中小企業が採用サイトを作成すべき理由とは? メリットや効果的な作り方と事例を紹介

中小企業の採用活動において、求職者への情報発信は欠かせないことのひとつです。中でも、自社の認知向上と応募促進に役立つ「採用サイト」は、企業規模に関わらず活用できる採用手法として重要性が増しています。

ところが、「始め方が分からない」「自分たちで運用できるだろうか」といった悩みを抱える採用担当者は少なくありません。

そんな中小企業の採用担当者に向けて、採用サイトを作るメリットと効果的な作り方を解説します。企業事例や手軽に始められる方法についても紹介していますので、採用サイトの導入を進める際の参考にしてください。

中小企業が採用サイトを作るべき理由

国内の採用市場は長らく売り手市場が続いています。売り手市場とは、採用において求職者が優位な立場にある状態のこと。企業にとっては人材獲得が厳しい市況を指します。

採用市場における現在の状況は、求職者一人に対する求人数を示す「有効求人倍率」から読み取ることが可能です。

有効求人倍率の推移(一般職業紹介状況 令和6年12月分)

画像出典:厚生労働省(一般職業紹介状況 令和6年12月分及び令和6年分)

上記のグラフ(赤枠内、黒色の折れ線グラフ)は、2012年から2024年における有効求人倍率の推移を示しています。

2014年以降1.0倍以上を継続しており、2024年12月時点の有効求人倍率は1.25倍。国内の採用市場が長期にわたって売り手市場であることが分かります。ただし、これはあくまで求人全体の有効求人倍率であり、建築関係の技術系職種や福祉関連の職種ではさらに高い倍率(=採用難の状況)が続いています。
労働力人口が減少の一途をたどる中、企業にとって有利な状況へと変化することは容易ではないでしょう。そのため中小企業が必要な人材を確保するには、採用手法の工夫が不可欠です。

近年では求人サービスが多様化し、採用に関する情報発信が手軽にできるようになりました。中でも採用サイトは、求人広告とは異なり自由なフォーマットで自社の魅力を採用ターゲットに伝えることが可能です。また新しい情報をタイムリーに発信することもできます。

つまり採用サイトの活用は、人材不足を解消したい中小企業にとって重要な採用戦略のひとつとなっているのです。

中小企業が採用サイトを作るメリット

中小企業が採用サイトを活用するメリットをみていきましょう。

応募者数の増加とミスマッチの防止

採用サイトでは、自社のアピールポイントを自由に表現することができます。動画や画像の活用に制限もありません。会社や仕事の魅力を余すことなく伝えて訴求力を高めることで、応募者数の増加が期待できるでしょう。

それと同時に、仕事内容や社風などに対する求職者の理解も深まるはずです。自社と親和性が高い求職者からの応募獲得は、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

採用コストの削減

採用サイトがあればインターネット検索で表示される可能性があり、直接応募を獲得することも可能になります。またSNSなどで定期的な情報発信を行う企業であれば、応募の受け皿として採用サイトを活用することも効果的でしょう。

将来的には、求人広告に頼らない採用活動も望めます。求人広告の掲載費用だけでなく、採用業務の効率化も可能。採用にかかるコストの大幅な削減を目指すことができます。

その他の採用コスト削減方法について知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
採用コストとは?中途・新卒の平均採用単価と削減方法を徹底解説

通年採用による採用機会の拡大

自社で運用する採用サイトには、求人広告のような掲載期間の制限がありません。そのため掲載費用の心配をせずに、一年を通して求人情報を公開し続けることができます。

通年採用のメリットは、自社に合う人材との出会いの機会を逃さないことです。「良い人材がいれば採用したい」と考える企業にとって、採用サイトを活用した通年採用は最適な手法といえるでしょう。

下記の記事では、通年採用のメリットや成功させるポイントについて解説しています。
通年採用とは?メリット・デメリットや成功する活用ポイントをわかりやすく解説

中小企業の採用サイトに、必ず入れたいコンテンツ

採用サイトを効果的に活用するには、求職者が知りたい情報を適切に盛り込むことが重要です。ここでは、採用サイトに掲載したいコンテンツについて解説します。

会社概要・企業理念

会社概要は求職者が「どのような企業か」を把握するために大切な情報です。社名や代表者名、所在地、設立日、事業内容などの基本情報はもちろん、資本金や従業員数などを明記しましょう。
また企業理念を分かりやすく伝えることも欠かせません。企業の方向性を示すだけでなく、自社の価値観に共感する応募者の獲得にもつながるからです。

代表者メッセージ

経営ビジョンや事業への想いを企業の代表者が語ることは、メッセージ性を高める上で有効です。求職者が共感すれば、応募意欲を高めることができるでしょう。
さらに代表者の経歴や創業のきっかけ、今後の事業展開などを盛り込むことで企業像を伝えることができます。

代表者の想いや考えをまとめたメッセージは、求職者にとっては求人票だけでは読み取れない企業の姿勢を知る機会であり、企業を見極めるための判断材料にもなるはずです。

懸念材料の払拭

求職者がもつと考えられる不安や疑問を事前に解消しておくことは、応募を逃さないための重要な対策です。例えば経営の安定性や将来性、教育制度や福利厚生の充実度、残業時間などは、具体的な数値や取り組みを示すことが有効でしょう。

例:経営は安定しています → ●年連続黒字経営
例:成長企業です → 対前年●%成長
例:残業はあまりありません → 残業時間は月平均●時間程度です / チームで業務を分担し、週3日以上は定時退社できるようにしています など

採用ターゲットに合わせて不安要素を洗い出し、それぞれに対して適切な説明を記載するようにしましょう。

仕事内容の紹介

仕事内容はとくに重要なコンテンツ。働くイメージができるようにできるだけ詳しく記載します。
具体的な業務内容はもちろん、1日の流れがあるとより親切です。出社から退社までのスケジュールを見れば、求職者も入社後の働き方をイメージしやすくなるでしょう。

また同じ部署やチームの人員構成、部署間の連携についても触れることで、より具体的な業務イメージを伝えることができます。

従業員インタビュー

実際に働く従業員の声は、求職者が知りたい情報のひとつです。前職や入社理由、仕事のやりがい、会社の雰囲気などを語ってもらいましょう。
採用ターゲットに近い従業員のインタビューであれば、求職者の共感を得やすくなります。採用コンセプトや採用ターゲットを踏まえた人選も大切です。

従業員インタビューのポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
採用サイトに社員紹介やインタビューページを載せよう!その目的と効果について

福利厚生や評価制度

就職・転職活動において、制度面の充実度を重視する求職者は少なくありません。導入している制度内容は、具体的に記載しましょう。

また制度の有無だけでなく、実効性を伝えることも大切です。例えば育児や介護支援にまつわる制度であれば実際の取得率、評価制度であれば昇給・昇進の基準と頻度、キャリアパスなど。いずれも明確に示すことで魅力を高めることができます。

社内環境や職場の様子が分かる写真・動画

職場環境や人間関係は、多くの求職者にとって知っておきたい情報です。オフィスの様子や社内の雰囲気についてもできるだけ丁寧に説明します。

写真や動画は、文章での説明以上に多くの情報を伝えることが可能です。掲載可能な範囲で社内行事や部活動、日常的な職場の様子、オフィスの設備などを紹介し、企業文化の理解に役立てましょう。

中小企業が採用サイトを作る方法

中小企業が採用サイトを作るには、「自社制作(内製)」と「外部委託」の2つがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。

自社で制作する

採用サイトを自社で内製する場合は、制作コストを抑えながら柔軟に運用することができます。自社の魅力を理解しているスタッフが制作に関わることで、より説得力のある情報発信ができる点や、社内の状況や採用ニーズの変化に応じてタイムリーにコンテンツを更新できる点もメリットです。

ただし、イチから採用サイトを作る場合は、Webサイト制作の知識と経験を持つ人材が不可欠。またアクセス解析やコンテンツの改善など、継続的な運用業務が発生する点も考慮しなければなりません。

内製を希望していて、人材確保と運用業務の不安がある企業は、採用サイト作成サービスを利用することで内製のデメリットを解消することができるでしょう。

外部の制作会社に委託する

Web制作会社への委託は、採用サイト制作をプロに任せられる方法です。企画からデザイン、コンテンツ制作までのすべてを依頼できるため、担当者の負担を最小限に抑えて質の高い採用サイトを作り上げることができます。

一方でコストは高くなることが一般的。また制作会社の役割はあくまでサイト制作のため、完成後の運用にかかる業務負担は変わりません。
応募管理など選考業務に応じたサイト設計を行わなければ、かえって業務負荷が増加するリスクもあります。

依頼をする場合には、必ず採用サイトの制作が得意な制作会社を選びましょう。

外部の制作会社に委託する場合の費用については、下記の記事で詳しく解説しています。
採用サイトの制作にかかる費用相場【早見表付き】見積り例やポイントを徹底解説

より良い採用サイト作成を実現するためのポイント

採用サイトを効果的に活用するために、制作の際に押さえておきたいポイントを紹介します。

求職者にリアルな情報を伝える

採用サイトでは、企業の実態に即した情報を正直に伝えることが重要です。
例えば残業があったり、有給取得率が100%ではなかったりする場合でも、その事実を隠すよりは働きやすい環境にするための取り組みについて具体的に伝えることが望ましいでしょう。

表面的な魅力だけを強調した情報は入社後のミスマッチを引き起こし、事実と異なる情報は企業に対する不信感につながります。

定期的に更新できる体制を整える

古い情報がそのまま掲載されている採用サイトでは、企業の魅力を伝えることができません。
採用方針にあったメッセージや募集職種、求人票の内容が最新であることはもちろん、売上高や従業員数といった基本情報も更新が必須です。
インタビュー記事や画像・映像等で登場した従業員が退職または異動した際にも、適切に更新しましょう。

採用サイト以外のチャネルとの連携

採用効果を高めるには、他のチャネルとの連携が有効です。
例えばSNSや求人広告から採用サイトへ誘導できれば、より詳細な情報提供と応募促進が可能。

採用サイトへの導線を複数確保することで、より多くの求職者との接点が生まれ、採用成功の可能性を高めることができます。

中小企業の採用サイト作成事例

採用サイトの活用は、企業の規模や業種を問わず取り組むことができる手法です。
ここでは採用マーケティングツール「採用係長」を利用して採用サイトを作成した企業の事例を紹介します。

株式会社A.R.V(asian relaxation Villa)

株式会社A.R.Vの採用サイト(採用係長)
画像出典:株式会社A.R.Vの採用サイト

株式会社A.R.Vはリラクゼーションマッサージサロン「asian relaxation Villa(アジアンリラクゼーション・ヴィラ)」を運営する株式会社ヴィラの関連会社です。
asian relaxation Villaは、北海道から沖縄まで全国展開するサロン。直営店およびフランチャイズ加盟店が230店舗以上あり、リラクゼーションマッサージの本場であるインドネシアやタイの施術技術を提供しています。

株式会社A.R.Vの採用サイトでは、未経験からセラピストを目指す人に向けたメッセージを発信しています。
未経験入社者の割合や前職、研修制度のほか、対応可能な雇用形態を具体的に記載し、未経験者が活躍できる環境と働きやすさについて丁寧に説明。採用ターゲットに安心感を与え、応募意欲を高める採用サイトです。

トップページには募集中の職種が表示されており、求人票を確認することもできます。求人票には仕事内容や待遇面を具体的に記載。入社後のイメージをつかみやすい内容です。

さらに入社メリットの書き方を読みやすいよう工夫し、自社のアピールポイントをしっかりと訴求しています。

株式会社ネットオン

株式会社ネットオンの採用サイト(採用係長)

画像出典:株式会社ネットオンの採用サイト

株式会社ネットオンは、採用マーケティングツール「採用係長」を開発・運営する会社です。

株式会社ネットオンの採用サイトでは、採用コンセプトを表現した画像をページ上部に使用。
“小さな輝きを見逃さない。”というキャッチコピーと、その下に続くメッセージを通じて採用ターゲットを明確にし、中小企業を支援する同社の事業に共感できる人材に対して訴求を行っています。
また各部門の役割とそれぞれ仕事内容を具体的に紹介。求職者が同社のサービスの全体像を理解しやすい構成です。

求人票は仕事内容や待遇の丁寧な記載はもちろん、動画も掲載しています。
アルバイト募集と社員募集では動画内容を変えるなど、採用サイトの自由度を活かした効果的な求人票を作成しています。

中小企業の採用サイト作成なら「採用係長」

採用サイトを活用した人材獲得は、多くの中小企業が取り組みたいと考える採用手法です。しかし、サイト制作にかかる時間や費用、運用の手間を考えて、なかなか踏み出せない担当者も多いのではないでしょうか。

そんな企業におすすめなのが、採用マーケティングツール「採用係長」です。
採用係長なら、サイト制作の知識や経験のない担当者でも簡単に採用サイトを作ることができます。

デザインは、豊富なテンプレートの中から企業カラーに合わせて選ぶだけ。会社PR文は、自動生成機能が文章作成をサポート。わずか数分で採用サイトが完成します。

さらに採用サイトと合わせて作成できる求人票は、求人検索サイトへの自動連携が可能です。
応募者とのやり取りを一元管理できるため、採用担当者の業務効率化にも貢献します。

まずは無料プランを利用して、採用サイトの活用に踏み出してみてはいかがでしょうか。
採用係長の無料登録はこちらから

まとめ

採用サイトの活用は、中小企業が取り入れたい効果的な採用手法のひとつです。
ホームページや求人広告だけでは伝えきれない自社の魅力を訴求でき、自社に合った人材の獲得に役立ちます。また将来的には、求人広告に頼らない採用活動が実現可能な点も大きなメリットです。

採用サイトを効果的に活用するには、適切な情報発信と運用の継続が欠かせません。

そのため予算と人的リソースの限られた中小企業が採用サイトを作る際は、特別な知識がなくても利用でき、業務負担を増やすことなく導入できることが理想です。
長期的な運用を踏まえて、自社に合った最適なサービスを選ぶことが重要でしょう。

その点において、中小企業が採用サイトを作成できるサービスを利用することは、適切な選択といえるのではないでしょうか。

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この記事を書いた人
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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
監修者
辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
Indeedはもちろん、インターネット広告やDSP広告を組み合わせた効率的な集客や、Google Analytics等の解析ツールを利用した効果分析、サイト改善を強みとしている。