新型コロナウイルスの流行にともない急速に普及したテレワークは、企業の採用活動にさまざまな変化をもたらしています。面接をWeb上で実施する「Web面接」は、その代表的な存在のひとつです。コロナ収束後もこれからのスタンダードとして、Web面接を求める求職者は増加するでしょう。
そこで、クラウド型採用マーケティングツール『採用係長』を開発・提供する株式会社ネットオンでは、300の事業所を対象にコロナ禍におけるWeb面接の導入実態調査を実施しました。
中小企業の対応状況をはじめ、Web面接導入のメリットや課題点、コロナ収束後の活用意向について、アンケート結果をもとに紹介します。
目次
Web面接を導入している事業所は、18.7%にとどまる
まずは、Web面接の導入状況を質問したところ、「導入している」と回答した事業所はわずか18.7%でした。『採用係長』の登録ユーザーにおいては、未導入の事業所が大きく上回る結果となりました。
Q1. 現在Web面接を導入していますか?
さらに導入状況を都市部(東京都、愛知県、大阪府、福岡県/n=99)と都市部以外(n=201)で比較したところ、以下のような違いがみられました。
いずれも「導入していない」事業所が多いことに変わりはありませんが、都市部では23.2%がWeb面接を導入しており、都市部以外を6.8ポイント上回っています。
次に従業員の規模別にみた導入状況では、100名未満の事業所において未導入が80%を超えていることが分かりました。
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使用ツールは『zoom』が最多。全体の約4割が複数のWeb面接ツールを併用
Q2.使用しているWeb面接ツールを教えてください
Web面接を導入している事業所へ、利用中のWeb面接ツールについて質問したところ(n=56)、『zoom』がもっとも多く85.7%という結果に。2位は『Skype』(21.4%)、3位には『Google Meet』(19.6%)が続き、回答した事業所のほとんどがこれら3つのWeb面接ツールのいずれかを利用しています。
また全体の37.5%が複数のツールを併用しており、応募者の状況に合わせてツールを使い分ける工夫がうかがえます。
その他のWeb面接ツールには、『FaceTime』『Microsoft Teams』『LINE』などの回答がありました。
78.6%が新型コロナウイルス流行後に初めて導入
初めてWeb面接を導入した時期が新型コロナウイルスの流行後であった事業所は、78.6%に上りました。
Q3. 新型コロナウイルス流行後に初めて導入されましたか?
新型コロナウイルスの流行が採用面接のあり方を変える、大きなきっかけになったことは間違いないようです。
Web面接のメリットは「面接のスケジュール調整がしやすくなった」が最多
Q4. Web面接を導入して感じたメリットを教えてください(複数回答)
Web面接を初めて導入した事業所(n=44)の54.5%がメリットとして挙げたのは、「面接のスケジュール調整がしやすくなった」です。
企業が実感している導入メリットをみると、Web面接がコロナ禍の対策にとどまらず、採用活動の円滑化や採用力の強化にもつながっていることが分かります。
一方、「特にメリットは感じていない」を選択した事業所が、2割を超えている点も注目すべきポイントです。これは、特にメリットがなくても利用する企業が少なくないことを示しています。この回答からは、Web面接の必要性の高さを読み取ることができるのではないでしょうか。
Web面接では、半数以上が音声トラブルを経験
苦労した点についての質問でもっとも多かったのは、「応募者の声が聞こえないなどの音声トラブル」。全体の52.3%がこの回答を選択しました。
Q5. Web面接導入にあたって苦労した点を教えてください(複数回答)
2位の「表情が読み取れない、意思疎通がとれない」、3位の「通信環境の確保」はいずれも30%を超えており、Web面接ならではの課題が浮き彫りになっています。
工夫した点は「操作マニュアルの配布」「より詳細に人物情報を聞き出す」など
工夫点については、14の回答が得られました。一部を抜粋して紹介します。
Q6. Web面接導入にあたって工夫された点があれば教えてください(自由記述)
面接時の対応
- 表情等が読み取りにくいので、なるべくゆっくり時間をとっている(IT/神奈川県)
- より詳細に人物情報を聞き出し、双方に食い違いが生じないような会話を心がけている(教育/北海道)
事前準備
- 事前の接続テストや、操作マニュアルの配布(運輸・物流/広島県)
- 事前に経歴書を送付して頂く。当方からは職場の写真など情報提供を行う(その他/長崎県)
設備・通信環境
- テレワークでWeb面接を行う際の環境整備について、会社が金銭面でのサポートをしている(人材/東京都)
工夫点は上記のように大きく3つに分かれます。面接の質を担保するための努力をうかがい知る内容となりました。
90.9%が、新型コロナウイルス収束後もWeb面接を活用したい
新型コロナウイルス収束後の利用については、90.9%が活用したいと回答。Web面接の有用性を指し示す結果といえます。
Q7. 新型コロナウイルス収束後もWeb面接を活用したいと感じますか?
活用する理由は「面接設定の円滑化」など。しない理由は「直接会って話したい」
今後もWeb面接を活用する理由は27の回答、活用しない理由には4つの回答が得られました。一部を抜粋して紹介します。
Q8. 理由を教えてください(自由記述)
「活用する」の理由
- キャンセル率も低いのと、こちら側の負担が減るのでとても楽(清掃/東京都)
- スケジュールを調整する際に、選択肢が増える(人材/石川県)
- 遠方の方の面接がよりスムーズに行える(飲食/福岡県)
- 時間や場所の制約が少なく、双方とも負担が軽減できる(運輸・物流/広島県)
- 面談設定までの時間短縮、また求職者ニーズも高く企業選定のポイントにもなる(人材/東京都)
「活用しない」の理由
- SEの仕事は、人となりが大切なので、直接会って判断しないと後悔しそう(IT/大阪府)
- お会いして話すほうが、表情等を読み取りやすい(運輸・物流/京都府)
- 実際にお会いしたほうが色々なことを感じられる(その他/千葉県)
「活用する」事業所は時間や場所の制約を受けない、Web面接ならではのメリットを重視。それに対して「活用しない」事業所は、直接会うことを優先していることが分かります。企業の採用方針や価値観の違いも、Web面接の導入に影響していることが推察される結果となりました。
まとめ
今回の調査では、『採用係長』を利用する事業所を対象に、コロナ禍におけるWeb面接の導入実態アンケートを実施しました。Web面接を導入している事業所はわずか18.7%で、中小企業においてWeb面接の導入が進んでいない現状が浮き彫りになりました。
Web面接にはメリットと課題の両面がありますが、企業は面接のスムーズな実施や質を保持するためにさまざまな工夫をしています。コロナ収束後もWeb面接を活用したいと考える事業所は90%を超えており、今後もそれぞれに合ったより良い活用方法のもとで運用がなされていくはずです。
また調査結果からも分かるとおり、選考のスピード化や遠方からの人材確保など、Web面接はコロナ対策を超えた副次的効果をもたらしています。コロナ収束後の採用シーンにおいて、Web面接が企業の採用力を左右する一因になることは間違いないでしょう。
注)本調査は、『採用係長』登録ユーザーを対象として実施しています。
調査概要
調査名 | コロナ禍におけるWeb面接の導入実態調査 |
調査対象 | 『採用係長』利用事業所における人事・労務担当者様(業種区分無し) |
有効回答数 | 300 |
調査期間 | 2021年6月21日(月)~7月4日(日) |
調査方法 | インターネット調査 |
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