昨今、多くの企業が導入し注目されている「1on1ミーティング」。
- 具体的に「1on1ミーティング」とは何なのか
- 導入しようと検討しているがどのようにおこなえばいいのかわからない
という方も多いのではないでしょうか。
いま注目されている「1on1ミーティング」についてのメリットや注意点について紹介します。
目次
1on1とは
1on1ミーティング(以下1on1)とは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談のことを指します。1on1とは、あくまで「人材育成」を目的としたミーティングであり、上司が部下に現状の問題や課題の解決策を自分自身で考えさせる必要があります。
- 部下に話をしてもらうこと
- 上司が自分の考えを押し付けない
- 上司が先に答えを言わない
- 上司に頼りきった関係にならないようにする
上記のポイントに注意しながら、問題解決や部下の実際の行動を導くことが必要です。
1on1が注目された背景
1on1はもともと、アメリカのシリコンバレーの企業文化で、日常的におこなわれているコミュニケーション方法の一つでした。そこから世界的にも注目を集める人材育成施策となり、日本でもヤフー株式会社様が取り入れたことで話題を呼んで現在では多くの企業で導入が進んでいます。
1on1が生まれた背景には、部下の価値観や考え方に多様性が生まれ、一人の人間としての部下の考え方が把握できなくなってきたことが一因として考えられます。部下の考えを確認するためには、1on1のような密なコミュニケーションが不可欠です。
また、自ら考え行動していく自発的な人材育成のニーズが高まってきていることも注目された背景の一つといえます。
人事評価面談との違い
1対1の面談というと、人事評価面談を想像する場合が多いですが、1on1と人事評価面談には目的、実施方法にも大きな違いがあります。人事評価面談で扱われる主な内容は目標設定や人事考課のフィードバック、半期・4半期の達成度の確認や上司からのアドバイスなどで半年に1回ほど実施されます。
一方、1on1では上司と部下が自由に対話しお互いの信頼関係を築きながら、部下の成長を支援し育成する場として設けられます。会社や所属、職種によっても異なりますが「短いサイクルで定期的に実施する」ことも人事評価面談と1on1の大きな違いです。
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1on1を行うメリット
1on1を導入することにより期待できる効果は以下の3つです。
- 部下の成長促進
- 信頼関係を構築
- 部下の状況把握
部下の成長促進
1on1によって部下は、自分自身の失敗体験や成功体験を振り返る習慣をつけることができます。また、その過程により今後取り組むべき課題が明確となって、これから自分がどう行動していけば良いのかという自発的な思考が身につきやすくなります。
経験の振り返りから、自分自身の適性や可能性、精神的な面など、さまざまな面での課題にも気づくことができるのです。この点から1on1には部下の成長を促進する効果が期待できます。
信頼関係を構築
部下は自分より上の立場にある上司に対しては必然的に距離感を持ち、伝えたいことを発言できないケースも見受けられます。定期的に1on1を通じての相互理解を深めることで、上司と部下の間にある距離感を自然に縮めることができるため、部下は悩みの相談もしやすくなり、徐々に信頼関係を構築できます。
部下の状況把握
上司が日々変化する現場の状況を直接部下から1on1で聞き取ることにより、より理解を深めることができます。
また、普段業務の中では知りえない部下の性格や健康状態、仕事の悩みなどを知ることもでき、その結果として部下の心身状態の把握や、仕事のパフォーマンスに対する理解度も向上します。
1on1を行う前に
では、1on1を行う前にすべきことは何でしょうか。
目的を伝える
前提として、まずは部下に1on1を実施するにあたり目的を伝える必要があります。
特に、部下が課題を抱えている場合には「1on1が終わった際、どんな状態になっていればいいか」という部下の期待値を最初に聞くようにするとよりスムーズです。こういった事前のヒアリングがなければ、上司からの期待はずれな回答によって部下からの信頼を失う可能性もあります。
日程を決める
1on1を実施する際は、定期的な予定として実施することでより大きな効果が期待できます。月1回から隔週1回程度の頻度で実施するのが理想と言われており、この頻度は1on1でもっとも大切なポイントといえます。
1on1は通常業務と並行して実施する必要があるため、ときには予定通り1on1を実施できないということも考えられますが、その際は予定をキャンセルするのではなく、リスケジュールにします。キャンセルをしてしまうと上司は1on1を軽視している、大事に思われていないと部下からの信用を失いかねません。
当日の進め方を考える
1on1の際、中心となり話すのは部下ですが、時間の確保や調整は上司が主体でおこないましょう。そうすることにより、「自分のために時間を割いてくれている」という安心感から部下がリラックスした状態で話せる効果が期待できます。
また、1on1を実施する際に毎回共通して必要になるのは、まず冒頭で「テーマ・目的・ゴール」を設定することです。「部下が話したいこと」を話してもらうことを基本姿勢とし主役はあくまで部下であることを忘れないようにしましょう。
1on1で話す内容
続いて、1on1で話す内容についてお困りの方向けに話題例をご紹介します。
「部下の成長促進」につながる話題を事前に準備しておきましょう。
- 上司にサポートしてほしいこと
- 仕事の悩み
- 上司に知っておいてほしいこと
- 社内での人間関係やコミュニケーションの問題
- 事業戦略に対する疑問、意見
- 今後どのように成長していきたいか
- 将来の目標について
また、心身の健康チェックやコミュニケーション、モチベーションの向上も同時に図るため、ときには以下のような話題を振るのも良いでしょう。
- プライベートの悩み
- 最近気になっている時事ネタ
- 週末は何をして過ごしているのか
- 何をしている時が一番楽しいのか
- 日々の業務量は無理のない範囲であるか
- 体調に違和感はないか
話した内容をまとめて次回に生かす
個人の成長につなげるためには、継続し1on1を実施ことが大切です。毎回同じ話題を話す必要はないですが、1on1で話した内容を上司が忘れてしまえばそもそも信頼関係の構築は成り立ちません。1on1を話した内容は忘れないように注意し記録に残すこと、次回に生かせる内容があれば活用していきましょう。
1on1の注意点
上司ばかり話す
失敗例として多いのは、部下の話を差し置き上司が自分の体験談ばかりを話すケースです。1on1は部下のための場であり上司の場ではありません。8割以上の時間は部下の話を聞くことに使ってもいいとも言われています。それほどに部下の話をしっかり聞くことは大切であり、抑えるべきポイントです。
部下が話す内容が上司に対する質問であった場合は、「○○さんならどう思いますか?」など、質問を返し、部下の考えを引き出してから話すようにしましょう。
評価したり進捗管理を行う時間にしてしまう
1on1は業務時間を使い部下に情報のアウトプットを促し、最終的には業績向上につなげることも目的の一つです。
ですが、日々の業務にばかり話題をフォーカスすると、単なる業務の進捗確認となってしまいます。大切なのはセッティングの仕方やコミュニケーションにより部下の本音を聞き出し、単なる雑談ではなく部下の成長を促進させるような時間、部下のことをより深く知る機会にすることです。貴重な機会であることを忘れずに、評価や進捗管理だけで1on1が終わらないように注意しましょう。
1on1の中で聞いた個人的な内容を、安易に口外しない
部下との信頼関係を失うため、1on1で知り得た情報は基本的に口外しないように注意が必要です。
1on1では、業務上の話以外にもプライベートな話にまで話題が及ぶ可能性があります。部下に安心して話せる場と認識してもらうためにも、聞いた内容は安易に口外しないことを部下に明示し、遵守することを伝える大切です。
マネジメント上の必要性から自分の上司などに伝えなければいけない内容があれば、情報を上司に伝えて良いか、事前に部下に了解を得ることを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は1on1についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。
1on1とは、上司と部下が1対1で定期的に行う面談(対話)であり、「人材育成」を目的としています。互いの信頼関係を構築しながらも部下が話しやすい環境を作れるように、定期的なペースで1on1を実施し、部下の成長支援をおこなっていくことが大切です。構築した信頼関係を崩さないよう、知り得た情報は口外しないなど基本的なことは遵守するように努めましょう。
1on1の導入を成功させるには、経営陣などの責任者が本気で取り組む姿勢を示すことがカギとなります。「他社が導入しているから」といった安易な理由で導入するのではなく、「組織として何を目指すのか」や「1on1が果たす役割とは何か」を照らし合わせ、自社に必要な施策であるかを一度検討してみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が少しでも採用活動のお役に立てば幸いです。
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