なでしこ銘柄とは?メリットや選定プロセス、応募手順を解説

「なでしこ銘柄」は、企業が女性活躍に積極的であることを対外的に伝え、投資を促進するための制度です。
一方で上場企業のみが対象となることから「名前は聞いたことがあるけれど詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、なでしこ銘柄に選定されることで得られるメリットや選定プロセス、具体的な評価ポイント、応募手順などの情報を網羅的に解説します。

なでしこ銘柄とは

なでしこ銘柄は通常の「なでしこ銘柄」と「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の大きく2種類に分けられます。
はじめに、それぞれどのような制度なのかを解説します。

なでしこ銘柄

なでしこ銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「女性活躍推進に優れた上場企業」のことです。
2012年度(平成24年度)から始まったこの制度は、女性の活躍推進を積極的に進めている企業を投資家に紹介し、投資を促進することを目的としています。

なでしこ銘柄に選ばれることは、その企業が女性活躍推進に真剣に取り組んでいるという証明になり、優秀な人材の獲得や投資家からの注目度向上にもつながります。

なお、なでしこ銘柄の選定は業種ごとであり、令和5年を例にあげると「素材・化学」は資生堂、「不動産」は三井不動産などが選ばれています。
選定企業一覧はこちら

Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業

「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」は、なでしこ銘柄の水準には達していないものの、取り組みが進んでいる企業や、顕著な成長が見られる企業を選定するものです。

Nextなでしこに選ばれた企業は、将来的になでしこ銘柄に選定される可能性が高い企業として注目されます。この制度が推進されることで、より多くの企業が女性活躍推進に取り組むことが期待されています。

なでしこ銘柄の制度イメージ

(出典:令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】|経済産業省

なでしこ銘柄に選定されるメリット

なでしこ銘柄に選定されれば、企業は組織づくりのほか、対外的にもさまざまなメリットを得ることができます。
ここでは、特に注目しておきたいメリットを3つ紹介します。

企業のイメージアップ

なでしこ銘柄に選定されることで、企業のイメージが向上します。
制度自体が国によって運営されていて信頼性が高く、女性活躍推進に積極的な企業であることの裏付けとなるためです。

経済産業省のホームページで選定企業の取り組みが公表されたり、なでしこ銘柄レポートにおいて選定企業に対する審査委員の評価ポイントが掲載されたりと、企業ごとの取り組みが広く発信されることも特徴です。

具体的には以下のようなイメージアップが期待できます。

  • ダイバーシティ経営に積極的な企業としての認知度向上
  • 働きやすい職場環境を提供する企業としてのブランディング
  • 企業価値向上による業績への好影響

優秀な人材確保に繋がる

優秀な人材、特に女性人材の確保にもつながります。
高いキャリア意識を持つ女性からの応募はもちろん、ダイバーシティ経営に取り組む企業として認知され男性からの応募に影響するでしょう。

【採用面での期待できる効果】

  • 女性求職者からの応募増加
  • 男女問わず、ワークライフバランスを重視する求職者からの注目度向上
  • 既存従業員のモチベーション向上と定着率の改善

投資家からの評価向上

なでしこ銘柄に選定されることで、投資家からの評価も向上します。

実際に過去のレポートにおいても、なでしこ銘柄選定企業は株価指数が高い傾向にあることを報告しています。新型コロナウイルス流行により多くの株が価格を落としたときも、なでしこ銘柄選定企業は回復が早かったようです。

なでしこ銘柄の選定プロセス

なでしこ銘柄の応募パターンとしては下記3つがあります。

  • 両方に応募
  • 「なでしこ銘柄」だけに応募
  • 「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」だけに応募

ここからは具体的な選定プロセスについて紹介します。

なでしこ銘柄の選定基準

なでしこ銘柄の審査にあたって、最低限クリアしておく必要がある要件が「スクリーニング基準」です。共通のスクリーニング基準は以下のとおりです。

  • 直近3年平均ROEがマイナスではない
  • 上場企業単体ベースにおいて女性取締役が1名以上いる(社内取締役・社外取締役問わず)
  • 社名および定量調査票の一部の内容の公表に同意する
  • 女性活躍推進法に基づく行動計画を策定している(従業員数101人以上の企業)
  • 厚生労働省「女性活躍推進データベース」で女性管理職比率を開示している
  • 法令が遵守されている
  • 反社会的勢力とのつながりがない

この基準を満たしたうえで、下記2つの調査票および大きく4つの観点から評価します。

a.共通調査票(Excel) 1:キャリア形成支援の推進状況
2:共働き・共育て(両立支援)の推進状況
3:経営戦略と紐付いた共働き・共育て(両立支援)に向けた取組
b.なでしこ銘柄調査票(Word) 4:経営戦略と紐付いた女性活躍に向けた取組

「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」にのみ応募する場合は、「b.なでしこ銘柄調査票」の提出は不要です。そのほか、詳細は下記ページでご確認ください。
令和6年度「なでしこ銘柄」募集要領【本編】「応募パターンと応募内容」|経済産業省

令和6年度(2024年度)におけるなでしこ銘柄の評価ポイント

評価のポイントについて、さらに詳しく見ていきましょう。

■「なでしこ銘柄」の評価ポイント
以下の2点を重視して最大30社程度が選ばれます。

  • 「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」および「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」に関する取組・成果が、どちらも優れていること
  • 経営戦略と女性活躍を含む人材戦略との結びつき、それにより企業価値がどう向上したか自社独自のストーリーとして語られていること

■「Nextなでしこ共働き・共育て支援企業」の評価ポイント
次の2点を重視して最大20社程度が選ばれます。

  • 共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援を推進しているか
  • 共働き・共育てをする従業員に限らず、全ての従業員が自分の望む働き方を選択できる環境づくりを推進しているか

「Nextなでしこ共働き・共育て支援企業」では、特に出産・育児を希望する女性のキャリア中断を解消するための取り組みが評価されます。

なでしこ銘柄への応募手順

なでしこ銘柄に申請し、選定を受けるまでの具体的な流れは下記のとおりです。

  1. 調査票のダウンロード
  2. 調査票の回答
  3. 提出
  4. 審査・選定

各ステップで実施する内容について詳しく説明します。

調査票のダウンロード

応募の第一歩は、経済産業省のサイトから調査票をダウンロードすることです。
調査票は「共通調査票」と「なでしこ銘柄調査票」の2種類がありますが、「なでしこ銘柄」と「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の両方に応募する、あるいは「なでしこ銘柄」のみに応募する場合は、2種類の調査票への回答が必須です。

調査票の回答

調査票の項目に漏れなく回答します。
人事やIR、経営企画など、関係部門が連携しながら回答できればベストです。

提出

調査票の回答が完了したら、なでしこ銘柄事務局あてにメールで提出します。
提出の締め切りは通常10月頃に設定されており、余裕をもって提出することが重要です。

審査・選定

提出された調査票は、経済産業省と東京証券取引所によって慎重に審査されます。
審査期間中、事務局から内容確認の連絡がくる場合があるので確実に対応しましょう。
審査の結果は通常、翌年の2~3月頃にメールにて通知されます。

まとめ

なでしこ銘柄は、日本社会における重要な課題である女性活躍推進と多様性の確保に向けた取り組みを評価し、推進する重要な制度です。気になった方は、ぜひ当記事を参考に申請の準備を始めてみてください。

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この記事を書いた人
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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