新型コロナウイルス感染症の収束の兆しが見えない中、国内では緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用が続いています。特に長期にわたって営業時間の短縮や休業要請が行われているサービス業において、厳しい経営状態に直面する企業が増加していることは周知の事実です。行き先不透明な状況への懸念は、今後の採用計画にも影響を及ぼしているのではないでしょうか。
そこで、クラウド型採用マーケティングツール『採用係長』を開発・提供する株式会社ネットオンでは、サービス業を展開する中小企業の採用担当者を対象に、営業時間と採用意欲に関するアンケート調査を実施しました。
営業時間の変更状況や今後の予定をはじめ、コロナ禍における採用活動やワクチン接種後の採用意欲について、アンケート結果をもとに紹介します。
目次
半数以上の事業所が営業時間の短縮または変更を実施
はじめに、コロナ禍(2020年3月以降)における営業時間の変更状況を質問したところ(n=112)、58.0%の事業所が「変更したことがある」と回答。半数以上が営業時間を短縮または変更していることが分かりました。
Q1. コロナ流行後、営業時間を短縮または変更したことがありましたか?
さらに営業時間変更の実施状況を業種別に確認したところ、以下のような違いが見られました(ここでは、回答が10事業所以上あった業種のみを表示しています)。
飲食業は92.3%、理美容・エステ業では78.9%と、高い割合で営業時間の変更を実施していることが分かります。
反対に、小売業や介護・福祉業で営業時間を変更した事業所は50%未満でした。業種によって要請内容に違いがあることから、こうした差異が生じたと考えられるでしょう。
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営業時間を変更した事業所のうち、75%以上が現在も時間変更を継続中
営業時間を変更したことがある事業所へ、現在の営業時間について質問したところ(n=63)、「コロナ以前の営業時間に戻している」は23.8%に留まりました。現在も76.2%の事業所が営業時間の変更を継続しています。
Q2. 今は営業時間を戻していますか?また、今も変更されている方は、今後戻す予定はありますか?
また今後について、「コロナ収束後も今のままの営業時間の予定である」事業所が10%程度あることは、興味深い点ではないでしょうか。新型コロナウイルスの流行が営業方針を変えるきっかけになったと推測することができますね。
もっとも多かった回答は「戻す予定はある」で、46.0%。これは現在も営業時間を変更している事業所のうち、半数以上の60.4%に当たります。
ここで、今回のアンケートで営業時間を変更した事業所の割合が50%を超えた、飲食業と理美容・エステ業の状況についてさらに詳しく確認したいと思います。
以下のグラフは、営業時間の変更状況と今後の予定を比較したものです。
現在も営業時間を変更中の事業所(=上記グラフの灰色以外の合計)は、飲食業で88.6%。理美容・エステ業では57.1%でした。理美容・エステ業は「コロナ以前の営業時間に戻している」事業所が40%を超えており、両者の状況は大きく異なっています。
また「コロナ収束後も今のままの営業時間の予定」と回答した事業所は、理美容・エステ業が30%近くあるのに対し、飲食業では0%です。今後の方針にも大きな違いがみられ、同じサービス業でも一括りには語れないないことが分かります。
42.8%が「人材採用が難しくなった」と感じている
人材採用の難易度についての質問では(n=112)、「難しくなった」が42.8%に上りました(「かなり難しくなった」「少し難しくなった」の合計)。新型コロナウイルスの影響によって、半数近くが採用への課題を感じているようです。
Q3. コロナ禍で人材採用は難しくなりましたか?
一方で、「コロナ以前と比べて変わりはない」は、32.1%。さらに「少し簡単になった」「かなり簡単になった」が合わせて9.8%です。つまり、採用が難しくなっていない事業所も40%程度あり、コロナ禍における採用難易度は、事業所によって分かれる結果となりました。
コロナ禍でも、半数以上が採用意欲に変化なし
採用意欲について質問したところ(n=112)、もっとも多かったのは「コロナ流行前と比べて変わりはない」で、52.7%でした。
Q4. コロナ禍で、採用意欲に変化はありましたか?
意欲に何らかの変化があった事業所は35.8%(「意欲が出た」「意欲がなくなった」の合計)。新型コロナウイルスによる採用環境の変化が、採用意欲にも影響を与えていることが見て取れますね。採用意欲の変化の内訳は、「かなり意欲が出た」「少し意欲が出た」が20.6%に対し、「かなり意欲がなくなった」「少し意欲がなくなった」は15.2%。「意欲が出た」事業所が5.4ポイント上回りました。
ワクチン接種によって「採用意欲は高くなると思う」事業所は、23.3%
Q.4で「コロナ流行前と比べて変わらない」と回答した以外の方へ、ワクチン接種が採用意欲に与える影響について質問したところ(n=30)、「変わりはないと思う」がもっとも多く、70.0%を占めました。
Q5. ワクチン接種が始まっていますが、今後半年間で採用意欲に影響はありそうですか?
採用意欲の高まりを予想した事業所は、23.3%でした(「少し高くなると思う」「かなり高くなると思う」の合計)。これは、ワクチン接種後の採用環境の変化に期待する事業所が少なくないことを示す結果といえるでしょう。
採用意欲が変わらないと思う理由は、「ワクチン接種が進んでいない」など
Q5の回答について理由を質問したところ、14の回答を得られました。ここでは、各理由の一部を紹介します。
Q6. Q5の理由をお聞かせください。
<自由回答・一部抜粋>
■「変わりはないと思う」理由
・なかなかワクチン接種が出来ない(介護・福祉/大阪府)
・ワクチンを打っても、外出しなければ変わらないと思う(理美容・エステ/群馬県)
・ワクチン接種が進んで来客数が増えれば採用意欲は高くなると思うが、なかなかそこまでは戻らないような気がする(飲食/島根県)
・ワクチンを打っても感染しないわけではなく、また変異株が流行する恐れが消えない(飲食/東京都)
■「高くなると思う」理由
・通常営業に戻ると、現在の人では足りない(飲食/東京都)
・ワクチンによる安心感で、来客が増えると思う(理美容・エステ/長崎県)
■「低くなると思う」理由
・まだ売り上げが戻っていない(小売/東京都)
まとめ
今回の調査ではサービス業を対象に、コロナ禍における営業時間の変更状況や採用意欲についての実態調査を行いました。その結果、58.0%が営業時間の短縮または変更を実施しており、そのうち75%以上は現在も通常営業に戻っていないことが明らかになりました。
コロナ禍の人材採用については「難しくなった」が42.8%に上りましたが、採用意欲は「変わりはない」が半数以上。さらに「意欲が出た」は20%を超えています。
またコロナ禍で採用意欲に変化があった事業所のうち、20%以上がワクチン接種後の採用意欲の高まりを予想しました。ワクチン接種率の向上に伴って時短要請解除が進めば、時間の経過とともにこの割合もさらに変化するのではないでしょうか。
中小企業の採用活動を支援する株式会社ネットオンでは、今後もコロナ禍における中小企業の採用動向を見守り、採用支援につながるより良いサービスを提供していくために、継続して調査を実施する予定です。
調査概要
調査名 | サービス業における営業時間と採用意欲に関する実態調査 |
調査対象 | 『採用係長』利用事業所のうち、サービス業に分類される事業所(※)における人事・労務担当者様 ※小売、教育、飲食、介護、理美容・エステ、旅行・観光、レジャー・エンタメ、家事サービス・クリーニング、福祉、ホテル・旅館、リース・レンタル、その他生活関連サービス |
有効回答数 | 112 |
調査期間 | 2021年9月9日(木)~9月21日(火) |
調査方法 | インターネット調査 |
調査結果の注意点 | %を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の場合は100%、複数回答の場合は合計値に一致しない場合があります。 |
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