小売業が人手不足になる原因とは?対策方法も解説!

小売業界 人手不足

さまざまな業種で人手不足が叫ばれている昨今、小売業も例外ではありません。私たちが生活していく上で不可欠な小売業において、なぜ人手が足りていないのでしょうか?

本記事では小売業における人手不足の実態と、その課題を解決するための有効策について解説します。

小売業で続く深刻な人手不足

小売業は身近な存在で、なくてはならない業種であるにもかかわらず、人手不足に陥っている状況について有効求人倍率をもとにひも解いていきましょう。
有効求人倍率推移
参照:政府統計e-Stat 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)をもとに作成

厚生労働省発表のデータからわかるように、2019年の全職種の有効求人倍率1.45倍に比べ、商品販売の職業は2.58倍と高いことが見てとれます。また、年々増加傾向となっており、圧倒的な売り手市場であることがわかります。

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小売業が人手不足になる原因

人手不足になる原因として、以下4つの原因が考えられます。

  1. 給与の低さ
  2. 長時間労働
  3. シフト制(不定休・休暇の取りにくさ)
  4. 社会的評価の低さ

それでは、順番にみていきましょう。

給与の低さ

下記の図は「小売業と全産業の月給平均(残業代含む)」を比較しています。2019年の全職種の月給平均が338千円に対して、小売業は293千円と平均を下回っていることがわかります。小売業と全産業の月給平均
参照:政府統計e-Stat 賃金構造基本統計調査をもとに作成

小売業は扱う商品にもよりますが、流通の特性上薄利多売なビジネスモデルのため従業員の賃金水準が低い傾向にあります。

長時間労働

下記は、2019年の業種別の実労働時間数を比較した図です。業種別の実労働時間数
参照:政府統計e-Stat 賃金構造基本統計調査をもとに作成

 小売業の所定内実働労働時間数(※)が他の業種のそれと比較して、最も多いことがわかります。労働時間を増やす直接的な原因として多いのは、さまざまな理由で人員が足りず一人あたりの業務量が増えてしまうということです。

※総実労働時間数から超過実労働時間数を差し引いた時間数

シフト制(不定休・休暇の取りにくさ)

土日の客足が多い小売業は勤務体系にシフト制を導入しており、変則的なスケジュールで働くことの多い業種です。「決められた曜日が休み」は他の業種と比べて少ない傾向にあります。さらに、クリスマスや年末商戦といった繁忙期には業務稼働が増えるため、時期によってはなかなか休めない場合もあります。

シフト制で不定休・休暇のとりにくさは、就職・転職において公私のバランスを重視する層にとってマイナスイメージとして捉えられます。

社会的評価の低さ

小売業は、マーケティング・マーチャンダイジングをはじめとする専門知識を要する仕事です。店長クラスにもなれば、店舗・売場・スタッフを包括的にマネジメントする高い能力が求められます。ところが、外部から見れば「技術や知識がさほど必要がない誰にでもできる単純労働」と実際とは異なった印象が強く、社会的評価が低い傾向にあります。

「小売業で働きたい」と誰もが思うような人気業界では無く、必然と成り手が少ないため人材の確保が難しくなっています。

小売業の人手不足に有効な対策方法

続いて、小売業の人手不足を解消するのに有効な対策方法について考えていきます。以下のような内的要因の改善が、人手不足を解消する最も有効な手立てになります。

アルバイト・パート従業員の給与・待遇を改善する

給与と待遇については「同一労働同一賃金」の制度を取り入れることが有効です。

「同一労働同一賃金」制度とは?
  • 2020年4月1日(中小企業は2021年4月1日)より施行
  • 正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与、手当などのあらゆる待遇について不合理な差を設けることを禁じる制度
  • 雇用形態に関わらず、業務内容に応じて待遇が決まるため、多様な働き方を選択できる
  • 待遇差の理由について従業員から説明を求められた際には応じる必要がある

詳細は以下の記事で解説しています。
同一労働同一賃金制度に必要な対策と準備とは?【2020年最新版】

アルバイト・パート従業員の比率が高い小売業にとって、「同一労働同一賃金」は人材活用や雇用の在り方を左右するであろう制度です。雇用形態に関わらず、それぞれの働き方に見合った公正な給与・待遇を設定し、体制を整えましょう。

労働環境を整える

労働環境については、連続勤務を避けることが有効です。早出・遅出の2交代制を導入したり、月に取得する有給休暇の日数を定めるなどの制度の整備が必要でしょう。

また、事務作業従事者が在宅で仕事を行えるようリモートワーク環境を構築するなど、子育てや介護などがある労働者にとって働きやすい環境を整備することも重要です。

ITシステムの導入で効率アップ

人力作業の省力化を目指してITシステムを導入することは、人手不足の対策として有効です。例えば、

  • 無人レジやセルフレジを設置して、レジ打ちの要員を削減
  • タッチパネルを使用して、注文を行えるようにする

etc…

ただ、ITシステムの導入には、開発や保守を含め多大なコストがかかります。
そのため、投資に見合ったメリットがあるのか?をしっかりと検証してから導入の判断する必要があります。

懸念点として、初期投資だけではなく使用する機械によってはスタッフがスムーズに操作や対応ができるかの訓練期間が必要な場合もあります。さらに、顧客満足度が低下するというデメリットなども伴うことも考慮しなければなりません。

ITシステムの導入は、人手不足を解消する有効な手段ではあります。しかし、対応の仕方を間違えると状況の悪化を招く恐れもあることも考えられるため、導入には慎重な判断が必要です。

シニア世代・外国人労働者の積極的な雇用

シニア世代の雇用

人生100年時代が叫ばれる現代、高齢化が進み、働く意思・意欲があるシニア世代が急増しています。高齢者雇用は、人手不足の小売業にマッチするのではないでしょうか。

小売業がシニア世代を雇用するメリットは下記の通りです。

  • 経験・スキル・ノウハウ・人脈を活用できる
  • 若手の手本になる
  • 高年齢者の考え方も取り入れ知見が広がる
  • 勤務態度が良く、遅刻や欠勤も少ない
  • 高齢のお客様とコミュニケーションがとれる
  • 地域の実情に詳しい

シニア世代が働きやすい環境を作れれば、シニア世代の能力を存分に発揮することができるでしょう。

シニア世代の雇用方法については以下の記事で解説しています。
高年齢者雇用の方法と助成金について解説|シニア採用のススメ

外国人労働者の雇用

日本で働きたいという意欲のある外国人は多く、企業側の受け入れ態勢が整っていれば多くの外国人の雇用が可能です。ただ、外国人を雇用する際の手続きの煩雑さや、言語や文化の違いがあり、外国人雇用はハードルが高いと考えている企業が多いのが実情です。

しかし、日本人と同等かそれ以上に勤労意欲がある、能力が高い人材を獲得できるというメリットもあります。

外国人雇用のメリットなどについては以下の記事で解説しています。
【採用ノウハウ】外国人労働者受け入れのメリット・デメリット

まとめ

小売業界の人手不足対策について、参考になりましたでしょうか?

労働条件、待遇の見直し、業務の効率化など、人材不足を解消していくことが採用を成功させる鍵です。求人の応募数を増やすためには、求職者目線で、魅力的で充実した内容の求人票を作り、より多くの求職者に見てもらう必要があります。そのような求人票を作成するにあたり、採用管理システム『採用係長』を導入するのはいかがでしょうか。

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監修者
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辻 惠次郎

ネットオン創業期に入社後、現在は取締役CTOとしてマーケティングからプロダクトまでを統括。
通算約200社のデジタルマーケティングコンサルタントを経験。特に難しいとされる、飲食や介護の正社員の応募単価を5万円台から1万円台に下げる実績を作り出した。
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