【失敗しない内定者研修】プログラム例や注意すべきポイントを徹底解説

内定者研修

2017年卒から6月に選考解禁となった大学生の就職活動。徐々に早期化していることが多くのメディアで取り沙汰されています。
この就活早期化が影響し、内定辞退率が増加するのではと懸念する方も多いのではないでしょうか。

以前は問題視されていなかった内定辞退率は、ここ10年以内で大幅に増加してきています。2013年卒3月時点の内定辞退率は45.6%でしたが、2020年卒3月時点には66.9%となっており※、その対策として「内定者研修」に力を入れる企業が増えてきています。

※出典リクルートキャリア就職みらい研究所ホームページ「『就職内定状況調査(2013年卒)』2013年3月度(卒業時点)PDF」
https://data.recruitcareer.co.jp/wp-content/uploads/2013/04/naitei_s2013-201303.pdf

※出典リクルートキャリア就職みらい研究所ホームページ「『就職内定状況調査(2020年卒)』2020年3月度(卒業時点)PDF」
https://data.recruitcareer.co.jp/wp-content/uploads/2020/03/naitei_20s-20200330.pdf

しかし、内定者研修は失敗すると、かえって内定辞退者を増加させるリスクがあります。そのため、効果的に実施するには注意すべきポイントを押さえ、自社に合うプログラムを作ることが欠かせません。

この記事では、内定者研修のプログラム例や注意すべきポイントをまとめてご紹介します。時間と労力をかけて獲得した内定者の辞退を防ぎ、入社意欲を高められるような内定者研修を行いましょう。

そもそも内定者研修とは

そもそも内定者研修とは、内定者フォロー施策の1つです。

就活期間の学生は会社への入社意欲を高く持っていますが、入社までの間にその意欲が下がっていく傾向にあります。

今のZ世代※と呼ばれる学生は、リーマンショックなどの影響による大規模な不況にさらされる親世代を見て育ってきています。従って就職における企業選びではリスクを避け、安定を求める傾向にあります。

※Z世代とはミレニアル世代(1981~94年生まれ)の下の世代(1995年~2004生まれ、2020年現在16歳~25歳)のこと。自分らしさを大事にし、ファッションなどにお金を使う・SNS利用は活発などの特徴を持つ。

また、プライベートと仕事を両立できる会社に就職したいと考えているため、それが実現できる会社なのかを見ています。

選考で見える部分しか会社を知らない学生は、内定を承諾した後も「本当にこの会社を選択して良いのだろうか」という不安に陥る可能性があります。さらに、入社までの期間が長くなるにつれてその不安は増大していきます。

近年の就活早期化で入社までの期間が長くなっているため、もし企業側がその間に何もアクションをしなければ不安な状態が続いた結果、内定辞退ということにもなりかねません。

企業側はこの状況を念頭において、内定者研修を設計する必要があります。

内定者研修を行う目的

多くの企業が内定者研修を行う目的としては、下記の3点があります。

①安心感の醸成

1つ目は、何より安心感の醸成です。内定者は「この会社に入って大丈夫か」「同期は気の合う人たちか」「自分は本当に働けるのか」など複数の不安を抱えています。

また、Z世代の学生は楽しく働きたいと考えているため、職場環境やコミュニケーションなどを重視する可能性が高いです。従って、内定者研修では楽しく働ける職場環境・コミュニケーションがとれる会社だと安心してもらうような、研修のプログラム設計が重要になってきます。

出典:ジャストリサーチサービス株式会社「新たな世代と言われるZ世代の意識と行動は?(PDF)」
https://jmra-mds.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/NR190524.pdf

出典:株式会社マイナビ「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」
https://saponet.mynavi.jp/release/student/ishiki/survey2020/

②内定辞退の防止

2つ目は、近年増加傾向にある内定辞退を防止することです。前述した通り、学生は不安を抱えた状態で入社までの期間を過ごしています。内定辞退を防ぐには、学生が抱えている不安の解消と、希望が叶えられる会社だと理解してもらうことの2つが必要です。

内定者研修では、学生の持つ「プライベートと仕事を両立できる会社で働きたい」という希望を叶えられる会社だとアピールする必要があるでしょう。

③仕事の基礎と心構えの教育

3つ目は、仕事の基礎と心構えの教育です。新入社員研修でも学べますが、内定者のうちに仕事の基礎を学び、社会人としての心構えができれば入社までの長い期間を有意義に過ごせるようになります。

内定者が持つ「就職観」を考慮して、単に仕事の基礎や心構えを教育するだけでなく、仕事に慣れる・仕事の楽しさに触れる方が効果的な内定者研修となるでしょう。

仕事に対して前向きな気持ちを持っているかどうかは、入社後の活躍にも大きく関係します。内定者研修でうまく内定者の気持ちに火をつけ、自社で活躍してもらえる準備を整えておきましょう。

内定者研修の効果やメリット

内定者研修を実施する効果やメリットとしては、下記の3つがあります。

①不安の解消→内定辞退の防止

新しい環境に飛び込むときは、誰でも不安になるものです。学生から社会人という大きな環境変化、そして初めて仕事や会社という環境に飛び込む学生にとっては非常に大きな不安となるでしょう。

内定者は、会社・人間関係・自分自身に不安を感じているため、その3つの不安を解消して安心できる状態に持っていくことが重要です。

内定者研修でうまく不安の解消ができれば、内定者は「やっぱりこの会社を選んでよかった」「この同期や上司、先輩ならうまくやっていけそう」「仕事が楽しみになった」などの気持ちを抱くようになるため、辞退の防止につながります。

②仕事への関心や意欲の向上

①で不安が解消されることにより、もともと持っていた仕事への関心や意欲が向上するという効果も期待できます。たとえ仕事が最初からできなくてもサポートしてもらえるという安心感を持って、仕事にチャレンジできるようになります。

仕事は楽しいという経験を内定者研修で積ませれば仕事への意欲を高められ、チャレンジしたいという気持ちを醸成できます。

③入社前の期間の有効活用

内定者研修に参加することで、「①不安の解消」「②仕事への関心や意欲の向上」につながった結果、内定者は入社前の期間を有効活用できるようになります。

例えば、仕事に役立つ知識を増やす、仕事への心構えとしてビジネス書を読むなど前向きな取り組みを自発的に行う可能性が高まります。

内定者研修が効果的なものでなければ、仕事以外の関心事に時間を取られてしまうでしょう。しかし、仮に内定者研修を効果的に実施できれば、入社までの期間を有効活用できるようになります。

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内定者研修のプログラム例

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次に、内定者研修のプログラム例をご紹介します。目的ごとに適したプログラムが決まっているわけではありませんが、プログラムを決めるときには「この目的を達成するには、どんなプログラムが最適なのか」という観点で設計することが重要です。

社会人ビジネスマナー研修

仕事への関心や意欲の向上を目的に、「社会人ビジネスマナー研修」を行う企業も多いです。スーツに身を包み、ビジネスマナー研修を受けると「いよいよ社会人になる準備が始まった」という気持ちになります。

名刺交換のロールプレイングやビジネスメールの作り方、言葉遣い、社会人としての心構えなどを学ぶことで、遠いと思っていた社会人への道が急激に近づいたように感じるでしょう。ビジネスマナーの経験を積むことで、社会人への一歩を踏み出す前向きな気持ちを醸成できます。

職場見学

仕事への関心や意欲の向上を目的に、「職場見学」を内定者研修に入れる会社もあります。職場見学を実施すると、紹介ムービーや面接での雰囲気とは違った現場ならではの臨場感や社会人の仕事にかける気迫を伝えられます。

「自分もこんな風にかっこよく働きたい」と感じる内定者も出てくることでしょう。

また、現場を見ると「ここが自分の職場になる」という帰属意識が生まれ、先輩方に自分を重ね合わせて具体的に働くイメージが湧きやすくなります。

グループワーク

入社前期間の有効活用を目的に、「グループワーク」を行う会社も多いです。就職活動のときは試験の一環であるため緊張して楽しめなかったグループワークも、今後一緒に働く仲間とであれば感じ方も変わります。

プレゼンやディスカッションを行い、上司・先輩からのフィードバックをもらうことで、仕事の雰囲気を疑似体験できます。具体的なフィードバックを得ることで、入社前に学んでおきたいという気持ちが強まる内定者も多いでしょう。

内定者懇親会

不安の解消→内定辞退の防止を目的に、内定者が一番不安を感じやすい人間関係にフォーカスした「内定者懇親会」を実施する企業も多いです。同期・先輩・上司とのコミュニケーションの場を設けることで意見交換や相談ができ、この会社で頑張っていこうという気持ちを醸成できます。

実施の際に注意すべきポイント

最後に、内定者研修を実施する際に注意すべきポイントをご紹介します。

安心感の醸成が最重要と認識する

前述した内定者研修の効果やメリットは、不安の解消ができて初めて得られるものです。最初に不安の解消ができなければすべての効果を失い、かえって内定辞退率を高める可能性もありますので注意しましょう。

内定者研修の成功には、不安定な学生の気持ちに寄り添う気持ちが欠かせません。現代の価値観では、以前のような労働環境は受け入れられないことを意識して臨みましょう。

内定者研修は会社の魅力を伝えるプレゼンの場と捉える

内定者は内定を承諾している状態ではありますが、厳密に言うと入社してもらうまではいつでも辞退できます。
また、労使関係が対等であるべきという価値観で生きてきている世代に「自分たちの頃はそうではなかった、仕事は厳しいものだ」というような態度で研修に臨んでも、良い結果は得られないでしょう。

まずは、お互いが尊重し合える対等な関係であることを意識しましょう。その上で、内定者研修は内定者に不安を解消してもらい、会社に魅力を感じてもらうプレゼンの場だと思って取り組むことが重要です。

強制はせず、内定者の意欲を引き出す構成を心がける

どんなときにも強制はせず、内定者の意欲を引き出すような構成を意識するようにしましょう。企業側は選考時の学生をイメージして内定者研修を行うことも多いですが、学生側の心持ちは大きく異なります。

また、内定者研修の実施前には目的をしっかり定め、何が達成できたら成功とするのかの基準を明確にしておきましょう。また、内定者に関わるメンバーには同じ認識で臨んでもらえるよう、事前に社内共有しておくことも大切です。

まとめ

自分たちが就職した時代とは、大きく異なる時代背景と学生の状況。彼らの育ってきた背景や今の時流を意識して、内定者研修のプログラム作成・実施をすることが大切です。

今回ご紹介したことは、人事・採用担当者だけが理解していても意味がありません。内定者研修に参加する全社員に理解してもらう必要があるのが、内定者研修の難しいところです。

「内定者の不安を解消して、自分たちの仲間になってもらう」という気持ちを忘れず、ぜひ全社一丸となって内定者研修を成功させてください。

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採用Webマラボ編集部

採用に関するお悩みならお任せ!採用業界に精通しており、Indeedや求人ボックスなどの求人検索エンジンから、リスティング・ディスプレイ広告などまで幅広い知識を持った、採用Webマーケティングのコンサルタントなどが記事を執筆していますm(_ _)m

監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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