採用した正社員が数ヶ月や1年程度で辞めてしまう。
採用費用も育成に注いだリソースも無駄になったと頭を抱えている人事担当者は多いはずです。
なぜ早期離職は起こってしまうのでしょうか?今回は社員を定着させるために必要な取り組みについてご紹介します。
目次
早期離職の原因
早期離職する社員は、なかなか本当の離職理由を話してはくれません。
家庭の事情やポジティブな転職理由を述べていても、会社に不満があって辞めている人もいると考えてよいでしょう。
では、実際はどういった理由で退職しているケースが多いのでしょうか?平成28年に労働政策研究・研修機構より発表された1年未満に早期離職をした理由TOP10からひも解いていきます。
初職離職理由(継続期間1年未満) | (%) | |
1位 | 仕事が自分に合わない | 35.8 |
2位 | 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった | 35.7 |
3位 | 人間関係がよくなかった | 35.3 |
4位 | ノルマや責任が重すぎた | 22.0 |
5位 | 賃金の条件が良くなかった | 17.7 |
6位 | 健康上の理由 | 13.7 |
7位 | 会社に将来性がない | 12.5 |
8位 | 自分の技能・能力が活かせられなかった | 9.4 |
9位 | 倒産、整理解雇又は希望退職に応じたため | 5.8 |
10位 | 結婚、子育てのため | 3.2 |
出典元:『労働政策研究・研修機構』若年者のキャリアと企業による雇用管理の現状
業務内容のミスマッチ
上記の調査では、「仕事が自分に合わない」が1位、「自分の技能・能力が活かせられなかった」が8位となっています。
業務内容のミスマッチがそもそもの発端にあり、結果としての給与や待遇への不満、社風へのストレスを感じやすくさせているのではと推測ができます。
労働条件がよくなかった
次に「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」が2位、5位が「賃金の条件がよくなかった」となっています。
どれか一つが離職の引き金になるのではありません。
「給与が安く残業が多い」、「普段の労働時間が長く休日出勤も頻繁にある」といった複数の要因が連動して早期離職につながります。
労働条件を一朝一夕で改善できる職場は少ないでしょう。
給与を上げる、労働時間を短くすることをいきなりのゴールにするよりは、業務効率化を図り無駄をなくす取り組みを先にすべきです。
社内での人間関係
同上の調査で離職理由は「人間関係がよくなかった」が3位となりましたが、割合を見ると1~3位までは、ほぼ同率です。
2018年のenジャパン様の調査によると、転職経験者の半数以上が「職場の人間関係が転職を考えるきっかけになった」と回答しています。
社内での人間関係だけでも、離職を決める原因の一つになっている可能性が非常に高いのです。
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早期離職が与える企業への悪影響とは
現場の士気が下がり退職の連鎖につながる
苦労して獲得した人材が早期で離職すると、少なからず現場の士気に悪影響を及ぼします。
現場の社員達は「(あの人は)なぜ辞めたのか?」と探り出すことで、自社に対して不安感を覚え、さらに離職者が続くことにより、その不安感は増幅していきます。
こうした現場全体の士気が下がった状況で、もし優秀な社員が離職するような事態になると、連鎖的に離職者が続出する可能性が出てきます。
余計な採用コストが増える
採用活動にはお金が掛かります。
求人掲載にかかる費用はもちろん、説明会や面接会を開催すれば会場費や資料作成費、人件費が必要です。1人採用するのに決して安くはないコストが掛かってきます。
採用した人材が早期に離職するということは、それまでに掛けた採用コストが無駄になることを意味しています。
また、欠員補充で新たに採用を進める必要があるため、その分の採用コストが増えることになるでしょう。
人件費が無駄になる
特に新卒の場合、早期離職となると研修などの教育にかかるコストが無駄です。
新卒採用は、長い期間をかけての戦力化を見越した採用となるので、戦力とならないまま離職されるとそれまでにかけた人件費が無駄に終わります。
早期離職防止のため採用時にできる3つの取り組み
数ヶ月から1年程度で職場を去る早期離職者は、上記で紹介したような業務内容のミスマッチや耐え難いストレスを短期間のうちに感じて辞めてしまいます。
そのように感じてしまう根本には「思っていたのと違う」思いがあります。早期離職の防止にはこの部分を解決しなければなりません。
募集内容はありのままの事を書く
「求人票は事実と異なっていても、魅力的に見える内容を脚色して書けばいい」と考える経営者は非常に多いようです。
その考えで書いた求人票では、確かに応募数は多く集められるかもしれません。
しかし、この方法をとるとミスマッチが起こりやすくなり、早期離職が発生しやすくなります。
求人や教育にかけたリソースが無駄になるだけでなく、採用部門が疲弊します。
募集記事では等身大の会社の姿を記載し、その中でも求職者にとって魅力であろうポイントを強く訴求しましょう。
給与が他社より低くても、社内の人間関係や仕事のやりがいなど伝えられる魅力はあるはずです。
社員に働き続けている理由を聞くと、自社の魅力がどこなのかを把握するヒントになるかもしれません。
内定から入社まで既存メンバーとコミュニケーションを
従来型の採用フローでは、内定者は入社の日まで人事担当以外とコミュニケーションをとる機会が少なく、配属される部署の同僚がどのようなメンバーなのか知ることはありません。
しかし、人間関係ができていない状態で業務に臨んでもらうのは、コミュニケーション上の行き違いが発生しやすくなります。
また社風や組織風土の理解が進んでいない事による居心地の悪さも感じるケースもあるでしょう。
「この環境で仕事をするのは難しい」と思われるのは、入り口のコミュニケーションに失敗していることが大きな原因です。
「入社前に社内のグループチャットやアプリに招待し普段のやりとりを感じてもらう」「チャットやアプリ上でお互いに自己紹介をする」など、入社前からコミュニケーションをとることで入社してからのコミュニケーションの壁を取り払えます。
実際には顔を合わせていなくても「なんとなく知っている」安心感は大きいです。
現場の人間と一緒に採用計画を立てる
「採用時に言われたことと、現場に配属されてからの現実が違う」ことも問題です。これは会社に対して大きな不信感を抱かせる原因となります。
違うと感じた点が仕事内容や労働環境と直結すると即離職になりやすいです。
このようなことが発生しないように、採用部門と配属される現場の責任者はしっかりすり合わせをする必要があります。
「不足人員を確保すればいい」といった考え方だと、現場で本当に必要な人材像とかけ離れた人材を採用しかねません。
採用部門、現場双方が「どのような人材が必要なのか」について、その都度コミュニケーションを取りましょう。
まとめ
早期離職を防ぐための理想論は「労働環境がよく、取り扱っているサービスが魅力的で、承認欲求を満たせる組織にする」ことです。
しかし、これら全てを満たすのは現実的に難しい側面もあるでしょう。
しかし、今回お伝えした方法で、新人に不安や不信感を抱かせる要素を極力排除することできます。
プラス部分を大きく作ることは難しくても、マイナス要素がないことで居心地が良い会社を作ることは可能なのです。
居心地が良ければ長く在籍してもらえる可能性は高くなります。
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