警備員が人手不足になる原因 警備業の課題や応募を増やす採用成功ポイントを解説

警備員 × 人手不足

警備員の仕事を探したとき、他の求人に比べて多くの求人情報が見つかります(Indeed検索によると2024年2月時点で約6万件)。求人数が多いということは、それだけ人手不足が慢性化しているということです。

それではなぜ、警備員は人手不足なのでしょうか。本記事では、そんな警備員不足の現状と理由、募集を集め採用を成功させるためにすべき事について解説します。

警備員不足の現状

ITやAIの技術が発達している現代ですが、新しい施設の建設やホームセキュリティの導入増加など、警備が必要となっている現場が増えています。その一方で、警備員の人手不足は顕著であり、採用が追いついていない状況です。

まずは有効求人倍率と勤続年数から警備員の人手不足の現状を確認してみましょう。

警備員の有効求人倍率

厚生労働省の一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)によると、「保安業」の有効求人倍率は6.58でした。
参照:一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分) 参考統計表
※「保安業」とは、自衛官、警察官、海上保安官、その他の司法警察職員、看守、消防員、警備員、その他の保安の職業を指します。

これは、常に6社が1人の求職者に対して採用競争していることを表します。1倍を超えたら売り手市場と言われる中、警備員は求職者に対して引く手あまたであることが分かります。

警備員の勤続年数

2021年の賃金構造基本統計調査によると、警備員の平均勤続年数は9.5年。
平均が12.3年であることを踏まえると、勤続年数が短い傾向にあると言えます。
参照:政府統計e-Stat 賃金構造基本統計調査

この情報からわかるように警備員の人手不足は深刻です。
ではなぜ、社会に必要とされている警備員がこんなにも不足しているのでしょうか。

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警備員が人手不足になる理由・原因

警備員が人手不足に陥っている理由について解説します。

働き方改革が進んでいない

近年、さまざまな業界で「働き方改革」が進んでいますが、警備業界はその進みが遅れている傾向にあります。
人員不足が続いている警備業界は、採用した人材を酷使したり、低い賃金で働かせたりと、悪循環に陥っているのです。

働き方改革が遅れている警備業界の実情について、以下で詳しく解説します。

警備業界の就業環境

雑踏警備や交通誘導警備をはじめ、仕事内容によっては一日中野外に立って仕事をすることがあります。暑い夏でも寒い冬でも、事故の発生を防ぐために野外で仕事に従事するのです。

ただでさえ一日中立ちっぱなしというだけで体力を使いますが、悪天候の中という就業環境も重なると、やはり体力的に負担が大きいでしょう。結果として、より良い労働環境を求めて他業界に転職する人が多くなります。

警備業界の勤務時間

日勤と夜勤に分かれて24時間体制で勤務する職場が少なくありません。場合によっては交代制で仮眠を取りながら24時間勤務することもあるため、生活リズムが崩れやすくなる可能性があります。

また仕事の性質上、短時間勤務が向いておらず、基本的に長時間勤務になりやすいと言えます。そのため、短時間で働きたいアルバイトやパートを採用することが難しいのです。

新しい働き方の導入が難しい傾向にある

警備業界では、テレワークをはじめとした新しい働き方の導入が難しい傾向にあります。

例えば、最近はテレワークが就業方法として一般化していますが、警備業務においては現場での物理的な存在が求められるため、適用がほぼ不可能です。今後、AIの発展に伴い自動化が進む可能性はありますが、今のところはやはり「人」が求められます。

その結果、ワークライフバランスの確保が難しいと感じる警備員が増え、人手不足が深刻化しています。

給与(時給・年収)が少ない

さらに、警備員の給与水準が低いことも人手不足の要因となっています。
人気求人検索エンジン「求人ボックス」のデータによると、警備員の正社員の平均年収は350万円です。正社員の給与のボリュームゾーンは351万~382万円とのことなので、平均よりも低い傾向です。
(出典:警備員の仕事の年収・時給・給料|求人ボックス

ただでさえ肉体的負担が大きい仕事ですから、給与が十分でないと感じる警備員は、他の職種や業界への転職を模索するかもしれません。

体力が必要な仕事のため

身近でイメージする警備員は、オフィスビルの巡回警備員、工事現場等の誘導警備員等ではないでしょうか。

どちらも長時間の立ち仕事であったり、現場によっては天候が悪くても外で仕事をしなければいけないなど、体力が必要になるイメージがあります。 夏場は暑く冬場は寒いといった季節による影響もあり、就職を考えたときに選択肢から外さてしまっていることも多いでしょう。

特に1号警備・2号警備は人手不足が顕著に現れている

「1号警備」と「2号警備」は特に人材不足の傾向にあります。

1号警備とは、商業施設やオフィスビルなどの施設警備を行う仕事です。
2号警備は、交通誘導警備や雑踏警備など地域に密着した警備を指します。

これらは警備現場が多いことから、その分多くの人材を確保する必要があり、慢性的な人手不足に陥っています。

夜勤があり生活が不規則になりやすい

工事現場や駐車場の車両誘導であれば休憩する場所が十分に確保できず、野外や車内での休憩になります。
交通量が少ない深夜の時間帯に道路工事が行われることも多く、夜勤が頻繁に発生する場合もあります。

これらによってプライベートな時間が持ちにくいなど、生活が不規則になることへの不安も求職者が応募を渋ってしまう要因の1つです。

将来性が不安

「将来性」を懸念する人も少なくありません。

警備員としてキャリアを続けても給与が増えにくい現状や、体力的な面で年齢を重ねた後も勤務ができるかどうかの不安から、将来を考えた時に警備業界で働き続けることが難しいと考える層は離れてしまいます。

勤務開始には20時間以上の研修が必要

警備業法により、新たに警備員として現場に出るには、合計20時間の「新任研修」を受けなければなりません。研修は「基本教育」と「業務別教育」に分けられ、警備員としての基礎知識を学びます。

20時間というと決して短い研修ではなく、警備員の募集や採用プロセスを長引かせる要因となります。

※詳細を知りたい方はこちら
教育と資格|一般社団法人 全国警備業協会

離職率が高い

ディップ株式会社が2019年に警備員を対象に実施した調査によると、「継続して働きたい」と回答したのは38.7%。少し前のデータとはいえ、離職率の高さが伺えます。
(出典:ディップ総合研究所「警備業就業者の就業実態」に関するアンケート調査

多くの求職者が「離職率が高い業界である」という認識を持っていることから、長く働く意識を持たずに応募して、それが離職につながる可能性があります。

警備員の定着理由と離職理由

警備員の確保を強化するには「定着理由」と「離職理由」を知ることも重要です。
ここでは、2019年に実施された大手人材会社の調査をもとに、それぞれの理由を紹介します。

定着理由・離職理由ともにディップ総合研究所「警備業就業者の就業実態」に関するアンケート調査より。

定着理由

  • 勤務時間や勤務日数が希望に合っている
  • 人との関わりが適度である
  • シフト制で柔軟に働くことができる
  • 体力的な負担が小さい職場である
  • 仕事内容が簡単である

勤務時間・勤務日数が合っているというライフスタイルの面や、人との関わりが適度であるという密すぎない人間関係に良さを見出す声が多いようです。

離職理由

  • 体力的な負担が大きい
  • 仕事内容に給与が見合ってない
  • 精神的な負担が大きい
  • キャリアアップが臨めない
  • 人に誇れる仕事であると感じない

やはり、「負担の大きさ」を理由に離職する人が多い傾向にあります。
これらの離職理由は、求人への応募にあたっても求職者の懸念材料です。人材確保を図っている企業は労働環境の整備が重要だと言えるでしょう。

警備員は職場にどのようなことを求めているのか?

警備員として就職したい人材は、下記の要素を特に求めていると言えます。

  • 柔軟に働ける勤務体系
  • 仕事内容や労働時間に見合った給与
  • 体力面・精神面の負担が大きくないこと
  • キャリアアップが臨める環境

上記のすべてを整えるには至らなくても、自社でできることから検討してみることがおすすめです。

採用成功している企業の特徴と方法

とはいっても、警備員の仕事は人々の安全を守るとても重要な仕事であり、近年ではインバウンドの増加から警備員の需要は増える一方です。 そこで、警備員の採用に成功している企業の採用方法をご紹介します。

ターゲット人材を設定

まずは求める人物像を設定することが非常に重要になります。

警備員のメリットとして、資格が必要ないこと、ノルマがないこと、定時であがりやすいことがあげられますので、こういった情報からもターゲットを絞っていきましょう。 今活躍している人材はどういった人が多いかなどもターゲット人材を設定するヒントになります。

求める人材層の設定方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
採用ミスマッチを回避!ペルソナを活かした求人票の作り方とは?

警備員に向いている人材

ターゲット設定にあたっては、「そもそもどんな人が向いているのか」という視点も大切です。一般的に、下記の特徴を持っている人は警備員に向いていると言えるでしょう。

  • 基礎体力がある人
  • 責任感・使命感が強く、仕事に真摯に取り組める人
  • 集中力があり、軽率なミスをしない人
  • 緊急事態にも対応できる柔軟性がある人

特別なスキルは必要ないため、未経験が始めやすい仕事でもあります。だからこそ、警備員に適した資質を持っているかどうかをしっかりと判断しましょう。

ターゲットに沿った求人の作成

ターゲットを絞ったらそのターゲットに沿った求人の作成をしていきます。 ターゲットによって記載すべき内容は変化します。

例えば、20代であれば「体力に自信のある方歓迎」50~60代であれば「定年退職後の方の応募OK」年齢不問であればその旨を記載するなど、工夫をしましょう。 ただし、労働施策総合推進法により年齢・性別を指定した文言が載った求人の掲載はできませんので、注意が必要です。

例)× 20代男性歓迎、20代~30代の方を歓迎します!
  〇 体力に自信のある方歓迎します、スタッフの平均年齢は33歳。

また、イメージなどから警備員として働くことへの不安を持つ求職者がいることが予想されます。

  • 労働条件(夜勤の有無、夜勤がある場合は週に何回ほどか、時間帯、シフトの融通、休暇日数 など)
  • 待遇面(手当を含む給与や昇給・賞与、キャリアアップについて、福利厚生施設の有無 など)
  • 労働環境(工事現場か、屋内勤務か、空調設備、社員の年齢層 など)
  • 仕事内容(交通誘導・施設警備員・輸送警備などの詳細 など)

などの求職者の不安や疑問を解決する内容をPRすることが大切です。

Indeedへの掲載

2020年6月のIndeedの労働市場分析レポートによるとIndeed内で警備員の求人をクリックした求職者は約135,000人います。様々な求人媒体に出すのも一つの手ですが、世界で一番利用されていると言われている求人情報サイトのIndeedに求人を掲載することにより、沢山の応募が期待できます。

Indeedに求人掲載する際にはポイントがあります。Indeedにおいて求職者は勤務地とキーワードをかけ合わせて求人を検索するため、求人には求職者が検索しそうなキーワードを盛り込んでおくことです。

なお、 警備員の求人における人気キーワードTOP5は下記の通りです。

  1. 警備員
  2. シニア
  3. 施設警備
  4. 警備
  5. 日払い

Indeedでは検索キーワードと求人のマッチ度が高ければ高いほど求人を見つけてもらいやすくなります。さらに、見てもらった求人の内容が充実している企業ほど応募を獲得しやすい傾向にありますので、求人はしっかり作りこみましょう。

※Indeedに求人掲載する方法や注意点など、使い方を網羅的に知りたい方はこちら
インディード(Indeed)に求人を掲載する方法と注意点とは?有料掲載と無料掲載の違いまで徹底解説!

※Indeedの「口コミ機能」を活用する方法を知りたい方はこちら
Indeedで応募を増やす秘訣は「クチコミ」機能|効果的な活用方法とは?

警備会社の採用成功事例

人手不足が慢性化している警備員の求人において、実際に採用成功している警備会社の成功事例をご紹介します。

第一警備保障株式会社様の事例

第一警備保障株式会社様は千葉県を中心に交通誘導・施設警備などの事業を行っている会社様です。

Indeedと自動連携ができる採用管理ツール『採用係長』を利用し警備員の採用に成功しました。老若男女からの応募が絶え間なく、その勢いは夜中にも応募メールが来るほどだったそうです。

給与や交通費、入社祝い金等の待遇面や研修期間について細かくPR文でアピールし、その他勤務時間や勤務体系、巡回のタイミングなども記載したことで、求職者の不安を払拭しました。

採用係長お客様の声より抜粋「第一警備保障株式会社様」

まとめ

警備員の仕事内容には残念ながら悪いイメージが少なくありません。
条件・待遇面・労働環境、採用方法などを改善し、他社との差別化を図り採用成功につなげていきましょう。

採用するにはまず応募されることが必須であり、採用成功のカギとして応募数を増やしていく必要があります。 そのためにも、まずは求人内容の見直しとIndeedへの掲載を行うことが重要です。
求人の内容の見直しや、Indeedへの掲載はどうすればいいのか不安な方には求人検索エンジン最大5つに連携できる『採用係長』の導入をオススメします。

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この記事を書いた人
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
Indeedはもちろん、インターネット広告やDSP広告を組み合わせた効率的な集客や、Google Analytics等の解析ツールを利用した効果分析、サイト改善を強みとしている。

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