エンジニアの引き抜きには要注意! トラブル回避のための代替案を紹介

エンジニア 引き抜き 注意点

エンジニア採用の難しさは、多くの企業に共通する課題のひとつです。採用のためにさまざまな施策を行う中で、協力会社や取引先に優秀なエンジニアがいれば、引き抜きたいと考えることもあるかもしれません。
引き抜きに成功すれば即戦力人材を獲得できるので、採用の課題も一気に解決できそうですよね。

ところが、エンジニアの引き抜きは必ずしも最善の策とはいえないようです。
今回はエンジニアの引き抜きによって起こり得るトラブルと、引き抜きをせずにエンジニア採用を実現するための代替案を紹介します。

エンジニアの引き抜きとは?

引き抜きとは、他社で活躍する優秀な人材を自社に入社させることです。

エンジニアで考えられるのは、常駐型で業務を行うSES(システムエンジニアリングサービス)やSIerのエンジニアが元請け企業からスカウトされるケースや、自社商品を提供するシステム会社のエンジニアが顧客の事業会社から声をかけられるケースなどでしょう。

【POINT】
「引き抜き」と似ている用語に「ヘッドハンティング」がありますが、この2つは意味が異なります。
ヘッドハンティングは、経営者や役員など通常の手法では採用が難しい人材を、コンサルタントを介してスカウトする採用手法。一方、引き抜きは役職等に関わらず、優秀な人材を企業が直接スカウトすることを意味します。

エンジニアを引き抜く企業の目的(メリット)

引き抜きの目的は、即戦力人材の確保です。すでに仕事ぶりを把握しているため、通常の選考プロセスを経て入社したエンジニアよりも、入社後に期待できるパフォーマンスを予測することもできます。

エンジニア採用が厳しい状況にある中、企業からみれば、引き抜きによる人材獲得は非常に効率的といえるでしょう。仮に同じ人材を紹介会社経由で採用した場合、採用コストは何倍もかかります。加えて入社後の教育コストも、引き抜きであれば低く抑えることが可能です。

採用面だけを考えれば、引き抜きは企業にとって非常に魅力的な採用手法といえます。

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エンジニアの引き抜きで注意すべきこと

引き抜きはエンジニアを採用したい企業にとって、メリットの多い手法だということがお分かりいただけたと思います。
しかし、そのメリットは採用の効率化という点に限っていえることであり、実はそれ以外の観点からはあまりおすすめできません。

ここではその理由について解説します。

常駐エンジニアの引き抜きは、業界のタブー

エンジニアの引き抜きは、法に触れる行為ではありません。しかし、常駐エンジニアの引き抜き禁止は、業界における暗黙のルールとされています。

エンジニアを顧客先に常駐させるSESなどにとって、エンジニアは商品そのものです。エンジニアの数と技術力が売上に直結するため、コストと時間をかけて採用や教育を行っています。そうした事業特性を踏まえれば、常駐エンジニアの引き抜きが業界のタブーであることは、当然といえるでしょう。

一方でエンジニアの立場では、オファーの内容が魅力的であれば転職を検討するのは自然なこと。引き抜きはタブーではありますが、すべての企業が遵守しているかどうかは定かではありません。

エンジニアの引き抜きで起こり得るトラブル

もっとも大きなトラブルとして考えられるのは、引き抜いたエンジニアが勤めていた企業との関係が悪くなることです。取引先がさらなる引き抜きを懸念し、取引の中止を求めることがあるかもしれません。また引き抜きの噂が広まれば、他の企業からも取引を断られる可能性があるでしょう。

賠償責任を負うリスク

日本では職業選択の自由が法律で保障されており、前述のとおり引き抜きそのものは違法ではありません。
しかし、契約を満了せずに強引に転職をさせた場合や、引き抜きによって以前の会社に大損害を与えた場合は、話が異なります。過去には、引き抜きを行った企業の損害賠償責任が認められた判例(ラクソン事件)があり、賠償責任を負うリスクもゼロではないのです。

また、エンジニアが「常駐先への転職をしない」という誓約書を企業と交わしているケースもあります。そうした事情を把握せずにエンジニアを引き抜いてしまった場合は、トラブルに巻き込まれる可能性も否定できないでしょう。

引き抜きをせずに、優秀な人材を採用する方法

引き抜きを行わなくても、優秀な人材に興味を持ってもらう方法があります。

従業員全員で採用広報を行う「リファラル採用」

リファラル採用とは、従業員からの紹介で募集要件に合う人材を募り、選考を進める採用スタイルのことです。全従業員が採用活動に参加し、仕事やプライベートを含めた知人に対して、自社に興味をもってもらうためのPRを行います。

声をかけるという点だけをみれば、引き抜きと同じように映るかもしれませんが、両者は同じではありません。転職ありきで話を進める引き抜きに対し、リファラル採用は今すぐではなくても、将来的に自社が転職先の候補となれるよう、日頃から広報活動を行って採用へとつなげる手法です。

候補者が転職を希望するタイミングで選考を開始するため、採用まで時間がかかる場合もありますが、優秀な人材を円満な形で自社に迎えいれることが可能になります。

ただし、この場合も契約上の問題がないことが前提です。また強引な勧誘と受け取られかねないアピールは、結果的に引き抜きと同じ事態になってしまいますので、リファラル採用の趣旨を理解して取り組むことが必要でしょう。

リファラル採用については、【2023年最新】新卒・中途の採用トレンドを解説 採用手法の選び方をご紹介で詳しく解説しています。

まとめ

エンジニアの引き抜きは、業界のタブーです。即戦力が採用できるため、企業にとって魅力的な手法ではありますが、取引先との関係悪化などのリスクは決して軽視できません。
また、自社のエンジニアが引き抜かれる可能性についても忘れてはいけないでしょう。自社の魅力を高め、エンジニアが離職したくない会社作りを心がけたいですね。より良い職場環境の追求は、採用力の向上にもつながるはずです。

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この記事を書いた人
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馬嶋 亜衣子(samusillee)

採用・キャリア関連、医療分野を中心に執筆を行うフリーランスライター。 各種メディアの取材ライティングやSEOライティング、採用HPのライティングなどに携わっています。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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