先の見えないコロナ禍の影響を受けて採用を停止する企業が増えています。しかし、企業が成長を続けるためには人材の採用は欠かせません。
不景気時には多くの企業が採用数を減らし、未経験よりも即戦力となる経験者の募集を増やす傾向にありますが、採用市場ではスキルが豊富な経験者は引く手あまた。不景気・好景気に関わらず、優秀な人材であるほど獲得の競争率も高く採用が難しいものです。
しかし中長期的な視点を持ち、未経験でも企業に大きな利益をもたらす素養のある若手人材に目を向けることで、採用のハードルを下げても企業は成長していけるでしょう。
今回の記事では、新たな採用方法として注目されている「ポテンシャル採用」の導入メリットや注意ポイント、選考方法について解説します。
目次
ポテンシャル採用とは?
ポテンシャル採用とは、スキルや経験ではなく人柄や素養、可能性などのポテンシャル(潜在能力)を重視した採用方法です。経験や専門知識の有無を問わず、入社後に能力開発を行っていくことを前提としています。
ポテンシャルの定義は企業によってさまざまですが、採用のターゲット層は今後の成長が期待できる20代~30代の若手人材に設定することが多いようです。
注目されるポテンシャル採用
ポテンシャル採用の目的は、
「採用の間口を広げて企業の未来を創る優秀な若手人材を獲得すること」です。
2016年10月、ヤフー株式会社様が新卒一括採用を廃止し、通年でポテンシャル採用を導入することを発表して話題となりましたが、業界・企業規模を問わず優秀な若手人材の獲得に有効な手段です。大手企業だけでなく、若手人材の採用に苦労している中小企業も導入するべき新しい採用方法と言えるでしょう。
求人広告を掲載したい方へ
採用係長は最大5つの求人検索エンジン(求人ボックス、Googleしごと検索、スタンバイ、Career jet、キュウサク)にワンクリックで連携できます。ぜひ一度お試しくださいませ。
ポテンシャル採用のメリット
優秀な若手人材を採用できる
近年、多様な働き方の広がりとともに、「今後のキャリアや自身の適正を見極め、マッチする企業に転職したい」と考える若手層が増えています。
入社1〜2年目の社員を対象に行われた働き方改革に関する調査では、「転職を検討中」または「転職活動中」の社員が全体の約半数を占めるという結果に。
成長意欲があり、仕事に対するモチベーションが高い若手人材ほど働く価値観が変化し、大手企業から中小企業・ベンチャー企業へと転職するケースも多く見られます。 中小企業もポテンシャル採用を導入することで今まで出会えなかった優秀な若手人材を獲得するチャンスが増えるのです。
ビジネスマナーを習得した人材を採用できる
中途採用でポテンシャル採用を導入する場合、既に基本的なビジネスマナーを習得している若手人材を確保できます。新卒のビジネスマナー研修にかけるコストや時間を削減でき、新卒よりも早い段階で企業の戦力となるでしょう。
若手層の応募が集まりやすい
未経験者歓迎の採用は求職者にとって応募のハードルが低いため、母集団形成の方法として大きな効果が期待できます。
しかし、自社に本当に必要な人材かどうか、応募者の意欲や人間性の見極めを慎重に行うことが大切です。
採用基準については、以下の記事で解説しています。
⇒採用基準の作り方は?|マッチする人材見極めと定着のポイント
企業の若返り
多くの中小企業の課題として挙げられる社員の高齢化。社員の高齢化は次の幹部候補やリーダー候補の不足につながり、企業の成長を止めてしまう要因になるほど深刻な問題です。ポテンシャル採用の導入は、企業の若返りだけでなく将来の幹部候補の採用に有効と言えるでしょう。
例えばエンジニア職の場合、開発に必要なスキルと開発リーダーとして必要なスキルは異なるものです。優秀な開発者が優秀なリーダーになるとは限らずその逆もあり得ます。 ポテンシャル採用は素養や人間性そのものに着目した採用であるため、将来の幹部候補やリーダー候補の採用に有効なのです。
ポテンシャル採用を成功させるためのポイント
ポテンシャル採用を成功させるために、注意したい4つのポイントがあります。
採用担当者は選考に関わる社員に対し、どのような背景で選考基準を定めたのか、選考プロセスについて事前共有を行いましょう。また、認識のズレを防ぐためにも、ポテンシャル採用について会社全体で理解しておく必要があります。
これから一つずつ確認していきましょう。
人材育成が前提の採用を行う
ポテンシャル採用は未経験者や未経験に近い人材を採用するため、人材育成を前提とした採用です。採用後は、戦力になるまでの育成期間と研修が必要であることをしっかりと理解しておきましょう。
戦力化には研修などのサポートが必須
ポテンシャル採用で迎えた社員には、いち早く戦力になるためのサポートが必要です。 若手社員を育成する担当者を配置し、スキル研修を行いましょう。社内に教育体制が不足している場合は、オンラインなどの外部研修を活用すると良いでしょう。
自社が求めるポテンシャルを明確化する
採用基準の策定には、「どんな人材が欲しいか?」、「どのような素養や人間性に着目するか?」この2つを明確にしましょう。着目するポテンシャルが明確でない場合、当然ながらポテンシャル採用は有効に機能しません。どのような素養を持った人材を必要としているのかを明確にすることがポテンシャル採用の成功につながります。
キャリアビジョンの擦り合わせを行う
面談や採用面接の段階で、入社後のキャリアビジョンの提示と提案を行うことが大切です。応募者が望むキャリアビジョンについてヒアリングし、自社で築くことができるキャリアとのすり合わせを行いましょう。
ポテンシャル採用で応募者に確認するべきこと
ポテンシャル採用で応募者に確認するべきことは主に3つあります。
入社後のキャリアビジョン
入社後の目標や具体的なキャリアビジョンについて確認することで、採用後のミスマッチを防ぐことができます。近い未来や遠い未来における目標や、何年後にどのようなスキルを身に付けてどのような役割・役職でありたいかなどをヒアリングしておきましょう。
業務への興味と仕事への成長意欲
志望動機のほかに業務への興味や知識をどの程度まで持っているかを把握しておくことで、仕事への熱意や成長意欲を確認できます。ポテンシャル採用の場合は知識や経験が無いところからのスタートになるため、業務や仕事に対するやる気や意欲が必要です。前職や学生時代の経験をもとに判断しても良いでしょう。
相性も大切!ヒューマンスキル
挨拶や敬語など社会人としてのマナーはもちろん、協調性の有無や会話のキャッチボールが成立するかどうかなどを確認しておきましょう。コミュニケーションスキルを含めて自社のカルチャーや社風にマッチする人物であるかどうかも大切です。
採用面接+カジュアル面談がおすすめ
定めた選考基準を判断するためには、適切な選考プロセスを行う必要があります。
最近では入社後のミスマッチ防止策として、採用面接の間に社員とのカジュアル面談を数回ほど取り入れる企業が増えているようです。 しかし、コロナウイルス感染防止策として対面での採用面接を控え、オンラインでの実施を考える企業は多いのではないでしょうか
まとめ
今回のコロナ禍を機に、企業は体質を強化し、創意工夫を重ね、次の飛躍に備えることが大切です。なかでも、人材は企業の発展に欠かせない重要な要素です。
中小企業の採用難・人材不足の解消だけでなく企業の若返りのためには、新しい採用手法も取り入れていく必要があります。大手企業やIT企業を中心にポテンシャル採用の導入が進んでいるとはいえ、導入企業はまだまだ少なく未開発の採用方法です。優秀な若手人材を採用したいと考える企業は、今こそポテンシャル採用を導入することをおすすめします。
同じカテゴリ内の人気記事