2024年障害福祉報酬改定の概要を分かりやすく解説!流れや報酬改定率の上昇も紹介

3年に1度実施される「障害福祉サービス等報酬改定」。
今後の障害福祉サービスの指針になるこの改定は、企業経営にも大きな影響を与えます。

当記事では、2024年度の障害福祉サービス等報酬改定について、全体の概要やポイントを紹介します。改定の全体像を知りたい方は、ぜひ当記事をお役立てください。

障害福祉の報酬改定・制度改正とは?

障害福祉の報酬改定・制度改定とは、社会情勢を踏まえて行われる、報酬・制度の見直しのことです。障害者総合支援法(旧:障害者自立支援法)が施行されたのは2006年。以降、社会ニーズの変化に合わせて、原則3年に1度見直しが行われています。

今回の改定では、特に「人材不足」や「物価高騰」「賃金上昇」などの社会情勢を考慮した改定が行われることに注目です。具体的に2024年度の改定では、次の3つを軸として見直しが行われました。

  • 障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり
  • 社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応
  • 持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のための報酬等の見直し

ここからは、この3つの軸について改定のポイントを解説します。

(出典:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(概要)|厚生労働省

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2024年度施行のトリプル改定とは? 改定のポイントと必要な対応

障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり

障害者が、自分の望む地域で自分らしく安心して生活できるよう、充実した支援を目指すものです。次の3つの視点から改定が行われます。

■1.障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実

地域移行に関する本人の希望の実現や地域生活支援拠点の整備、支援に対する評価の適正化などがポイントとして挙げられます。
「地域生活支援拠点において、情報連携を担うコーディネーターの配置を評価する加算創設」「グループホームにおいて地域連携推進会議を設置し、地域の関係者を含む外部の目を定期的に入れる取組の義務付け」などが一例です。

【具体的な方向性】

  • 障害者支援施設のすべての入所者に対して、地域移行の意向を確認。グループホームの見学、地域活動への参加等を評価
  • 施設から地域移行した者がいる場合に加算で評価
  • 地域生活支援拠点等の機能の充実を図るため、障害者の緊急時の受入れや地域移行の推進に取り組む相談支援事業者を評価
  • グループホームにおける食材料費等の適切な管理の徹底、外部の目を定期的に入れる取組
  • 居宅介護及び重度訪問介護の国庫負担基準について、介護保険対象者の区分の追加や単位の見直しを実施
  • 高次脳機能障害を有する者への支援に対する評価
  • 相談支援における医療等の多機関連携のための各種加算の拡充
  • 強度行動障害を有する児者を支援する「中核的人材」の配置や「集中的支援」について評価

■2.医療と福祉の連携の推進

医療と福祉の連携についても焦点が当てられます。主な取り組みとしては、「福祉型短期入所サービスにおける医療的ケア児者の受入れ促進」「相談支援における医療等の多機関連携のための各種加算の拡充」などが挙げられます。

【具体的な方向性】

  • 医療的ケアが必要な者への喀痰吸引や入浴支援等の促進
  • 福祉型短期入所サービスにおける医療的ケア児者の受入れを促進
  • 入院中に特別なコミュニケーション支援を行うための重度訪問介護の利用について、障害支援区分4及び5の利用者も対象に追加
  • 感染症発生時に備えた医療機関との連携強化

■3.精神障害者の地域生活の包括的な支援

精神障害者が安心して生活を送ることができるよう、多職種が連携した包括的な支援を充実させるものです。

【具体的な方向性】

  • 多職種による包括的支援を中心とした、回復期の入院患者に対する医療や入退院の支援等を含めた医療提供体制の評価

社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応

障害児の健やかな成長や、障害を持った人が活躍できる社会の実現を後押しするためには、障害福祉サービスの充実が欠かせません。「障害児に対する支援」と「障害者の就労」の2軸で改定が行われます。

■1.障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築

障害を持つ児童の成長を支援するための、質の高いサービス提供に関する内容です。「児童発達支援・放課後等デイサービスにおけるサービス提供時間に応じた評価の導入」「支援ニーズの高い児童への評価拡充」などが挙げられます。

【具体的な方向性】

  • 児童発達支援センターの機能強化
  • 児童発達支援・放課後等デイサービスにおける総合的な支援の推進、時間区分創設、関係機関との連携強化
  • 支援ニーズの高い児童への支援や家族支援の評価拡充
  • インクルージョンの取組や保育所等訪問支援の評価拡充
  • 障害児入所施設の家庭的な環境確保や移行支援の充実

■2.障害者の多様なニーズに応じた就労の促進

障害者が希望する働き方やキャリア形成を実現するための支援を目指し、評価項目や報酬体系などが見直されます。
「就労継続支援A型のスコア方式が、生産活動収支や平均労働時間に応じた評価とするための項目見直し」「就労継続支援B型における平均工賃月額に応じた報酬体系を、よりメリハリをつけた報酬体系に見直し」といった改定が一例です。

【具体的な方向性】

  • 就労継続支援A型の生産活動収支の改善等を評価
  • 就労継続支援B型における平均工賃月額の向上を評価
  • 就労選択支援の円滑な実施のための人員配置基準等の設定

持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のための報酬等の見直し

「現行の処遇改善加算の一本化」「各種様式の簡素化・標準化」など、業務の質や生産性を向上させるための改定が実施されます。

【具体的な方向性】

  • 処遇改善加算の一本化。必要な水準とあわせ、処遇改善に構造的につながる仕組みを構築
  • 障害者支援施設における見守り機器導入による加算要件の緩和
  • 事業者が提出する各種様式等の簡素化・標準化
  • 経営実態調査を踏まえた経営状況やサービスの質に応じた評価を行うための基本報酬の見直し
  • 生活介護の基本報酬設定にサービス提供時間毎の区分を追加
  • 補足給付の基準費用額について経営実態調査等の結果を踏まえた見直し

(出典:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について(概要)|厚生労働省
(出典:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容|厚生労働省

障害福祉の報酬改定・制度改正の流れとは?

障害福祉サービスの報酬改定・制度改定は、下記の流れで進められています。

2023年5月 障害福祉サービス等報酬改定検討チームより、今後の検討の進め方について発表
7~8月 49の関係団体にヒアリングを実施。その後、ヒアリング内容が整理され、主な論点(案)が発表
9~10月 報酬内容などの個別検討
11月 サービス全体の横断的事項についての検討
12月 基本的な方向性の整理・取りまとめ
2024年2月 報酬改定案のとりまとめ
2月~3月上旬 パブリックコメントでの意見募集
3月 関係告示の改正、通知の発出
4月 改定内容が施行

2024年の障害福祉の報酬改定率は1.12%引き上げとなる

2024年度の障害福祉サービスの報酬改定率は、全体で「1.12%」の引き上げとなります。

また、現在3種類の処遇改善加算がありますが、「福祉・介護職員の処遇改善分及び処遇改善加算等」として一本化されます。これは、2024年度に賃上げ2.5%、2025年度に賃上げ2.0%のベースアップに確実につなげるためのものです。

なお、一本化される「福祉・介護職員等処遇改善加算」については6月1日付けでの施行となり、他の改定は4月1日付けでの施行です。

2024年の障害福祉の報酬改定に備えて情報収集を!

障害福祉サービスの報酬改定に確実に対応するために重要なのが、徹底した「情報収集」です。
改定に対応しないで報酬を請求すると、報酬を受け取るまでに時間がかかったり、受け取れなかったりする可能性があります。結果として仕事の負担も増えてしまうため、早めに情報を得て、業務に落とし込むようにしましょう。

なお、今回の改定について、「基本報酬の減額により施設の収益が下がる」「加算が増えて小規模事業所は対応できない」といった否定的な声も出ています。今期はすでに提出期間を終えてしまいましたが、改正内容に反対意見や疑問がある場合は、パブリック・コメントに意見を出すことも可能です。
意見を出すには、改定内容を追うことが必須。そういう意味でも、定期的に情報を確認しながら、改定の流れを把握すると良いでしょう。

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まとめ

2024年度の障害福祉サービスの報酬改定は、全体で1.12%の引き上げとなります。
従来の3種類の処遇改善加算は、新たに「福祉・介護職員等処遇改善加算」として一本化され、賃金のベースアップにつなげられます。
ぜひ、当記事の内容をお役立ていただき、改定に対応する準備を進めてください。

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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
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