【飲食店】労働環境を改善しよう!もうブラックとは呼ばせない

飲食店 労働環境

「働き方改革」が推進され、さまざまな業界で労働環境の改善が進められている中、「常に人手が足りない」「ブラックなイメージを払拭したい」という悩みを抱えている飲食店は少なくありません。

「飲食店=ブラック」というイメージがまだまだ根強いのは、

「仕事がきつい」
「忙しいわりに稼げない」
「勤務時間が長くて休みが少ない」

このような労働環境によるものです。どうすれば、労働環境を改善し、良い人材を採用し定着に結び付けることができるのでしょうか。

本記事では、飲食店がブラックと言われる原因と労働環境の具体的な改善方法について解説します。求人を出す際に気をつけるべきポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

なぜ飲食店はブラックと思われがちなのか?

飲食店が「ブラック」と思われがちなのはなぜでしょうか。その理由を詳しく解説します。

勤務時間が長い

飲食店がブラックと思われがちな理由の一つに、長時間労働が挙げられます。飲食店の営業時間は、その他の企業に比べると長く、コロナ禍による時短営業を除いては、深夜営業の飲食店も少なくありません。
また、売上を伸ばすための措置として営業時間を延ばすこともあるでしょう。そのため必然的に従業員の労働時間も長くなります。

飲食店は営業時間内だけではなく、営業時間外にも人手が必要です。

  • 開店準備
  • 翌日の仕込みや閉店後の片付け
  • 売上処理 など

上記のような作業も発生するため、人手不足に陥ると既存の従業員一人ひとりの仕事量が増え、労働時間もさらに長くなります。

労働量に対して給与が低い

飲食店での労働は、業務量が多く、求められる質が高いにもかか関わらず、給与水準が低く設定されがちです。

飲食店は、私たちの生活に必要不可欠であり、味はもちろん、サービス、空間作り、安全性など細部にまで心を配るという大変な仕事ですが、その価値が給与に反映されていないのが現状でしょう。

また、令和元年度賃金構造基本統計調査(初任給)の結果では、宿泊業・飲食サービス業の平均初任給は他産業と比べると低いことが分かります。

(参考: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/03.html)

休みが不規則で少ない

飲食店は、多くの企業が休みになる週末や連休が繁忙期となり、年中無休であることも少なくありません。
もちろん定休日を設定している飲食店もありますが、多くの飲食店は毎日営業しています。そのため、飲食店で働く人は決まった休みが少なく、連休をなかなか取得できないのが現状でしょう。

こういった状況から、飲食店は休みが少なく、その上希望通りに休めない、家族や周りの友人らと休みが合わない、などネガティブに捉えられています。

従業員の入れ替えが激しい

飲食店は人材の入れ替えが激しく、定着しづらいという課題があります。

アルバイト・パート従業員については、学生や未経験者を気軽に雇える反面、離職しやすい傾向にあり、常に人材不足に悩まされています。

正社員については、アルバイト・パートが足りなくなればその分の穴埋めをする必要があり、労働時間も長くなり、休みも少なくなるでしょう。業務負荷もかかることから離職率も上がってしまう、という課題があります。

また、厚生労働省の令和元年度雇用動向調査結果では、宿泊業・飲食サービス業の離職率が他の業種と比べて突出しています。こういった結果からも、飲食店はブラックであるというイメージが持たれているのです。

(出典: https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/20-2/dl/gaikyou.pdf)

正社員の負担が大きい

飲食店は正社員の負担が大きいことから、ブラックと思われがちです。飲食店の多くはアルバイト・パート従業員に支えられて営業しており、正社員は少ない傾向にあります。アルバイト・パート従業員に任せられない仕事については、正社員が少ない人数でカバーしなければなりません。

また、アルバイト・パート従業員の採用、育成、管理まで行うため、スタッフを大勢抱えている飲食店では、どうしても正社員の負担が大きくなります。

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飲食店の労働環境の改善方法

飲食店で安心して働ける環境を整えるためには、労働環境をどう改善したら良いのでしょうか。以下にその方法を紹介します。

①労働時間を見直す

労働時間が適正か検証する必要があります。長時間勤務になっているスタッフはいないか、売上に対して営業時間は適正か、仕込みや開店準備に時間がかかりすぎていないか、まずは見直しましょう。

特に営業時間外の仕込みや開店準備に時間をかけすぎている場合は業務を効率化することにより、人手を減らせる可能性があります。
また、特定の従業員に個人依存し過ぎてしまっている場合は、その人が離職してしまうと途端にシフトが組めなくなります。残る従業員に負担がかり、お客様にサービスが提供できなくなるリスクもあるため、業務負荷を分散し人材を育てる必要があります。

まずは適正な労働時間と、そのために必要な従業員数はどのくらいか、改めて検討し見直しましょう。

飲食店においての適切な従業員数、人員配置については以下の記事で解説しています。
【飲食店の人員配置】適正なスタッフの人数はどれくらい?

②評価制度を構築する

給与に関する課題を改善するためには、既存の評価制度を見直すか新たに構築すると良いでしょう。

良い仕事をすれば、相応の評価をされ見返りを求めるのは当然のことです。正当な評価をすることで従業員のモチベーションも上がり、仕事に対しても意欲的に取り組むようになります。結果として顧客へのサービス向上につながり、顧客満足度も従業員の満足度も上がるでしょう。

具体的には、昇給や賞与に加え、月間や年間のMVP選出や表彰制度などが考えられます。お店の内装やメニュー作りなどのアイデアを募って、それらを評価に反映するのも効果的でしょう。

③労働条件・福利厚生を見直す

従業員の労働条件に問題がないか見直しましょう。まずは以下のポイントで現状の課題を把握します。

  • 週に2日は休みを取得できているか
  • 深夜と早朝のシフトが連続していないか
  • 時間外労働が多くなり過ぎていないか
  • 特定の従業員に負荷がかかっていないか
  • シフトは本人の希望に沿っているか

現状の課題を把握したうえで、労働条件を改善する必要があります。飲食店は営業時間が長く年中無休であることも多いため工夫が必要ですが、こういった労働環境を見直すことが優秀な従業員の定着につながります。

また、社会保険や賞与、各種手当、長期休暇取得など福利厚生を整えることで安心して長く働けるようになります。

④教育・研修制度を見直す

教育制度、研修制度を見直すことで、人材の流出を防ぐことができます。せっかく採用しても、適切な研修を実施していない、もしくは研修期間が曖昧だと離職につながりかねません。

また、「料理人見習い」などは、指導が厳しい・修業期間が長過ぎるなどの理由で、一人前に育つ前に離職してしまうケースが考えられます。 「いつ、誰が、どのくらい、どんな研修を行うか」教育・研修制度の仕組みやマニュアルをしっかりと整えましょう。

新人研修に限らず、次のステップのための研修や新人を教育するための研修など、制度が整えば従業員のモチベーションも上がります。

⑤店の設備を見直す

お店の設備を見直し、働きやすい環境を整えることも大切です。厨房の設備はもちろん、休憩室の環境整備、発券機や注文用のタブレット導入なども検討できるでしょう。

設備環境が整うことで、業務の効率化を図れ、従業員は働きやすくなります。 初期投資は必要ですが、長い目で見ると人件費の削減や売上の向上にもつながります。

求人を出す際に気を付けるべきポイント

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求める人材を採用し定着させるために、飲食店で求人を出す際に気をつけるべきポイントについて紹介します。

①ターゲットを明確にする

求人を掲載し効果を上げるためには、ターゲット設定が重要です。どの時間帯に、どのポジションに、どんな人材が何名必要か、などを現状のシフト表を参考にしながら採用したいターゲットを明確にします。

「採用したいのはどんな人材か」と具体的な基準を挙げてイメージしておきましょう。

【ターゲットの具体例】

  • 週に3日以上勤務できる人
  • ランチ時間帯を挟んで5時間以上勤務できる人
  • 接客業経験者、または物怖じせず笑顔で話が出来る人
  • 2年以上長期で働ける人(できれば正社員登用を目指す人)

このように採用条件を明確にしておきます。そして採用に関わる従業員全員とターゲット像を共有しておきます。その上でターゲット層に合った求人媒体の選択や求人の作成をする必要があります。

下記の記事では、ターゲット設定や求人票の書き方のコツについて解説しています。
応募が来ない時に試すことはペルソナ設定!求人票の書き方のコツをご紹介

②お店の魅力を伝える

求める人材にアピールできる自社・自店の魅力を伝えましょう。「他にはない、自社・自店ならではの魅力」がきっとあるはずです。従業員にお店の魅力、応募したきっかけ、働いている理由などについてインタビューするのも効果的です。

または、以下のようなポイントで整理するとお店の魅力が明確になるでしょう。

  • お店のコンセプト
  • 商品の強み、こだわり
  • 仕事のやりがい
  • 従業員の雰囲気
  • 店長の人柄、こだわり
  • 給与、昇給、賞与、インセンティブ
  • 勤務時間、休日
  • お店の場所、働く環境
  • 将来性
  • 評価制度
  • レクリエーション
  • 創業のきっかけ

アピールしたい特徴・魅力が整理できたら、求人を出す際にキャッチコピーに入れる、お店の紹介文を記載するといった方法で魅力を伝えましょう。

雰囲気が伝わりやすいため、お店の写真は載せることをオススメします。

下記の記事では、飲食店の求人作成に活用できるテンプレートを紹介しています。
【Indeed×飲食店】Indeedの求人票作成に使える仕事内容テンプレート|ホール&キッチン

③仕事内容を詳しく提示する

求人票で応募者が一番知りたいことは、「どんなお店でどんな仕事をするのか、そして自分にできるのか」です。

例えば「未経験OK」と記載するだけでなく、「入社後は1ヶ月の研修があり、先輩社員についてレジ・接客・商品提供まで働きながら学べます」といった書き方の方が入社後の仕事内容をイメージできます。

以下のようなポイントを押さえた上で、どんな仕事をするのか応募者がイメージしやすい情報を提供しましょう。

  • お店のコンセプト
  • 提供するメニュー(価格、特徴、こだわりなど)
  • 客層(年齢層、性別、何を求めて来店するかなど)
  • 一緒に働く仲間(雰囲気、年齢層など)
  • 入社したらどんな仕事から始めるか
  • ゆくゆくは任せたい仕事について

④募集背景を伝える

求人を出す際には募集の背景を伝えましょう。「大量に採用します!」といった記載だけでは、「大量に人が辞めたのでは」「人が定着していないのでは」と思われてしまいます。
そのため募集背景をしっかり伝え、求める人材にアプローチできる求人票にしましょう。

(募集背景の具体例)

  • ○○に新店舗オープンのため、店舗運営を任せられる人を募集
  • サービス向上を目指し、経験豊富なホールスタッフを募集
  • 欠員補充につき、ランチ時間帯に勤務できる人を募集

⑤応募対応は丁寧に素早く

応募者の対応は、顧客対応と同じく丁寧に素早く応じることが大切です。求人を出すと混んでいる時間帯や、仕込み中に応募者から電話がかかってくる可能性もあります。そこで雑な対応をしてしまうと応募者は他店舗の求人へ流れてしまうでしょう。

顧客対応と同じく丁寧に対応することを従業員全員に共有しておく必要があります。 メールやWebでの応募者対応に関しても、レスポンス良く、素早く対応するよう心がけましょう。スマホから簡単に応募できる求人媒体も増えているため、複数の求人に同時に応募していることも考えられます。

そのため、応募をしてもなかなか返答がなく、面接まで期間が空きすぎてしまうと他店舗の求人に流れてしまう可能性があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 今回は飲食店の労働環境の改善について、そして求人を出す際のポイントについて紹介しました。すぐに改善するのは難しいものもありますが、まずは従業員の声を聞くことから始めてみるのも良いでしょう。店舗の魅力、改善点などを現場の声に耳を傾けて改善していくことが必要です。

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監修者
監修者
辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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