高卒採用のスケジュールとルールを解説|そもそも採用する方法は?

高卒採用 とは

ここ数年、人気を見せている「高卒採用」。

とはいえ、これまで大卒や中途採用をメインで行ってきた企業にはあまり馴染みのないキーワードかもしれません。高卒採用は独自のルールが設けられていることに加え、採用までのスケジュールが決められていることから、実施する際にはいくつかの注意点が存在します。

そこで、今回の記事では高卒採用のスケジュールとルールについてまとめてみました。

高卒採用とは

高卒採用とはその名の通り、高等学校を卒業予定の人(新規学卒者)を対象とした採用活動のことです。ここではまず、高卒新卒者の就職状況について、見ていきましょう。

高卒新卒者の就職状況

まず、高校新卒者の就職内定率と求人倍率推移は次のようになっています。

グラフから見てもわかるように求人倍率が2.8倍、就職内定率はほぼ100%と高卒新卒者は基本的に売り手市場が続いています。近年は特に求人倍率が高くなってきているため獲得競争が増していると言えます。

高卒新卒者の求人数と求職者推移数についても、グラフで確認してみましょう。
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グラフを見ると、大学へ進む学生が増えたことや少子化による影響が如実に現れており、1990年に約52万人いた求職者の数は2020年時点で約17万人にまで減少。

また、求人数もバブル最盛期の1990年に比べると大幅に減ってはいるものの、近年は慢性的な労働市場全体の人手不足から求人数が徐々に増えています。

高卒採用に対する注目が高まっている

株式会社静岡銀行様や株式会社ワコール様では20年以上ぶりに高卒採用を再開させたことがニュースとなるなど、近年高卒採用に対する注目が高まりつつあります。

これまで大卒や中途採用を中心に採用活動を展開してきた企業がなぜいま、高卒採用に注目しているのでしょうか。
その背景として、高校生の方が大学生よりも物事に対して素直な姿勢を持ち合わせていることに加え、物事の吸収が早く潜在的な成長力を秘めているからだといわれています。また、早期から自社へ愛着心や帰属意識を芽生えさせやすく、将来的には幹部をはじめとした経営の中心として活躍してくれることが期待できる点も挙げられるでしょう。

ただし、その一方で高校生に対するキャリア教育の不十分さや企業研究不足によって早期離職が多いこともまた事実であり、入社後にミスマッチが起きないように細心の注意を払う必要があります。

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高卒採用のスケジュール

高卒採用がなにかと話題に上がる中、自社も高卒採用を取り入れたいと考えている企業も少なくないでしょう。

しかし高卒採用では大卒の採用と異なり、採用に至るまでの一連のスケジュールが厳格に定められています。
blank画像出典:高卒採用のスケジュール|株式会社ジンジブ

高卒採用のスケジュールは毎年、ハローワークから案内される「求人票の解禁時期」および「求人募集の解禁時期」に沿って決まります。

高校の種類や案内によって多少の差が生じるケースもありますが、上図のスケジュールで進行することがほとんどです。

スケジュールに合わせた採用側の対策

競争倍率が高い高卒採用を成功させるうえで、スケジュール内で企業ができることをいくつかご紹介します。

求人票公開前の高校訪問

まず、求人票が公開される7月1日以前に一度、高校訪問をしておくとよいでしょう。
高校別に就職状況がどうなっているのかを把握することはもちろん、学校に対する自社の印象付けが主な目的です。数年での就職状況や内定をもらって実際に入社した企業に関する情報など、さまざまな情報についてリサーチしておくことでその後の高卒採用を有利に進められます。

また、担当の先生が変わっている可能性もあり、毎年忘れずに足を運ぶよう心がけましょう。

求人票公開後の高校訪問

大卒の場合と同じく、求人票の公開時期になるとひとつの学校に多数の企業から求人票が届きます。そのため、そこでなにもアクションを起こさなければ求人自体が埋もれてしまう可能性が高く、そうした事態を避けるためにも高校に足を運ぶようにしましょう。

自社のアピールを行うことはもちろん、もし職場見学などを実施する予定があるのであれば、そのスケジュールも伝えておくことをおすすめします。

職場訪問やインターンシップは夏休み期間中に実施する

まず、就職を控えた高校3年生に対して「職場訪問」の機会を設けましょう。
職場訪問を通じて実際に応募する企業を決める高校生も多く、ここでお互いの認識をしっかりと擦り合わせておくことは入社後の早期離職防止にもつながります。

また、高校1・2年生を対象として「インターンシップ」を実施するのも効果的です。
インターンシップは職業体験のことを指し、体験を通じて実際の仕事に対するイメージを持ってもらうと共に、そこで一緒に働いたいといった気持ちを持ってもらいやすくなります。
そして採用目的のイベントではないため、お互いにフランクな態度で接しやすく、自社の魅力をアピールしやすいともいえるでしょう。

高卒採用のルール

高校生の就職活動には大卒を対象とした場合と異なる、一定のルールが存在します。
ここでは高卒採用のルールについて確認していきましょう。

学校斡旋を受ける場合は1社しか応募できない(一人一社制)

高校生の就職活動では、高校の紹介を介して就活をする「学校斡旋」が一般的です。
問題なのは、この学校斡旋を利用して就活をすると決めた場合、応募開始から一定の期間は1社しか応募できません。

リクルートワークス研究所様の調査によると、「企業研究を1社だけ行い、その1者に応募し、内定を受けた」人が全体の55.4%を占めるなど、学校斡旋は高校生の就職活動において一般的な方法であることがわかります。
参考:高校生の就職とキャリア

ただし、この方法では学生が複数の企業を見比べることができず、学校からの推薦ということもあって辞退がしにくいといったデメリットがあるのも事実です。
企業側も、間に学校を挟むことから求人票に記載されている以外に自社の魅力をアピールすることが難しく、学生と企業の双方理解が不足したまま入社当日を迎えてしまうケースも少なくありません。

こうした傾向は高卒の早期離職問題にも強く影響しており、現在では一人一社制の見直しに関する提言がされています。

ハローワークに対し求人票の登録が必要となる

高校の紹介を受けて高卒採用をするためには、ハローワーク(職業安定所)に求人票を登録しなければなりません。

また、求人票の書式も一般(中途やアルバイト)と異なり、高卒新卒専門のものがあるので注意しましょう。
ハローワークに申請した求人情報は「高卒就職情報WEB提供サービス」と求人票にデータが登録され、企業は高校にこれらの情報をもとに採用活動を展開することになります。

採用フローが厳格である(就活の自由度が低い)

前述のように高卒採用では学校斡旋がメインであるため、大卒採用よりも内定率は高い傾向にあります。
参考:約4割の高卒採用企業で既に“今年入社”の離職者も…コロナ禍での就活が影響した?要因を聞いた(FNNプライムオンライン)

そのため、最初の1カ月で6割ほどの学生が就活を終えるともいわれているほどです。

しかし、学校が間に入ることから就活の自由度が低くく、採用フローも厳格に定められています。
具体的には、先に述べたハローワークに登録された求人票の情報が各学校に提供され、それらを元に学校の担当教員が生徒に対して求人情報を公開します。
そして、職場見学やインターンシップ、そして応募のやり取りに至るまで間に学校が入るのも高卒採用ならではの特徴といえるでしょう。

仕事に関する知識や経験が乏しい高校生が適切な職業選択ができるように配慮されている一方で、生徒に届く情報量が限られるほか選択肢の幅が狭くなるといったデメリットも存在します。

高卒採用の流れ

企業が高卒採用をするまでの手順は以下の通りです。

  1. ハローワーク主催の「学卒求人説明会」に参加する(毎年必須)
  2. ハローワークに対し「求人申し込み書」の提出を行う
  3. ハローワークが申込内容を確認し、求人票を発行する
  4. 求人票のコピーを各高校に持参あるいは郵送する
  5. 応募前職場見学を受け入れる(受け入れを許可した企業のみ)
  6. 高校から高卒新卒生の応募書類が届く
  7. 採用試験日時の通知を高校に行う(必ず書面で行う)
  8. 採用試験を実施する(応募書類だけで採用可否を決めてはいけない)
  9. 採用結果の通知を行う(書面で高校に対して通知する)

再度、ここで注意したいこととして、高卒採用では一人一社制が原則であることから、1人1社しか受験できません。そのため、仮に不採用であった場合にはその旨の通知を受け取ってから次の企業を探すことになります。

不採用にもかかわらず結果の通知が遅れてしまうと、通知を待っている間に他の企業が受付を締め切ってしまう、他の生徒が受験を決めてしまい受験できなくなるといった問題が生じることも少なくありません。

高卒新卒生の貴重な受験機会を奪ってしまうことのないよう、採用結果の通知はなるべく早めにするよう心がけることが大切です。

まとめ

今回は高卒採用のスケジュールとルールについて解説しました。大卒や中途の採用と異なり、一人一社制など高卒採用には独自のルールが存在します。
またスケジュールも厳密に定められていることから、できることは早めに準備をしたうえで、効率よく採用活動が展開できるようにしましょう。

この記事が少しでも参考になっていたら、幸いです。

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採用Webマラボ編集部

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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