「求人したいけど、個人でも出せる?」「お金はできるだけかけたくない」「手続きが不安」——結論、個人でも求人は出せます。ただし最初に決めるべきは“雇用”なのか“業務委託”なのか。ここを曖昧にすると、募集の書き方も、集まる人も、採用後の対応もズレます。
※本記事は「求人の出し方(媒体選び・無料枠・原稿)」に集中しています。雇用契約・社会保険・労働条件などの最終判断は、最新の法令・行政窓口・専門家(社労士等)で必ずご確認ください。
目次
個人が求人を出す前に決めること(3つ)
個人の採用で失敗が起きる原因は「媒体選び」よりも前にあります。雇用形態・仕事の切り出し・予算と期限の3つを先に決めると、求人票が一発でまとまり、応募の質も上がります。
雇用形態(正社員・バイト・業務委託)ざっくり比較
迷ったら「働く時間をあなたが決めたいか」「成果物だけ欲しいか」で切るのが早いです。勤務の指揮命令(シフト・業務手順・拘束時間)を細かく出すなら雇用寄り、成果だけなら業務委託寄りになります。
| 形態 | 向いているケース | 募集で強く書くポイント | 注意点(要最終確認) |
|---|---|---|---|
| 正社員 | 中核業務を任せたい/長期で育てたい | キャリア・役割・評価基準・成長機会 | 労働条件の明示、社会保険等は要確認 |
| アルバイト・パート | 繁忙時間だけ手を借りたい/短時間で回したい | 時給、シフト例、曜日固定可否、研修内容 | 最低賃金、労働時間、休憩などは要確認 |
| 業務委託 | 成果物・専門業務だけ欲しい/稼働は任せたい | 成果物の定義、納期、報酬、やり取り頻度 | 実態が雇用に近いとトラブルになり得るため慎重に |
任せたい仕事の切り出し(“何を頼むか”が9割)
「いい人が来ない」は、実は“仕事の説明が曖昧”なケースがほとんどです。求人票は、まず1つの仕事を1枚にすると強くなります。
- NG:「店舗業務全般」「事務全般」「SNSもお願い」
- OK:「平日15〜19時の接客+レジ」「請求書作成と入金確認(週2回)」「Instagram投稿(週3本)+撮影(月1回)」
コツは、“作業”ではなく“成果”に言い換えること。例:レジ打ち→「会計ミス0・待ち時間短縮」、SNS→「月○件の予約導線」。
予算と採用期限(無料でどこまでやるか)
個人の採用は「無料枠だけで粘る」より、期限を決めて最短で回すほうが結果的に安いです。おすすめは次の設計です。
- 1週目:無料で出す(複数チャネル)+原稿改善を2回
- 2〜3週目:応募ゼロなら条件を1つだけ改善(時給・シフト・業務範囲)
- 4週目:どうしても急ぐなら有料の最小単位を検討
詳しくはこちら:個人事業主・小規模事業主の雇用で押さえる手続きの要点
無料〜低コストで求人を出す方法(具体ルート)
ここからが本題です。求人したい個人が最短で募集を始めるなら、「無料で広く出す→反応が良い場所に寄せる」が鉄板。まずは下のフローで選びましょう。

ハローワーク
地域密着の採用(店舗・工場・介護・清掃など)や、費用をかけずに安定して募集したい場合に向きます。基本は管轄のハローワークで事業所登録→求人申込みの流れです。
- 向く:地元で働きたい人を集めたい/募集条件が明確/継続採用したい
- 注意:原稿が薄いと埋もれやすい(仕事内容・シフト例・写真/職場の雰囲気の補完が重要)
※提出物や運用は地域・状況で変わることがあります。最新の案内は必ず窓口・公式情報でご確認ください。
無料求人サイト・無料枠(注意点:掲載条件・露出)
無料枠は「とにかく出す」には強い一方で、露出が限られる、応募が偏るなどの癖もあります。個人におすすめの使い方は、同じ原稿を複数媒体に出して反応を比べることです。
- 見るべき項目:掲載期間、無料枠の表示順位、検索エンジン連携の有無、応募導線(電話/フォーム)
- やりがちNG:無料だからと情報量を減らす(結果、応募ゼロで時間コストが増える)
自社サイト/SNS/知人紹介(小規模で強い)
小規模ほど効くのがこの3つです。理由はシンプルで、信頼が先にあるから。特に「近所で働きたい」「知人の紹介なら安心」という層を取りやすいです。
- 自社サイト:募集要項+写真+よくある質問(未経験OKの理由、研修)
- SNS:日々の雰囲気、スタッフの声、1日の流れ(短い動画が強い)
- 紹介:紹介文テンプレを用意(「どんな人が合うか」「シフト例」「応募先」)
詳しくはこちら:無料で求人を出す方法まとめ(媒体別の注意点つき)
応募が来る求人票の作り方(コピペOKテンプレ)
媒体より先に、求人票の“中身”で応募数は決まります。個人採用はブランド力で勝てない分、情報量と具体性が武器になります。まずは必須項目を落とさないことが最優先です。
必須項目チェック(表)
| 項目 | 書くべき内容 | 例 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 何を・どこまで・どの頻度で | レジ/接客+閉店作業(清掃・補充) |
| 勤務(稼働) | 時間帯・日数・曜日・残業有無 | 週2〜3/15〜19時/土日どちらか歓迎 |
| 報酬 | 時給/日給/月給/成果報酬、交通費 | 時給1,200円〜+交通費支給(上限あり) |
| 応募条件 | 必須・歓迎・NGを分ける | 必須:週2以上/歓迎:接客経験 |
| 勤務地 | 最寄り・駅からの距離・駐輪/駐車 | ○○駅徒歩4分/自転車OK |
| 選考フロー | 返信目安・面接回数・持ち物 | 応募→当日〜翌営業日返信→面接1回 |
| 事業の魅力 | 何が学べる/嬉しいか(本音) | 常連さんが多く落ち着いた接客ができる |
仕事内容の書き方(1日の流れ/成果基準/NG表現)
応募者が一番知りたいのは「結局、何をするの?」です。以下の3点セットを入れると、応募の質が上がり、ミスマッチが減ります。
- 1日の流れ:出勤→準備→ピーク→締め→退勤(時間の目安も)
- 成果基準:「ここまでできればOK」が分かる状態(例:会計ミス0、納品チェック手順)
- サポート:研修期間、マニュアル有無、質問できる人
NG表現の例(避けたい言い回し)
- 「アットホームです」だけ(根拠がない)
- 「やる気のある方」だけ(具体がない)
- 「業務全般」だけ(範囲が無限に見える)
代わりに、「誰と・何を・どれくらい」を書きます。例:「2名体制で、ピークは1時間。レジと品出しを分担」。
条件の出し方(時給・日給・報酬・勤務時間・休日の具体化)
条件は“高い/安い”よりも、判断できる情報があるかが重要です。次の書き方が強いです。
- 時給:時給○円〜(昇給条件:半年後評価など)
- シフト:例を出す(例:火木15-19、土10-14)
- 休日:固定休か、希望提出か
- 交通費:支給有無・上限
- 業務委託:成果物・修正回数・納期・支払いサイト(可能な範囲で)

コピペOK:求人票テンプレ(雇用向け)
【職種】
(例)店舗スタッフ(レジ・接客)
【雇用形態】
アルバイト・パート(試用/研修:有・期間:◯週間)
【仕事内容】
・(例)レジ、接客、品出し、閉店作業(清掃・補充)
・1日の流れ:出勤→準備(10分)→接客→締め作業(15分)→退勤
・研修:初回はマンツーマンで手順を確認。マニュアルあり。
【応募条件】
必須:週◯日以上/(例)スマホで連絡が取れる方
歓迎:接客経験、近隣在住、土日のいずれか入れる方
NG:勤務開始日が◯月以降の方(急募の場合)
【勤務時間・シフト】
・(例)15:00〜19:00(週2〜3日)
・シフト例:火木15-19、土10-14
・残業:基本なし(繁忙期のみ相談)
【給与・交通費】
・時給:◯◯円〜(昇給あり:条件/目安を記載)
・交通費:支給(上限:◯◯円/日)
【勤務地】
住所:◯◯(最寄り:◯◯駅 徒歩◯分)
自転車:可/車:要相談
【応募方法】
応募フォームよりご連絡ください。
返信目安:当日〜翌営業日
選考:書類(任意)→面接1回(所要30分)→採用
面接持ち物:履歴書(任意/必要なら明記)
【ひとこと(魅力)】
(例)常連さんが多く落ち着いた接客ができます。未経験でも手順から教えます。コピペOK:求人票テンプレ(業務委託向け)
【依頼内容】
(例)Instagram運用(投稿作成・簡単な撮影・数値レポート)
【契約形態】
業務委託(成果物ベース)
【成果物・範囲】
・投稿:週◯本(画像/動画)
・ストーリーズ:週◯回(任意)
・月1回:数値まとめ(簡易レポート)
・修正:各投稿◯回まで
【納期・やり取り】
・投稿案の提出:毎週◯曜日
・連絡手段:チャット(返信目安:24時間以内)
・定例:月1回(オンライン30分)
【報酬・支払い】
・月額:◯万円(または1投稿◯円)
・支払い:月末締め翌月◯日(目安)
【求める経験】
必須:運用経験(個人でも可)
歓迎:同業界の実績、撮影経験
【応募時に欲しいもの】
・過去投稿のURL(または実績資料)
・対応可能な稼働目安(週◯時間)詳しくはこちら:応募が来る求人広告の書き方(例文つき)
応募が来ない時の見直し順(最短で効く順)
応募ゼロでも焦らなくてOKです。直す順番さえ間違えなければ、改善は早いです。おすすめは「原稿→条件→チャネル」の順です。
原稿→条件→チャネルの順で直す
- 原稿:仕事内容の具体化、シフト例、返信速度(当日返信の明記)
- 条件:時給(または報酬)、交通費、シフトの柔軟性(週1OK等)を1つだけ改善
- チャネル:無料枠を増やす/地域・業界に強い媒体へ寄せる
大事なのは「一度に全部変えない」こと。1回の改善で1要素だけ変えると、何が効いたか分かります。
小規模がやりがちなNG(連絡が遅い/情報が少ない)
- 連絡が遅い:応募者は同時に複数応募します。返信が2〜3日空くと負けます。
- 情報が少ない:仕事内容が曖昧、シフト例がない、給与が「応相談」だけ。
- 写真ゼロ:不安が勝って離脱します(店内・作業場・スタッフの雰囲気が伝わる写真が強い)。
最短で効く改善チェック
- 仕事内容を「1日の流れ+担当範囲」で具体化した
- シフト例を2パターン以上書いた
- 返信目安を「当日〜翌営業日」と明記した
- 写真またはSNSで雰囲気が分かる導線を用意した
詳しくはこちら:求人広告の費用相場と、低コストで効かせる考え方
採用が続くと“管理”でつまずく
ここが盲点です。求人が上手くいき始めると、次に来るのが「応募対応の管理地獄」。個人・少人数ほど、採用のボトルネックは“応募数”ではなく“対応力”になります。
応募の見落とし/やり取りの散在/面接調整
- 応募の見落とし:複数媒体に出すほど、通知が散らばって見逃す
- やり取りの散在:メール、SMS、電話、DM…履歴が追えず、誰に何を送ったか分からない
- 面接調整:候補日が出せず、往復が増えて離脱される
これ、応募者側から見ると「返信が遅い」「不安」「他に決める」の3連コンボになります。“応募が来る”と“採れる”は別物です。
解決策:採用係長で「募集→応募管理→選考」まで一元化
そこで便利なのが採用係長のような採用管理ツールです。個人採用で効く理由は、派手な機能よりも「散らばり」を消してくれる点にあります。
- 求人票作成が簡単:テンプレで迷いが減る
- 5つの求人検索エンジンに自動連係:手動投稿の手間を減らしつつ露出を増やす
- 応募者情報の一元管理:見落とし防止
- 選考ステータス管理:「連絡待ち」「面接予定」などが一目で分かる
- 採用ページ作成:SNSや紹介からの受け皿になる
応募対応で詰む前に:テンプレで求人票を作って、管理までまとめて整える
個人の採用は「応募が増えるほど忙しくなる」構造です。先に管理の仕組みを作ると、採用が継続できます。
詳しくはこちら:採用管理ツールの選び方(小規模向け)
よくある質問(Q&A)
- Q1. 完全無料で採用できますか?
- 可能性はあります。ハローワーク、無料枠のある求人サイト、自社サイト/SNS/紹介を組み合わせると無料で完結するケースもあります。 ただし、無料にこだわりすぎて応募ゼロが長引くと、時間コストが増えます。まずは無料で広く出し、反応が良いところに寄せるのがおすすめです。
- Q2. 業務委託でも「求人」として募集できますか?
- 募集は可能です。ただし、業務委託は「成果物ベース」で条件を設計するのが基本です。勤務時間や指揮命令が強いと、実態が雇用に近く見えることがあります。 契約形態や募集表現は、必要に応じて専門家へ確認すると安心です。
- Q3. 何を書けば応募が来ますか?
- まずは「仕事内容の具体性」「シフト例」「返信の早さ」の3点です。特に個人採用は不安が出やすいので、1日の流れ・研修・誰が教えるかを入れると応募が増えやすいです。
- Q4. 応募が来ても辞退されます。何が原因?
- 多いのは「返信が遅い」「面接日程の往復が多い」「条件が不明確」です。応募から当日〜翌営業日で返信し、面接候補日を最初に3つ出すだけで辞退は減ります。
- Q5. 初めて雇うとき、手続きが不安です。
- 不安で当然です。労働条件の明示、雇用契約、社会保険や労働保険の扱いなど、状況で必要対応が変わります。 まずは募集を始めつつ、確定事項(労働時間・賃金・休日など)を整理し、最新の行政案内や専門家へ確認する流れが現実的です。
詳しくはこちら:ハローワーク掲載の流れとポイント
まとめ:今日やることチェックリスト+最終CTA
最後に、求人したい個人が今日やることをチェックリストにします。これを上から順にやれば、募集は始められます。
チェックリスト
- 雇用か業務委託かを決めた
- 任せたい仕事を「1枚の求人」に切り出した
- シフト例(または納期・成果物)を2パターン書いた
- 給与(報酬)と交通費の条件を具体化した
- 返信目安(当日〜翌営業日)を明記した
- 無料チャネルを2〜3個選び、同じ原稿で出す準備をした
- 応募が増えた時の管理(見落とし防止)を考えた
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