【Z世代新入社員のトリセツ】これまでの常識は通用しない?

4月に入社した新入社員。研修やOJTなどで接していても、彼らが何を考えているのかがつかめず、かかわり方に難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。

この数年間で入社した新入社員は「Z世代」と呼ばれ、マーケティング領域でも彼らの独特な新しい価値観が注目されています。

本記事では、会社のこれからを担うZ世代新入社員の特徴やかかわり方について解説します。

Z世代とは?

Z世代とは、1996年~2010年頃に生まれた世代のことです(2012年とする説もあります)。2021年現在で11歳~25歳の若者はZ世代にあたります。

この世代の区分方法は、アメリカで生まれた概念です。もともと、1965年~1980年頃に生まれた世代を「ジェネレーションX(X世代)」と名付けたことに始まり、そのあとに続く世代をアルファベットの順番になぞらえて、Y世代、Z世代と呼ぶようになりました。

Z世代の1つ前のY世代はミレニアル世代とも呼ばれ、デジタルネイティブとして行動様式や価値観の変化が注目されていましたが、Z世代にとってはデジタル機器やインターネット環境が身近にあるのは当たり前です。多感な思春期をスマートフォンの普及によってSNSが流行しはじめた時代に過ごし、コミュニケーションや自己表現への態度や・考え方も異なることから「ソーシャルネイティブ」や「SNSネイティブ」とも言われています。

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参照:政府統計e-Stat 人口動態調査をもとに作成

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Z世代新入社員の特徴

まず、Z世代の全体的な特徴を見ていきましょう。

時代背景として、Z世代は生まれた時からデジタル機器やインターネット環境が身近にあるほか、多感な思春期の時期に大規模な自然災害やリーマンショックなどの社会不安・経済不況を経験しています。そのため、このような特徴があります。

考え方・価値観について

スマホネイティブ

スマートフォンが爆発的に普及し始めた2010年以降(※)、Z世代はちょうど携帯電話を持ち始める年齢を迎えていました。はじめて持ったデジタルデバイスがスマートフォンという人も多い世代です。情報収集はスマートフォンで行うことも多く、メディア離れが進んでいます。

※参考:平成29年版『情報通信白書』

SNSネイティブ

Z世代は子どもの頃からSNSを使いこなしており、つねに友人たちとつながっていることが当たり前です。そのため、空気を読む力や周りと軋轢を生まないように自己表現する力に長けています。SNSとの距離感や種類ごとの使い分けへの感度も鋭いです。

マルチタスクで、情報は瞬時に判断

日ごろからマルチタスクをこなし、情報の処理速度が速いことも特徴です。テレビでドラマや映画を見ながら、LINEで友達と連絡を取り、Twitterをチェックすることも日常茶飯事。複数のコンテンツを同時並行で処理していくため、瞬時に直観的に情報を判断することが多い世代です。

多様性を自然に受け入れ、刺激を受けている

国境を越えてさまざまな情報にアクセスできるため、Z世代にとっては世界に多様な人や価値観が存在することも当たり前です。韓国や中国のコスメブランドの愛用、メイクをしている男性タレントの支持、LGBTQのインフルエンサーのチェックなど、国境や性別の壁を越えて、社会には多様な人がいることを自然に受け入れています。そして、受け入れるだけでなく、多様な背景を持つ人から考え方や行動について刺激を受けています。

自分らしさを大切にする

多様性に寛容だからこそ、Z世代は自分らしさや個性をとても大切にしています。令和2年版『子供・若者白書』によると、人生観に関する調査の中で「自分には自分らしさというものがあると思う」と回答した若者は7割にのぼっています。

リアリストな一面もある

リーマンショックや東日本大震災など、多感な年齢で経済や社会が不安定な時期を経験してきました。そのため、消費に対してはほかの世代よりもかなり保守的です。たくさんの物を所有するよりも、友達と楽しい時間を過ごすといった精神的な豊かさを求める傾向が強くあります。

仕事に関する価値観

続いて、Z世代の仕事に関する価値観についてご紹介します。Z世代新入社員のキャリア観には、このような特徴があります。

「やりたいこと」を重視しつつ、安定志向

平成30年版『子供・若者白書』によると、仕事選択の際に重要視する点については、「安定していて長く続けられること」という選択肢に「そう思う」「まあそう思う」と回答した若者が88.8%となりました。一方で、「自分のやりたいことができること」という選択肢に回答した人も88.5%となっています。 本調査にはZ世代の前後の層も若干含んでいますが、非常に参考となるデータです。やりたいことを重視しつつも安定志向である、一見すると矛盾するようなキャリア観をもつZ世代像が浮かび上がっています。

ワークライフバランスを重視

ワークライフバランスを重視する人が多いことも、Z世代の特徴です。前出の株式会社マイナビの調査の中で、就職観を問う質問では「楽しく働きたい」という回答が35.8%、次いで「個人の生活と仕事を両立させたい」という回答が24.3%となりました。厳しい環境でバリバリと働くよりも、プライベートの時間を大切に、楽しく柔軟な働き方をしたいと考えている人が多い世代といえます。

社会課題への貢献志向が強い

仕事を通じた社会課題への貢献意欲も高く、令和2年版『子供・若者白書』では社会貢献に関する質問の中で「自分の職業を通じて社会の役に立ちたい」という回答が25.4%と最も多くなりました。国内外問わず、環境問題や貧困、社会の不条理に対して何らかのアクションを起こしている人が多い世代でもあります。

義務教育時代からキャリア教育を受け、働くことについて考えてきた

日本のZ世代は、義務教育時代からキャリア教育を受けてきました。小学生の頃には職場見学や働く大人へのインタビュー、中学生では職場体験、高校生や大学生のときにはインターンシップを経験している人も少なくありません。これまでの世代よりも仕事と人生について考える機会が多いため、理想の働き方や将来なりたい自分像を明確に持っている可能性も高いといえます。

Z世代新入社員とのかかわり方

では、そのような特徴を持つZ世代新入社員とどのように関わっていけば良いのでしょうか。実務、コミュニケーション、プライベートの3つの視点から考察します。

実務

仕事の意味や目的を明確に伝える

これまでは指示や命令をするだけでも良かったのですが、Z世代には仕事の意味や目的を明確に伝える方が良いでしょう。社会貢献意欲の高さから、自分の仕事が社会のどの部分に役立つのかを理解できると、モチベーション向上にもつながります。 また、キャリアビジョンが明確な場合は、身につくスキルやキャリア形成上の位置づけなどを示すのも良いです。

Z世代の思考やアイデアを活かす方法はないか考えてみる

Z世代の思考やアイデアは、実は社内のDXや多様性の向上、SDGsへの取り組みにつながることもあります。社会課題への関心が高く、デジタルネイティブだからこそ気づく仕事の効率化や新たな事業アイデアがあるかもしれません。 Z世代のアイデアや考えを否定せず、彼らの思考を活かす方法を考えることで、社内に新しい変化を起こすことにもつながります。

コミュニケーション

「傾聴するメンター」を意識する

日ごろからSNSを活用するZ世代は、自分なりの考えをまとめて表現する力も高い傾向にあります(もちろん個人差はあります)。 ただ一方で、空気を読むスキルも高いため、言いたいことはあるけれど言わないでおこうと考えていることもあります。上から指示・命令をするよりも、フラットな関係で傾聴し、Z世代新入社員のやりたいことや考えていることを引き出すようにしましょう。 そのうえで現在の仕事の意味付けや彼らのやりたいこととのすり合わせを行うと、Z世代新入社員の入社後の満足度も変わってくるはずです。

オープンなコミュニケーションを

SNSネイティブだからこそ、Z世代はさまざまな情報にアクセスすることが得意です。膨大な情報の中を自由に行き来できる彼らにとって、情報はオープンであるべきものなのです。 ただ、全社員には現時点ではどうしても言えない情報があるのも事実。その場合は、なぜ言えないのかを明確にしながら、なるべくオープンにコミュニケーションをとるよう心掛けてみてください。

自分の若いころと比較するより、その人ならではの部分に注目

Z世代が育ってきた時代背景はこれまでの世代と大きく異なります。また、自分らしさを大切にしている世代でもあります。自分の若いころと比較して叱咤激励するのではなく、その人ならではの伸びしろ部分を指摘したり、良いところを褒めてあげる方がZ世代に伝わるコミュニケーションとなります。

プライベート

プライベートは尊重する

Z世代はプライベートをとても大切にしています。どの世代にも共通してあてはまることではありますが、家族や友人関係、趣味などのプライベートには必要以上に踏み込まず、尊重することが大切です。とはいえ、仕事を学生時代の感覚で適度にこなして良いわけではありません。 プライベートの時間を尊重しつつも、なぜ今この仕事をやってほしいのか、いつまでにどんなクオリティで仕上げてほしいのかを伝えることで、仕事へのコミットを促していきましょう。

適切な距離感をとる

仕事とプライベートを分け、適切な距離感で接することも重要です。特にSNSについては、私生活の一部をアップしたり、彼らの考え方を赤裸々に語ることも多く、仕事とは切り離して運用したい人も多い世代です。SNSアカウントを見つけても気軽にフォローせず、何か機会があればつながりを持つ程度にとどめた方が良いでしょう。

Z世代のトリセツを知ることは、職場の変革への第一歩

つかみどころが無いように見えるZ世代。合理的で時代の最先端の空気を敏感に察知している彼らのトリセツを知ることは、より働きやすい職場にしていくための第一歩となるかもしれません。 今回ご紹介したZ世代とのかかわり方を参考にしながら、ぜひ新入社員との関係を深めていただけたら幸いです。

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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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