人材確保の難易度が特に高い職種のひとつが「ドライバー」です。
高齢化の進行や2024年問題など、さまざまな要因から人手不足が続いています。
実際にいま「ドライバーを確保できない」「ドライバーを増やしたいが最適な方法が分からない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、ドライバー採用を成功させるポイントについて、具体例を交えて紹介します。この記事を読み終わるころには、きっと「ドライバー採用に成功できる」と思えているはず。ぜひお役立てください!
目次
ドライバー採用の現状
まずはドライバーの採用市場について現状を説明します。
厚生労働省が公表する一般職業紹介状況によると、令和6年5月における「自動車運転従事者」の有効求人倍率は「2.37倍」です。
これは求職者1人に対する求人数が2.37であることを表します。
全産業の平均は「1.05倍」です。
いかに多くの企業がドライバーを求めているかが分かります。
(出典:一般職業紹介状況(令和6年5月分)について|厚生労働省)
ドライバー採用はなぜ難しいのか
ドライバーの採用が困難である理由はさまざまです。
業界全体が抱える構造的な問題から、個々の企業の採用活動における課題まで、さまざまな要因が絡み合っています。
ここでは主な要因を詳しく見ていきます。
※運送業界の人手不足について下記記事でも解説しています
運送業界の人手不足の現状と対策|なぜ人が足りなくなるのか?
課題①女性が働きにくくドライバーの高齢化が進んでいる
運送業界では、従来から男性中心の職場環境が形成されてきました。
下記のとおり、運送業に占める女性は非常に少ない傾向です。
(出典:自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|厚生労働省)
全産業平均の半分程度で、なんと力仕事のイメージが根強い建設業と同水準です。
女性の参入障壁が高い要因の一例として下記があげられます。
- 長時間労働による家庭との両立の難しさ
- 重量物の取り扱いに対する体力的な不安
- 男社会という業界のイメージ問題
また、運送業界全体で高齢化が進んでいます。
下表のとおり、他産業よりも高齢化の傾向は顕著であり、各企業において若手ドライバーの確保が急務となっているのです。
(出典:自動車運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト|厚生労働省)
課題②労働環境に問題がある
業界全体を見ると、ドライバーの労働環境は決して良いとは言えません。
仕事の性質から、これまで「長時間労働」や「過重労働」が当たり前とされてきました。
厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、トラック運送業の労働時間は全職業平均より年間300~400時間長い一方で、年収は20万~50万円低いのです。
一方で「荷待ち時間」という言葉に代表されるように、ドライバーにとって無駄な業務時間が多いことも実情です。どの企業にも労働環境改善の余地があるかもしれません。
課題③物流2024年問題とEC取引増加による需要増加
ドライバー採用を取り巻く問題のひとつに「2024年問題」があります。
これは、ドライバーの業務において、特別条項付き36協定を締結する場合の年間残業時間の上限が「960時間」となることによって生じる問題の総称です。
2020年からスタートした政府の「働き方改革」により、残業は「月45時間・年360時間」が上限とされています。
しかし、運送業や建設業はその性質から猶予を設けられてきました。その猶予が2024年3月31日で終了し、翌日2024年4月1日より適用されたのです。
これにより、「輸送能力低下による採用の激化」「賃金減少による採用難」といった問題が懸念されています。
これらの問題があるにもかかわらず、日本の消費者向けEC市場規模は年々拡大しています。下記は物販系分野のBtoC-EC市場規模とEC化率の推移です。
EC取引は今後ますます伸びていくでしょう。企業は早めの解決に動き出す必要があります。
※「2024年問題」について詳しく知りたい方はこちら
物流・運送業界「2024年問題」をわかりやすく解説。拘束時間(労働時間)や給料など変更点と必要な対策について
ドライバー採用を成功させる4つのポイント
ここまで紹介してきたように、ドライバー採用を成功させるのは簡単ではありません。
そこで、採用成功に少しでも近づくために大切なポイントを4つ紹介します。
※ドライバー採用におすすめの方法を知りたい方はこちら
【運送 × 求人】運送業の採用の始め方。ドライバー不足解消のために、最初にすべきこととは?
1.労働条件を細部まで公開する
まず取り組むべきなのが、労働条件を詳しく公開して「ここは安定して働ける職場だ」と思ってもらうことです。
2024年問題の影響から、これまで年間残業時間が960時間を超えていたような企業は、同じような仕事への取り組み方では採用が難しくなります。
以下では、項目ごとの伝え方のポイントについて紹介します。
給与
給与は多くの求職者が気になる要素です。できるだけ具体的に記載しましょう。
給与面がオープンであれば、その分信頼度も高まります。
「求人に記載された内容と実際の内容が違う」といったトラブルは少なくありません。「月給」だけでなく「年収イメージ」や「各種手当」などを詳細に記載するほど、求職者が具体的なイメージを持ちやすくなります。
【記入例】
■月給 <年収イメージ> ■賞与 ■各種手当 ・通勤手当(上限3万円) ■昇給 |
休日や長時間労働
ドライバー職に対して「拘束時間が長い」というイメージを持つ人は多いです。
実際の勤務体系を詳しく説明することで、そのイメージを払拭しましょう。
【記入例】
■休日について ■休暇について 平均有給取得率80%以上です。職場全体で取得を推進しています。 |
仕事内容
ドライバーの仕事内容は多岐にわたります。
「求職者がこれを見て仕事内容をイメージできるか」を意識して記載しましょう。
具体的な業務内容を明示することで、求職者は自身のスキルや適性との一致を判断しやすくなるので、ミスマッチも防止できます。
【地域密着型の配送ドライバー!未経験からも活躍中】 ■仕事内容 ★普通免許があれば働けます!特別なスキルは必要ありません★ <1日のスケジュール> ■必要な資格 |
2.未経験者も問題なく働けることを伝える
ドライバー不足が深刻化する中、未経験者の採用が重要な戦略となっています。
とはいえ、未経験者にとって未知の仕事への応募は勇気がいります。
以下のポイントを強調して、求職者の不安を解消しましょう。
- 充実した研修制度の紹介
- 先輩ドライバーによるサポート体制
- 未経験者向けの段階的な育成プログラム
- 資格取得支援制度の有無
3.女性でも働けることを伝える
ドライバー職は男性中心のイメージがありますが、女性ドライバーも活躍できます。
女性を採用するためには「女性が働きやすい職場の整備」が不可欠です。
そのうえで、女性が働きやすい環境であることを以下のポイントで強調しましょう。
- 女性専用の休憩室や更衣室の設置
- 育児・介護との両立支援制度
- ハラスメント防止研修の実施
- 力仕事のサポート体制(荷役作業の機械化など)
- 女性ドライバーの活躍事例紹介
もちろん企業にとってはコストや労力がかかりますが、女性が働きやすい環境を整備することは長い目で見ると大きなメリットを生むはずです。
4.自社でドライバーになることのメリットを伝える
1人のドライバーを複数企業で争っている状況ですから、求職者に自社を選んでもらう「理由」がないといけません。
他社との差別化ポイントとして「自社ならではの強み」を伝えましょう。
下記はドライバー採用における自社ならではの魅力の一例です。
- 最新技術を搭載した車両の導入
- デジタル化による業務効率化(配車システム、電子サインなど)
- 社員の健康管理サポート(定期健康診断、メンタルヘルスケアなど)
- キャリアアップ制度(管理職への登用、専門資格取得支援など)
- 福利厚生の充実(社員寮、保養所、フィットネス施設など)
これらのメリットを具体的な数字や事例と共に紹介すれば、求職者の関心を高めることができます。
例えば、「AIによる危険予知システム導入で事故率30%減」といった内容を盛り込めば安全面をアピールすることが可能です。
ドライバー採用の際の注意点
「ドライバーを採用すること」だけに目を向けていると、思わぬミスマッチが生じる可能性があります。
そこで、ドライバーを採用する際は、安全性と信頼性を確保するために以下の点に注意を払うことがおすすめです。
事故や違反歴を確認する
人材不足だからといって「誰でも採用する」というスタンスは望ましくありません。
特にドライバーの「安全運転履歴」を把握することは重要です。採用の際には、以下の点を確認しましょう。
- 過去の交通事故歴
- 交通違反の回数と内容
- 免許の取得年数と種類
- 運転記録証明書の確認
健康状態が良好か
ドライバーの健康状態は、安全運転に直結します。
定期健康診断の結果などをもとに、ドライバーとして勤務するのに心配ない健康状態なのかを確認しましょう。特に以下の点を確認することが重要です。
- 視力・聴力検査の結果
- 血圧値
- 糖尿病の有無
- 睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査結果 など
SASは重大事故の原因となる可能性が高いため、国土交通省のガイドラインに基づいたスクリーニング検査の実施を検討しましょう。
なお、アルコールに関する問題についてもあらかじめチェックすることがおすすめです。「飲酒習慣」や「過去のアルコール関連問題の有無」について確認しておきましょう。
前職の退職理由を確認する
前職の退職理由を確認することで、応募者の仕事に対する姿勢や適性を把握できます。
特にネガティブな理由や他責思考の理由である場合は注意が必要です。自社で採用後も同じような問題が発生する場合があります。
【注意すべき退職理由の例】
- 上司や同僚とのトラブル
- 労働条件への不満
- 健康上の理由
- 仕事上のミスやトラブル
ドライバー採用の成功事例5選
採用戦略を立てるうえで有効な方法のひとつが「他社の成功事例を参考にすること」です。そこで、アプローチを工夫することでドライバー採用に成功した事例を5つ紹介します。
事例1:つばめタクシー・大和グループ
【施策】
愛知県内を中心にタクシー業やデリバリー業を展開する同社。採用サイトのデザイン性の高さが特徴です。
思うように人が集まらなかったことをきっかけにリニューアルされたサイトを見ると、「DRIVE CREATIVITY 創造力を、走らせろ。」という言葉やツバメのくちばしを付けた人物が目に飛び込んできます。
リニューアルに伴い企業理念も再定義したうえで、選考基準において「理念への共感」を重視しているようです。
【結果】
ホームページのリニューアル以降、30数人だった応募者は250人以上に増加。そのうち4割ほどがホームページからの応募者であったようです。
さらに、全応募者の6~7割がホームページを事前に見ており、定着率がアップするとともに若年層や女性の採用にも成功しています。
【出典】
中途採用におけるウェブサイト等活用好事例集|厚生労働省
事例2:新雪運送株式会社
【施策】
こちらは大手求人サイト「エン転職」を活用した事例です。
気になる人材に直接アプローチできる「スカウトメール」を中心に利用。ドライバー業は未経験者から「難しい仕事」だと思われがちですが、スカウトメールでそのイメージを払拭することで応募につなげました。
また、長時間運転に慣れているシニア層にターゲットを絞り、そのターゲットに合わせた条件や文章表現で求人を作成しました。
【結果】
思いを込めたスカウトメールにより未経験者の応募数がアップ。子育てを終えた未経験者の女性が応募してくれたケースもあるようです。
シニア層の求人は掲載するたびに30人近い応募を集め、毎回2人は採用できています。求人の作りこみにより離職が激減し、第一線で活躍しています。
【出典】
圧倒的な費用対効果。入社後ギャップをなくし、長く活躍できる人材を採用。|エン転職
事例3:佐川急便ホールディングス
【施策】
2011年に女性活躍推進を重要な経営戦略に位置づけ、業界を率先して女性が活躍しやすい組織づくりを進めてきた同社。
「両立支援制度の充実」「男性の育休取得推進」「介護支援」「在宅勤務制度」といったワークライフバランスに関する制度をはじめ、労働環境やキャリア形成といった観点で取り組みを進めました。
【結果】
取り組み開始時に「16.9%」だった女性雇用比率は2022年度で「26.0%」に。さらに女性管理職比率は「0.8%」から「9.1%」に上昇しました。女性が活躍できる職場として着々と進化しています。
【出典】
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)|佐川急便公式
事例4:西濃運輸株式会社
【施策】
2024年問題に対応するために、スキマバイトのマッチングサービス「タイミー」を利用。「本気でドライバー職を志望している人材」の確保に動きました。
タイミーでは運送業を気軽に経験してみたいワーカーを募集。職場の雰囲気や仕事の楽しさを感じてもらうことを目的にしています。
【結果】
未経験者が仕事に触れる敷居が下がったことで、多くの応募がありました。
元々現場に「人を大切にする文化」があり、それを実感したワーカーから高評価を次々獲得。さらにそれを読んだワーカーからまた応募がある、という好循環を生みました。
【出典】
「ドライバーってかっこいい」西濃運輸がタイミーで本気で取り組む、満足度99%の“体験”採用|タイミーラボ
事例5:株式会社心希
【施策】
以前までは退職した分の人員を補うために求人媒体で募集していましたが、採用してもなかなか定着しない状態が続いていました。
そこでSNS運用代行をする会社のサポートを受けながらSNS運用をスタート。TikTokをはじめ若者にアピールできるコンテンツを投稿しました。
【結果】
SNS運用開始から2か月で2名のドライバーを採用。うち1人は採用が難しいとされるZ世代の女性ドライバーです。
組織の雰囲気を好んで応募してくれる人が増えて、以前より応募者の質が良くなったことも実感しています。
【出典】
人手不足の運輸業界 SNS導入で若年層の採用に成功|株式会社リソースクリエーション
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まとめ
ドライバー採用を取り巻く環境はどんどん変化しており、企業ごとの工夫が必須となっています。逆にいうと、自社なりの戦略を考えて他社との差別化を図るほど、採用成功に近づくはずです。ぜひ当記事の内容を参考に、採用成功への筋道を立ててみてください。
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