企業の採用活動において「ブラインド採用」という方法に注目が集まっています。
この記事では、
- ブラインド採用とはどういった採用方法なのか
- なぜ注目されているのか
- 導入する際のメリット・デメリット・注意点
について解説します。
皆様の採用活動において、導入すべきかどうかの判断材料としてみてはいかがでしょうか。
目次
ブラインド採用とは?
ブラインド採用とは、名前、性別、年齢、学歴、本籍などの個人情報以外の情報で応募者を評価して採用する方法です。目的としては応募者のスキル、職歴、人間性のみで採用の可否を行うことです。
ブラインド採用を導入することで、企業のダイバーシティ推進につながります。
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ブラインド採用が注目される背景は?
ブラインド採用が注目される背景として、企業のダイバーシティ推進が求められているという点があります。
それでは、ダイバーシティとは何でしょうか?
ダイバーシティとは人種・国籍・宗教・思想などの違いを多様な人材を受け入れて活用する動きです。
アメリカなどの多民族国家だと、ダイバーシティの考え方は日本よりも幅広く普及されています。年齢や性別以外に人種でもフィルターがかかってしまうため、差別をなくす手助けにもなります。
日本においても、人材不足や外国人労働者の流入、働き方の考え方など価値観の多様化、女性の社会進出が進められているという社会的な理由がありダイバーシティが求められるようになりました。
ダイバーシティ(多様化)を実現するためにの採用方法としてブラインド採用は注目されています。
ブラインド採用を導入するメリット・デメリット
ブラインド採用にはメリットもありますが、デメリットもあります。
個人情報を必要としないからこそフラットな判断ができますが、個人情報を加味していたからこそ採用が成り立っていた企業も少なくはありません。
自社の考え方と掛け合わせて考えてみるといいでしょう。
メリット
ブラインド採用を行ってダイバーシティ推進をすることで、いくつかのメリットが生まれます。
偏見や価値観の偏りを抜いて公平な採用を行える
従来の採用方法では学歴フィルターや学閥、性差別、年齢によるフィルターにより採用対象から外れてしまう人がいました。個人情報を排除することで、スキルはあるのに評価されなかった求職者も公平に評価し、採用できます。
多様な人材が混ざりあうことで新たなアイデアが生まれる
採用活動を続けていくうちに、同じような価値観の従業員ばかりを採用してしまうことがあります。従業員の間の価値観が変わらなければ、同じようなアイデアばかりになってしまい、事業の発展が滞るかもしれません。
そこで、多様な人材を入社させることで価値観やスキル、知識に偏りがなくなり、今までの社内のメンバーでは出てこなかった新たなアイデアが生まれます。
有能な人材を採用できる
ブラインド採用であれば、スキルや職歴で評価できるので、有能な人材が採用できます。
「なんとなくこの人はいいかもしれない」という主観的で曖昧な採用基準は取り外せます。偏見や思い込みがなくなるので、純粋に高いスキルを持っている有能な人材が確保できるでしょう。
多様な社会のニーズに対応できる
人の価値観が多様化しているため、社会のニーズがその分複雑化しています。企業に多様な人材が確保できていれば、高いスキルと個性を持った従業員がアイデアを出しあうことで、社会のニーズに合わせた商品やサービスを作れたり、時代の変化に柔軟なサービスが提供できます。
デメリット
ブラインド採用によってダイバーシティ推進にはデメリットもあります。
採用に時間がかかる
個人情報によるフィルターを排除し、採用対象が増えるため応募者のスクリーニングに時間がかかります。提出してもらった書類を精査し、個人情報を取り除かなくてはならないので、採用の長期化や全体のスケジュールについて初めに想定しておくべきです。
従業員同士の衝突がおこる可能性がある
従来の採用基準で入社した従業員とブラインド採用で入社した従業員との間で衝突が起こることが考えられます。
後者の従業員は、これまでの社風や価値観に縛られない考え方を持っているので、新たなアイデアとこれまでのやり方、考え方でぶつかりあうことがあります。トラブルを防ぐためにも、お互いの考えを理解・尊重しあう努力が必要です。
従業員の画一性がなくなる
社風や会社の雰囲気に合うか合わないかといった部分で応募者の判断ができないため、従業員全体のタイプをそろえることは不可能です。
画一性ではなく、多様性を取り入れて従業員の個々を尊重する必要があります。
ブラインド採用を導入する上での注意点
ブラインド採用を導入するために、注意しなければならない点がいくつかあります。メリットのある採用方法ですが、注意点をしっかりとケアして採用活動のトラブルを防ぎましょう。
多様性を受け入れる企業風土を作る
多様性を受け入れるために、社風や現従業員の価値観を変える必要があります。
従来は社風や主観を重んじて、画一的な人員採用に踏み切っていたかもしれませんが、その考え方や手段は一度手放さなければなりません。
人材採用に関わる経営陣の意識改革や、従業員へブラインド採用を取り入れていく上でのメリット・デメリットを共有し、今後の企業に与える影響を理解した上で、受け入れ体制を作れるように、教育・研修も行うと良いでしょう。
また、コミュニケーションを活発にとれる環境の整備も重要です。
さまざまな価値観・考え方が混ざりあうので、コミュニケーションを密に取り合って、相互理解を深め、連携を取れるようにしましょう。
採用基準の明確化
個人情報を採用基準から除外するため、求職者の持っているスキルをどのような基準で評価するのかを明確にしておかなくてはなりません。
ブラインド採用の目的は、応募者に対して公平な評価を行うことです。採用基準を明確にして、各面接官はもちろん採用に決を出す役員など上層部にまで共有する必要があります。
公平な判断をすべての面接官ができるようにしておきましょう。
採用活動の効率化
ブラインド採用は、応募者のスクリーニングする要素が限られてしまうため、採用活動が長期化するというデメリットを紹介しました。採用活動を効率化して、期間を短縮させられると良いでしょう。
効率化のためには、どこまでの情報を隠すかという制度設計が重要です。
個人情報を全て隠してしまうのではなく、名前や学歴、性別は選考時に見ないが年齢は開示するなど部分的に情報を選択して採用基準を固めたり、応募者の持つ価値観や考え方を履歴書に記載してもらったりして、判断するポイントを増やすと良いでしょう。
まとめ
今回、ブラインド採用について解説してまいりました。
ブラインド採用は企業のダイバーシティ推進のための1つの手段です。社会的な背景があるものの、ブラインド採用によるダイバーシティ推進が自社にとって最適であるとは限らないでしょう。
採用基準を変更して、ブラインド採用をすぐに導入するということは、経営基盤を揺るがす可能性があります。
まずは社内の従業員や役員がブラインド採用を行うこと、そのために意識改革や環境改善を進めなくてはならないことを浸透させなければなりません。
ブラインド採用の導入後に入社した従業員と今までの採用で入社した従業員との間で溝が出来てしまわぬように、採用後の環境を整えて置く必要があります。
導入する際は慎重に検討した上で、判断しましょう。
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