就活を経験した人であれば、きっと一度は「就職氷河期」をいったキーワードを耳にしたことがあるでしょう。
就職氷河期とは、言葉の通り就職市場が冷え切っている状態を指し、この世代に該当する人の多くは思うような就活ができず、その影響は今も重くのしかかっています。
とはいえ、就職氷河期という言葉に対し漠然としたイメージはあるものの、その世代に該当する人たちがいつ頃の人なのか、またどういった問題を抱えているのか具体的に思い浮かべられる人はそう多くないでしょう。
そこで今回は、就職氷河期やロスジェネ世代といった用語について説明したのち、コロナ禍でささやかれる新たな就職氷河期についてまとめました。
目次
就職氷河期とは
「就職氷河期」とは、バブル崩壊後の1993年から2005年に学校を卒業し、就職活動に臨んだ年代のことを指しています。
もともとは求人情報誌を発行していたリクルート社の造語でしたが、平成6年(1994年)新語・流行語大賞で「審査員特選造語賞」に選ばれたことで、今現在に至るまで広く知れ渡ることとなりました。
参照:政府統計e-Stat 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)をもとに作成
就職氷河期に該当する期間はバブル崩壊の煽りを受けたこともあって、有効求人倍率が1を割ることも珍しくはありませんでした。
厚生労働省の厚生労働白書によれば、大卒の求人倍率は1997年の1.45から2000年には0.99に、高卒の求人倍率も1997年の1.77から2000年には1.30まで落ち込んでいます。
また、就職率も大卒で1997年の94.5%から2000年には91.1%、高卒で1997年の96.7%から2000年には92.1%と大きく下落しています。
そのため、正社員として就職できなかった新卒者は非正規社員として働かざるを得ない状況が随分と長く続いていました。
今現在においても、就職氷河期に新卒として正社員での採用が叶えられなかった人たちは厳しい状況下に置かれており、一種の社会問題となっています。
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ロスジェネ世代
ロスジェネ世代の「ロスジェネ」とは「ロストジェネレーション」の略で、直訳すると「失われた世代」といった意味になります。
先ほど述べた就職氷河期に、就職難を経験した人たちがこの「ロスジェネ世代」に該当します。
就職氷河期世代の人の中には新卒で正社員として採用されず、非正規雇用として働かざるを得なかった人も少なくありません。
日本の就活は今も昔も新卒主義の傾向にあり、新卒のときに正社員として採用されなかった人は、その後も安定した職に就きづらいといった問題を抱えたまま長い時を過ごすことになります。
2019年6月に内閣府が出した「就職氷河期世代支援プログラム関連資料」※からも、就職氷河期世代に該当する35歳~44歳の人たちが今もなお苦しんでいることがわかります。
※2019年6月 内閣府「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」
資料によると、非正規の職員・従業員371万人のうち、正規雇用を希望していながらも非正規雇用として働いている人が50万人にもおよび、この世代の非正規職員・従業員全体の7割に達します。
また全体の調査対象は1619万人ですが、このうち就業を希望しながらもさまざまな事情により求職活動を行っていない長期無業者が219万人と、全体の約14%を占めていることからも事態の深刻さがわかるでしょう。
ロスジェネ世代の抱える問題
ここまで見てきたように、就職氷河期に巻き込まれてしまったロスジェネ世代の人の中にはいまだに非正規雇用として働いている人も少なくありません。
非正規雇用として企業に入社した場合、主に次のような点で正社員よりも不利益を被ることになります。
- 低賃金である(賞与がない、あるいは少ない)
- 十分な福利厚生を受けられない
- いつ契約を打ち切られてもおかしくない
すべての非正規雇用者に当てはまるわけではありませんが、一般的に上記のような待遇に置かれることが多いといえます。
また、中でも雇用の不安定さといった面が非正規雇用と正社員のもっとも大きな違いといえるでしょう。
非正規雇用は会社の業績が落ち込んだ際に人員整理の対象となりやすく、突然解雇を言い渡されるケースも少なくありません。
いつ解雇されるのかといった不安が常につきまとうと共に、解雇時の年齢によっては再就職が非常に厳しいものとなるでしょう。
このように、ロスジェネ世代に該当する人の中には今なお、雇用に関する問題に悩まされている人も多いのです。
リーマンショック世代
先に述べた就職氷河期世代はもうひとつ存在し、それがこの「リーマンショック世代」です。
リーマンショックは2008年9月に始まり、日本では2008年11月に不況が本格化しました。
当時、リーマンショックの煽りを受けて自動車・電気メーカーで派遣社員として働く人の多くが職を失ったのもまた事実です。
当然、有効求人倍率も大きな影響を受け、リーマンショック後の2010年から2013年頃にかけては就職の厳しい時期が続きました。年齢でいうと、現在30代前半の人がこの世代に該当します。
厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」によると、2008年8月に0.86であった正社員の新規求人倍率が9月には0.77に下がり、2009年4月にはなんと0.35まで下落していることがわかります。
内定の取り消しも多く、この時期に就活を行っていた学生の多くがリーマンショックに翻弄されたことはいうまでもありません。
コロナ禍によって氷河期突入か?
2020年5月に共同通信によって配信された記事※の見出しに「新卒抑制26%に拡大」といった文言が記載され、世間の注目を集めました。
参照:https://www.47news.jp/4818667.html
事実、業界によっては説明会や面接の中止を決定した企業があったことはもちろん、中には内定の取消を決定した企業もあり、多くの就活生が翻弄されました。
とはいえ、その一方で採用を強めた業界もあり、必ずしも就職氷河期の再来とはいえないでしょう。
こうした中、就職氷河期の再来を防ぐため、またコロナを危惧して就活生の足が遠のいてしまうのを避けるために企業側ができることに、積極的なオンラインの活用が挙げられます。
実際、オンラインによる面談や説明会が増えていることはもちろん、リモートワークを導入する企業も増えつつあります。そうした背景からコロナを機に従来の働き方にとらわれない、新たな働き方が企業に求められているといっても過言ではないでしょう。
いまだ収束の兆しが見えないコロナ禍でひとついえることは、コロナを必要以上に恐れず、冷静に世情を判断するとともに柔軟な体制で求職者を迎え入れることが大切です。
まとめ
今回は就職氷河期をはじめ、ロスジェネ世代やリーマンショック世代についてお伝えしました。
コロナ禍において、「新たな就職氷河期」が再来するのではと恐れられていますが、いまなお収束が見込めない現在この先のことを予測できる人はいません。
むしろ、このような状況下だからこそ今現在の採用活動を見つめ直し、オンラインの活用をはじめとした新たな施策を取り入れることが求められています。
この記事が少しでも参考になっていたら、幸いです。
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