もともと営業職だった川満さんはさまざまな人との出会いから、人事という仕事に出会い、前職の飲食店向けプラットフォーム事業の運営会社で、人事としてのキャリアをスタートさせます。現在は、ギャプライズの採用および採用広報担当として、日々面談や面接を通してギャプライズの魅力の発信をされています。本記事では、営業から人事へ転職した経緯、人事業務で大切にしていることについてお話を伺いました。
目次
人のためになる仕事がしたい。営業職から人事へ転身
ーーまず、現在の業務内容を教えてください。
株式会社ギャプライズで、採用および採用広報の業務をおこなっています。採用業務では、候補者の方へ会社説明やカジュアル面談、一次面接を担当しています。また、採用広報ではWantedlyで社員インタビュー記事の作成や、候補者の方から質問に挙がったものをコンテンツ化したり、魅力を発信していく業務をおこなっています。
ーー次に会社について簡単に教えてください。
ギャプライズは2005年に創業しており、現在80名弱の従業員が在籍しています。平均年齢が33歳で若手が多く活躍している会社です。
事業内容は大きく3つあります。1つ目が海外の最先端テクノロジーの提供、その後のサポートまでおこなっています。例えば、市場調査や競合分析ができるツールのSimilarWeb(シミラーウェブ)を筆頭に、様々な海外の最先端テクノロジーと私たちが15年間培ってきたマーケティングのノウハウをかけ合わせてお客さまに価値提供をしています。
2つ目がデジタル広告事業です。デジタル広告領域をほぼすべてカバーしており、Yahoo!やGoogle、Facebook、Twitterなど数多くのデジタル広告を取り扱っており、戦略設計から運用代行まで一気通貫して支援しています。
3つ目がA/Bテストを利用したグロースハックコンサルティングです。顧客体験プラットフォームと呼ばれるContentsquare(コンテントスクエア)やABテストツールのOptimizely(オプティマイズリー)と創業から積み上げてきた15年間のマーケティングノウハウをかけ合わせてA/Bテストを実施しているため、世界基準の25%を大きく上回る50%以上の勝率を誇っています。
ーーありがとうございます。ここからは川満さんご自身の話をお聞きしたいと思います。これまでのキャリアについて、ざっくりお聞きしても良いですか?
大学中退後、アパレル業界の販売スタッフとして社会人デビューをしました。2年ほど働いて転職を考えていたときに、学生時代にお世話になっていた方から「仕事を手伝ってほしい」と誘われ、そのまま雑誌の出版会社に転職します。そこではECサイト(雑誌の通販ページとWebサイトを主に)の運営をしていました。
その後は、投資用不動産の飛び込み営業を経験し、次のステップを考えたときにECサイトの会社でお世話になった人に相談をしたところ、SES(システムエンジニアリングサービス)というエンジニアの方への案件紹介やクライアントへエンジニアのご提案をする営業の仕事を知りました。ここからが人材に関わる仕事の世界に入っていくきっかけになります。
ーーそういう経緯でSES営業に転職したんですね。
あくまで仲介会社の立場でクライアントにエンジニアを紹介するのが仕事なので、紹介した先のことにあまり深く関与できず、両者の間を取りもってフォローできないことにもどかしさを感じてました……。ちょうど会社の方向性が変わるタイミングだったので、それを機会に転職を決めました。
転職活動後は、いくつかの企業から内定をいただきましたが、納得できる転職にしたく、いろんな方に相談しました。そのなかで、メルカリの新卒採用の方とお話しをする機会があり「何が向いてるのかわからない。でも、こういうことがしたい、こういうことに喜びを感じる」と率直な想いや考えをぶつけてみました。そうしたら、人事の楽しさや難しさを教えてくれて、最後に「人事に向いてると思うよ」と言ってもらえて、ここではじめて営業以外の選択肢が生まれたんですよね。未経験だけど挑戦しないよりはした方が後悔しないだろうから、まずはチャレンジしてみようと思って、人事へ向けて再転職活動の一歩を踏み出しました。
ただ、未経験ということもあり、書類選考で不採用が続いて……。すでに退職日も確定していたので、「人を大切にしていそうな会社の営業職」も受けてみることにしました。複数受けたなかに気さくに話せる社長がいました。「営業のスカウトだったけど、本当は人事がやりたい」と素直な想いを伝えたら、「ちょうど今人事のポジションが空いてるよ。受けてみる?」といってもらえて。前職の飲食店向けプラットフォーム事業の運営会社で、人事としてのキャリアがスタートしました。
ーーギャプライズへ入社した経緯と決め手を教えてください。
上司の長谷川と代表の甲斐の存在が決め手となりました。ギャプライズの選考は長谷川のリファラルで受けました。長谷川は前職でも私の上司だったので、普段からよく相談をしていたんです。私の良い点や悪い点を素直に伝えてくれたり、私自身の気づきや成長の内発的モチベーションを促してくれて。この人とずっと一緒に頑張りたいと思えたんですよね。
長谷川がギャプライズに転職してからも、私は一人で採用業務をおこなっていましたが、新型コロナの影響を受けて採用業務がストップし、どこか自分のキャリアも止まってしまったように感じました。このままキャリアが止まってしまうくらいならいっそ転職しようと考え、長谷川に相談したところ「転職先の選択肢の一つとして、ギャプライズも考えてみたら?」とアドバイスをもらえて。他の会社も見ていましたが、長谷川から代表の甲斐はおもしろい人だという話をよく聞いていたので、そんなにおもしろい人なら会ってみたい、ギャプライズの面接を受けてみたいって思ったんです。緊張しながら面接にいくと本当に気さくな方で、しっかりアイスブレイクをしてくれました。その後人事や組織についての考えを聞かせてもらえて、こんなにも組織や人、候補者のことを考えているのかと驚くとともに共感できたんですね。
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候補者の方と選考フローを伴走する人事でありたい
ーー現在、採用の部署は何名ほどいるのでしょうか?
スクラム採用なので現場の人にも選考に入ってもらっていますが、採用部署でお伝えすると、主に私と長谷川の2名のみですね。
ーー2人……!じゃあほとんどの業務をこなされているんですね。営業職の時と比べて大変な部分はありますか?
大変といいますか……、候補者の方の頑張りたい、成長したい、キャリアを積みたいという悩みを一緒に考えたり、共感したり、壁打ち相手になったりすることで人生の何かが変わるきっかけや気づきになればいいなという想いで面談しています。なので「気づきになりました」と言っていただけるとすごく励みになりますね。
ただ、人の人生に深く関わるからこそ、無責任な発言ができない難しさも同時に感じます。伝え方で意味合いが180度変わってしまうこともあるので、相手にどう伝えたかではなくて、”どう伝わったか”を常に意識するようにしています。
ーー不採用の業務も、採用担当者の方にとって大変な仕事ですよね。
個人的には不採用という言い回しは、あまり好きではないんですよね。私たちも候補者側もそうですが、選考はお互いを見極める時間だと思っています。候補者の皆さんも人生の選択をするわけなので、自己実現できる環境なのか真剣に考えて欲しいなと思っています。
ですので、大変というよりもお互いのためにそれを伝えることが大事だと思っているので、ネガティブにとらえないで欲しいなと思っています。その人に合う環境でないなら、その会社に行くことが正解とも限らないですし。もっと良い会社もあると思うので、良いかどうかはその人次第だと思いますよ。
ーー応募者や求職者を「候補者」と呼ばれているなと感じたのですが、あえて使っているのでしょうか?
候補者の方たちは、私たちの会社に興味を持ってくれて、かつ話を聞きに時間を作ってくれています。私達会社側の人も就活や転職活動している側も対等だと思うので、そのような方たちを求職者と呼びたくないなと私は思っています。なので上司の長谷川も含めて「候補者」という呼び方をしていますね。
ーー人として向き合い、素直に候補者の方がやりたいこと、成し遂げたいことを応援したい気持ちが強いんですね。
そうですね。ギャプライズで自己実現できるなら一緒に頑張っていきたいですし、それが実現できないなら正直にギャプライズではないほうがいいのでは?ということを率直にお伝えするようにしています。
ーーそれは採用で大切にしている部分でもあるんでしょうか。
そうですね。やっぱり自分ごと化は意識するようにしています。この人のスキルでこの人の状況なら、自分ならどう思うか常に考えています。企業対候補者とならないように、企業で働く私と候補者の方という関係を築くようにしています。
もし私が候補者の立場だったら、上から目線の人事の説明を聞きたくないと思うし入社したくないと思います。少なくとも頭ごなしに否定する人事と話したいと思わないかな(笑)。だからこそ候補者と選考フローを伴走する人事でありたいなと思います。
フォロワー数を追い求めない。素直な自分の気持ちを表現する
ーー話をお聞きしていると、とても人に興味や好奇心がある方なのかなと思ったのですが……?
そうですね。前職では、メンバーが好きすぎて”狂気的に熱を持った人事”という異名がついてました(笑)。
メンバーには、それぞれ良い部分が絶対どこかにあって、良いポイントや推しポイントを本当に好きといえるように常に人間観察をしてるかもしれないですね。
ーー人への好奇心は小さい頃からありましたか?
小学校の頃から、誰かに「ありがとう」といわれることがうれしかったです。母にマッサージして「ありがとう」といわれたのをきっかけに、もっと感謝されることをしたいと思って。そうすると何かできることないかなと考えますよね。人がしていること、感じていること、例えば荷物を運ぶにしても「大変だから手伝うよ」となりますよね。
それが感情面だったら、悲しむ誰かが話を聞いて欲しいって思っているかもしれない。だから「声をかけてみよう」とか。小さい頃から注意深く周りを見ていたかもしれないですね。
ーーTwitterを拝見してると、気配りというか寄り添うようなツイートが多いなと感じました。
ありがとうございます。気持ちよくTwitterを使いたいので、相手が嫌がることをしないというルールを持ってツイートするようにしています。また、自分のツイートに反応をくれた方にはできるだけ自分も反応するように気をつけています。
ーーTwitter の活用・運用でなにか意識していることはありますか?
最低でも1日3ツイートするように気を付けています。あとは否定的なツイートをしないことかな。さまざまな価値観を持った人がいるので、あくまでも「私はこう思うよ」と前置きするようにしています。
ーー自分が影響力を持てば、もっと自社を宣伝できるとフォロワー数を増やすのに躍起になる採用担当者も少なくないと思うのですが、コツはありますか?
フォロワー数の増減は日常茶飯事なので、気にしないことじゃないですかね(笑)。ただ数値目標はあるので、解析ツールを使って反応が多かったツイートの傾向はチェックしています。躍起にならない程度に数字の変化は追っていますね。
ーー喜ばれるだろうと思ってツイートしたら反応がなくて落ち込むことはありませんか?
Twitterは、自分の想いや気持ちを発信する場所だと思うので、誰かに「ありがとう」をもらうためにツイートしていないんですよね。もちろん、誰かに感謝してもらえたらうれしいですけど、それって結局、自分のエゴになりかねないと思っているので。できるだけ素直な自分の気持ちをツイートするように心がけています。
ーーすごく大事ですね。そこを間違えてしまう人は多いと思います。自分が発信したいことと思っているけど、実は反応が欲しかったみたいな。
もちろん、多くの人に読まれたらうれしいですよ!ただ、狙いすぎると本来のTwitterの目的を見失ってしまいますよね。何のためにTwitterをしているかという軸は持っておく必要があると思います。
営業で培った”ニーズを把握する力”が採用業務で活きる
ーー採用業務でうれしかったエピソードはありますか?
ギャプライズは今年の1月に入社したので、具体的な採用エピソードがまだありません。なので、前職のエピソードをお話しさせていただきますね。
前職で会社説明会をしていたときのことですが、「どういうことがしたいの?」という質問から、転職活動の相談会みたいになっていったことがあります。その方は、正直に自分が何に向いてるかわからない悩みを持たれていました。やりたいこと、やりたくないこと、好きなことを話してもらい、本人が持っていたメモ用紙に私が書き出しました。そのメモをベースに各職種ごとにできることを伝えたところ、「私がしたかったのはセールスではなくマーケティングだった」となったんです。帰り際には、曇り顔だった表情がパッと明るくなっていった変化を目の当たりにして、心が踊りましたね。
ーー今のエピソードをお聞きすると、営業時代の経験が活きているのかなと感じました。
そうですね。相手のニーズを把握するスキルは、採用や人事業務でも活かせると感じています。特に、不動産の飛び込み営業では必要としていないものをどう必要と感じてもらうか、つまりニーズを作ることを常に考えていましたし、SES営業でもクライアントのニーズを深く聞き、どんなスキルのエンジニアが欲しいのかというクライアントの欲しいポイントを追及するということをしていました。
ーーニーズを作るというのは、実際にお客さんに興味を持ってもらうということでしょうか?
そうですね。相手のニーズを把握するスキルは、採用や人事業務でも活かせると感じています。特に、不動産の飛び込み営業では必要としていないものをどう必要と感じてもらうか、つまりニーズを作ることを常に考えていましたし、SES営業でもクライアントのニーズを深く聞き、どんなスキルのエンジニアが欲しいのかというクライアントの欲しいポイントを追及するということをしていました。
正解を与えてもらうのではなく、正解を作り出す人とともに働きたい
ーー大手企業に比べると、ベンチャーや中小企業の採用は難しいと思いますか?
そうですね。特にIT分野の中小企業の採用は、年々難度が上がっていると感じています。コロナ禍でますますIT企業の採用市場は伸びているし、目まぐるしく変わるビジネス環境で今までのやり方が正解にならない状況をどう打破するかがカギになると思っています。
ーーそんなギャプライズでは、現在どのような人材を求めているのでしょうか?
新卒採用と中途採用で求めるマインドセットやスキルが異なるのですが、まず中途採用では以下の6つが主な項目となります。
- 目の前の状況を変革のチャンスとしてとらえ、課題案や解決案を考え抜ける人
- その道のプロと自覚し目的達成にコミットできる人
- 自分の夢や目標のために、一切の妥協なく全力でやり続けやりきれる人
- できることに執着せず、自己成長のために負荷をかけ続けられる人
- 主体的な行動が人を引きつけたり巻き込んだり信頼を生み出すことを理解し実行している人
- 自分の責任を果たしたうえで仲間に協力できる人
新卒の方だと、以下の5つです。
- 社内の誰よりも自己成長したい、負けたくないという想いを持っている人
- 先輩に教えてもらうのではなくて、いつまでに追い抜くということにコミットできる人
- 安定的な社会人生活よりも、多少きつくても成長できる道を選びたい人
- 本気で次世代の事業部長を目指したいと思っている人
- 自己責任の概念のもとに圧倒的な裁量権を持って仕事をしたい人
特に新卒採用では、競争と共創ができる人を求めています。社会に出たら飛び級は当たり前の世界で、特にベンチャー企業なら年上の後輩や年下の先輩は日常茶飯事です。だからこそ、1つ上や2つ上の先輩を良い意味で刺激してくれる人を求めています。
ーー最後に今後の展望について教えてください。
ギャプライズは、今上場に向けて準備をしているのですが、上場はゴールではなくはるか先のビジョン実現に向けたプロセスだと思っています。弊社の強みである「海外最先端テクノロジー×情熱的な人のチカラ」を発揮しながら、世界、顧客、自社、パートナー、私たちに関わるすべてがよくなる「四方よし」を追及し続けるスタンスはこれからも変わりません。
私自身の展望は、採用担当として1日でも早くギャプライズの顔になることですね。私のTwitterや情報発信を見た人がギャプライズに興味を持ち、その人が弊社のメンバーと一緒に走る未来を創ることが展望でありミッションだと思っています。
編集後記
川満様の「人を愛し、人に愛される」の姿に、人と会社をつなげていく採用人事の姿を見ました。人が好きだからこそ、相手に真摯に向かって会社と相手を見極めた採用ができるのでしょう。 とても和やかな雰囲気のなかで取材させていただきました。
株式会社ギャプライズ様、川満様、今回の取材に応じていただきありがとうございました!
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