DXに「取り組んでいる」は、昨年比11.7ポイント増。リスキリングは73.8%が「知らない」|中小企業における人事・採用DXに関する実態調査

データやデジタル技術の活用によってビジネスモデルや組織に変革を起こし、企業競争力を高めるDX(デジタル・トランスフォーメーション)。激しく変化する近年のビジネス環境や人手不足に対応していくために、DXの取り組みは不可欠となっています。

国内では政府の成長戦略に基づき、省庁や自治体での取り組みが進行中。民間企業においては新型コロナウイルスの感染拡大を機に加速していますが、企業規模や業界によって推進状況に差が開き始めています。

そうした状況の中、中小企業ではどこまでDXの取り組みが進んでいるのでしょうか。

株式会社ネットオンでは、採用業務クラウド『採用係長』の登録ユーザーである中小企業の採用担当者を対象に、人事・採用DXに関するアンケート調査を実施しました。

アンケート回答者属性

今回、アンケートにご回答いただいた事業所様の属性は以下の通りです。
従業員規模20名以下の事業所様を中心に「飲食」、「建築・不動産」、「介護・福祉」、「医療」など様々な事業所様にご回答いただきました。
また、地域につきましても、都市部を中心に全国的に散らばり、あらゆる地域の事業者様にご回答いただきました。

業種

従業員規模

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都道府県

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61.4%がDXという言葉を「聞いたことがない」

はじめに、DXという言葉を聞いたことがあるかどうかについて質問したところ(n=363)、「はい(=聞いたことがある)」と回答した事業所は38.6%でした。

グラフ(Q1.DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉を聞いたことがありますか)

2023年2月に実施したアンケート調査(n=172)では、「はい(=聞いたことがある)」が41.3%です。前回調査と比べて2.7ポイント減少し、「聞いたことがない」事業所が6割以上を占める結果となっています。

「聞いたことがある」事業所の66.4%は、DXの意味を「知っている」

続いて、Q1で「はい(=聞いたことがある)」と回答した事業所へ、DXの意味を知っているかどうかについて質問しました(n=140)。
「はい(=知っている)」と回答した事業所は66.4%。前回調査(69.0%)から2.6ポイント減少しました。

グラフ(Q2.DXの意味を知っていますか?)

事業所全体の認知度(「言葉を聞いたことがある」かつ「意味を知っている」事業所の割合)は、25.6%です。前回調査(28.5%)よりも2.9ポイント減少し、DXの認知が進んでいない現状が明らかになっています。

過半数の事業所がDXに「取り組んでいる」または「取り組み予定」

Q1で「はい」と回答した事業所へDXの取り組みについて質問したところ(n=140)、「取り組んでいる」と回答した事業所は、31.4%。「今後取り組む予定」の事業所は28.6%となり、DXに前向きな事業所が過半数を占めています。

グラフ(Q3.自社でDXに取り組んでいますか?)

前回調査(n=71)では「取り組んでいる」が19.7%、「今後取り組む予定」が33.8%でした。

グラフ(前回調査時のグラフ(自社でDXに取り組んでいますか?)

前回調査と比べて「取り組んでいる」事業所の割合が11.7ポイント増加しており、DXへの取り組み状況については、着実に前進していることを示す結果となっています。

導入している人事・採用系ツールは「勤怠管理(シフト管理、タイムカード)」が最多

Q3で「取り組んでいる」と回答した事業所へ、導入している人事・採用系ツールについて質問しました(n=44)。

グラフ(Q4.DXの取り組みとして導入している、人事・採用系ツールがあれば教えてください)

もっとも多かったのは「勤怠管理(シフト管理、タイムカード)」で、65.9%の事業所が導入済み。2位以下に続く「給与計算」「人事評価」「労務管理(入社手続き、社会保険手続き)」の導入率は、30%を超えています。

人事・採用系ツールを導入する予定が「ある」は、35.0%

Q3で「取り組み予定」と回答した事業所へ、人事・採用系ツールを導入する予定があるかどうかについて質問したところ(n=40)、「ある」と回答した事業所は35.0%に留まりました。他領域でのDXを予定している事業所が多いことが分かります。

グラフ(Q5.DXの取り組みとして、今後人事・採用系ツールを導入する予定はありますか)

また、導入する予定があると回答された方へ、導入を予定している人事・採用ツールについて質問したところ、上位から順に「勤怠管理(シフト管理、タイムカード)」、「労務管理(シフト管理、タイムカード)」、「採用管理(採用サイト作成、応募者管理)」、「給与計算」、「人事評価」、「eラーニング」と回答がありました。

取り組み予定のない事業所の60.7%がDXに「興味がない」

Q3でDXに「取り組んでおらず、現時点では取り組む予定もない」と回答した事業所には、DXの取り組みに興味があるかどうかについて質問しています(n=56)。

グラフ(Q7.DXの取り組みに興味はありますか?)

「ある」と回答した事業所は39.3%です。興味が「ある」事業所が28.8%だった前回調査(n=118)と比べて僅かながら増加していますが、取り組み予定のない事業所の関心の低さに大きな変化はありません。

73.8%の事業所が“リスキリング”を「知らない」

すべての事業所へ、DXを推進するうえで必須といわれる“リスキリング”を知っているかどうかについて質問したところ(n=363)、「いいえ(=知らない)」と回答した事業所が73.8%に上りました。
中小企業におけるリスキリングの認知度の低さが明らかになっています。

グラフ(Q8.リスキリングという取り組みを知っていますか?)

※リスキリングとは、社会やビジネスモデルの変化に対応するために、業務で必要となる新たな知識・スキルを獲得する(させる)こと。学び直しとも呼ばれています。

リスキリングに「取り組んでいる」は、わずか3.9%

リスキリングについての説明をしたうえで、今後の取り組み予定について質問しました(n=363)。「すでに取り組んでいる」事業所は、わずか3.9%です。「取り組む予定がない」事業所が73.6%を占める結果となっています。

グラフ(Q9. 今後リスキリングに取り組む予定はありますか?)

リスキリング支援の1位は「コミュニケーション」

Q9で「すでに取り組んでいる」「取り組む予定がある」と回答した事業所へ、会社としてリスキリング支援を行っている、または予定している分野について質問したところ(n=96)、もっとも多い分野は「コミュニケーション」でした。

グラフ(Q10.現在行っている、または今後予定しているリスキリング支援の分野を教えてください)

2位以下には「マーケティング」「マネジメント」「データ分析」が続いており、リスキリングに取り組む事業所は、管理職やリーダーの育成、事業競争力の強化に力を入れていることがうかがえます。

まとめ

今回の調査では、中小企業におけるDXの取り組み状況とリスキリングについてアンケートを実施しました。結果は「DXという言葉を聞いたことがある」事業所は38.6%。そのうち「DXの意味を知っている」事業所は66.4%でした。いずれも前回調査を下回る結果となり、中小企業におけるDXの認知不足の課題は未だに解消されていないことが明らかになっています。

一方でDXの意味を知っている事業所では、DXに「取り組んでいる(31.4%)」と「今後取り組む予定(28.6%)」の事業所が過半数を占め、前回調査時よりも「取り組んでいる」事業所の割合が11.7ポイント増加しました。

人手不足、物価高騰、社会保険料の負担増大などで生産性の向上が迫られる中、DXの認知と必要性の理解を進めることは、引き続き中小企業の重要課題といえそうです。
加えて今回の調査では、「業務の性質上、組み込み方に工夫が必要」や「社内の理解を得て進めることが難しい」などの意見がありました。DX推進の障害は取り組み過程にも存在し、それらを乗り越えていくことも中小企業にとって大きな課題であることがうかがえます。

またリスキリングについては、「聞いたことがある」事業所は26.2%に留まり、取り組みについても「予定がない」が73.6%を占めました。DX以上に認知が不足している状況ではありますが、4分の1程度の事業所はリスキリングに対して前向きです。中小企業間のこうした違いが、今後の成長格差の要因となるかもしれません。

中小企業の採用DXを支援する株式会社ネットオンは、採用業務クラウド『採用係長』の提供を通じて採用課題の解決を図るとともに、DX推進の一助となることで中小企業の成長に貢献してまいります。

調査概要

調査名 人事/採用DXに関するアンケート調査
調査対象 『採用係長』利用事業所の人事・労務担当者様
有効回答数 363
調査期間 2024年1月4日(木)~1月18日(木)
調査方法 インターネット調査
調査結果の注意点 %を表示する際に小数点第2位で四捨五入しているため、単一回答の場合は100%、複数回答の場合は合計値に一致しない場合があります。

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この記事を書いた人
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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
監修者
辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
Indeedはもちろん、インターネット広告やDSP広告を組み合わせた効率的な集客や、Google Analytics等の解析ツールを利用した効果分析、サイト改善を強みとしている。

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