長引く新型コロナウイルス感染症の流行ですが、ワクチンの接種が全国で進みつつあり、コロナを克服して自由に外出ができるようになるのも、そう遠くない未来のことかもしれません。
テイクアウトサービスの開始など、生活様式の変化からさまざまな工夫を続けてきた飲食業ですが、厳しい状態にある採用動向について今後どのように変わっていくのでしょうか。本記事では、コロナ禍の影響を受けた飲食業の雇用と労働環境の変化について考察します。
目次
コロナ禍により有効求人倍率は3割減。冷え込んだ労働市場
2020(令和2)年初頭から続く新型コロナウイルス感染症の流行によって、日本の労働市場は大きな打撃を受けています。
厚生労働省の『一般職業紹介状況(令和3年4月分)』(2021年5月28日発表)によると、2021(令和3)年4月の全業界での有効求人倍率は1.09倍でした。ピークである2018(平成30)年の有効求人倍率1.62倍と比べると、現在は当時の約7割の倍率しかなく、コロナ禍の影響を受けて求人が大きく落ち込んでいることが分かります。
有効求人倍率の推移をみると、令和2年度(2020年)に倍率が急激に下がっており、新型コロナをきっかけに労働市場が大きく冷え込んでいる状況が明らかになりました。
※出典:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和3年4月分)』(2021年5月28日発表)
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飲食店の新規求人数は大きく減少。前年同月比でマイナスが続く
労働市場全体の動きと同様に、コロナ禍は飲食業の採用動向にも大きな影響を与えました。先述の厚生労働省『一般職業紹介状況(令和3年4月分)』よりデータを引用します。
まず、飲食店に絞った新規求人数を見てみましょう。
以前は平均して6万件ほどあった飲食業の新規求人数ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が問題となった2020年4月以降は大きく減少し、3~4万件程度となってしまいました。特に緊急事態宣言が発令された直後の2020年5月における新規求人数は過去最低で、30,508件にとどまっています。
2021年1月以降、新規求人数は上向いていますが、それでもまだコロナ禍以前の水準に戻っているとは言えません。
続いて、宿泊業を含む飲食サービス業の新規求人数の推移を紹介します。
下のグラフにある通り、宿泊業を含む飲食サービス業の新規求人数は2020年5月に前年同月比マイナス55.9%となり、大きく減少しました。その後、飲食店への休業要請や酒類提供の自粛要請などの影響を受けながら、6月はマイナス29.4%、7月はマイナス44.0%と新規求人数は前年同月比3~4割のマイナスを記録し続け、2021年4月にようやくプラスに転じています。
宿泊業・飲食サービス業の対前年同月比の新規求人数推移
コロナ禍によって飲食業の雇用状況が悪化し、採用意欲が下がっていることがグラフから読み取れます。
巣ごもり需要で拡大する中食・フードデリバリー市場
そのような状況下にある飲食業ですが、巣ごもり需要により市場が拡大している分野もあります。購入した弁当や総菜を自宅で食べる「中食」や飲食店の料理を自宅まで配達する「フードデリバリー」です。
内閣府の『マンスリー・トピックス』(2021年4月30日発表)によると、一般消費者の外食支出は2020年にマイナス28.2%となった一方で、若年~中年層の男性を中心に「中食」の利用が4%程度増えたことが明らかになりました。
また、消費者庁が三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託した調査『フードデリバリーサービスの動向整理』(2020年12月17日発表)によると、2020年11月時点でフードデリバリーサービスの利用経験者は39.7%となり、そのうち5%は「新型コロナウイルス感染症が拡大後にはじめて利用した」と答えました。
若い年代ほどフードデリバリーの利用経験率が高く、20代では46.8%、30代では46.4%と半数近くが利用を経験しています。
コロナ禍によって盛り上がっている中食やフードデリバリーですが、高齢世帯や共働き世帯の増加によって、アフターコロナの社会でもさらに利用が定着することが予想されます。新たなニーズと市場が拡大しているからこそ、これからの飲食店は多様な業態を視野に入れた展開が必要となるでしょう。
コロナ禍をきっかけに進む、飲食業のデジタル化・オートメーション化
新型コロナウイルスの感染予防のために非接触・非対面でのサービス提供が求められるようになった結果、テクノロジーを活用した飲食業のデジタル化・オートメーション化が進んでいます。
たとえば、マクドナルドやスターバックス、すき屋、ドミノ・ピザなど、テイクアウトやデリバリーの売り上げも一定の割合を占める大手外食チェーン店では、モバイルオーダーの導入が相次いでいます。スマートフォンのアプリから事前に注文し、オンラインで決済まで完了することができるため、店員との接触を減らしてコロナへの感染リスクを最小限にすることが可能です。
また、『俺の焼肉』などを運営する俺の株式会社様では、テーブルに貼られたQRコードを読み取ることで来店客が自分のスマートフォンから注文可能なテーブルオーダーシステムを導入しています。感染リスクを下げるだけでなく、フロア業務が効率化されたことにより、お客様サービスの質が向上し、客単価のアップにもつながりました。
配膳業務においてロボットを導入した居酒屋もあります。定楽屋天神大名店では、顧客一人あたりの注文数が多いために店員との接触量が多かった配膳業務で、自動配膳ロボット『PEANUT』を導入しました。
さらに、大手回転ずしチェーン『くら寿司』では、『スマートくら寿司』と称した店員と全く触れることのない非接触型店舗を10店舗運営しています(2021年6月現在)。この非接触型店舗ではスマートフォンで来店を予約し、座席の確認も店内の自動案内機で顧客自ら行います。スマートフォンから寿司を注文し、食べた後はAIが搭載された最先端の機器で精算、セルフレジで会計を行います。来店から食事、会計までを顧客がすべてセルフで済ませることができる次世代の飲食店となっています。
デジタル化が難しいと言われていた飲食業ですが、コロナ禍をきっかけに注文や会計、配膳などさまざまなな場面でシステムやロボットの導入が進んでいます。店舗業務の効率化でコストを削減できるだけでなく、顧客満足度につながるサービスの質の向上やデータ活用による集客マーケティングの強化など、飲食店にとって新たなメリットも生じています。
業務効率化と労働環境の改善。コロナ後を見据えた人材獲得に必要なものとは
このように苦境と変化を経験している飲食業ですが、長期的にみると日本は人口が確実に減少していくため、アフターコロナの社会では再び人手不足に見舞われる可能性があります。
また、予約注文システムなどのデジタルツールを導入すれば、取得した顧客データをもとに集客施策を実行するなど、必要な人材像も変わるかもしれません。現在の厳しい状況への対応は優先しながらも、長期目線で人材獲得戦略を考えておくことは重要です。
まず、大手飲食店では人件費削減と長期的な人手不足への対応を見据えて、店舗業務のデジタル化・オートメーション化の流れを加速させてくるでしょう。業務の効率化が進むことで、残業の減少や業務負担の軽減など労働環境の改善にもつながります。
そのような流れの中で、飲食店の採用市場では今後、中小規模の飲食店や個人店でも業務内容や給与の見直しなど、従業員が働く環境や待遇の改善がますます求められてくるでしょう。業界内だけでなく、他業界との人材獲得競争になる恐れもあります。
実際、独立行政法人 労働政策研究・研修機構の緊急コラム『飲食・宿泊業労働者の職業生活』(2021年3月19日発表)によると、コロナ禍を経た飲食・宿泊業の従事者の転職率の高さが浮き彫りになっています。飲食・宿泊業に従事する人が2020年4月1日時点で所属していた企業にその後も就業しているかを尋ねたところ、8.4%が「転職した」と答え、他業界と比べても非常に高い転職率となりました。
また、「コロナ前と比較した仕事満足度の変化」を聞いたところ、飲食・宿泊業に従事する人の38.7%が「低下した」と答えており、最も高い満足度低下率となっています。
飲食業の変化と新しい取り組みに対応可能な人材を獲得するためには、従業員が長く満足して働けるかという視点から、業務内容や労働環境を見直すことがカギとなるといえます。
自社で働くモチベーションにつなげるためにも、創業理由や目指すサービス像を従業員や採用候補者に改めて共有することも、人材獲得には有効かもしれません。
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まとめ
ワクチンの接種が進んでいるとはいえ、まだ厳しい状況が続く新型コロナウイルスの流行。短期的に対応すべき課題は尽きませんが、これからの人材獲得に必要な業務効率化と労働環境の改善は、新型コロナウイルスの感染予防対策にもつながります。
本記事の内容を参考に、ぜひ自社の労働環境や人材獲得戦略を検討してみてはいかがでしょうか。
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