LINEを採用活動で使うべき!?過去の事例から有効性とリスクを解く

LINEを採用活動で使うべきなのか?過去の事例から有効性とリスクを解く

今や日常生活におけるコミュニケーションに『LINE』は欠かせません。近年は、プライベートの域を超えて、ビジネスシーンでも活用されるようになってきました。採用活動においても、LINEの活用が進んでいます。

一方で、「個人情報が漏えいしないだろうか」「業務上得た情報をプライベートな目的で利用するケースが発生しないだろうか」と不安な人もいるのではないでしょうか。実際、過去にはLINEを原因としたトラブルも発生しています。採用活動にLINEを使う際は、有効性とリスクの両方を踏まえた検討が必要です。

本記事では、LINEを採用活動で使うべきなのか、いくつかの事例を交えて論じます。採用活動におけるLINEの活用を少しでも検討している企業の採用担当者は、ぜひ参考にしてください。

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今やビジネスシーンでも広く利用されるLINE

SNSは、日常生活におけるコミュニケーション手段の中心になっているといっても、過言ではありません。新型コロナウイルスの流行も相まって、オンライン上でのコミュニケーションはこれまで以上に活発化しています。

その中でも、特に普及率が高いSNSが『LINE』です。下記は、15~79歳のスマホ・携帯電話所有者8,249名を対象に、SNSの利用率を調査したものです。

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(出典:LINE利用率8割超え:10~30代は9割が利用|モバイル社会研究所

LINEの利用率は81.1%と、SNSの中でも圧倒的な普及率を誇っていることが、ひとめで分かります。同調査では年代別にも回答を得ており、10代が94.6%で20代は92.9%、さらに30代も89.8%と、多くの若者が利用している現状です。

高い普及率を背景に、LINEはビジネスシーンでも活用されています。情報発信や業務連絡、サービスへの申し込み窓口など、活用方法は多様です。

参考までに、ソーシャルデータバンク株式会社様が2020年3月に実施した調査によると、LINE利用者全体の83.4%が、企業の公式アカウントを登録していると分かっています。
(出典:「LINE公式アカウント」に関する調査結果|ソーシャルデータバンク株式会社

LINEは、企業と消費者の双方にとって、ビジネス面で活用しやすいツールであるといえます。

採用活動においてもLINEの活用が進む

LINEの活用は、さまざまなビジネスシーンで行われており、採用活動も例外ではありません。
大企業を中心に、採用活動にLINEを活用するケースは増えています。

採用活動では、複数の応募者と同時に連絡を取る必要があります。
そのため、LINEが持つ「使いやすさ」や「導入のしやすさ」は、採用活動を効率的に進めるうえで、大きな武器となるのです。

ここで、企業が採用活動でLINEを使うメリットを確認しておきましょう。

【採用活動にLINEを活用するメリット】
・企業が送付した内容を応募者が確認しやすい
・応募者が気軽に質問できる
・宛先や件名を入力する必要がない
・LINE上で日程調整ができる
・電話のように再度送り直す手間がかからない
・既読を確認できる

特に、近年は少子高齢化の進行や人材の流動化を背景に、企業の人材確保が難しくなっています。
少しでも採用力を高めるための一手として、LINEの導入を検討する企業は多いでしょう。

では、採用活動でどのようにLINEを活用すると良いのか、
イメージを具体化するためにいくつかの事例を紹介します。
ここで取り上げる事例は、「日本生命保険相互会社様」「日本マクドナルド株式会社様」「警視庁様」です。

 

日本生命保険相互会社様 のLINE活用事例

日本生命保険相互会社様では、新卒採用に関する情報発信を目的としたアカウントを運用しています。
学生は、登録するだけで知りたい情報を受け身で得られるため、情報収集の手間がなくなります。

LINE限定の情報も発信しており、登録することでお得感が生まれる点も特徴的です。

LINE上からは、そのまま新卒採用ホームページに移動できます。応募意欲が高まった状態で応募手続きを進めることで、応募者の増加にもつながりやすいでしょう。
採用プロセス自体に大きな変化は生じないため、中小企業でも実施しやすい施策だといえます。

(参考:【新卒採用】日本生命保険|LINE

日本マクドナルド株式会社様 のLINE活用事例

日本マクドナルド株式会社様では、アルバイトの応募数を増やすためにLINEを活用しています。

マクドナルドがアルバイト募集専用のLINEアカウントを作成したのは、2018年2月です。
アルバイト希望者が、応募したい旨や働きたい店舗をLINE上で入力すると、オペレーターにつながります。

その後、氏名や連絡先、顔写真などをLINEで送付すれば、アルバイトの申し込みが完了です。
応募店舗が決まっていない場合、そのまま相談もできます。

履歴書を書いていた時代のことを考えると、かなり簡略化されたといえますね!

LINEアカウント作成から約5ヵ月間で登録者は70,000人にものぼり、約2,000件のアルバイト応募が集まったそうです。
全体でのアルバイト応募数は、30%も増加しています。

いかに人を集めるかということを考えた時に、「応募のハードルを下げる」という方法は有効だと言えるでしょう!

(参考:応募者30%増!マクドナルドが始めた「バイト募集専用」のLINEアカウントの効果|LINE for Business

 

警視庁様 のLINE活用事例

採用活動におけるLINEの活用は、公的機関でも広がっています。LINEを積極的に運用している代表的な機関が、警視庁様です。

警視庁採用センターは、LINEの公式アカウントを使って採用試験やイベントに関する情報を発信しています。アカウント内に、各種イベントの申し込みページや日程表、よくある質問などがまとめられており、必要な情報を簡単に確認できる点も特徴です。
学生がスムーズに就活を進めるために便利なアカウントとなっています。

(参考:警視庁採用センターLINE公式アカウント|LINE)

 

LINE個人情報問題の影響

採用活動におけるLINEの活用には、リスクもともないます。特に注意すべき問題が「個人情報の取り扱い」です。

LINEは便利ではあるものの、自社サービスではないため「外部に個人情報を預ける」という点では、安全性に不安が残ります。特に、採用活動では応募者のさまざまな個人情報を取り扱うため、一度流出すれば大きなトラブルになるでしょう。

実際に、LINEの中国内にあったサーバーに保管されていた個人情報が、他者によってアクセスされた事件があります。詳細は下記のとおりです。

 

LINE株式会社の個人情報問題

LINE株式会社は、システム開発の一部を中国の会社に委託していました。しかし、委託先の技術者が個人情報のサーバーにアクセス可能な状態になっており、実際に数回アクセスしていました。

一連の騒動により、中国側に、日本国内の個人情報が流出しているのではないかとの問題が浮上。外部からの不正アクセスや情報漏洩はありませんでしたが、LINEの個人情報に対する取り扱いが問題となりました。

(参考:LINE、個人データ管理不備で謝罪 中国委託先で閲覧可能:|日本経済新聞

多くの人が利用している現状から、「LINEは安全」と思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。実際に、LINEを自治体の住民票や給付金の申請、最近では新型コロナウイルスのワクチン接種予約の窓口として活用する自治体もあります。

しかし、LINEのビジネス利用を安全だと思い込んではいけません。「他社に個人情報を預ける行為」には、かならず一定のリスクがともないます。とはいえ、ビジネスシーンで一般的に使用されているメールにも、同様のリスクはあります。

LINEが持つリスクをどこまで許容するかは、企業の判断次第です。メリット・デメリットの両方があることを念頭においたうえで、慎重に取り扱いを検討する必要があります。

 

危険を伴う採用担当者の個人LINE利用

採用活動におけるLINEの活用について、リスク面をさらに深掘りしていきます。

LINEを使って採用活動をする場合、特に気を付けなければいけないのが、採用担当者が自分のスマホやパソコンでやりとりするケースです。仕事とプライベートの境界線が付きにくくなり、個人情報流出や、その先にあるさまざまなトラブルに発展する可能性があります。

そこで、採用活動での個人LINE利用によりトラブルに発展した、近鉄グループホールディングス様の事例を紹介します。

 

近鉄グループホールディングス様の事例

近鉄グループホールディングスの採用担当だった男性は、インターンシップ生の女子大学生に「エントリーシートの添削をしてあげる」などと個人的なLINEを送りました。採用結果に影響する不安などから断れなかった女子大学生は、プライベートで会って食事をし、その後はラブホテルに行って行為に及んだそうです。

なお、近鉄では業務における個人スマホの利用を禁止しており、従業員の独断により発生した事件でした。最終的に、採用担当だった社員は会社から解雇を言い渡されています。

(参考:“就活セクハラ”常態化か 近鉄採用担当者に別の不適切行為

上記の事例では、業務で得た個人情報が、プライベートな目的で利用されたことで問題になりました。個人LINEで採用活動を行う場合、応募者の個人情報が担当者の恣意的な目的で使用される可能性がゼロではありません。

企業としては、採用活動における個人LINEの使用は禁止した方が良いといえます。仮に、採用活動で個人LINEを利用するのであれば、担当者への教育や企業としてのルール徹底が重要です。

 

まとめ

LINEは、利便性や普及率の高さから、採用方法においても活用できます。実際に、採用活動におけるLINEの利用は進んでおり、複数のメリットがあることは間違いありません。
だからといって、安易な導入は避けた方が良いでしょう。「個人情報を他社に預ける」という点で一定のリスクはともないます。過去には、個人情報が第三者に行き渡るトラブルも発生しました。

また、手軽さや普及率の高さゆえ、採用担当者がプライベートとの境界線を見誤る可能性もあります。LINEを活用する際は、担当者に正しいリテラシーが備わっていることが大前提です。

採用活動におけるLINE活用には、「有効性」と「リスク」があるため、両方を踏まえたうえで、慎重に検討する必要があります。仮に導入する場合は、教育やルールの明確化など、徹底したリスク管理が重要です。

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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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