オウンドメディアリクルーティングでの採用成功コラム、第5弾は営業職採用を成功させるための求人票の書き方をお届けします。
中途採用の求人市場でトップクラスに募集が多いのは営業職。求人検索エンジンIndeedで営業×正社員×全国で求人件数を調べると45万件がヒット。
事務×正社員の25万件、ドライバー×正社員が9万件であることを考えるとかなり多いほうで(一番多いのは介護×正社員で110万件)、全案件約300万件の1/6が営業職ということになります。採用だけでなく応募者を獲得することだけでも多数のライバルに勝ち抜く必要があります。
今回の記事では、営業職での『業種ごと』ではなく『スキル』に着目した採用ターゲットの見つけ方、求人票でのアプローチに関して解説していきたいと思います。
目次
■POINT.1 同業界経験より『持ち運びできるスキル』に着目しよう
営業職の採用で陥りやすいのが即戦力を求めるあまり「同業他社からの経験者採用」にこだわり、募集ターゲットを狭くしすぎて失敗するパターンです。不動産販売業が業界経験者を狙えば、知識もスキルも身についているので確かに入社後の活躍イメージはつきやすいです。
ただ、業界内での序列を気にして、(あの会社はちょっと・・・)という、心のいらぬ壁を作りそもそも採用力がある上位企業やニッチ企業以外は使えない戦略です。会社ならではの変な癖がついていてあまり活躍できなかったという話も耳にします。
そこでおすすめしたいのが、「持ち運びできるスキル」に注目した異業界の営業職、もしくは業界外から引っ張ってくる方法です。業界知識はないですが必要とする『能力』を持っているので、ゼロから育成するよりは早く戦力として売り上げを皮算用できる存在になります。
代表的なスキルとしては『コミュニケーションスキル』『コンセプチュアルスキル』『気合と根性(自律できるスキル)』があげられます。
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■POINT.2 最重要スキルを考えるうえでの3つの観点
自社にぴったりな「持ち運びできるスキル」を持った人をどの業種から持ってくるのが良いのか?これの判別には以下の3つの観点が有効です。業界が違っても営業として使う筋肉が同じであれば転職が成功しやすいのはキャリアカウンセリングのセオリーでもあります。
それぞれの観点ごとの必要スキルの違いについて解説していきましょう。
●決裁者の違い● 個人相手は『コミュニケーション』法人相手は『コンセプチュアル』
購入決裁者は誰か?つまり誰が財布のひもを握っているのかで使う能力は変わります。
営業対象が個人(または中小企業のような社長決裁で決まる会社)であればとにかく対人スキルが重要。相手と意気投合して熱量を伝えて自分や商品に惚れてもらうかが購買動機として重要。そういった対人スキル=『コミュニケーションスキル』が最重要になります。
逆に決定が会議室(合議で決める大きな会社)であれば企画力勝負。購買可否は企画内容で判断されることも多いので、『コンセプチュアルスキル』が最重要です。一度も会話したことがない相手にも理解を得られる論理的な提案や資料作成が最重要項目になります。
●商品単価の違い● 低単価商材営業は『気合と根性』。これは商品が違っても最重要スキル
営業は売上(≒利益)を上げることが役割。売上は単価×受注件数で決まりますので、単価勝負の商材か、受注件数勝負の商材かによって求められるスキルが変わります。
高単価商材であれば受注件数が少なくても高い売上(≒利益)を獲得できるので、見込みからの受注確度を上げることが大切。そのために重要視されるのは『コンセプチュアルスキル』×『コミュニケーションスキル』です。どちらが重要かは前述の決裁者によって分かれます。
一方で低単価商材はとにかく受注件数を多く決めないと売上は上がりません。そのためにはアプローチ量が重要。量をこなせる『気合と根性(自律できるスキル)』が最重要視されます。断られても次、次、と行動できるメンタルのタフさが何より求められる領域となります。
これら『決裁者』と『商品単価』でのスキルと該当業種をマトリックス化した図が以下です。異業界でも自社と同じマトリックスに入っていれば「持ち運びできるスキル」によって活躍見込みが立ちます。すなわちここが採用ターゲット業種となります。
●営業先のステイタスの違い● 新規か既存顧客(新規開拓無し)で大きな差がある
営業先が新規か既存顧客かでも使う「筋肉」が大きく変わってきます。下の図は営業の一般的なフローですが、新規への営業は既存顧客へのフローの倍のビジネスプロセスが必要です。
かつ「探客」から「信頼獲得」までのフローはかなりの確率で断られるため『気合と根性(自律できるスキル)』が必要となります。買い替え需要が少ない商品を売る営業は新規開拓への比重が高くタフさが要求されます。「分譲・戸建て住宅」「自動車」などもここに入ります。
余談ですが、新規営業が厳しいことは求職者も認識しています。逆にだから「給与が高め」「歩合やインセンティブが厚い」などを期待してこちらに応募する人もいますので給与条件の設定は重要です。ほかには「精神負荷がかかりにくいように休憩を増やす」「職場に音楽をかけている」「成約確率が高い」などに他社との違いがあればここを求人広告で表記すると反響が優位に変わります。こういった細かいところも応募行動にビビッドに反映されますのでケアすべきポイントです。
■POINT.3 コロナ禍で増加したマーケティングオートメーション営業のスキル
コロナ禍で大きく注目されるようになったマーケティングオートメーション(営業の自動化)。反響営業+オンライン営業(というか説明)で営業を完結するという新たなスタイルのため必要とされるスキルも従来の営業とは異なります。
「飛び込み」「展示会接触」「電話営業」をきっかけとした営業は影を潜め、「自社・ECサイトへの問い合わせ対応」「マーケティングオートメーションを使ったアプローチ」からオンライン説明のアポイントを設定し、オンライン上で『商品説明』を行います。それ以降も顧客接触は営業が行わず、オンライン行動を監視するのはプログラムで、再訪問など商談環境が温まったら改めて営業が『説明』する。
そんな営業に必要なのは上記の3つのスキルではなく『説明スキル』。関係性構築を行わないため「販売職」「塾講師」など説明・指導の経験があればよく、オンラインなので対人が苦手な人でも務まります。実は活躍可能性がある対象者の枠は広がります。
■POINT.4 営業職採用を成功させるための求人票の書き方
『コミュニケーション』『コンセプチュアル』『気合と根性』『説明』この4つのスキルをもとに求人票を作成すると、以下のような学生時代や日常生活になぞらえた「●●な人歓迎」な書き方でもターゲットに届きます。
「法事で親戚のおじさん、おばさんとお話しするのが好きな人に向いています」(年長者相手の商品営業:コミュニケーションスキル)
「お前の話は分かりやすい!と学生時代に言われた人にはぴったり」(コンセプチュアルスキル)
「ガンバって部活でレギュラーを取った」「諦めが悪いといわれる」(気合と根性スキル)
「国語の朗読でほめられたことがある」「バイト先の居酒屋で今日のおすすめを売るのが得意だった」(説明スキル)
営業力を測定する検定や資格がないため『経験』に頼るしかなかった営業職の経験者採用。でも経験を『必要スキル』に置き換えて考えると、人固有の『持ち運びできるスキル』に注目した採用を進めることができ、異業界での営業経験者や営業未経験者もターゲットにしながら戦力になりやすい人を募集することができます。こういった観点での求人票作成も行ってみてはいかがでしょうか?
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