介護業界の人材不足はなぜ?原因と対策を紹介

介護業界の人材不足は、少子高齢化が進む日本にとって大きな問題となっています。
人材不足の解決策に「これ!」という一つの答えはなく、労働環境の改善や外国人人材の活用といった多角的なアプローチが必要です。

実際にいま「人手が足りない……」「人材が採用できない……」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、介護業界における人材不足の現状、その背景にある原因、そして具体的な解決策について詳しく解説します。
人材確保に成功している企業の事例も紹介するので、悩んでいる企業はぜひ今回の内容をお役立てください。

介護業界の人材不足の背景

まずは、介護業界の人材不足について具体的な数値をもとに整理します。
「高齢化」と「少子化」の観点で見ていきましょう。

高齢化

日本の介護業界において、人材不足の背景として高齢化が挙げられます。
以下の表は令和5年版高齢者白書による、令和4年10月時点の日本の年齢別人口です。
総人口12,495万人のうち3,624万人が65歳以上で、これは割合でいうと約29%。つまり、3~4人に1人は65歳以上ということになります。

  総数
総人口 12,495 6,076 6,419
15歳未満 1,450 743 707
15~64歳 7,421 3,761 3,660
65歳以上 3,624 1,573 2,051

単位:万人

【65歳以上人口の内訳】

  総数
65~74歳 1,687 807 880
75歳以上 1,936 766 1,171

単位:万人
(出典:高齢化の現状|令和5年版高齢者白書

少子化

少子化もまた、介護業界の人材不足の一因です。
下表は出生数の推移および将来推計を示しており、少子化が進行していることがわかります。

2006年 2010年 2021年 2030年 2040年 2070年
1,093千人 1,071千人 812千人 774千人 718千人 500千人

(出典:出生数及び死亡数の将来推計|令和5年版高齢者白書

2006年時点で1,093千人だった出生数は2021年で812千人にまで減少しています。2070年には500千人にまで減る見込みです。
一方で、平均寿命は伸びることが予測されており、2070年の平均寿命予測は男性85.89年、女性91.94年です。

今後子どもが減り、高齢者が増加する中、介護需要はますます高くなるでしょう。

介護業界の人材不足の現状

ここからは、介護業界の「人材不足」について現状を整理していきます。

人材不足に悩む施設は増えている

まずは、どのくらいの施設が人材不足に悩んでいるのかを確認しましょう。
令和4年度「介護労働実態調査」より、「種別人材不足感の推移」を抜粋しました。

(出典:令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について

事業所全体で見ると毎年60%以上の事業所が「人材不足感」を抱いていることが分かります。ここ3年を見ると数値は右肩上がりになっており、今後ますます人材不足を感じる事業所が増える可能性があります。

都道府県によって差がある

多くの都道府県が介護業界での人材不足に悩まされています。
厚生労働省の「一般職業紹介状況」より、2024年1月の都道府県ごとの有効求人倍率の一部を抜粋しました。

全国平均 北海道 東京都 神奈川 滋賀 福井 大阪
1.27 1.04 1.74 0.89 1.01 1.74 1.23

最も高いのが東京都と福井県で1.74倍。
一方で神奈川が0.89倍と低く、滋賀県なども低い傾向でした。また、同じ都市部で見ても大阪は1.23倍と東京都よりも落ち着いています。

ただし、ほとんどの都道府県が「1倍」を超えていて、人材の供給が追いついていないことが分かります。
この状況が続くと、サービスの質が低下したり、新規入所の受け入れを制限せざるを得ない状況になることが考えられます。

介護業界の人材不足の原因

介護業界での人材不足が深刻化している背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。以下に、その主要な原因を詳しく解説します。

1. 職場の人間関係

介護職は対人サービスが中心であり、人材の定着率に「職場の人間関係」が大きな影響を与えます。
令和4年度介護労働実態調査によると、「種別前職(介護関係の仕事)をやめた理由(複数回答)」は下記のとおりです。

【人間関係を理由に退職した人の割合】

訪問介護員 サービス提供責任者 介護職員 生活相談員 介護支援専門員
28.3 29.0 28.4 28.0 24.6

(出典:令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について

多くの職種で退職者の4人に1人以上が人間関係を理由に職場を離れていることが分かります。

介護現場ではチームワークが重要であり、おのずと人間関係が密になりやすいです。
また、コミュニケーションが円滑でないと職務遂行に支障をきたすので、スタッフがストレスを溜めやすくなります。

2. 職場での不明確な評価基準

介護の仕事は定量的に評価できないため、評価基準が曖昧であることが多いです。
例えば、一口に「良い介護ができているか」といっても、それは評価する人の価値観によって変わります。

努力が正当に評価されないと感じると、その結果としてモチベーションの低下や離職につながることがあります。
透明性のある評価基準と具体的な評価指標を設け、従業員のやる気を引き出すことが必要です。

3. 社会的なネガティブイメージ

社会的に、介護職には厳しい労働条件や低賃金が多いとされるイメージがあります。
このネガティブなイメージが、若い世代や未経験者が介護業界に参入するのを躊躇させ、人材不足に拍車をかけているのです。

労働条件について言及すると、「入浴介助・食事介助・排泄介助」といった業務を代表に「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージを持つ人が多くいます。
いずれも人々の豊かな生活に欠かせない業務ですが、どうしても「介助中に腰を痛めたら……」「排泄物はちょっと……」というマイナス感情が先行してしまうのです。

これらの問題を解決するには、報酬や福利厚生の改善とともに、積極的な広報活動や職業の魅力を広めるためのイベント・セミナーが重要です。

4. 競争激化による採用難

有効求人倍率の高さが物語っているように、介護業界は他業種と比べても競争が激しく、有資格者や経験者の確保が困難です。

また、労働環境の過酷さに反して賃金は決して高水準ではありません。
結果として、介護業界に興味を持つ人材も、待遇や福利厚生を求めて他業界に転職してしまうのです。

これを解決するためには、給与や待遇改善の他に、サポート体制の充実やキャリアアップの機会提供といった工夫が求められます。また、地方からの人材確保にも力を入れると良いでしょう。

人材不足の解決にむけた対策とは

課題が山積みの介護業界。人材不足を解決するには、施設ごとに対策を練る必要があります。ここからは、特に効果的な対策を紹介します。

1. 働きやすい労働環境をつくる

スタッフに長く働いてもらううえで大事なのが、「この職場は働きやすい」と思えることです。快適な職場であればストレスなく伸び伸びと働くことができます。

働きやすい職場づくりのために紹介したいのは下記3つの取り組みです。

  • システムを導入する
  • ユニットケアを導入する
  • 相談窓口を設置する

具体的に解説します。

システムを導入する

介護管理システムやコミュニケーションツールの導入により、業務が効率化します。
例えば、「クラウド型介護ソフト」を使用すれば、利用者情報やケア記録を一元管理でき、最新の情報がリアルタイムで更新できます。手作業の手間を大幅に削減できるうえに、情報共有がスムーズになるでしょう。
結果として業務上のストレスが減り、働きやすさが向上します。

ユニットケアを導入する

ユニットケアとは、住宅に近い環境を再現して、家にいるときと同じようにケアする手法です。
ユニットケアの実施により、個別ケアの強化が図れ、利用者一人ひとりの具体的なニーズに対応できます。

ユニットは「ひとつのコミュニティ」と捉えることができます。つまり、その中でケアを十分に機能させるには、職員一人ひとりが能力を発揮するための円滑なコミュニケーションが必須なのです。ユニットケアの質を高めることが、結果的に職員の働きやすさにつながることがあります。

相談窓口を設置する

職場内に相談窓口を設置し、労働者が悩みや問題を気軽に相談できる環境を整えます。
窓口の設置方法としては、「外部の専門家に委託する」「職員への専門教育を実施したうえで窓口担当に就いてもらう」の大きく2パターンがあります。

相談窓口の設置にあたって大切なのが、全職員に漏れなく周知すること。せっかく窓口を設けているのに、多くのスタッフが「え、相談窓口があったんだ」と知らないケースは少なくありません。

2. 外国人人材を受け入れる

外国人人材を積極的に受け入れることで、人材不足を解消できるケースもあります。
在留資格によって在留期間が異なるので、応募時に確認しておきましょう。

外国人人材を雇用する際は、日本語教育や文化理解のプログラムを提供することが重要です。
また、既存従業員に周知して理解を得たうえで、実際の雇用を進めることもポイントです。

※外国人を雇用する場合の具体的な手続きについて知りたい方はこちら
外国人雇用状況の届出とは? 届出書の書き方や提出方法、提出期限と3つの注意点

3. 介護福祉士の資格取得を推奨する

労働者のスキルアップとモチベーション向上を図るために、「介護福祉士」の資格取得を推奨する方法があります。
介護福祉士は介護に関係する唯一の国家資格であり、担える仕事の幅が大きく広がります。

施設としては、職員の資格取得を応援することが望ましいです。
例えば、資格取得にかかる費用の全額または一部を補助したり、資格を取得した社員に対して昇進・昇給を行うなどのインセンティブを提供したり。
勉強会や研修の実施、オンライン教育プラットフォームの提供による学習支援なども有効です。

4. 採用手法を見直し、積極採用を行う

積極的な採用活動を行い採用市場で優位に立つこともポイントです。
1人の人材を複数の施設で争っている中、応募を待っているだけでは今後も人材確保に悩み続けることになるかもしれません。

そこで効果的なのが、定期的な情報発信と自施設ならではの魅力を伝えること。
例をあげると、オリジナルの採用サイトを作成したうえで画像・動画を用いて視覚的に魅力を発信して、「自施設で働く具体的なイメージ」を持ってもらう方法があります。

採用イベントやマッチングイベントに参加して、多くの候補者に直接魅力を伝えるのも良いでしょう。

※「介護派遣」を活用して人手不足を解消する方法もあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
介護派遣とは?特徴、メリット、デメリットを紹介!

介護業界の採用成功事例

介護施設が理想的な人材を確保するには、実際に採用を成功させた事例を知ることもポイントです。
そこで、ユニークな取り組みにより人材確保に成功した事例と、当社ネットオンが採用をご支援して介護職人材の確保に成功した事例を紹介します。

社会福祉法人みささぎ会

■課題
同社では社員同士の結婚が比較的多く、育休明けに夫か妻のどちらかが退職するケースが年に1~2回ありました。育休後にどちらかが非常勤にならざるを得ず、世帯年収が下がってしまうことが要因のひとつでした。

■支援内容
「育休後も戻ってきてほしい」という思いから「夫婦応援制度」をスタート。
夫婦が法人内に勤務していて、どちらかが常勤、もう一方が非常勤として働いている人向けに、ボーナス1回分にあたる最大30万円を支給するようにしました。

他に、配属場所の調整や夫婦の勤務状況を加味したシフト組みなども実施しながら、働きやすさの整備を進めました。公平性を保つために、制度の目的や考えを職員に説明することも重視したようです。

■結果
育休後の復帰率が100%に。しかも2017年以降、育休復帰後に退職した人は1人もいないそうです(2020年時点)。
また、「夫婦応援制度」を知って「働きたい」と入職する人が増え、採用面にも良い影響が生じています。

(出典:出産後の退職をなくしたい!『夫婦応援制度』で子育て中の職員をサポート‐社会福祉法人みささぎ会‐

ネットオンがご支援した介護業界のA社

■課題
A社はもともと自分たちで求人を掲載していましたが、「応募者と連絡がつかない」といった問題が発生しており、面接に進むことができていませんでした。
結果として採用に至らず、人材不足に悩んでいました。

■支援内容
「応募者と連絡がつかない」という課題を解決するために、SMS(ショートメッセージサービス)を使って応募者が連絡を取りやすい環境をつくることを提案しました。
また、職種名の書き方についてアドバイスをするなど、求職者の興味を引きつつマッチ度を高めるための工夫をしました。

■結果
応募者が増加。さらに、求職者とのやり取りがスムーズになり、面接に繋がるようになりました。結果的に人材不足の解消に向かっています。

介護・福祉の採用活動なら採用係長

採用競争が激しい介護業界で人材を確保するには、「自施設ならではの魅力」を伝えて、応募数増加とマッチ度向上を図ることが重要です。

そこで効果的なツールが「採用係長」!

採用マーケティングツールの採用係長は、サイト作成から面接まで、採用に必要な機能を網羅しています。サイト作成では、複数のテンプレートから好みのデザインを選ぶだけで、「最短2分」でオリジナル採用サイトを作ることが可能。

さらに、下記のように複数のメリットがあります。

  • 穴埋めするだけでで求人票が作れる
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当社ネットオンは、2004年の創業以来、採用Webマーケティングの分野で事業を展開し、零細企業や中小企業から大企業、さらには官公庁まで支援してきました。

電話やメールなど、お客様のニーズに応じて採用課題をサポートしますので、まずはお気軽にご連絡ください!
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まとめ

介護業界の人材不足は、高齢化と少子化を背景としてますます深刻化しています。
「職場の人間関係」や「不明確な評価基準」「社会的なネガティブイメージ」など、さまざまな要因が絡んでいるため、簡単に解決できるものではありません。
しかし、「環境環境の整備」や「採用手法の見直し」など具体的な対策を講じることで解決への道が開かれます。ぜひ当記事の内容を参考に、改善策を講じてみてください。

なお、「自社採用サイトを作って採用を強化したい」と考えている場合は、採用業務クラウド「採用係長」もおすすめです。経験豊富な専門スタッフがそろっていて、皆さまの採用成功をサポートしますので、気になる方はぜひお問い合わせください。
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コンノ

公務員として4年間、人事労務の実務経験あり。 これまで100名以上の事業者をインタビューしており、「企業や個人事業主が本当に悩んでいること」を解決できる記事を執筆します。

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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