近年、求人広告会社や人材紹介会社などを利用するだけではなく、企業が主体的に採用戦略を組んで採用情報を発信するなど、自社で採用ノウハウを蓄積していく傾向が見えます。
その中で「HRBP」の需要が高まっていることはご存じでしょうか。
本記事ではHRBPとは何かから、実際の仕事内容に加えて、どのようなことがHRBPに期待されるのか、導入のメリットを中心にご紹介していきます。
目次
そもそも「HRBP」とは何か?
「HRBP(HRビジネスパートナー)」とは、Human Resource Business Partnerの略称で、企業の業績や成果をもたらすために人・組織などを戦略面でサポートし、人事戦略における目標設定とその目標を成し遂げるスペシャリストのことを一般的に指します。簡略に説明すると、事業・経営に寄り添う人事スペシャリストです。
日本ではここ10年で特に知られるようになりましたが、未だ浸透には至っていないというのが日本のHRBPの現状です。
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HRBPの役割と求められるようになった背景
役割の概要と人事担当者との違い
業績目標の達成に向けた各企業ごとの経営戦略の中に、人事の戦略が存在します。HRBPの役割は、その目標達成のための「人事戦略の考案」、「人と組織面のサポート」を行うことです。
また、経営陣と現場で働いている従業員を連携させる架け橋のような役割もあわせ持っています。
通常の人事担当の業務では、人の採用や労務管理などのオペレーションが中心になります。その中では、人事戦略の検討にまで着手することは難しいでしょう。
そこで人事担当者とは異なる専門的なパートナーとしての立場からHRBPが加わることで、事業計画と照らし合わせた人事戦略の立案、施策を迅速に実施できるようになります。
HRBPが求められるようになった背景
これまでの人事担当者は、企業・従業員の管理をする業務や仕組み作りを行い、会社の業務をより円滑にして効率良くすることを主としていました。
しかし、社会経済が目まぐるしく変わっていく中で、企業が状況の変化に柔軟に対応して競争を勝ち抜いていくには、人事も独自の人事戦略を立案していく必要が出てきました。
そういった背景からという人事戦略のスペシャリストであり、事業のパートナーであるHRBPの需要が高まっているのです。
2018年のProFuture株式会社/HR総研による調査の中でも、現場の人事担当者は「今後人事部門に求められる役割」としてビジネスの成果に貢献する戦略パートナーの役割をあげています。
しかし、様々な要因で今の人事部門ではその戦略人事の役割を果たせていないという調査結果も同記事内にありました。
まだビジネスの成果に貢献することはできていないが、必要性を感じている人事担当者は多くいるということです。
HRBPの仕事内容
HRBPのミッションは、従業員と組織のパフォーマンスを最大化し業績向上を実現させる事です。
そのための主な仕事内容は大きく分けて3つあります。
- 人事戦略の立案
- 従業員への伝達・情報共有
- 現場の情報収集
人事戦略の立案
それぞれの企業の経営戦略に沿って目標設定をするために人事戦略を立案することはとても重要です。人材開発・組織開発を推し進めることや、人事制度の調整や改革によって経営戦略をサポートする役回りを担います。
従業員への伝達・情報共有
従業員からの理解を得るためにも情報伝達は重要な仕事のひとつです。
経営戦略のもと、人事戦略として急な従業員の人事異動も起こり得るかと思います。その際に従業員にしっかり情報共有がされないと、不満や不信感がでてきてもおかしくありません。
HRBPは経営戦略に近い存在でありながら、「HRBPに何でも相談しよう」と思わせるような、人・組織のサポーターとしての役割もあります。
現場の情報収集
現場からの意見や声を聞かないまま人事戦略を進めても無意味なものです。目標達成をするためには、しっかりと現場の声、意見や情報を聞き入れ、事業責任者に伝達することも大切な仕事のひとつです。情報収集を行ったうえで、組織戦略・経営戦略のパートナーとして上手く橋渡しを行います。
HRBPに必要なスキル
HRBPは経営層のビジネスパートナーとして機能し人と組織の面から事業成長を促し、支援・サポートすることが必須条件として求められます。具体的には、下記のようなスキルが必要です。
- 人事労務に関する専門知識や実務経験
- 革新的な一面を持ち合わせた組織開発力
- 高い問題解決能力、分析力、論理的思考能力
- 自社の事業に対する知識
- コミュニケーション能力(交渉力や社内調整力を含む)
企業によってはプレゼンテーション・採用面接が可能な英語力を必要とする場合有
ただし、各企業によってHRBPとして求めているスキルが異なります。何故ならばHRBPの定義が企業ごとに違い、明確に定まっていないためです。
HRBPを導入する際は、どのようなスキルを持ち合わせている人が自社に合い、成長に導いてくれるのかを考え相談していくことが重要でしょう。
HRBP導入のメリットや展望
パートナーとしてのサポート、仕事の属人化の防止
HRBPを導入することによって、事業担当者や責任を伴う経営者・役員といったリーダーの良き理解者・パートナーができ、困ったときの相談相手にもなります。相談相手がいる場合といない場合を比べると、精神的な部分の負担が和らぎます。相談相手がいることで仕事の属人化を防ぐことにもつながるでしょう。
「攻めの人事」を行う
経験年数によるポジションの確立がなされている年功主義は「守りの人事」と呼ばれ、若くて優秀な方が不満を持ちやすくなり、結果的にその組織成長への機会損失につながっているケースも見受けられます。
上記のような事例を改善しようとHRBPは、「攻めの人事」に転換するような働きかけを行います。若くて優秀な方が昇進しやすい環境が整っていれば、組織の革新的な活性化が見込めます。
今後、多種多様な変化のある社会でどうすれば企業が生き残っていくのかを模索していく上で、HRBPを導入することはひとつの手段と言えます。世界的にも有名なGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)は既にHRBPを導入済です。日本企業の多くも競争を勝ち抜いていくために導入を実施・検討しています。
経営戦略の遂行のために、これからHRBPの需要はますます高まっていくでしょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
HRBP(HRビジネスパートナー)に関して、少しでもご理解を深めていただけましたでしょうか?
HRBPの御導入をご検討されている方の参考に少しでも貢献できれば幸いです。HRBPとなれる存在はビジネス・人事・社員について深い理解を持っている必要があります。
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