途採用では自社の都合に合わせて、通年で採用活動を行えます。
例えば、あるベンチャー企業では、新規事業の立ち上げに合わせてエンジニアを3月に、営業職を5月に、それぞれ段階的に採用し、事業フェーズに合わせた柔軟な人材配置を実現しました。
自社にない知識やノウハウを持ち込める
中途採用は、外部の知見を組織に取り入れる絶好の機会でもあります。
前職での経験を活かして、自社に新たな視点や業務改善のヒントをもたらしてくれることが期待できます。
他業界からの転職者が提案したデジタルツールの活用により、営業管理が効率化したという例もあります。
このような「知識の輸入」は、社内の常識を見直す契機となることも多いです。
研修の時間や費用を抑えることができる
新卒社員には、社会人としての基礎や業界知識、職種に特化したスキルを一から教える必要がありますが、中途採用者はすでに一定の素養を備えているため、教育にかかる時間と費用を大幅に削減できます。
ある企業では、未経験の新卒社員を育てるのに年間約100万円の研修コストがかかっていたところ、経験者を採用したことでその半分以下のコストに抑えることができました。
中途採用のデメリット
一方で、中途採用には注意すべきポイントも存在します。事前にこれらの課題を理解し、対策を講じることで、より効果的な採用活動が可能になります。
企業文化への適応リスクがある
中途採用者は、これまで別の企業文化の中で働いてきた背景があるため、自社の価値観や業務スタイルに馴染むまでに時間がかかることがあります。
例えば、指示待ち文化が根付いている職場に、前職で自主性を重んじる社風に慣れた人材が入社した場合、マネジメントにギャップが生まれることがあります。
オンボーディングの工夫や、社内コミュニケーションの強化がカギとなります。
給与レンジが高くなりがち
スキルや経験を持つ人材は、それに見合った報酬を求めるため、給与水準が上がる傾向にあります。
そのため中途採用市場では、同じポジションでも年齢や実績によって提示給与に大きな差が出ることもあるのです。
これにより、既存社員とのバランスに配慮しながら提示額を調整する必要が生じます。
特に評価制度が未整備な企業では、処遇の不公平感が生まれやすくなるため注意が必要です。
若手育成とのバランス問題が生じる可能性がある
即戦力の中途採用に頼りすぎると、若手社員を育てる文化が希薄になるリスクがあります。
若手の成長機会が減ると、モチベーション低下や早期離職につながる恐れもあるため、バランス感覚を持って採用戦略を立てることが重要です。
例をあげると、技術系企業では、ベテランと若手がペアを組むOJT体制を設けることで、知識の継承と若手の育成を同時に実現しているケースがあります。
中途採用を成功させるためのポイント
中途採用は即戦力の確保や新しい視点の導入において大きな可能性を秘めた手法ですが、その一方でミスマッチや早期離職といったリスクも併せ持ちます。
こうした課題を避け、採用活動を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントを押さえることが不可欠です。
ここでは、中途採用を成功させるうえで欠かせない3つの観点から、具体的な対策をご紹介します。
明確な採用基準と選考フローを設定する
最初に必要なのは、採用する人材像を明確にし、それに基づいた採用基準と選考フローを策定することです。
中途採用では、職務経験やスキルだけでなく、企業文化への適応性(カルチャーフィット)や志向性といった定性的な要素も重視されます。
これらを曖昧なまま選考を進めてしまうと、採用後に「思っていた人物像と違った」という事態を招きかねません。
【採用基準の例(営業職)】
- 「営業経験3年以上」
- 「新規開拓とルート営業の両方の実績がある」
- 「主体的に課題を見つけ解決できる人材」
このように求める人物像を言語化することが重要です。
また、面接の各ステージで何を見極めるのか、誰が判断するのかといった役割分担も明確にしておくと、選考のブレを防ぐことができます。
採用基準は現場との連携も欠かせません。
実際に配属される部署の責任者と事前にすり合わせを行い、採用後のミスマッチを防ぐことが中途採用成功のカギとなります。
※採用基準を明確にする際はこちらの記事をお役立てください
応募が来ない時に試すことはペルソナ設定!求人票の書き方のコツをご紹介
積極的な情報発信を行う
求職者に選ばれる企業であるためには、企業側からの情報発信も極めて重要です。
中途採用市場においては、求職者は複数の企業の情報を比較し、自分に合った職場を選ぼうとします。
そんな中で、企業の魅力や仕事内容、働き方の実態がよくわからないと、候補から外れてしまいますし、採用後のミスマッチにつながります。
そこで求められるのが、求人票や自社サイト、採用特設ページ、SNSなどを活用した多角的な情報提供です。
例えば、以下のような情報は中途求職者の関心が高く、応募動機の形成にも大きく影響します。
- 入社後の業務イメージや1日のスケジュール例
- 実際に活躍中の社員インタビュー
- 配属部署の雰囲気やマネージャーの人物像
- キャリアパスや評価制度の仕組み
特に中途採用の場合は、働き方や勤務地、将来的なキャリア展望に関する情報が明確であるほど安心感につながります。
単なる業務内容や給与条件だけでなく、「この会社で働くことで何を得られるのか」というメッセージが伝わるような設計をしましょう。
スピーディーな選考プロセスを心がける
採用のスピード感も重要な成功要因です。中途採用市場では、求職者は複数企業に同時並行で応募しているケースが大半です。
そのため、選考から内定までに時間がかかりすぎると、他社に先を越されてしまうリスクが高まります。
書類選考や面接のスケジューリングは迅速に行い、なるべく1〜2週間以内に結論を出すのが理想です。
また、候補者への連絡が滞ったり、面接での対応が不親切だったりすると、企業の印象が下がり、辞退につながる可能性もあります。
選考を迅速化するためには、現場とのスケジュール共有や人事・マネージャー間の連携強化が欠かせません。
あらかじめ面接可能な日程を設定しておいたり、選考ステップを見直して簡略化したりすることで、応募者の熱意が冷めないうちに最終決定まで進める体制を整えることが大切です。
中途採用の全体的な流れ
中途採用を成功に導くためには、計画的かつ段階的な採用フローを踏むことが重要です。
ここでは、採用計画から入社後のオンボーディングまでの一連の流れを紹介し、それぞれのフェーズで意識すべきポイントについて詳しく解説します。
採用計画の立案・設定
中途採用の出発点は、採用の目的と目標を明確にすることから始まります。
まず、自社にどのような人材が、どの部門で、どのタイミングで必要なのかを洗い出し、具体的なKPI(応募数、面接設定数、採用人数など)を設定します。
特に重要なのは、採用する人材に求めるスキルセットとカルチャーフィットのバランスを取ることです。
例えば、営業部門で成果を上げている既存社員の行動特性や価値観を分析し、それに合致する人材像を描くと、選考時の軸がぶれません。
また、採用基準と選考フローの設計もこの段階で行います。選考がスムーズに進むかどうかは、面接官間での評価基準の共有と、候補者に対する対応スピードにも左右されます。
そのため、現場との連携を密にし、現実的で柔軟性のある選考体制を構築することが肝心です。
※採用計画の立て方を知りたい場合は、こちらの記事をお役立てください
【テンプレートあり】採用計画とは?立て方や作成のポイントを紹介
募集チャネルの選定
採用したい人材像が明確になったら、次はその人材に効果的にリーチできるチャネルを選びます。
中途採用でよく用いられるチャネルには、以下のようなものがあります。
- 求人広告(Web媒体、紙媒体)
- 人材紹介サービス(エージェント)
- ダイレクト・リクルーティング
- 自社採用サイト・SNS
- リファラル採用(社員紹介)
例えば、即戦力の営業職を採用したい場合は、業界経験者が多く登録している人材紹介会社の活用が効果的です。
一方で、広報的な意味合いも込めて自社サイトに求人情報を掲載したり、SNSで職場の雰囲気を発信したりすることも、応募数増加に寄与します。
※こちらの記事で16種類の採用チャネルについて紹介しています
人材募集の方法16選!募集時のポイントや成功させるコツを解説!
選考・面接を行う
候補者からの応募が集まったら、次は選考フェーズに進みます。
中途採用では、書類選考、面接(1〜3回)、適性検査などを組み合わせることが一般的です。
この段階でのポイントは「選考スピード」と「魅力づけ」です。求職者は複数の企業に応募していることが多く、面接日程の調整が遅れたり、企業からのフィードバックが遅かったりすると、その間に他社で内定が出てしまうことも珍しくありません。
また、面接は単なる評価の場ではなく、求職者が企業に対して「入社したい」と思えるかどうかを左右する機会でもあります。
企業側は仕事内容やキャリアパスだけでなく、チームの雰囲気や働き方、社内イベントなど、入社後のイメージがわきやすい情報を具体的に伝えることが重要です。
入社手続きと入社後のオンボーディングを行う
内定が決まった後のフォローも中途採用成功のカギを握る要素です。在職中の候補者は退職まで時間がかかることが多く、その間に他社へ気持ちが傾いてしまうこともあり得ます。
そのため、定期的な連絡や企業案内、上司・チームメンバーからの歓迎メッセージなどを通じて、候補者との関係を維持しましょう。
入社時には業務内容のオリエンテーションに加え、社内制度や文化を理解してもらうオンボーディングプログラムが欠かせません。
例えば、3か月間はメンター制度を導入して日常的な相談役をつける、週に一度は1on1ミーティングを設けて課題を早期に把握する、といった取り組みが定着率の向上につながります。
※1on1ミーティングを効果的に実施するコツを知りたい場合はこちらをご覧ください
1on1ミーティングとは?方法も踏まえて解説
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まとめ
中途採用は、自社に不足しているスキルや知識を補完したり、即戦力としてすぐに現場で活躍できる人材を採用したりするうえで、非常に有効な手段です。
その一方で、採用基準の明確化やスピーディーな対応、応募者のニーズを汲んだ情報発信など、成功のためには慎重な準備と的確な運用が求められます。
当記事の内容が、中途採用の成功に寄与できれば幸いです。
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