近年、オンラインインターンシップを導入する企業が増えています。時代に即した方法で人材を確保するために、自社でもオンラインインターンシップ導入を検討しているケースは多いでしょう。
しかし、オンラインインターンシップにはメリット・デメリットがあるため、特徴を押さえたうえでの実施が重要です。
本記事では、オンラインインターンシップの概要を、時代的な背景を踏まえて解説します。おすすめの内容や導入事例などの実践的な内容も紹介するため、オンラインインターンシップの導入を検討している人事・採用担当の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
オンラインインターンシップとは?
オンラインインターンシップとは、文字通りオンライン上で行うインターンシップのことです。多くの場合、ZoomやGoogle Meetなどのオンライン会議ツールを利用して行います。
従来のインターンシップは、学生がオフィスを訪れて、対面で実施する形式が一般的でした。しかし、近年は対面での形式に替わるように、各企業でオンラインインターンシップの導入が進んでいます。
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オンラインインターンシップが増えた背景
では、オンラインインターンシップが増えている背景には、どのような要因があるのでしょうか。
はじめに、オンラインインターンシップの実施状況を明らかにしておきましょう。
新卒採用に関する調査を行っている株式会社ディスコ様では、2022年卒の学生802名を対象に、参加したインターンシップの形式について調査しています。回答結果は、以下のとおりです。
(出典:インターンシップに関する調査 2021年3月実施|株式会社ディスコ)
「オンラインのみ」「オンラインと対面の組み合わせ」の合計は77.4%であり、多くの企業がオンラインインターンシップを実施していると分かります。「オンラインのみ」の回答割合だけでも7割を超えており、コロナ禍におけるインターンのスタンダードになっているといっても過言ではありません。
オンラインインターンシップが増えている理由としては、DXの推進や新型コロナウイルスの流行などの、時代的な背景が影響しています。
もともと、DXの推進によりITツールの開発・導入が進み、オンライン上でのインターンシップが注目されていました。徐々に浸透していたオンラインインターンシップが、コロナ禍で非接触化が重視されたことによって加速しています。
オンラインインターンシップのメリット・デメリットは?
オンラインインターンシップが増加している要因には、対面での実施と比べてメリットがあることも影響しています。一方でデメリットもあるため、企業が導入する際は、慎重な検討が必要です。
自社における導入の必要性を深掘りするために、メリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット1.全国各地の学生に対応できる
オンラインインターンシップは、インターネット環境さえ整っていれば全国各地の学生に対応できる点がメリットです。
たとえば、北海道や沖縄に住んでいる学生でも、首都圏にある企業のインターンシップに気軽に参加できます。企業は、対面よりも多くの学生に出会えるため、優秀な人材を確保できる可能性が高まるでしょう。
メリット2.コストを削減できる
対面でのインターンシップよりコストを削減できるメリットもあります。具体的に、オンラインであれば下記の費用の削減が可能です。
- 会場費
- 交通費や宿泊費
- インターン生を受け入れるためのインフラ整備費
学生1人あたりにかけるインターンシップのコストを削減できれば、受け入れ数を増やす、採用活動の経費に充てるなどの工夫ができます。特に、予算額の少なさが採用活動の障害となりやすい中小企業にとって、コスト節約は大きなメリットです。
デメリット1.企業の良い雰囲気を伝えにくい
オンラインインターンシップでは、組織内の良い雰囲気を伝えにくいデメリットがあります。学生がオフィスを訪れ、組織の内情を直接見る機会がないためです。
オンラインで企業の雰囲気を伝えるためには、コミュニケーションを増やす工夫が必要になります。
特に、入社後の業務をテレワークではなくオフィスで行う場合は要注意です。入社して実際に業務を開始した後に、社風や人間関係でのミスマッチを感じやすくなります。
デメリット2.学生の素が見えにくい
直接会えないことは、学生の素が見えにくいデメリットにもなります。
対面であれば、移動や休憩での何気ない態度にも、学生の人となりが表れます。しかし、オンラインだと画面越しの雰囲気や言葉だけで、人となりを感じなければなりません。
また、インターンシップを、そのまま採用につなげている企業もあるかと思います。インターンシップ中に採用すべき人材を見極めるためには、人事担当者の判断力向上やアイスブレイクの実施など、学生の素を引き出す工夫が必要です。
以下の記事で紹介しているアイスブレイクのネタは、インターンシップでも活用できます。
⇒面接におけるアイスブレイクの重要性と使えるネタをご紹介
オンラインインターンシップにおすすめの内容
オンラインインターンシップで入社意欲を高めるためには、学生にとって魅力的なプログラムを組む必要があります。また、企業が学生のことを正確に知るうえでも、実施する内容の吟味が重要です。
ここからは、オンラインインターンシップにおすすめの内容を紹介します。
企業や事業の説明
画面共有で資料やスライドを提示しながら、企業や事業のことを説明します。インターネットだけでは知れないリアルな情報や魅力を伝えられれば、企業に対するイメージが一層具体的になるでしょう。
ただし、説明だけでは理解促進に不十分な場合があります。入社意欲を高めるためにも、説明に加え、実際に業務を体験してもらうことがおすすめです。
業務体験(グループワーク・個人ワーク)
普段行っている業務の一部を、学生に体験してもらいます。実際に体験することで、「企業で働く自分」をよりイメージしやすくなるでしょう。
業務体験は、「グループワーク」と「個人ワーク」の2つに大きく分類できます。インターンシップの規模や業務の性質に合わせて選択してください。
実際に業務を体験したら、企業からのフィードバックも行うと良いでしょう。参加者がインターンシップ期間での成長を実感できるようになり、満足度が高まります。
オフィス見学
オフィス見学は対面で行うものだと思われがちですが、オンラインでも可能です。
オンラインでオフィス見学を行う際は、ライブ配信や録画配信を活用します。ライブ配信の場合は、参加している学生に合わせて実施できるため、臨場感がある点や、紹介内容を柔軟に変更できる点がメリットです。録画の場合は、一度撮れば使い回せるため、労力が軽減するメリットがあります。
オフィス見学の後は、質問タイムを設けて学生の疑問を解消しましょう。不安がなくなれば、自社に対してさらにポジティブなイメージを持ちます。
懇親会・雑談タイム
懇親会の実施もおすすめです。オンラインインターンシップのデメリットである「コミュニケーション不足」をカバーできます。学生の素の部分も見えやすくなるため、お互いの理解を深める機会となるでしょう。
コミュニケーションを増やす工夫として、インターンシップのスケジュール内に雑談タイムを導入する方法もあります。適宜交流の場を設けることで、短期間で企業側と学生が打ち解けられるでしょう。
オンラインインターンシップの事例紹介
では、すでにオンラインインターンシップを導入している企業は、どのようなプログラムを実施しているのでしょうか。
ここからは、オンラインインターンシップの事例を3つ紹介します。自社に導入するイメージを具体化するための参考にしてください。
【丸尾興商株式会社様】1day仕事体験
(出典:丸尾興商株式会社 公式サイト)
管工機材・住宅設備・機械工具の専門商社である丸尾興商株式会社 様では、2023年卒の学生を対象に、3時間で完結するオンラインインターンシップを実施予定です。
グループワークを通した「提案営業」と「営業事務職」の業務体験がメインとなっており、企業からのフィードバックもあります。同社では営業職と事務職がチームになって仕事をしているため、実際の職場環境に近い形式をとり、理解を深めることが狙いです。
グループワークのテーマは、「新商材を考える」や「10年後の丸尾興商は?」などが一例として挙げられています。
【参考】
丸尾興商株式会社のインターンシップ・1day仕事体験概要|リクナビ2023
【ピクシブ株式会社様】PIXIV SUMMER BOOT CAMP2021
(出典:ピクシブ株式会社 公式サイト)
イラストSNS「pixiv」を運営しているピクシブ株式会社様は、「PIXIV SUMMER BOOT CAMP2021」と名付けたオンラインインターンシップを開催します。期間は2021年7~9月のうち平日8日間で、技術職を希望している学生が対象です。
実際に社員が行っている業務にチャレンジできる「就業型」と、課題に取り組む「プロジェクト型」の2つのタイプがあります。13種類のコースが用意されており、経験したい業務に応じて選択する形式です。
インターンシップ期間の勤務時間は、10:00~19:00(1時間の休憩を含む)です。実際に勤務する環境に近付けることで、事業内容や就労環境、社風を学べる濃い内容となっています。
【参考】
技術職向け夏インターンシップ「PIXIV SUMMER BOOT CAMP 2021」参加者募集のお知らせ|ピクシブ株式会社
【株式会社SAMURAI様】長期インターンシップ
(出典:株式会社SAMURAI 公式サイト)
株式会社SAMURAI様は、「世界平和」をテーマに、プログラミングスクールやメディア運営などを行っている企業です。同社では、オンラインでの長期インターンシップを行っており、希望者はオフィス出社も受け入れています。
各職種でインターン生を募集しており、実際に業務を経験してもらう形式です。たとえば、マーケティング職種のインターンシップに参加する場合は、競合調査や分析、情報リサーチなどの業務を行います。職種ごとに最低稼働日と勤務時間が決められており、給与も支給される点が特徴です。
まとめ
オンラインインターンシップとは、オンライン上で行うインターンシップであり、ZoomやGoogle Meetなどの会議ツールを用いて行われます。DXの推進や新型コロナウイルスの流行を背景に、近年増加傾向です。
オンラインインターンシップは、全国の学生が参加できるうえに、コストを削減しやすいメリットがあります。一方で、企業の内情を伝えにくく、学生の人となりも確認しにくい点がデメリットです。
デメリットをカバーしながら、学生にとって魅力的なオンラインインターンシップを開催するためには、プログラム内容を吟味する必要があります。
本記事では、プログラムを組む際に参考となるよう、おすすめの内容や事例を紹介しました。ぜひ、人材確保につながるオンラインインターンシップの実施に役立ててください。
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