マネーフォワード クラウド給与とは?機能・料金・導入メリットを徹底解説

給与計算業務は、企業のバックオフィスにおいて欠かせない一方で、手間もリスクも多い分野です。
社会保険料や所得税の計算、法改正への対応、ミスの許されない振込処理──人事労務担当者にとって、大きな負担となっているのが現実でしょう。

こうした中、注目を集めているのが「マネーフォワード クラウド給与」です。
給与計算の自動化はもちろん、振込やWeb明細発行までクラウド上で完結し、バックオフィス業務を劇的に効率化できるソリューションとして、多くの企業で導入が進んでいます。

本記事では、マネーフォワード クラウド給与の特徴や機能、導入メリット、料金体系まで、最新情報をもとに詳しく解説します。

マネーフォワード クラウド給与とは

(出典:マネーフォワードクラウド給与公式

マネーフォワード クラウド給与は、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の給与計算システムです。
人事労務における複雑で煩雑な給与計算業務を効率化し、担当者の負担を大幅に軽減できるツールとして、多くの企業で導入が進んでいます。

社会保険料・所得税・住民税などの計算はもちろん、法令改正への自動対応、給与明細のWeb配信、銀行振込データの自動作成といった一連の業務をクラウド上で完結できるのが最大の特徴です。

特に、給与計算初心者の方でも使いやすいシンプルなユーザーインターフェースが強みです。
わかりやすい画面設計によって、入力漏れや計算ミスを未然に防ぐ仕組みが整えられています。

さらに、マネーフォワードが提供する他のクラウドサービス(クラウド会計・クラウド勤怠・クラウド経費など)との高い連携性も魅力のひとつです。

人的ミスを限りなくゼロに近づけ、正確かつ迅速に給与業務を進めたい企業にとって、マネーフォワードクラウド給与は有力な選択肢といえるでしょう。

他の給与管理システムとの違い

給与計算システムは多数存在しますが、マネーフォワード クラウド給与は、他のサービスと比較してもいくつかの明確な優位性を持っています。
単なる「計算ソフト」ではなく、給与業務全体の自動化と業務効率の最大化を重視した設計がなされているのが特徴です。

■銀行振込までシームレスに対応
「計算業務」までを中心に設計された給与管理システムは少なくありませんが、マネーフォワード クラウド給与は振込業務にまで踏み込みます。
例えば、三井住友銀行やみずほ銀行とAPI連携することで、給与計算が確定した後にそのまま振込データを作成・送信することが可能です。

銀行窓口やネットバンキングに手入力する必要がなくなり、入力ミスのリスクを大幅に削減できます。

こうした振込連携機能を標準搭載している給与計算システムはまだ限られており、マネーフォワード クラウド給与の大きな強みとなっています。

■法令改正や料率変更への迅速な自動対応
社会保険料や税制は毎年改正が続いています。最新情報を適宜追い、業務に反映させるのは給与計算業務における大きな負担です。
例えば社会保険料率を変え忘れると「全従業員の控除額を誤ってしまった……」という大きなミスにもつながります。

マネーフォワード クラウド給与は、法令改正情報が即座にシステムへ反映されるので、担当者が自ら料率変更を調べたり設定変更する手間がありません。

特に、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料の都道府県別料率まで自動で反映されるのは大きな安心材料です。

※「社会保険」の基礎知識についてもう一度確認しておきたい方はこちら
パートやアルバイトも社会保険の加入義務がある?条件や扶養内の働き方を解説

【ダブルワークの社会保険】加入条件と二重加入のメリット・デメリット、確定申告が必要なケースとは?

■給与計算初心者でも迷わない操作性
従来の給与計算ソフトは「経理や社労士向け」に作られているケースが多く、専門用語が多用されることもありました。これに対して、マネーフォワード クラウド給与は、給与計算が初めての担当者でも迷わず入力できる画面設計が徹底されています。例えば、従業員情報の登録も「必要な情報を順番に埋めていくだけ」で完了し、エラーが出た場合もわかりやすくガイドが表示されます。

マネーフォワード クラウド給与の特徴

マネーフォワード クラウド給与は、単なる「クラウド型給与計算ソフト」にとどまらず、給与計算業務全体の工数削減と品質向上を実現する多機能プラットフォームです。
ここでは代表的な4つの特徴を詳しく解説します。

給与計算から振込、明細発行までをクラウドで完結

マネーフォワード クラウド給与の最大の強みは、給与計算の工程がすべてクラウド上で完結できることです。
給与額の自動計算はもちろん、銀行振込データの自動作成、Web給与明細の配信、年末調整処理(※)まで、複数のツールを使い分ける必要がありません。
※クラウド年末調整と連携が必要

例えば、月末の給与計算時には以下の流れで完了できます。

  • 勤怠データを自動取り込み
  • 社会保険料・税金を自動計算
  • 計算結果を確認・確定
  • 銀行振込データをワンクリックで作成
  • 給与明細をWebで自動配信

これにより、担当者の作業時間は大幅に削減され、確認・承認に集中できる環境が整います。
クラウド上で完結するため在宅勤務や拠点間での遠隔対応もスムーズです。

複雑な計算を自動化できる

給与計算業務で最も負担が大きいのが、保険料率や扶養人数、残業代計算といった複雑な計算業務です。
マネーフォワード クラウド給与では、こうした計算を自動化する機能が多数備わっています。

  • 社会保険料率の自動更新
  • 40歳到達・65歳到達による介護保険料判定も自動
  • 所得税・住民税の扶養人数による自動計算
  • 時給・日給・月給など複数の給与体系に対応
  • 残業代・深夜手当の端数処理も細かく設定可能

特に「カスタム計算式機能」は魅力的で、ifや端数処理、四則演算を活用することで、自社独自の固定残業代制度や日割り計算ルールまで柔軟に設定できます。
これにより、多様な雇用形態・給与体系の企業でも高精度な計算が可能となります。

サポート体制が充実している

給与計算システムの導入・運用においては、いざという時のサポート体制も重要です。
マネーフォワード クラウド給与は、以下のようなサポートが標準で提供されています。

  • チュートリアルによる導入時の初期設定サポート
  • メール・チャットによる日常の運用サポート
  • 社会保険労務士や税理士と連携できるアカウント共有機能
  • 提携社労士・税理士の紹介サービス

連携できる外部サービスが多い

マネーフォワード クラウド給与は単体でも高機能ですが、外部サービスとの連携力が高いのも特徴です。

【連携可能な主な外部サービス例】

  • 勤怠管理:「KING OF TIME」「ジョブカン勤怠」「Touch On Time」「CLOUZA」など
  • 人事労務:「SmartHR」「イージアZero」「オフィスステーション」など
  • 銀行連携:三井住友銀行・みずほ銀行(API連携対応)

勤怠データや経費データがそのまま給与計算に流し込まれるため、転記作業や二重チェックの手間が激減します。
さらに、バックオフィス全体のシステム統合がしやすいことから、総務部門・経理部門・人事部門の横断的な業務改善につながり、情報共有がスムーズになるでしょう。

マネーフォワード クラウド給与の主な機能

マネーフォワード クラウド給与には、日々の給与計算業務を支える多彩な機能が搭載されていて、給与計算の「運用」そのものを支援する設計がなされています。
ここでは代表的な機能を具体的に解説します。

Web給与明細

給与明細はWeb上で自動配信できるため、紙の印刷・封入・配布といった手間がなくなります。
従業員はパソコンやスマートフォンから24時間いつでも明細を確認可能。過去の明細も自動保管されるため、紛失リスクもありません。

【具体的なメリット例】

  • 郵送コストや封入作業の削減
  • 離職者の源泉徴収票発行にも対応
  • 従業員側もスマホで即時確認可能
  • 紛失リスクがなくなる
  • 紙の保存義務(税務上)にも柔軟に対応可能

新型コロナ以降、リモート勤務や在宅勤務が増えたことでWeb明細の需要は急増しています。
まだ、管理が容易になることから、ペーパーレス化は従業員満足度向上にもつながります。]

カスタム計算式

マネーフォワード クラウド給与では、企業ごとの複雑な計算ルールにも柔軟に対応できる「カスタム計算式機能」を搭載しています。
四則演算・条件分岐・端数処理などを自由に組み合わせて計算式を構築できます。

【活用例】

  • 固定残業代の個別計算
  • 日割り給与計算
  • 残業代の端数処理
  • 割増単価の個別設定
  • 勤怠データとの連動計算

このカスタマイズ性によって、制度が複雑な企業でも内製運用が可能となり、社労士への都度依頼や特殊処理の手間を最小限に抑えられます。
結果的に、外部機関とのコミュニケーションコストを抑えることにもつながるでしょう。

各種保険料や所得税などの自動計算

所得税・社会保険料・雇用保険料などは最新の法令・料率に自動で対応します。都道府県別の健康保険料率や40歳以上の介護保険料の付加徴収も自動判定。
扶養人数の変更や保険適用条件の切替も、従業員情報を更新するだけで反映されます。

これにより、法改正や年度更新作業のストレスが激減しますし、何より、税法の専門知識がなくても適正な計算ができる安心感が大きくなるはずです。

銀行振込連携や他社サービスとの連携

銀行振込連携機能を活用すれば、計算確定後にワンクリックで給与振込データを作成可能です。
これにより以下のようなメリットが得られます。

  • 銀行窓口へ行く必要がなくなる
  • ネットバンキングへの手入力が不要
  • 振込金額の入力ミスがゼロになる

さらに、前述の通り、勤怠管理・経費精算・人事労務管理システムとの幅広いAPI連携に対応しているため、給与計算以外のバックオフィス領域でも高い効果を発揮します。

マネーフォワード クラウド給与のメリット

給与計算業務をクラウド化・自動化することで、企業の人事労務担当者が抱える多くの課題を解消できるのがマネーフォワード クラウド給与の魅力です。
ここでは、導入によって得られる主なメリットを具体的に紹介します。

給与計算業務工数の削減

給与計算は毎月必ず発生し、しかも「絶対にミスできない」業務です。
一方で、社会保険料の改定や扶養控除の変更、残業計算、各種手当の反映など、多くの変数を扱わなければならず、一般的に認識されているよりも「ミスゼロ」は難しいものです。

マネーフォワード クラウド給与ではこれらの計算をほぼ自動化できるため、従来1日〜数日かかっていた作業が数時間で完了するケースも珍しくありません。

例えばある企業では、下記のようなステップで工数を大きく削減できました。

  1. 従業員情報や勤怠データを事前に連携
  2. 自動計算された給与額を担当者が確認・承認
  3. 計算ミスのリスクが大幅減少

このように、計算業務から確認業務への移行が進み、担当者の負担は大幅に軽減されます。特に従業員数が増えるほどこの効果は高まります。

Web給与明細によるペーパーレス化

Web給与明細機能を活用することで、給与明細の発行業務は完全にペーパーレス化できます。封入・封緘・郵送の作業が不要になり、担当者の時間的負担も郵送コストもゼロにできます。

リモートワークが普及した現在、給与明細を「いつでも・どこでも・安全に」確認できる仕組みは従業員側からも高評価です。

【具体的なメリット例】

  • 給与明細の配布漏れや誤送付の防止
  • 過去の明細もWebで簡単に確認可能
  • 紛失リスクがなくなり、再発行依頼も激減
  • 労務担当者の在宅勤務も支援

給与明細の電子化は、企業の「働き方改革」「業務デジタル化」の一環として導入されるケースが非常に増えています。

給与振り込み業務の効率化

給与計算が終わった後の振込作業は、人的ミスが発生しやすい工程のひとつです。
マネーフォワード クラウド給与では、計算確定後にワンクリックで銀行振込用のFBデータ(全銀協フォーマット)を作成できます。

特に三井住友銀行・みずほ銀行などAPI連携に対応した銀行であれば、FBデータ作成すら不要で、そのまま振込依頼を送信可能です。
これにより以下のような効果が得られます。

  • 振込金額の入力ミスがゼロ
  • 銀行サイトへのログイン・手入力が不要
  • 振込担当者の精神的プレッシャーを大幅軽減

この振込連携の便利さは、実際に利用してみると他社システムとの大きな違いとして実感できます。

マネーフォワード クラウド給与の料金プラン

給与計算ソフトの導入にあたって、多くの企業が気になるのが「料金体系」です。
マネーフォワード クラウド給与は、基本料金をベースにしたシンプルな従量課金制が採用されており、従業員数に応じた無駄のないコスト設計になっています。

 

プラン名 ひとり法人プラン スモールビジネスプラン ビジネスプラン
おすすめ対象 新設法人1年目 小規模企業 中小企業
アカウント数 1名 3名 5名
※6名以上から300円/名
基本料金(年払い) 29,760円
(2,480円/月)
53,760円
(4,480円/月)
77,760円
(6,480円/月)
基本料金(月払い) 3,480円/月 5,480円/月 7,480円/月

ビジネスプランについては、6名以上になると1ユーザーにつき300円加算となります。
【例】従業員50名の企業の場合の加算額:45名 × 300円 = 月額13,500円

人件費のように従業員数に比例してコストが増える構造のため、導入後のコスト感が予測しやすく、経営層への説明資料にも活用しやすいでしょう。

マネーフォワード クラウド給与利用開始までの流れ

マネーフォワード クラウド給与は、初めてのクラウド給与計算システム導入でも安心して使い始められるよう、導入支援体制が整っています。
ここでは、実際に導入する際のおおまかな流れを紹介します。

① 導入検討・お申し込み
まずは、マネーフォワード クラウドの公式サイトから資料請求・トライアルを行い、自社の要件に合致するかを確認します。
営業担当との事前相談も可能で、料金プランや必要機能の整理もこの段階で行われます。

※30日間の無料トライアルが用意されているため、実際の画面感や操作性を体感してから本契約を検討できます。

② 本契約
検討あるいはトライアル期間を経て「利用する」と決めたら本契約に移ります。

③ 初期設定・データ移行
導入における最も重要な工程が「初期設定」です。給与計算の根幹となる以下の設定を進めます。

  • 従業員基本情報の登録(氏名、入社日、給与形態、扶養人数など)
  • 支給項目・控除項目の定義(基本給、手当、残業代、社会保険料など)
  • 銀行口座情報の登録(振込連携設定)
  • 勤怠管理システム・会計ソフト等とのAPI連携設定

データ移行はCSV形式などでの一括インポートも可能。すでにExcelで管理していたデータがあれば大幅に工数を削減できます。

④ テスト運用・最終調整
本稼働前に、試験的に1か月分の給与計算を実際に行い、計算結果を確認してみましょう。ここで誤差や設定漏れがあれば微調整を加えて精度を高めます。

  • 試算給与明細の出力
  • 振込データのテスト作成
  • 社労士・税理士との連携 など

⑤ 本番運用開始
テストが問題なく完了すれば、いよいよ本番稼働となります。

まとめ

クラウドならではの柔軟性と自動更新の安心感、そして手厚いサポートによって、中小企業から大企業まで幅広く対応できるのがマネーフォワードクラウド給与の大きな強みです。
給与計算の内製化・効率化・属人化解消を検討している人事担当者の方は、ぜひ一度マネーフォワード クラウド給与の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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